東方黒狐録   作:よるくろ

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 さてさて、久々の投稿とはいえこの始末、どう落とし前をつけてくれやがりましょうか私よ。

 残業時間延長?有給減少?常に上司の嫌味を聞く?

 いやいや生ぬるい。

 これより私は…

 絶対に今度こそ多分投稿をミスりません。

 今こそ冷静に、落ち着いて対処するべきです。


 内心(やっべ忘れてたァァァァァァァァァァァ!!!!)

 
 ワスレテナイヨ。

 それでは、どうぞ…


【を】 祟り神の『土着神』洩矢諏訪子

 

「うーん……んへへ…」

 

「ん…」

 

 

 …手つきがいやらしいなこの少女は。わざわざ僕の膝を触らなくても良いだろうに。

 

 今僕は、たったさっき気絶してしまった少女の介抱として、膝枕をしている。というのも、僕の踏み込みのせいでここら一帯は土と岩だらけで、そんなところに頭を乗せたら痛そうだったからだ。現に寝心地が悪そうにしていたし、せめてもの償いとして僕の膝を貸しているわけだが…

 

 いかんせん、僕の膝を触りまくっているため、くすぐったくて仕方がない。五感の強化がされているためか小さな刺激でもくすぐったく感じてしまう。

 

 この小さな手をなんとかして押し留めたいところだが、今僕の手はさっきの全力で『修復』中だ。片手もさっきから動きまくるこの少女の頭が落ちない様に支えており、どうすることもできない。というか『修復』が遅いんだけどなんで?

 

 さっさと起きてくれ…と切実に願いながら、僕は虚空を見つめて時を待った。

 

 

「ん……んーっ」

 

 

 膝の上でもぞもぞと動き出した。どうやら意識を取り戻したみたいだ。

 

 少女は僕の膝の上で思いっきり欠伸をしながら背伸びをして、身体を解している。やがて目を開けると、今自分がどういう状況に置かれているかを瞬時に判断して、慌てて飛び上がっていた。

 

 

「うわぁっ!?妖怪!?…ってアンタかい」

 

「…今更か」

 

「それで…私に何を求めるんだい。言っとくけど、私は食べても美味しくないからね?」

 

「興味無い…」

 

 

 「それはそれで傷付く」と少女は複雑な気持ちになっている。だけど、僕の頼みはもう決まっている。それは…

 

 

「…ご飯をお恵み下さい…」

 

「…えっ、え?そ、それだけでいいの?」

 

「…ここ数日間、まともなもの食べてない…昔の妖怪の方が美味しかった…」

 

「え、えぇ…妖怪食べるのアンタ。変わってるね…よし!とりあえずウチの国においでよ!私神様だからさ、一杯御供物があるんだ!」

 

「…有難い」

 

「それじゃ!こっちだよ!」

 

 

 僕は少女に手を引かれ、早足気味に引っ張られていく。正直言ってかなり屈まないと行けないから走りにくいのだが、これはこれで足腰の鍛錬になりそうだ。…いつから僕は鍛錬好きになったんだろう。

 

 それはともかく、今はこの少女について行くことに専念しよう。あの場所はまだ直して使うし、道順を覚えなければ迷ってたどり着けないかもしれない。

 

 それにしても、緑豊かなところだ。千年前ほどではないが、周りと比べると圧倒的に緑が多い。それもこれも、この子の力なのだろうか。

 

 そうこうしていると、遠くの方で街を見つけた。いや…規模的に言うと国だ。高い壁もあるし、どこか『都市』に近いものを感じる。

 

 

「あれだよ!私の国…『諏訪之国』!作物も豊富で、争いもない平和な国なのさ!」

 

「おぉー」

 

 

 凄いな…妖力の気配が全くない。それほど軍事に優れた国で、悪意のある人間が全くと言っていいほど居ないのだろう。純粋で素直な、“善”の気配がする。とても懐かしい気配だ。

 

 っと、そろそろ尻尾と耳を隠さないとヤバいかな。変化っと。

 

 

