東方黒狐録   作:よるくろ

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 なんかふとランキング漁ってたら「珍しく東方の二次日間にあるやん」思いながら題名見たらなんとこの小説が3/5日の日間ランキングの58位にランクインしてましたね。

 いや、なんか執筆者として一流の三流としてはすっごい嬉しいんです。でもまたこの小説をダラダラと書いて、その間にこの小説が廃れると思うとちょっと怖くてですね。

 ともあれ、僕の憧れの生写しのような鈴八くんをここまで応援してくださってありがとうございます。それでは、

 どうぞ…


【む】 故郷(仮)消失

 

 

 

 

「……………止まないねぇ」

 

 

 映姫と過ごした小屋を離れて、数日が経った。

 

 本当だったら吹雪が止むまで映姫と共に止まるつもりだったのだが、何日経っても止む気配のない大吹雪に映姫が、

 

 

『私は吹雪が止めばこの小屋を拠点にして、近くの人里や村に説法を行おうと思います。それからは小屋を離れて、この倭を旅しながら、同じ事を行おうかと。ですから、鈴八さんは私のことを気にしなくてもよろしいです』

 

 

 と言って、僕が旅を再開したいのを見抜いて言ってきた。

 

 ここまで言われては遠慮する理由もないかと、念の為幾つかの食料と防寒具を置いて僕は旅を再開した。

 

 と言ってもこの止まない吹雪の所為で中々前に進まないし、なんなら再開初日に小屋を経って数分後に小屋に戻ってきちゃったし。映姫が呆然としてた。

 

 まぁ、感覚的にもう少し歩けば僕がいた樹海に辿り着くかなぁって感じで、ようやく進んでる。

 

 さて、樹海は無事かなぁ、更地になってたら僕の故郷がなくなったも同然だからね。

 

 未だ止む気配を見せない吹雪の中で呑気に考えながら、僕は雲さえ見えない空を見上げて歩いていた。

 

 

 _________!

 

 

 …ん?

 

 今…?なんだろう、変な感じがした気がする。

 

 感覚を研ぎ澄ませてみると、僅かに…極々僅かに感じる妖力の気配。

 

 この冷たい吹雪に混じって、そんな気配を僕は察知した。

 

 うーん…しかもこの方角、樹海の方だ。変なことされてなきゃいいけど。

 

 そう思い、少し早めに歩いて樹海を目指す。

 

 進むたびにつれ妖力の気配は濃くなっていく。あんまり大したことないけど、昔の妖怪レベルの妖力量だ。

 

 つまり、今の生物じゃ到底太刀打ちできない程の妖怪が、樹海にいる。

 

 

「…見えた」

 

 

 吹雪の向こうにうっすらと見える樹海の影。

 

 歩くのをやめて走って樹海に近づくと行くと、吹雪を“抜けた”。

 

 

「…は?」

 

 

 氷だらけの大地。それだけだった。

 

 氷の中に木があるわけでもないし、木々の間に氷が敷き詰められているわけでもない。

 

 不思議と七色に輝く氷が、“樹海の形”をしてそこに鎮座しているだけだった。

 

 …なるほど。

 

 ………なるほど。

 

 ………………………なるほどォ。

 

 

「………“面白い”」

 

 

 足元がビキビキとひび割れる。

 

 妖力を全力で激らせる。

 

 あぁ、長らく感じてなかったこの感情、実に懐かしい。

 

 感謝しよう、まだ見ぬ妖怪よ。

 

 ここ数百年、忘れかけていた感情を取り戻させてくれて。

 

 お礼に、全力で___。

 

 

「殺してやる………ッッ!!!」

 

 

 怒りが、滾る。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 五大厄災の内の一つ、“大吹雪”。

 

 未来では情報不足故に“辻風”と遺されたそれは、妖怪の仕業であった。

 

 氷の妖怪、氷結の妖、氷河妖。

 

 様々な名前で未来に残された、その妖怪の名は___雪女。

 

 その身に宿る妖力を加減なく振るい、産まれた瞬間から国の半分を吹雪で覆った大妖怪。

 

