※前提としてさよひな成人済みです。
BDP14thにおける企画『3417突発』に寄稿させていただきました作品になっております。
今回の企画に関してのお礼の方、この場を借りて申し上げたいと思います。
とある日、自室にて課題に取り組む紗夜の姿があった。
「であるからして……以上の理論がなりたつ、と」
ペンを置いた紗夜は凝り固まった体をほぐす様に伸びをする。
その直後、玄関の扉が開きけたましい足音が彼女の耳に届く。
「おねーちゃん!」
勢い良く開いた扉の奥から顔を覗かせた日菜。そんな彼女に、紗夜は呆れた様にため息を吐く。
「騒々しいわね。一体どうしたの?」
「今日この後空いてる?」
「空いてるけれど……何かあるの?」
首を傾げる紗夜の手前、手にしていたビニール袋の中を漁った日菜はある物を取り出し掲げる。
「じゃーん!」
「ビール……?」
「うん! お仕事終わった時に貰ったんだー」
日菜の掲げる缶を受け取った紗夜は、不思議そうにそれを眺めていた。
「見慣れないパッケージね?」
「なんか新商品なんだってー」
「そうなのね。それで?」
「折角だから一緒に飲みたいなー、って……ダメ?」
問い掛けた日菜は僅かに顔を背けた後、上目遣い気味に視線を紗夜の方へと戻す。
「いいわよ。やることも今終わったし」
「ほんと! じゃあ準備してくるね!」
ドタドタと部屋を出ていく日菜を見送った紗夜は、大きく息を吐くと両腕を卓に置きそこへ頭を置くようにして伏せる。
「あの頃の私なら……頷いてはいなかったでしょうね」
彼女が、Roseliaがまだ駆け出しだった頃の事を思い返した紗夜はそれをどこか懐かしく思い軽く微笑む。
「お待たせー」
満面の笑みで部屋に入ってきた日菜は、袋から取り出した肴を卓上に並べていく。
「どこにあったのコレ……?」
「戸棚の中に入ってたー」
並べ終えた日菜は卓の前に腰を下ろすと、手近な缶を取るりその口を開ける。
紗夜もまた缶を手に取り、口を開ける。
「じゃあお姉ちゃん、乾杯!」
「ええ、乾杯」
互いの缶を軽く交え、中身を勢いよく呷る紗夜と日菜。
「ぷはっー! 美味しい!」
「ほんと、飲みやすいわね」
「お姉ちゃんがそこまで言うなんて珍しいね」
「そ、そんなことないわよ?」
「えー、そんなことあるよー」
頬を朱色に染めた紗夜を揶揄う日菜。揶揄われた紗夜はというとどこか不満気な顔で、卓の真ん中に置かれたポテチに手を伸ばす。
「あまり人を揶揄うのは関心しないわよ」
「あー、お姉ちゃんずるーい」
「早い者勝ちよ」
素気ない面持ちで返した紗夜は、再び缶を呷る。そんな調子で酒と肴を取り、たわいもない話を繰り広げていった。
そして、夜も更けてきた頃。2人の周りには、空になったビール缶が点在していた。
「お姉ちゃんそろそろ酔ってきたんじゃないの〜?」
「そんなこと……無いわよ」
「えー、でも顔真っ赤だよ?」
「そう言う貴女も……赤いけども」
額を抑えながら答えた紗夜は、その場で立ち上がる。直後、足がもつれバランスを崩す。
「お姉ちゃん!」
咄嗟に日菜が倒れる紗夜の前に割り込むも、勢いを殺しきれずそのまま紗夜と共に床に倒れ伏す。
「お、お姉ちゃん……大丈夫?」
痛む背中を摩りながら紗夜の方への視線を向ける日菜。そこには、両目を瞑り規則正しい呼吸をする紗夜の姿があった。
「寝ちゃった?」
首を傾げた後、眠りについてしまった紗夜を抱く様にして自身もろとも上体を起こす。
すると突然、眠っていた紗夜が日菜の顔を両手で抑え口付けをした。
「……????」
あまりの出来事に理解が追いつかない日菜は呆然としたまま紗夜と口づけを交わしていた。
そして紗夜は、日菜から口を離した紗夜は再び眠りについてしまう。
そこで漸く日菜は、自身の身に起こった事を理解した。
「え、あたしお姉ちゃんと……」
数瞬前の出来事にキャパを超えてしまい、そのまま気を失ってしまうのだった。
余談となるが、目が醒めた時2人揃って二日酔いになっていたことに加え、紗夜がこの時のことを覚えておらず日菜は暫くの間悶々とした気持ちを抱えていくことになるが、それはまた別のお話。