デギン・ザビの弟に転生したと思ったら、俺の知ってるガンダムの世界と少し違うんだが   作:TSしたとねり

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 お久しぶりです。何とか今月も投稿できました。
 今回のお話はタイトル通り、あのシャルロット候補生との絡みになります。
 今回のお話は少し短いのですが、ご了承ください。また、いつも誤字報告、感想等ありがとうございます


16.5 再会(宇宙世紀0074年)

 入室するなりにカッ、と踵を打ち鳴らし、士官候補生の制服を着た女性は敬礼をしたまま口を開いた。

 

「はっ、大佐。お呼びと聞きましたが、何用でありましょうか」

 

 口から発せられたのは、どこか少女の面影を残した声だった。

 

 シャルロットの身長は、俺と同じくらいだろうか。

 軍帽を被ったまま入室してきたシャルロットは、俺の答礼に合わせて敬礼を解くと軍帽を脱ぎ、金色の髪を露わにさせた。

 

 他の士官候補生と同じく、首筋まで切られた短めの金髪はどことなくかつての面影を感じさせる。

 

 他の生徒と同じくオリーブグリーンに染め上げられた軍服を身に纏っているシャルロットは、事情を知らない者から見ればただの女性士官にしか見えないだろう。

 

 ——だけどたぶん。きっと、いや、確実に。

 原作を知っているからこそ、目の前の女性が『シャルロット・アズナブル』という一般人ではない事を俺は悟っていた。

 

 入学書類は真っ当なものにしか見えないし、テキサスコロニーにも行っていないはずなのに偽名を使う理由は分からないけれど。

 

 ——て言うか、なんだその身体⁉︎ 軍服はタイトなデザインで、着る人の体格がモロに出やすいのは知っていたが……エッッッッッッ!(コンロ点火)

 

 上は目測90オーバー。くびれた腰に、スラッと伸びている大腿部。

 出るとこは出て、引っ込むところは引っ込む女性として理想的な体形。

 

 サングラスで素顔を隠しているのに、スタイルからしても美女の雰囲気が滲み出ている。よくもこんな男所帯に身を投じようと思ったな。他の候補生たちの教育に悪いだろ。性癖歪むぞ。

 

「ゴホン。いや何、大した事ではない。楽にしてくれ」

 

 雑念を振り払い、咳払いをした俺がソファに座るよう促すと彼女は優雅に腰掛けた。

 

 大きな胸の膨らみが軍服を押し上げ、一つの大きな山を作り出しており、俺は視線のやり場に困ってしまう。

 

 女性はそういった視線に敏感だと聞いたことがあるし、マジマジとお山を拝んでしまったら俺のイメージに関わってくる。それだけは避けなければならない。

 

 いや、でも山岳信仰があるのなら山岳(おっぱ◯)信仰があっても良いんじゃないか? エウレカ(分かった)! だから男は……!(以下略

 

「……大佐殿、私に用件というのは何でしょうか? 何か問題を起こした記憶はありませんが」

 

 俺の雑念はシャルロットの言葉によって雲散霧消した。

 

 彼女の所作一つ一つをとってみても間違いない。一般人なんかではなく、良い所の出である事を俺は確信する。

 

「……」

 

 ——いや、何て言って切り出せば良いんだ? 「お前キャスバルだろ? おっ◯いデカくなったな!」なんて言えるわけがない。

 

 サングラスで顔を隠しているとは言え、彼女はジオン・ダイクンの子供。

 男ならともかく、女の身で士官学校(こういう場所)にいるなんて知られたら、きっと子煩悩と化した奴らが知ったらどうなるか。

 

「……やはり、会ってみて確信したよ」

 

 俺の言葉に対する反応は——無い。

 

「シャルロット・アズナブル、0059年11月生まれ。双子の弟であるシャア・アズナブルと同じくサイド5テキサスコロニーで育つ。学科考査は優、体力考査も優等。軍への志望理由は『民衆を守り、社会の変革の一助となるため』……か」

 

 俺はツラツラと手に持った資料を読み上げる。

 

「全く、あまりにも完全な履歴書だな。こいつを作り上げた人物が分かれば、我が国の諜報機関にスカウトしたいくらいだ」

 

 資料を机の上に置き、黙ったままのシャルロットに対して更に俺は言葉を続ける。

 