「あ!そろそろ耳と尻尾を隠さないと…ってもう隠してるね、仕事が早い」

 

「…変化は御手のもの」

 

「へぇ、さすが狐の妖怪だねぇ。…にしても、随分と妖力が減ったね、さっきの影響かい?」

 

「…尻尾に妖力が詰まってるから」

 

「ふぅん」

 

 

 それにしても、と少女は静かにつぶやく。どうやら独り言の様で、一人でブツブツと何かを言っている。

 

 走行しているうちに門の前に着いてしまったのだが、門番は特に僕たちに気にかけることなく、「こんにちは」とにこやかに挨拶をしてくれるだけだった。一応会釈して挨拶を返したが、この村の警備は少し無警戒すぎじゃないだろうか。

 

 …本当に良い国だ。まだこの頃の時代には身分制度とかが分け隔てられていないようで、皆が自由に暮らしを謳歌している。農民や商人、男や女という差別も無く、各々が群れにして個の人生を楽しんでいる様だ。

 

 

「さて…着いたよ、私の家であり、この国の象徴…『洩矢神社』が!」

 

「おー…凄いな…不思議な力が、アレみたいな力で溢れてる」

 

「因みに、あの力は私の様な神様が使う“神力”っていう力だよ。一応私は祟り神でね、諏訪の大地を穢す者にしか手を出さない様にしてるの。本職は土着神だけど」

 

「へぇ……」

 

 

 土着神…じゃあミシャグジとかなのだろうか。前世の朧げな記憶しかないけど、ミシャグジって結構怖い見た目をしていた様な気がするけど、こんな可愛らしい見た目なのか。

 

 それはともかく、この神社はかなり大きい。本殿はここだろうが、遠くにこの神社と似たような建物がいっぱいあるし、さぞかし人間から好かれているのだろう。

 

 僕は少女の跡を着いていって、神社の中に入る。

 

 

「さ、上がった上がった!最高の飯を用意するから待っててね!」

 

 

 というと少女は靴を脱いで上がり、どこかへいってしまった。僕は置いてかれてしまった。玄関で。

 

 どうすれば良いのだろうか、とりあえず靴を脱いで上がるが、廊下は入り組んでいてかなり迷いそうだ。適当にすすんでも良いけど、勝手に行って怒られる場所はないのだろうか…いいや、先に案内しなかったあの少女にも非があるし、僕は悪くない。そう、僕は悪くないんだ。

 

 さて、確か人間は迷ったときに無意識に右に行くって聞いたことがあるから…左に行ってみよう。神社の参拝の基本も“左から”という決まりもある、ここは基本に従って左に行ってみるのも良いだろう。

 

 

「…おぉ」

 

 

 どうやら中庭に辿り着いてしまったようで、庭の中心には大きな木が聳え立っている。外からでも見えた為何処から生えているのだろうと思ったが、ここに生えていたのか。

 

 丁度お腹も空いて疲れたことだし、諏訪子に見つかるまで此処でゆっくりしていよう。僕は中庭側の縁側に、大きな木を見つめながら腰を下ろした。

 

 

「…(しかし、見事な木…盃の様に広がっているから、桜の木かな)」

 

 

 しかも幹は太いけど、枝が凄く細い。葉っぱの重みでも少し垂れ下がっているくらいだし、桜の花が咲いたら滝の様な見事な桜の木が見られるかもしれない。その頃まで滞在しても良いのかなと聞きたいけど…

 

 仕方ないので、僕は懐から櫛を一本取り出して、尻尾五本の内の一本を変化から解く。すると一本だけ尻尾が姿を現し、僕はそれを手に取ると櫛で丁寧に梳かし始めた。

 

 最初の頃はくすぐったかったけど、今じゃもう結構慣れてしまっている。あの頃は串も何もなかったから、指で時々失敗しながら梳いてたけど、櫛が作られて本当によかった。

 

