デギン・ザビの弟に転生したと思ったら、俺の知ってるガンダムの世界と少し違うんだが   作:TSしたとねり

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なんとか今月も投稿できました。
本編を書く合間に特殊タグとか試していました。(某大百科風等)遅くなって申し訳ありません。


15 帰郷(宇宙世紀0074年)

 ——宇宙世紀0074年、3月。

 

 ムンゾよ! 私は帰ってきたぁ‼

 

 どうも、シャアよりも先にロリコンのレッテルを大衆から貼られかけたロラン・ザビです。

 

 ——いや、一部で(と言うより一人から)はまだロリコン扱いされているけれども。

 

 やっぱり、転生してからの人生の殆どを宇宙で過ごしているからか、宇宙に返ってくると喜びも一入(ひとしお)だな。

 

 地球連邦軍に派遣される人材交流(バカンス)が終わり、ようやく帰ってきましたムンゾ宇宙港。

 

 俺の今の姿は、着慣れた軍服姿ではなくスーツの上下。両手に持っているのは、地球で買ってきたお土産が入った紙袋。

 

 一見すると、観光帰りかビジネス帰りかと思うような格好である。

 

 前世日本人男性の(さが)で、およそ5年ぶりの帰郷となると様々な場所にお土産を買っていきたくなるものだ。

 ——え? ならない?

 

 まぁそれはともかく、地球に降りてから一度も顔を出していないザビ家を筆頭に、モビルスーツの研究を進めてくれているワイズマン工業とサハリン家、その他諸々の関係各所に挨拶回りをしなければならないのも事実。

 

 ——別名でお詫び行脚とも言う。2日がかりで回れば、その次の日は休日だ! 俺はしばらく引きこもらせてもらうぞ!

 

 はぁ……無理矢理テンションを上げていかないとやってられない。

 

 何故、俺がそんなことをしなくてはならないかというと、何故か技術研修名目で俺に付いてきたタチアナを無事(?)に妊娠出産させ(1アウト)、それをザビ家の誰にも相談することなくムンゾの名家の一つであるトト家に養子に出すことが決まり(2アウト)、度重なる説明を求める声を無視してきたから(3アウト)である。

 

 ——そう、ついに俺とタチアナの関係が一部にバレてしまったのだ。

 

 子供をトト家に養子入れさせようとした時「キシリアがもみ消してくれるんでしょ? へーきへーき」って思っていたのだが、その当のキシリアが兄上(デギン)に話してしまったらしい。

 

 曰く、「没落したとはいえ、トト家のような名家に養子入れさせる? 叔父上、そのような重大事を一存で決めるなんてことはあり得ませぬ。この事は、父上の耳に入れさせていただきます」とのことだった。謀ったなキシリアちゃん!(ヘッドホンを投げ捨てる)

 

 幸いなことに、メディアや他の政敵にバレた様子はない。もしもばれたら大スキャンダルで、朝から夜までお茶の間を賑やかす事になるだろう。

 

 よって、目下の懸念事項は兄上に何と説明するか。

 

 ——やばい。どうしよう。本当になんて説明したものか……

 

 今更「タチアナが産んだ子は全部俺の子。グエンはホモ」だの「うっせーハゲ! お前も年の離れた後妻捕まえてただろ! このロリコン*1!」だのとは言えない。(確信)

 

「……はぁ……憂鬱だ……」

 

 俺の気分が塞いでしまう理由はもう一つある。

 

 いや、大したことではないはずだ。スキャンダルになりかねないのも事実だが、俺には大義名分がある。それも含めて兄上に説明しなきゃならないことを考えると、俺は頭が痛くなった。

 

「大佐! まってくださいーっ!」

 

 

 俺を思考の渦から引き揚げたのは、インド系の風貌をしたローティーン位の年齢の少女だった。

 

 裾の広い黄色いワンピースに、青色味がかった髪を二つのお団子に纏め上げ、額には特徴的な赤いビンディ。

 

 12歳になるという少女は「うんしょ、うんしょ」と大きな旅行鞄を持ちながら、俺の隣に並び立ち笑顔を俺に見せた。

 出会った当初は暗かった表情も、俺とタチアナの疑似家族経験を経て笑顔が浮かぶようになっていた。

 