「だが、君の双子の弟とされるシャア君の卒業した小学校、中学校の卒業アルバムに君の存在はなかった」

「それは当然の事でしょう。恥ずかしながら私は不登校でありましたから」

 

 ——やはりこの程度の証拠では折れないか。

 

「そうかね。では、また違ったアプローチをしよう。リノ・フェルナンデスという人物に心当たりは?」

 

 俺の出した名前に、シャルロットは少し考えるそぶりを見せたが、思い当たった人物がいたのか口を開いた。

 

「あぁ、弟——いえ、失礼しました。シャア候補生の同室でしょう? それが何か?」

 

 書類は完璧だった。だが、シャルロットは『弟』ということになっているシャアの交友関係までは頭が回っていなかった。

 

「まだまだ詰めが甘いな、シャルロット候補生。リノ・フェルナンデス。サイド5出身、ハイスクールでは君の弟と同級。少なくとも家を行き来する程度の交友があったそうだ」

 

 ——おかしくないかな? と俺が告げると、どうやらシャルロットは俺の言いたい意図が分かったようだ。

 

 口元を可笑し気に歪め、クックッ、と喉を鳴らして笑う。

 

「それで、経歴がおかしかったらどうしますか? 私を連邦のスパイとお思いなのであれば、憲兵の姿が見えませんが、そこまで調べ上げて私をどのようになさるおつもりで?」

 

 シャルロットの疑問は当然のものだろう。

 真っ当な士官や将校であれば、叛逆やスパイ行為を行う恐れのある者を見つけた場合の対処法はただ一つ。憲兵に突き出す事だからだ。

 

「……憲兵? その必要はないよ」

 

 だが、俺がそんな事は必要ないと告げるとキャスバルは怪訝な表情を顔に浮かべる。

 そこで答え合わせだ。

 

「……なぁ、キャスバル? そろそろサングラスを取ってくれないか?」

 

 俺の言葉でシャルロット——いや、キャスバルが息をのんだのが分かった。

 明らかな動揺を見せる彼女が「どうして」と小さく呟き、俺は苦笑を浮かべてさらに言葉を続ける。

 

「そりゃ分かるさ」

 

 俺は座っているキャスバルの隣に歩み寄って、キャスバルの顔に手を伸ばした。

 

「……5年、見ないうちに綺麗になったな」

 

 浮ついたセリフだとは自分でも思った。

 でも、それ以外にかける言葉が分からなかったというのも事実。

 

 だがまるで、空がそのまま嵌め込まれたかのような青い瞳は昔と変わらない。

 

「……怒らないのですか? きっと、一番士官学校に入るのを反対するのはあなただと思っていました。ダイクンの名跡を継ぐのは、()しかいない。だから、ジンバや皆は最後まで反対していましたから」

 

 キャスバルは顔を伏せてポツリとこぼす。

 いや、俺が反対する理由はないだろう。もともと俺がキャスバルの教育係のような事をしていたわけだし、その時からキャスバルは軍人になりたいって言っていたのだから。

 

「……そんなはずはないだろう? 君が選んだ道なのだから、俺が反対する権利も何もないさ」

 

 それはそう。現代日本人の倫理観を持っている俺としてみれば、自分の行く先は自分自身が決めるべきだと思う。

 ——でも、キャスバルはどうするんだろう?

 ダイクン家の跡継ぎが女性でダメって訳ではないが、おそらくダイクン派の中には『男に継がせるべきだ』という旧態依然とした考えの奴もいるはずだ。

 

 キャスバルが彼らに求められた事は、ジオン・ダイクン亡き後の旗頭になる事。

 思想に血筋も何もあったものではないはずだが、ジオンのカリスマ性に惹かれた支持者は、ジオンの子供にもそれ(カリスマ性)を求めている節がある。

 

 実際に原作では、ジオニズムという思想で集まった同志であったはずなのに、——シャア・アズナブルのカリスマ性もあった事だろうが——ダイクンという血筋を重視してしまっていた。

 

 そして、ジオニズムが言う『新しい人類』像にそれを当てはめてしまった。

 その結果がシャアの反乱であり、その後に続く宇宙世紀の混沌に続くことになったのである。

 

「俺……いや、私も好きにしたのだ。君も好きにすると良い」

 

 ——好きにした結果が、地球で幼女を養女にしたんですがね?(激うまギャグ)

 

 俺の言葉で何を思ったのか、キャスバルは勢い良く顔を上げて俺と視線を交わらせる。

 

 数瞬の沈黙が部屋を支配した。

 

「……それは……僕の婚約者としての言葉ですか?」

 

 ——え? 何? 婚約者?