 僕が桜の木を見ながら尻尾を梳かすのに勤しんでいると、背後から人間の気配がした。あの少女じゃないようだけど、誰なんだろうと振り返ってみると、そこには緑色の髪色をした、これまた小さな少女が僕の尻尾を興味津々に見ていた。

 

 

「…こんにちは」

 

「こ、こんにちは!…尻尾?」

 

「…触る?」

 

「…は、はい」

 

 

 ちょっと人見知りっぽそうだけど、僕の尻尾の魅力によってか、女の子は僕を警戒しながらだけど近寄ってきた。尻尾を恐る恐る触ると、女の子は「ほわぁ…」と丁寧に触る。

 

 

「…君、名前は?」

 

「えっ、あ、ゆ、縁です。諏訪子様に付けてもらいました!」

 

「…そう、縁…良い名だね」

 

「えへへ…ありがとうございます」

 

 

 顔を綻ばせる縁ちゃんは、まるで花のように可愛らしい。

 

 思わず手を伸ばして頭を撫でてしまったけど、一瞬驚いただけですんなりと受け入れてくれた。最初の警戒が嘘みたいだ。

 

 

「…あ、お名前は何ですか?」

 

「…鈴八。黒鉄鈴八だよ」

 

「鈴八様ですね!…あれ、何処かで聞いたことがあるような…」

 

「気の所為だと思うよ」

 

 

 実際、僕はそんなに何処かで聞くような時間村に滞在してないし、目立ったこともしてないと思うから。強いて言うなら妖怪とかを倒したりしたくらいかな、弱くて鍛錬の相手にもならなかったけど。

 

 

「鈴八さまは、男の人ですか?」

 

「…ん、僕は男だよ」

 

「わぁ…なのにお綺麗なんですね!この黒いお髪も綺麗ですし、とても男の人に見えません!」

 

「…よく言われるよ。ありがとう、でもちょっと傷つくかな…」

 

「わわっ、すいません!」

 

 

 男なのに女見たいって言われるとちょっと…傷つくなぁ本当に。いやまぁ髪を切れば良い話なんだけど、折角ここまで伸びたのを切るのってどうにも勿体無くて…というか切ってもすぐに肉体の損傷と自動判断して『修復』で自己再生してすぐ伸びるから無駄なんだけど。

 

 それより、少女…諏訪子だっけ。結構遅いけど、何か手間取っているんだろうか。

 

 

「どこー!狐ー!」

 

「…ここ」

 

「あ!いた!全く何処に行ってたのさ!居間で待ってれば…あれ?」

 

「…案内されてないけど」

 

「あっ……えへへ、こっちだよ」

 

 

 今の応答を無かったことにした諏訪子は愛想笑いをしながら僕と縁を、居間へと案内した。また長い廊下を歩くのかと思ったが、諏訪子はこの神社の廊下を熟知しているからか、居間までは最短距離で辿り着くことができた。

 

 

「さぁ___腕によりを掛けて作った自信作だ!たんとお食べ!」

 

「おー…!」

 

「す、凄い…!」

 

 

 辿り着いた先にある、襖を諏訪子が勢いよく開くと、そこには色とりどりの豪勢なご馳走が机の上に隙間なく置かれていた。

 

 海の幸、山の幸と一体どうやってこの短時間で作り出したのか分からない程の量が僕の目の前にある。これを全て食べて良いのだろうか。

 

 

「勿論!何でも頼みを聞くって話だからね!遠慮せずに食べて良いよ!…涎凄い!?」

 

「…じゅる」

 

「御夕飯はまだなのに…お腹が空いてきました…」

 

「緑と私のは別に作ってあるから、お構いなく!」

 

 

 いそいそと僕は席に着き、諏訪子と縁は別室で食事を取るようで、「ごゆっくり〜」と僕に言って退室した。

 

 さて…

 

 

「…頂きます」

 

 

 僕は箸に手を伸ばして、目の前にあるご馳走を、ゆっくりと喰らい始めた。







 やっぱりロリキャラには変態属性つけた方がやりやすいですね。

 どこぞの白リ夜叉(しろりやしゃ)のように。

 それでは、また次回…
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