 ——うん。ロリの笑顔、プライスレス。

 

「ララァ、今からそんなに元気だと疲れてしまうよ?」

「平気です。それに私、楽しみなのです。大佐の家族になれたのもそうなのですけれど、これから家族になる方たちに会えるって考えると!」

 

 俺が、少女——ララァ・スンをムンゾに連れて帰ってきた経緯は、端折らせてもらうが、切っ掛けはおそらく地球連邦軍のゴップ中将と意気投合してしまった事から始まる——。

 

 ゴップの叔父貴とインド研修? 行く行く! あそこらへんって興味あんだよね!

 ↓

 何? ゴップの叔父貴は着いて早々に娼館に行くの? えー、俺はパス……え? 合法的(違法です)に幼女と触れ合えるの? フゥー! いや、やっぱ付き合いって大事だよね!

 ↓

 あれ? あの髪の毛が青い子、嫌がってんじゃん! オラァ! ロリには優しくしろって聖書*2に書いてあんだろうがゴラァ!

 ↓

 へ? 責任? 身請け? まだ孤児院から娼館に売られる前だった? ふぇ?

 ↓

 うーん。身請けって外聞が悪いなぁ……せや! 養女って形にすればえぇんや! 幼女だけに!

 ↓

 あなた、ララァって言うのね! あいぇぇぇ?! え? なんでビンディないの? ララァのトレードマークじゃん。付けてもええんやで? いや、つけろ。

 ↓

 タチアナも妊娠中で辛そうだし、身の回りのお世話してもらって助かるなぁ。

 ↓

 イマココ。

 

 ——と言う訳である。

 端折りすぎて訳がわからないかもしれないが、当の本人である俺も意味が分からない。

 

 しかも、何故か知らないけれど、ララァを売ろうとした孤児院は、俺がララァを引き取った次の日に連邦の捜査の手が入り関係者全員が逮捕されているのだ。

 故に、真相は全て闇の中。知らぬが仏とも言う。

 噂では、孤児院に通っていた連邦政府高官の首が物理的に飛んだらしい。

 

 ——怖い怖い。やっぱり連邦は腐ってるんだな。(小並感)

 ——ビンディの意味? 知らないけど、ララァのトレードマークでしょ?*3

 

 そんなこんなで、まずはザビ家の本邸に向かった俺は、兄上の部屋に入るなりに土下座する。

 これぞ、本場仕込みのジャパニーズ土下座だ。

 

「……ロラン、お前は何をしたかわかっているのか?」

「……申し訳ありません、兄上」

 

 冷たく響く兄上の言葉に、俺は兄上がガチギレしている事に気が付く。

 でも、兄上は一体何に対して怒っているのだろう?

 

 ——タチアナのこと? いや、ララァの事を勝手に養女にした事だろうか?

 

「……儂はな、ロラン。何も愛人を作るなとか、子を作るなという話をしたいわけではない」

 

 ——いや、それじゃあ何が言いたいのだろう? 兄上、そんな怒ったら禿げますよ?

 

「ロランよ。儂らザビ家の人間は、そんなに頼りないか? 信用が出来んか? ……まぁ、ギレンやサスロをそう思うのも無理はない。が、儂はそんなにも信用できんか?」

「兄上……」

 

 これぞまさに兄弟愛。

 ——これは、兄上からお許しがもらえたって事でいいんだよな? ツンデレか? 兄上はツンデレだった?(宇宙猫)

 

 俺が脳内で変な事を考えていると、それを見越したようにデギンはため息を吐きながら、ララァに対して「おいで」と短く誘った。

 

 困惑した顔でララァは俺を見てくる。そりゃあこんなデブでハゲなおっさんから「おいで」って誘われたら、困惑するだろうな。傍から見れば、ただの事案である。

 

「今回の事、不問に付す事はできん。ザビ家の家長として、儂はロランに罰を与えなければならん」

 

 ——ひぇっ……許されなかった!