 その妖怪は、過去に巨大な爆発によって更地と化し、長い年月を経て樹海と成り果てたその場所を、氷の大地へと変えてそこに鎮座していた。

 

 

「…ふふ、あぁ、来るわ…また死んだ。また満たされる」

 

 

 この吹雪によって死んだ生物の力が、雪女へと届く。

 

 それにより大吹雪の“結界”に使っていた妖力が回復する。

 

 雪女は、この分だとあと数十日は余裕で行けそうだと確信する。

 

 

「…それにしても、“半分”は請け負ったけどあの“四人”は上手くやってるのかしら?最近全然連絡が取れないけど…」

 

 

 まさか退治されてないわよね…と呟きながらまた入ってくる力に酔いしれる。

 

 そろそろこのまま寝てしまおうかと、座っていた氷山に寝転がろうとした刹那。

 

 

「んぐっふ…な、なにっ!?」

 

 

 後方から莫大な妖気が津波のように押し寄せてくる気配に、咽せながら振り返って目を見張る。

 

 

 ___溶けてる!?いや“晴れてる”!?

 

 

 雪女が見るその先…。

 

 吹雪を降らせていたその雲から太陽が姿を現し、樹海を模った硬い氷は今の莫大な妖気が起こした振動によって全壊している。

 

 それだけでなく、砕けた氷は全て溶け、不毛となった大地が顕になる。

 

 

「な、何が、誰が…どんなバケモノが!」

 

 

 明らかに自分に向けられた妖気に恐れ慄きながら、雪女は己の中にある全ての妖気を全て使う気概で、振り絞り眼前に巨大な氷塊を作る。

 

 それを全力で射出し、大砲のような音を出しながら音速に近い速度を出して飛び去って行く氷塊を横目に、雪女はこの場を急いで離れようと踵を返す。

 

 

「はやく、早く逃げなきゃ___っ!?」

 

 

 太陽に照らされ、雪女の影を覆い尽くすような巨大な影が急に出てくる。

 

 それに慌てて振り返ると、遠い空に自身が打ち出した氷塊の姿が見える。

 

 そして、その下には“氷塊を掴んでいる”鈴八の姿。

 

 

「う……受け止めたっていうの!?受け止めて、あんな場所まで飛んで…どんな重さだと!」

 

 

 そこまで叫んだところで、鈴八が動く。

 

 その動作は掴んでいる氷塊を雪女に投げようとしているようで…。

 

 

「い、いやよ!こんなところで…!」

 

 

 急いで逃げねば、殺される。と、今若干力が入ってきたことによって回復した妖力を使って、自身を強化して走ろうとするが、時すでに遅く。

 

 頭上からとんでもない重量を感じた瞬間、雪女の意識は二度と覚醒することはなかった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 呆気ないなぁ。

 

 すっかり晴れた空に“空を蹴って”滞空しながら、そうぼやく。

 

 妖力を使った普通のは何故かどうしてもできないから、蹴って滞空するしかないんだよね。

 

 …はぁ、故郷はもう不毛の大地と化しちゃったし、これからどうしようか。

 

 僕が投げた氷塊以外は全部溶けて、あとはいつも通りの光景となっている。

 

 多分、さっきまであったこの結界の外も、あの妖怪が死んだ瞬間いつも通りの光景に戻っているはずだ。

 

 …はぁぁぁぁぁ………………………。

 

 

「………」

 

 

 もう…なんか…ため息しか出てこないや。

 

 すごい吹雪だなーって思ってたら実は妖怪の仕業で、その妖怪が僕の故郷(仮)を氷漬けにした挙句更地にして…しかもこんなでっかい氷残して…。

 

 あーあ、どうしよ。

 

 

 






 Q.あっさりしすぎじゃない?
 A.だって敵を強化しても主人公がバグだから何をどうしてもフィジカルで片付けられちゃうもん。

 Q.浮遊はできていいんじゃない?妖力操作的に。
 A.空中浮遊しながら常時高速移動するレジギガスがいていいと思ってるのか。

 次回をお楽しみに
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