デギン・ザビの弟に転生したと思ったら、俺の知ってるガンダムの世界と少し違うんだが 作:TSしたとねり
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さて、それからと言うと俺は、デモンストレーションを見た時点でのモビルワーカーの出来に及第点を与え、ザビ家として援助していく事を決めた。
決まってからの展開は早く、俺がミハエルによって畏まった部屋に通されて、書類にサインするまで掛かった時間は30分。
——試作機とされる作業用機械のちょっとした量産。そして発展型として、軍用の機体の試作、開発。
ザビ家から提供される莫大な資金と、アステロイドベルトや採掘されるために曳航された小惑星での運用云々。
書類に記載されたそれらの内容に目を通して、一通りの書類にサインし終わると、ミハエルの手によって俺の面前にティーカップに入った紅茶が差し出された。
余談だが、ミハエルさんの淹れたお茶は美味しかった。
決定までが早すぎる? デモンストレーションは時間の無駄だったんじゃ無いかって? ははは、気にしない気にしない。
おっきなロボット、ギュインギュイン動く。
数日後に、試作機の内の一機をザビ家の開拓団宛てに送る事をミハエルに念押しした上で、俺はこれからの事を考えていた。
まず、どうやってモビルワーカーを連邦から秘匿するか。
これはかなり難しいだろう。連邦に秘匿できる可能性は限りなくゼロに近い。
そして、軍用にモビルワーカーを転用した場合、兵器を搭載するにあたってどこの企業に開発させるか。
俄かなガノタに、ザクマシンガンを作っていた企業なんて知識はない。
今、ムンゾ防衛隊に武器や弾薬、装甲車を卸している企業に依頼をするべきか。だが、それもまた諸刃の剣。連邦に勘付かれる可能性が高い。
さて、どうしたものか——と思索に耽っていた俺は、部屋に誰かが入ってくる事に気付かなかった。
そう、——畏まった部屋に通された時点で、俺は察するべきだったのだ。
中小企業にある豪奢な作りをした部屋の用途など、考えればすぐに察するはずだったのに——。
「……貴方がロラン・ザビ大尉ですね? お噂はかねがね」
色黒で、長身のイケメンが、部屋のソファで茶を喫していた俺に声を掛けてきたのだ。
「ぶーーっ! ゴホッ! がはっ! かはっ!」
あまりにも見た目がその通りだったため、飲んでいたお茶に咽せてしまう。
何でこんなところに
資金繰りに苦慮している企業が持っている、畏まった作りの部屋の用途なんて社長室くらいじゃないか。
つまり、社長室を使うことができる唯一の人物——。
「ど、ドーモ。グエン=ワイズマン=サン。ロラン=ザビ=デス」
タチアナの旦那——グエン・サード・ワイズマン。ワイズマン工業の社長。
突然の事で固くなりすぎてしまい、挨拶がニンジャっぽくなってしまったが、御曹司——もとい、グエン社長にとっては気にすることではないようだった。
——宇宙世紀なのに、何で正暦の人物そっくりの人間がいるんだよ⁉︎
等々と、色々な言葉が俺の脳裏に浮かび、口から発しようとまではするが、何も言葉に出せなかった。
「あぁ、失礼。驚かせるつもりはなかった。ローラ……いや失礼、ロラン殿。しかし……」
ジロジロとこちらを見てくるグエンの目に、俺はどことなく居心地の悪さを覚えた。
具体的に言うなら、こう、ケツのあたりがゾワゾワするような——。
「……惜しいな……あと5年私が若ければ、もっと君と仲良くなれたというのに……」
一体仲良くなってナニをするつもりだったんですかね⁉︎
嫌なプレッシャーで俺の背中が粟立った。
「は、ハハハ……何を……私とグエン殿は会ったばかりではないですか。これから、というものでしょう?」
「ふむ、そうですな。そういう事にしておきましょう。ところで、ローラ、とお呼びしても?」
初対面でいきなり飛ばしてくるな⁉︎
「いや、それは……」
良いわけないだろ!
まだ出会って10分も経っていないのに、女みたいなニックネームを付けようとしてくるな!
文句の言葉が口から出掛かるが——、
「……旦那様、また男のケツを狙ってるんですか? いい加減にすればどうですか?」
俺が否定の言葉を発しようとした時、聞き覚えのあるツンツンクールな声がグエンの背後から聞こえてきた。
「お久しぶりですね、大尉殿。またお会いするなんて思ってもいませんでした」
声の主は、俺の副官として共に仕事をしてきた人物。
「タチアナ准尉……」
軍服姿に見慣れているからか、タチアナのカジュアルな私服を着ている姿に少し見惚れてしまった。
そんな俺をつゆ知らず、タチアナは最後に会った時と同じように口を開いた。
「……もう私は准尉じゃありません。
……それに、大尉のケツは……ほら、もう屈強な男たちの手によってガバガバなんですから、旦那様が望むような事にはなりませんよ?」
「……そうでしたか。これは失礼」
やめろぉ! ありもしない事を言うんじゃ無い! そしてそれに納得するな!