 

「……はい?」

「え?」

 

 突然キャスバルから飛び出たワードに、俺は思わず聞き返した。

 曝け出した俺の間抜け顔に釣られて、キャスバルもポカンとおかしな顔のまま固まってしまっている。

 

「……えっと誰が、誰の婚約者?」

「……僕が……その……あなたと」

「ふぇ?」

 

 寝耳に水。青天の霹靂。

 一瞬、俺の脳みそが考える事を拒否した。

 

 だって、俺の婚約者はアルテイシアちゃんのはず。俺は甘んじて世間から向けられるロリコンのそしりを受ける覚悟を決めていたのに。

 

 ——それが、どうしてボンッキュッボーンに育った男の子と思っていた女の子が婚約者? え?

 

 俺の動揺を察したのか、シャルロットは冷たい視線を俺にぶつける。

 

「…………」

 

 気まずい。

 ——いや、だって仕方ないじゃん! ずっと、男の子だと思っていたんだし、ジオン・ズム・ダイクンだって……いや、アルテイシアちゃんの名前、一度も出していなかったな……

 

「その様子だと、ちっとも気付いていなかったんですね」

 

 キャスバルが冷たい声音で言うと、一気に室内の気温が氷点下にまで下がったように冷え込んだ。

 

「フ、ふふふっ」

 

 何故か突然笑い出したキャスバルは、眼を細ませて俺を見つめてくる。

 

「大佐は、僕が婚約者で不満?」

 

 ——この空気、このプレッシャー……選択肢を誤ったらBADEND(死ぬ)……!

 思い出せロラン! あの、思想に塗れたジオン・ズム・ダイクン相手にパーフェクトコミュニケーションをたたき出して、絆10までいった会話能力を! ララァ! 私を導いてくれ!

 

「……不満なんて、そうじゃないよ。ちょっとビックリしたってだけさ」

「……どうだかね」

 

 ——ぐぅ、手強い。

 が、幾分か空気が弛緩した。

 

「……ごめん、ずっと男の子だと思っていた。まさかこんなに綺麗になったなんて想像もしてなかったんだ」

「ふん、素直でよろしい。じゃあ、婚約者様? 次に僕が何を言ってほしいのか分かるよね?」

 

 完璧だと思われた回答だったのに、何故か難易度がさらに上がった。

 

 キャスバルはずいっと身を前に押し出し、まるで『早く早く』と急かすように俺の言葉を待っている。

 

 不躾ながら、まるで犬のようだと思った。

 

 俺とキャスバルに身長差はない。

 だが、キャスバルから発せられるプレッシャーのせいで、何故か彼女の方が大きく見えた。

 

「あー、えっと……」

 

 答えを考えあぐねていると、不意にキャスバルは俺に身体を密着させ、俺とキャスバルの身体の間に挟まれた柔らかな弾力を持った2つのものが、むにゅっと形を変えた。

 

「……僕はまだ、大佐におかえりなさいって言ってないんだけどなぁ」

 

 分かりましたから、耳元でしゃべるのやめてもらっていいですか?

 

「すまんなキャスバル。それと、ただいま」

「はい、おかえりなさい大佐」

 

 キャスバルは俺から離れると少し間合いを取り、ぽつぽつと話し出した。

 

「……僕は、大佐の婚約者になれてうれしかったんだ。でも、なんで男の格好をしていたか、僕は大佐に知っておいてほしいと思ってる。いや、これは僕のエゴだ。だから、ただ聞くふりだけでもいいから、聞いてほしい」

 

 キャスバルが話し出したのは、彼女の事。

 俺がキャスバルと出会う前の話を、彼女はゆっくりと話し始めた。




 読んでいただきありがとうございました。
 次回はシャルロット視点。なんで男装することになったのかというお話になります。まぁ、結論から言うと大体主人公が悪いのです。

↓シャルロット・アズナブル士官候補生のイメージです。
イメージを壊したくない方はご注意ください

【挿絵表示】

登場キャラの絵を描いた方が良い

  • 描いても構わん
  • 描かんでもよろしい
  • 原作だけ描け
  • オリだけ描け
  • ロランの裸が見たいわ(どちらでも良い)
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