東方黒狐録   作:よるくろ

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 続きです。

 それでは、どうぞ…


【お】 不審者撃退

 

 

 『縁側で 木漏れ日浴びて 寝転がり

 欠伸を溢し 怠惰を貪る』

 

 数日の間で最早僕の定位置と化した縁側で、大きな桜の木の隙間から溢れる陽の光を浴びる。

 

 神社の御神木のような役割でもあるのか、この桜はどこか神聖な気を纏っているんだと感じる。その木の側でいると、気分が落ち着く。

 

 今日は縁の稽古も無し。翡翠も縁や神二人と何処かへ出掛けたし、今日の神社は僕一人しかいない。

 

 だからこそ、僕は遠慮なくぐーたらできる。

 

 何者も、僕の怠惰を邪魔する者はいないのだ。

 

 そう、いない…んだけど…。

 

 

「ふぅん、此処が洩矢神社……中々良い趣味してるじゃない」

 

 

 妖怪の中でも逸脱した僕の聴覚が捉えた、突然現れた女性の声。そして離れた距離の中でも感じ取れる妖力の気配。

 

 恐らく、今の時代では大妖怪に入る程の実力の持ち主だろう。

 

 何が目的で天敵である神の社に入ってきたのかは知らないけど、今は僕が留守を任された身。話し合いが出来ることを願いたいが、出来ないとしたら…此処は一つ、実力行使で出ていってもらおう。

 

 僕はゆっくりと立ち上がって、縁側から神社の中に入って妖怪の元へ向かう。

 

 妖怪は何か漁るわけでもなく、ただただそこにいるだけ。

 

 そしてその妖怪がいる部屋の襖を開けて、中に入って襖を開けたままにして立つ。

 

 妖怪は、気付いていない。

 

 全体的に紫がかったゆったりとした服を着ていて、手には日傘を持っている。能力で作り出したであろう謎の空間から身を乗り出す形で周囲を見渡していて、時折小さい紙の束に字を書いている。

 

 何がしたいのかは知らないけど、出ていってもらおうかな。

 

 僕は気配を解放する。

 

「ッッ!!?」

 

「…や、不法侵入者さん。何か御用かな」

 

 気配を解放したと同時に妖力の弾を飛ばしてくる。

 

 それを手のひらで受け止めた後握りつぶし、何事もないように妖怪へ問いかけた。

 

「…貴女、妖怪?なんでこんなところに…」

 

「それを言ったら君もだけど。…まぁ、一応攻撃してきたし、反撃はして良いのかな」

 

「…ふふっ、反撃?私に?見たところ妖力があまり無いように見えるけど、どう私に勝つのかしら」

 

「勝つ必要は無いんだよ」

 

 妖怪がその言葉に怪訝な表情をした瞬間に、僕は室内が荒れない程度の速度で女性の背後を取る。

 

「___どこに」

 

「要は君を出て行かせれば良いんだから」

 

 僕が背後を取ったと理解した妖怪は即座に反撃しようとするが、僕の方が圧倒的に早い。

 

 妖怪の首根っこを掴むように引っ張り、空間の穴から引き摺り出してそのまま下に振りかぶる。

 

 そして僕が開けっぱなしにしてきた中庭にまで続く通路に狙いを定めて、僕は妖怪をぶん投げた。

 

 ぶん投げられた妖怪は中庭にまで飛び出した瞬間体制を整えて着地する。顔には先ほどのような嘲りの表情はなく、真剣な表情で僕を見据えようとしている。

 

 でも僕はもう既に妖怪の背後にいる。

 

 

「此処で引いたらもう何もしないけど」

 

「!!!………分かったわ、大人しく引く」

 

「…なら良いけど、来るならちゃんと家主に事前に伝えてね」

 

「…事前に伝えたらいいの???」

 

「うん」

 

 そう言ったらなんか困惑し出した妖怪。

 

 なんとなくもう危害を加えそうな雰囲気は無くなったので縁側に座ると、妖怪はまた困惑を深くさせるも、しばらくして謎の空間を開いて、その中へと消えていった。

 

 よし、不審者撃退完了。

 

 また僕は、さっきと同じように木漏れ日を浴びてぐーたらを再開した…。






 Q.短くない?
 A.ネタがない。ネタがないネタがない

 Q.妖力があんまないってホンマに言うとるんかあのBBA(ネタバレ)
 A.実はうちの鈴八くん最近になって漸く尻尾八本目に突入したんです。だから七本目〜の妖力分が全部八本目に封印されてたんで、素の妖力量がなかったんですね。
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