俺の目の前で風評被害がやばい事になってる!
以前と変わらないやり取りに、俺がどことなく安心感を覚えた時、俺たちの様子を見ていたグエンが口を開いた。
「……2人の仲の良さには、妬いてしまうな……うん、冗談はさておいて、今日は大事な話があるんだ。ローラ」
あれ? 俺ローラって呼ぶの許してないよ? もう帰って良いですか?
俺の言いたい事が分かったのか、タチアナは鋭い視線で俺を射竦め、俺は逃げ道がない事を悟った。
「……既に契約書にはサインしましたが……? それに、そのお話はこちらにもメリットがあるもので?」
諦めの込めた俺の言葉に、グエンは微笑んだ。
「えぇ、もちろん。こちらにも、貴方にもあると言えるでしょう」
「勿体ぶった物言いは好きにはなれませんね……(そうですか、それは楽しみですね。ところで、どういった内容なのですか?)」
混乱のあまり、言葉のオブラートが機能していなかったようだ。
ゴホン、と一つ咳払いをしチラリ、とグエンの反応をうかがってみるが、大して気にしていない様子。助かった……
「君には、タチアナを孕ませてもらいたい」
「…………は?」
何言ってるのこの人?
ポカンと口を開けて固まってしまった俺を見て、グエンはくっく、と小さく笑った。
「驚いた顔も素敵だよ」
「相も変わらず間抜けづらを晒す人ですね」
グエンの言葉が怖い……
タチアナさんは何でそんなにも俺に対して辛辣なんですかねぇ⁉︎
「何、私にも打算があってのことなのだよローラ」
グエンは俺の座る正面に移動し、ソファへどっかりと腰を下ろす。
あ、もうローラ呼びは確定なんですね。はい、わかりません。
「実はね……」
碇ゲ◯ドウのように手を組んで、グエンは口を開く。
「私は、もう既に
開いた口が塞がらないとはこのことだろう。
へ? ミサオ? 美佐夫さん?
「……タチアナとの関係は、確かに婚姻関係にある。だが、その関係に愛は無い。しかし、我々には後継ぎが必要なんだ」
何か嫌な予感がする。俺がキ◯シーエンジン的な事にはならないだろうけど、つまりそういう事?
「……それで、私を利用する、と?」
子どもができない体質の人に操立てしているのなら、それは仕方ない。某ジオンさんに爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだ。
しかし、人妻を寝とっても良いだと? それも夫公認で?
そんなうまい話があってたまるか!
訝しげな俺の表情を見たグエンは、微笑みを浮かべながら「利用、とは人聞きが悪いな……ローラとタチアナが、どういう関係なのかも知っているんだよ」とのたまった。
その瞬間、ドキッ、と俺の心臓が大きく跳ねた。アッー! な感じにではなく、その関係という言葉が、パーティの時にタチアナとの一夜を指していることが直感的に察していたからだ。
ここは動揺を悟られないように、俺は極力平静を装う。
「……へ……へぇ、どんな関係だと? 確かに、タチアナとは元上司と元部下の関係ではありましたがね? 私とタチアナはもう一年近くも会っていなかったのですよ?」
図星をさされたオタクは早口になりがち。はっきりわかんだね。
「おや、しらばっくれるつもりですか? 婚約が決まっていた女性の処女を……「オーケー、何が望みだ? 好きな金額を言ってくださいお願いします」」
どうやら、パーティで起きた一夜の過ちはグエンに知られてしまっていたらしい。
おそらく漏らした張本人であろうタチアナに、視線で説明を求める。
「小物っぽいので、金銭で解決しようとするのはやめてください。はぁ……なんでこんな人を好きになっちゃったんでしょうね、私は……」
「小物っぽいって……まぁ、自分ながらそうは思うけれど、タチアナはそれで良いのか?」
ツンツンクールな視線を向けられると、俺の性癖に新しいジャンルが生まれそうだ。
「……良いも何も、こうなる事を望んだのは私ですから」
なんでわからないんですか? と純粋な目で見てくるタチアナに、俺は驚きを隠せなかった。
いや、ちょっと待って。理解が追いつかない。
「いや……えっと、タチアナは結婚しているんだよね?」
「えぇ。それに関してはその通りです。ですが、初夜を迎えた時点でカミングアウトされたのです」
「……へ? カミングアウトしたのではなくて……されたの?」
グエンが操を立てている云々の事は、どうやら初夜の時点でタチアナは知ってしまったらしい。
だけど、今の技術なら操を立てていたとしても体外受精という選択肢も取れるはずだ。
「いや、ここは私が話そう。率直に言おう、ローラ。私は女性を愛することができないのだよ」
「知ったも何も、後ろを掘られた旦那がア◯顔ダブルピースしながら『私は貴女と子供は作りません』って言ってきましたからね」
oh……キ◯シーエンジン案件だった……