 

 今の流れは美しい兄弟愛で許してくれる流れだったのに、兄上は厳しい目で俺を見据えてきた。

 

「ロラン、お前は4月からムンゾ士官学校の校長職をやるのだ。一般的には、戦時下で閑職と言われるポストに就くのだから、周囲は何かあった事を察するだろう。既に手は回してある。それにまぁ、なんだ……今は平時だ。任期を過ぎればまた前線の指揮官に……」

「謹んでやらせていただきます! 兄上!」

 

 食い気味に承諾した俺に、デギンは面食らったような表情を浮かべた。

 

 ——くっくっく、士官学校の校長職なら、サボっていてもバレないだろう。

 俺にはやらなければいけない事が沢山あるから、仕事から抜け出す事が容易な役職は却って好都合。

 

 今までのポジションは、ちょっと俺の肩に重すぎる仕事ばかりだったから、ちょっとしたバカンスにはなるだろう。(地球でも思い切り羽を伸ばしていた事は言うまでもない)

 

「それとな、ロラン。この娘はお前の養女という事だったが、嫁取りをする前に養娘ができるのは世間体が悪い。そこで、儂の養女という事にする」

 

 その言葉を聞いた時、俺の顔はおそらく宇宙猫のような表情を浮かべていただろう。

 

 ——やっぱり俺の兄上だぜ。手元にロリを置いときたいんだね! この変態フシンシャさん*4め!

 

「……わかりました兄上。よろしくお願いします」

「うむ……言い忘れたが、よく無事で帰ってきてくれたなロラン。また今度ゆっくりと連邦での事を聞かせてくれ」

 

 渋々、俺は兄上にララァの件について同意する。

 確かに、未婚のままの俺がララァを養女にすると、耳聡い者達からいらない詮索をされることは間違いない。兄上の提案は、その事を見越してのことだろう。

 

「あくまで戸籍上は、という事だ。儂の家にいるよりも、ロランといた方がこの娘……いやララァと言ったか……ララァも落ち着くだろう」

 

 話は終わりだ——と、兄上は俺とララァに退室を促した。

 

「それでは兄上、また顔を出させていただきます」

「うむ、またいつでも帰ってくるのだぞ。それと、今度帰ってくるときはお前の愛人も共に、な」

 

 何を考えているのか、何かの思惑でギラついた兄上の言葉に、俺は何も答える事なく一礼をし、ララァを連れて部屋を後にしたのだった。

 


 

 久しぶりの自宅に帰った後、ララァを俺の家に寝かしつけ、一夜開けた朝。

 

「一体どういう事ですか? 説明していただけるのでしょうな叔父上?」

 

 い草の香りが漂う部屋は落ち着く——。そう思うのは、俺の前世が日本人だったからだろうか。いっその事、そのヒーリング効果を目の前で仁王立ちしている彼女にも分け与えて欲しい——と、俺は思う次第ですマル。

 ——あ、ララァを養女にする件って話したっけ?

 

「聞いておられるのですか? それとも、私がこれまでどれほど大変な思いをしてきたか、分かっておられない、と?」

 

 畳の上で正座する羽目になった俺は、目の前で睥睨してくる(キシリアちゃん)に口を開こうとして止めた。

 

 今更何を言っても言い訳にしかならない。

 それはすなわち、キシリアちゃんの怒りに火を注ぐような結果になる事を、賢い(賢さG)俺は学習していた。

 

「ちゃうねん」

「何が違うのですか? 言ってごらんなさい」

 

 ヒシヒシと伝わる冷たい視線。これはあれだ。謝るしかない。

 

「ごめんなさいキシリアちゃん……」

「何がごめんなさいなのですか? 言ってごらんなさい」

 

 ——女装パワハラ鬼上司も真っ青なプレッシャー。俺じゃなきゃ裁判所に駆け込んでいたな。

 

「好き勝手してごめん。キシリアちゃんの努力をふいにしてごめん……」

「……はぁ……他には?」

 

 他? 全然思いつかない。いや、本当に申し訳ないと思うが、親の仇を見るような目で俺を見るのは止めてほしい。

 じっとキシリアちゃんに見据えられてからおよそ五分。

 

「……もういいです」

 

 根負けしたのか、諦めたように再びため息を吐くキシリアちゃん。ため息をついた分だけ幸せから遠ざかるんだぞ?

