ウィッス。
それでは、どうぞ…(逃亡)
土下座。
それは頭を地面に付け、最大限の謝罪を身体で表現する、謂わば最大限の謝礼。
僕は今、とある人物にそれを行なっている。
___諏訪子だ。
「…」
「…」
「…???」
横で少しあわあわとしていながらも状況を理解していない緑を精神安定剤としつつ、意識はまっすぐ諏訪子へと向ける僕。
というか顔が見えないせいで諏訪子がどんな感情なのかわからない。ただ不穏な雰囲気なのは確実にわかる。
あぁ、嫌われたかな…と思っていると、諏訪子の声が響いた。
「鈴八」
「っ」
「…顔を上げて」
言われた通りに顔を上げる。
視線の先にある諏訪子の顔は…笑顔だった。
「そーんなことで鈴八を嫌いになるわけないじゃん。だってさ、鈴八は妖怪でも良い妖怪じゃん。態々都の人たちの手伝いをしてくれるし、神力の調子が良いのだって鈴八のおかげでしょ?じゃあ文句ないよ私」
「…」
「だよね?緑」
「は、はい!鈴八さまは字も教えてくださいますし、寝るとき子守唄を歌ってくれますし、一緒に遊んでくれますので、お母様みたいで大好きです」
「ウ”ッ」
「あ、あはは。…まぁ、そういうわけだよ、鈴八。私達は鈴八を嫌いにならない。むしろ隠さずに話してくれてありがとう。はいっ、これでおしまい!以上っ!」
「…感謝」
「よし!緑、晩餉の準備するよ!」
「はい!諏訪子さま!」
パタパタと諏訪子について行く緑の姿を見送って、僕は足を崩して座る。
…やっぱり、昔に比べて人間は脆い。
でも…優しい存在になっている。
「いつか…また…」
永琳と…会いたいなぁ…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…や………ずや…」
ん……眠い………。
「………や!」
…うるさい……。
「鈴八!!!」
「んぅ…???」
「早く起きて!大変、大変なんだよ!」
んー…一体どうしたっていうのさ…。
「…ん」
「戦争が…始まっちゃう…」
へー…戦争…戦争ねぇ………
戦争!!?
その言葉を理解した途端僕の頭は瞬時に覚醒して、身体が飛び上がった。
「せん…なん…えぇ…?!」
「おぉう鈴八の慌て様で冷静になったよ。えっと…大和の神から宣戦布告されて、一週間後に信仰を掛けた戦争をするんだって…あ、形式はこっちで決めて良いってさ」
いやいやいや…急にそんなこと言われたって…
「…とりあえず一週間なんて待てないから今から乗り込もう。大和の神ってどこ?」
「なんでやねん!いやほんと待って!?一週間も猶予あるのに一日目から強行突破は本当にやめて!?」
「むぅ…」
諏訪子に止められた僕は床に座り直した。
「さて…まずは作戦を考えよう。戦争の形式?はこっちで決めて良いらしいから、形式から決めよっか」
「総戦力戦」
「却下。なるべく国の住民は出したくない」
「全員で突撃」
「同じだよね?却下」
「総攻撃」
「だから同じだよね!?なんで鈴八は国の住民を巻き込もうとするの!?」
「肉壁…?」
「緑!?一番君が言っちゃいけない言葉だよそれ!誰に習ったの!?」
「鈴八さまです!」
「鈴八ァァァアアアアアッッ!!!」
面白…大変そうだね、諏訪子。
「誰のせいだよ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
戦争の形式は、大将戦に決まった。
自軍の一番実力の高い者同士を戦わせて、買った方が無条件で勝利するというものらしい。
諏訪子は
「もちのろんで鈴八を出すよ?」
僕は
「え、やだ」
と、きっぱり断ってやった。
「え、えええええなんで!?」
「いやだって…めんどくさいし」
「いやめんどくさいっていう理由でウチの最高戦力が行動不能になってたまるかって!ねーおねがい!おねがいだから相手方をぶちのめしてきてよぉ!」
なんとも物騒な言葉を使う神様だ…。
とまぁ、僕が行きたがらない理由は別にある。
ちょっとこっそり大和の国に行ってみたけど…まぁ、うん。
正直”相手にならないかな“…って。
いやね?そりゃあちら方の兵士とかも凄い統率が取れてるし、何より一般の人間よりかは普通に戦いの練度が高い。それに武器や防具も充実してるし、総戦力戦だったらまず勝ち目はないと思う。