でもグエンさんのアヘ顔は見たくない*1なぁ……俺がそんな光景見てしまったらトラウマになっちゃう……
別に俺はそういう人たちに偏見は持っていないが、女性自体が性的対象にならないという事は、子供を作る事は絶望的と言えよう。
「望まない妊娠よりは望んで妊娠した方がタチアナもいっそ幸せだろう? だから、私は君に頼んでいるんだよローラ」
グエンのその言葉に、俺の脳みそのパズルがカチンとハマった音がした。
「……つまり、タチアナは俺の事が好き、なのか?」
ようやく行き着いた俺の言葉に、タチアナは深くため息を吐いた。
「ようやくですか……? 鈍いにも程がありますよ」
嬉しげに弾んだ声。だが心なしか、タチアナの頬が赤く色付いていた。
「ゴホン、お互いの意思の確認はベッドの上でやってくれたまえ。そこでだ、君は認知しなくても良い。私の子として育てさせてもらいたい」
おいおい、グエンさんそりゃないぜ。今からでもタチアナと気持ちの確認作業に取り掛かりたいと言うのに。
「……わかりました。ですが、それはあなたのパートナーの許しは得ているのですか?」
一応は確認しておく。認知しなくても良いと言われても、俺は少なからず援助するつもりではあるけれど、ホ◯の嫉妬は怖いって前世の掲示板で学んだからね。
「そこは心配しないでほしい。今までのやり取りも、全て彼は聞いているからね」
——彼? と俺の脳裏に疑問符が浮かび、グエンの背後に立っていたミハエルがグエンの身体を抱き寄せるような姿勢へと変えた。
あ、キ◯シーエンジンかと思ったら田亀源◯郎*2でしたか……
きっと会社の案件が通るたびに「どうです? 今夜……」「うむ……」ってやってんだろうなぁ……
「さて、話もまとまった事ですし、どうです? 今夜は4人でパーティをしますか?」
「あ、結構です。お二人でどうぞ」
この反応の早さ、
さっきのグエンの言葉を額面通りに受け取る事なかれ。
——今夜は(貞操観念ゆるゆるな)4人でパーティ(意味深)しませんか? である。(妄想です)
R18的な展開待ったなし。気が付いたら俺の貞操が奪われている事になりかねない。いや、なる(確信)。
「そうですか、それは残念だ。だがそれもまた良い……では、これは書面に残さない契約、密約と致しましょう。何がどうなっても、貴方と私は共犯者。それ以上でもそれ以下でもない。よろしいですね?」
グエンが浮かべているのは本当に残念そうな表情だった。そんなに乱◯パーティしたかったの?
ミハエルはそんなグエンに「今夜はお仕置きですぞ」と囁いている。——これもプレイの一環だったんですね、わかります。
「わかりました……密約ついでにあと一つお願いがあります」
ここまで来たら、なんでも言って要求してやろう。性癖を晒した男同士、何も怖いものはない。
「ホシオカ工業という会社と合同で、軍用の機体を試作していただきたいのです」
俺の言葉に、グエンは不思議そうな表情を浮かべた。
「ほう、それは何故?」
何故って言われても、原作でザクの基礎を作ったのがホシオカだからなんて言えない。
「……軍用の機体は作業機械以上に繊細な仕事が要求されるでしょう。見たところ、ワイズマン工業はラインで量産する事には長けているように思えますが、マニピュレーター制御に難があるものと推測しました」
モビルワーカー1式1型のマニピュレータは、人間の五指とは似ても似つかない。それに、もう片腕はそのままユンボのアームを付けたようなものだ。
グエンの視線が鋭いものになった。いや、社長の面前で会社を馬鹿にするような事を言ったのだから、そうはなるか。
でも言い出した口を止める訳にはいかない。
「ホシオカ工業の強みは、制御機構の緻密さにあります。グエンさん、軍用の作業用機械は、ただ野戦築城をさせるために発注したのではないのです」
「……ローラ、君は何を見ているんだ? 君は、モビルワーカーに何をさせようとしている?」
グエンの声に鋭さが乗る。社運を掛けて作ってきたモビルワーカーを、無名の別会社と作れと言われた挙句、
だが、まだその理由を言う訳にはいかない。それに、まだ理解もされないだろう。
モビルワーカーの発展形、モビルスーツが、地上、水中、宇宙を問わず縦横無尽に動くのは未来の事。その展望を語るには早すぎる。
「今はまだ、共犯者と言えど明かす訳には行けません。ただ、これだけは言えます。この機械はムンゾの——いや、これからのスペースノイドの命運を分けるものになります」
真剣な面持ちで俺がそう切り返すと、部屋にいる俺以外の3人は顔を見合わせ、タチアナが「仕方ないですね……」と溢し、今回の商談はお開きになったのだった。
ヒロイン?救済?完了
ホシオカと組む事によって、これで息子がザクキチになれる素地ができました
次のお話は12/19に投稿予定です!
残念! グエンさんにはもうパートナーがいるのでした!
ロラン君のケツアナは守るぞー!