 

 それに、そろそろ俺の足が限界だ。このままだとしばらく地べたに這いつくばって移動しなくちゃならなくなる。

 

「……えっと、足が痺れちゃったから足を「は?」……何でもないです……」

 

 どうやら、まだキシリアちゃんの怒りは収まっていないらしい。

 俺の提案は、キシリアちゃんの冷たい声で無かったことにされた。

 

「……まぁ、私も鬼ではありませぬ故、溜まりに溜まった仕事を片付けていただけるのであれば、その姿勢を解く事を許しましょう」

「やる! やるよキシリアちゃん!」

 

 キシリアちゃんのデレ期。それは唯一見えた光明。例えるなら攻囲戦において、重囲の中開かれた唯一の脱出口か、それとも地獄に垂らされた蜘蛛の糸か。

 

 ——ズシン。と音を立てて置かれた書類の山によって、俺の愛用していた文机が軋む。

 

 ——え? あの、俺の文机がミシミシ音を立ててるんですけど。え?

 

「これは叔父上が目を通しておくべき資料と書類の一式。そしてこれが、連邦に潜ませたスパイからの報告書です」

 

 そしてこれが——、とキシリアちゃんはもう一回り大きな書類の塊を、文机から離れた応接机に置いた。

 

「私の怒りの山です。何か質問は?」

 

 怒りの山——チラッと見えた感じだと、ワイズマン工業が独占しているMS技術に関する陳情と研究開発している技術やMSに関する書類の山。

 俺がいない間、ずっとキシリアちゃんがやっていたらしい。ごめんね。

 口答えは許さない、と気迫のこもったキシリアちゃんの視線に、俺は只ひたすら頭を下げる他はない。

 今こそ耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶときだ。臥薪嘗胆。あのアナベル・ガトーも言っていた——我々は三年待ったのだ——と。

 

「まさか、否とは申しますまいな? 叔父上?」

 

 キシリアちゃんの背後に般若の面を幻視した俺は、苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

「は、ははは、キシリアちゃん。俺がそんな拒否できる立場ではないよ? 喜んでやらせていただきますね?」

 

 俺ができることはただ一つ。ただ肯定する事のみ。

 

 完全敗北。

 もしもエ◯同人だったらアヘ顔ダブルピース不可避な状況である。

 

「だめ! 大佐をいじめないで!」

 

 俺がキシリアちゃんに完全敗北してしまったその時、褐色の天使は現れた。

 

「……虐めたなど、部外者は引っ込んでおれ」

 

 「ひぅっ」とキシリアの一喝でララァは怯むが、すぐさま体勢を立て直す。

 

「部外者じゃありません。わたしはザビ家の養女になったのですから! あなただって本当は……」

「黙りなさい。それに養女、と? ほぅ……」

 

 キシリアちゃんの様子に何かを察したララァが、何かを話そうとしたがキシリアちゃんはただそれを制した。

 

「良いでしょう。確か、ララァとか言いましたね。貴方がザビ家に入るのならば、それ相応の教養も必要になってきます。この私が直々に教え込んで差し上げましょう」

 

 ララァに飛び火したキシリアちゃんの怒りで、ララァはワタワタと弁解の言を述べようとする。

 

「わ、私は大佐と……」

「なりません。叔父上は士官学校の校長職という、重役を任されたのです。あなたのような幼い者を相手にする時間は取れません」

 

 ——いや、ロリの相手なら無理やりでも時間作るんだけど、そんなことを口に出そうものなら、キシリアちゃんは背後から脳天にレーザーを打ち込んでくるかもしれない。

 

「すまないねララァ。また埋め合わせはするから」

 

 俺はこれ以上の抗戦を放棄して、尊い犠牲(ララァ)を捧げる事に決めたのだった。

*1
後妻が年下というのは独自設定

*2
詩篇127章3。そんな事はどこにも書いてないし、『胎の実は報いの賜物である』としか書いていない

*3
ぜひwikiでしらべてみてほしい

*4
プリコネのキョウカちゃん可愛いよね




読んでいただきありがとうございました
ついにロリと同棲できた主人公。次はウホッ♂男だらけの士官学校回です。
主人公は平穏な学園生活を送ることができるのでしょうか?

感想等お待ちしています

登場人物紹介(作者メモ)について

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