続きでございやす。
それでは、どうぞ…
『諏訪之国』を発って、そろそろ10年は経つだろうか。
僕は相変わらず各地を転々としながら修行を繰り返して、過ごしている。
途中に立ち寄った村や町を襲う妖怪を屠りながら旅をしていたお陰で一部の場所では有名になってしまったけど、妖怪だとはまだバレてない。変化の術で耳と尻尾を消しているからだ。
まぁ、時々勘の良い者や、妖怪退治に精通している人間からはバレることもあるけれども。
今日はいつもと変わらない森の中の獣道を、少しだけ
というより人の姿じゃ獣道が通れない挙句、着物のせいで枝に引っかかったりなんやらで、三歩歩いただけでボロボロになった。
髪も乱れて最悪すぎる。狐の姿でも結構枝に引っかかったりするけど人の姿よりは幾分かマシだ。
というかまだ抜けないのかな、この道。
と、心の中で愚痴をこぼすと、不意に開けた場所に出た。どうやら獣道は終わったらしい。
ただその代わり、僕にとっては嬉しい者がいた。というより、種族が。
女性の割に背丈は大きく、額に大きなツノ。肌こそ赤くはないが、それはまさに…
「…“鬼”」
「ん?…なんだい狐か、あっち行きな。シッシ」
まるで嫌いな動物にあったというような表情で追いやるような仕草をして、酒を飲んでいる。その大きな盃はどこかで見たものだ。
過去に百鬼との闘いで彼の腰らへんにチラッと見えた気がする。
「…それ、百鬼の盃?」
「___ッ!?」
僕が喋ったから、ではないだろう。恐らく、僕が百鬼の存在をしているから驚愕している。
綺麗な酒の飛沫を散らし、慌ててこちらを見るその女性は口元を拭いながら睨みつけてきて、下手な真似をすればすぐに飛びかかられそうな気配をしている。
「なんだいオマエ。なんで“あの方”の名前を知ってんだい」
「…友達だから」
「友達ィ?…いいや、嘘だね。狐は嘘吐くし、何よりあの人に友達がいるはずがない」
なんて酷いことを言う奴なんだ。
「…まぁ、信じてくれなくてもいいけど…百鬼はどこにいるの?」
「…それをアタシが教えるとでも?」
「…なら、力尽く」
僕は瞬時に人の姿になって、相手持つ。構えずに両手の力は抜いて、相手の出方を待つ。
「……強い!」
人化した僕に呆気取られた様子が数秒。気を取り直した女性は自分に発破を掛けると、地面を砕くほどの脚力を以て加速し、数瞬で僕の前に来た。
急停止した勢いで拳に勢いを乗せながら僕の顔面を狙う拳。
___勿論、食らうつもりはない。
「『
「ぅおわぁ!?」
勢いよく迫ってくる女性の拳を掴み、威力がこっちに伝わる前に引っ張りながら捻る。
すると拳の勢いと引っ張られる力で女性の体は持ち上げられ、更に捻られた力でぐるんと拳を起点に回転する。
そして手を離して投げ飛ばす形にしたが、女性は見事な身のこなしで体勢を立て直し、着地する。そしてまたこちらに殴りかかってきて、僕はまた同じ対処をする。
ンー…本当にこの人鬼?ちょっと流しただけで全部持って行けるんだけど…。
「っ!全力でも流されるってどんな反射神経だいっ!」
「…君、案外力が無いんだね」
「あ“ぁ”!?テメ…潰すッッ!!!」
あ、この構えは…。
「『三歩必殺』ッッッ!!!」
『三歩必殺』…懐かしい、昔はこれをモロに食らったからね。
「『一歩』ォッッ!!!」
一歩目での踏み込みによる地割れに問題なく対処し、
「『二歩』ォッッ!!!」
二歩目の踏み込みと同時にばら撒かれた妖力を、僕の身体に妖力を纏うことで打ち消し、
「『三歩…必殺』ッッ!!!」
三歩目の踏み込みで振われた拳を、僕は手の甲でパシッと受け止めた。
「なんっ___」
「…もういい」
「…これ以上の手合いは、意味がない」
拳を受け止めた手の甲を返し、拳を掴むと、僕はほんの少し押し返し…この女性を吹っ飛ばした。
吹っ飛ばされた女性は木々を薙ぎ倒しながら飛んでいき、やがて止まる頃には…約三里程離れた場所で気絶していた。
うーん…ちょっとやり過ぎたかな…この頃手加減の具合が悪いや、力の調整も鍛錬に入れようかな…。
と、一人反省して女性を見る。
兎にも角にも、せっかく見つけた百鬼への手掛かりだ。
とりあえず、動ける程度に治療して目覚めを待とう。
そう決めて、僕は女性へと歩みを進めた。
Q.あののじゃロリ系みたいな喋り方の人物は何者?
A.【ネタバレ防止】
次回をお楽しみに