その上大和の神とやらも、今の諏訪子より高い神力に、どうやら肉体派らしいかなり鍛えられた身体。とても女性とは思えなかったけど、少なく見積もって永琳と同等の身体能力だと思う。
神、そして人も実力は諏訪の国よりも遥かに上だ。
でも…やっぱり、僕に“届く者”はいなかった。
「…じゃあ、こうしよう」
「ん?」
「…一週間、諏訪子を僕が鍛える」
「なんで!?」
「僕、めんどくさい。諏訪子、殺る気ある。相手、強い。なら、鍛える」
「そのめんどくさいで全く耳に入ってこなかったけど、つまり私が強くなれば良いんだね?じゃあやってやろうじゃない!」
「…良し。じゃあ…今からやろうか」
「……………えっ」
こうして、僕と諏訪子の五日間の特訓が始まった。
「ねぇ…おかしくない…?」
震えた声で諏訪子が言う。
「…?」
それに対し、僕はすっとぼけた顔で首を傾げる。
「デカくない…?」
諏訪子の前にあるのは、諏訪子の身の丈の十倍以上もある大きさの岩。
僕がわざわざ国から離れた山岳から“持ってきた”もので、諏訪子にはこれを今から割ってもらおうかと思っている。“素手で”。
「岩って素手で割る物じゃないよね?」
「僕は割れる」
「鈴八はね!?でも私
「だから、割る」
「いやだから、せめて道具か何かを使わせて欲しいなぁ!?」
「割れ」
「命令形!?」
むー…わちゃわちゃと喧しい。今の諏訪子は肉体が弱いから強化しないといけないのに、何故頑なに拒むんだろう。
別に諏訪子の身体能力で絶対に割れないと言うことは無いはず。仮にも神、その身体は少なくとも人間の基本性能を凌駕している筈なのだ。
だから本気で殴っても手が痛いだけで済む筈なのだが…。
ぺちん
「いったぁーい!」
「………???」
手を真っ赤に腫れさせた涙目の諏訪子。おかしい、やはりなにかがおかしい。
…もしかして。
「諏訪子って運動したことない…?」
「…いや、さすがにしてるよ?」
「たとえば…?」
えーっと、と諏訪子は思い出す素振りを見せる。
「例えば、神社の階段を上り下りでしょ?神様として街を歩くこともあるし、たまーに街人の手伝いもしたりしてるし、運動不足ってのはないと思うね」
「…頻度は?」
「三ヶ月に一回くらいかな」
「立派な運動不足おめでとう」
なんてことだ。
ストックあるから余裕やろ的な感じで行きたいですけど、ストックに過信して毎日投稿とかいう夢物語をやらないためにも週一(+気分)で更新しようかなーって思ってます。
そして今回からめちゃくちゃ久しぶりに投稿するということで、後書きになんか質問コーナー的なのを配置しようかなーなんて思ってます。
まぁこんな過疎小説にコメントが来るとは思ってないですが。
ではQ&Aいきまっす。
Q.『迷いの森』って『都市』の技術で調査されなかったの?
A.まず『都市』は都市外に漂う『穢れ』を厳重注意していて、迷いの森どころか都市の外すらも満足に調査できてません。人妖大戦ちょっと前までなら迷いの森のような特殊なエリア以外の場所の調査は終えてますが、迷いの森レベルになると安全な調査のために迷いの森ごと都市の壁と同等の壁で囲わなきゃいけないみたいな感じになります。
Q.百鬼の『固定』ってどこまで万能なの?
A.鈴八君の『修復』レベルには万能です。初っ端から自分の身体に固定掛けてれば、自分で消耗するエネルギー以外に妖力や体力ロスは無いですし、何より固定の実質無限の防御力でいかなるダメージも通しません。しかしどんな能力にも欠点はあるわけで、鈴八君の貫通攻撃対策で体内を固定させようとしても、それをしてしまったら体内で操っている妖力ごと固定してしまいバフのセルフ無効化が起きます。それを承知で固定しても覚醒&バーサークモードの鈴八君に圧倒的に力負けしてしまい、最終的にスタミナ負けで勝負アリ。
Q.やっぱテキストがシンプルな能力なほど強いの?
A.原作だと『程度の能力』がついてますが、この作品、尚且つ古代では能力の強力さが桁違いとなります。『程度の能力』を取っ払うだけで元々強力な能力が万能になり、様々な事象を起こすことができます。
ヨシ!
それでは、次回をお楽しみに…