スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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どうも、初めまして。
他の作品でお会いした方はお久しぶりです。破戒僧と申します。

約1か月前に『スーパーロボット大戦30』が発売になり、その勢いで執筆した作品になります。
舞台は『スーパーロボット大戦V』の世界。どこまでその勢いが続くかわかりませんが、とりあえず書きたいように書くつもりです。

少しでもお楽しみいただければ幸いです。
では、どうぞ。


第1章 海が干上がった世界
プロローグ 1つの終わりと、1つの始まり


 

 新西暦2199年。

 地球は、外宇宙から現れた侵略者『ガミラス』の脅威にさらされ、滅亡の危機に瀕していた。

 

 『ガミラス』……地球人から見れば、『異星人』というカテゴリーになる彼らは、地球のそれと比較して、はるかに進んだ技術力を誇っていた。

 

 それを用いて作り出された数々の兵器や戦艦、戦闘機は、地球連邦軍が用いるそれらを上回る性能を誇っており、戦場という戦場で地球連邦軍を蹂躙した。またたく間に地球側の軍事力はすり減っていき、まともに抵抗することすらままならない状態になってしまった。

 

 また、直接的な戦闘による被害もさることながら、地球という星と、そこに住まう人々をそれ以上に苦しめたのは、ガミラスが用いた兵器の1つである『遊星爆弾』だった。

 

 冥王星に築かれたガミラスの基地から発射されるそれは、巨大質量の隕石のような兵器であり、それが数多く、地球の各所に着弾することにより、各都市はもちろん、環境そのものがダメージを受けることとなった。

 かつて青い星と呼ばれていたはずの地球は、幾度となく落とされたこの兵器により、海は干上がり、赤茶けた海底『だったもの』を露出させ、さながら死の星の様相を呈していた。

 

 また、爆弾は内部に毒性の胞子のようなものが入っており、着弾と同時にまき散らされる仕組みになっていた。それらは地球にはない『外来種』の植物となり、地球環境を侵食し、時に病に姿を変えて人々を苦しめた。

 

 様々な視点から科学者たちが計算し、地球が滅亡する迄に残された時間は、残り僅か1年という無情な計算結果がはじき出されていた。

 

 

 

 しかし、そんな状況であっても、人々はあきらめてはいなかった。

 

 残り少ない力を、知識を、資源をかき集め、迫りくる侵略者の魔の手に対抗するため、そして、地球を救うわずかな希望に手を届かせるため、必死で抗い続けていた。

 

 ここ、『第3特殊戦略研究所』も、その為の施設の1つだった。

 

 普段、地球防衛のための戦力となる戦闘機やMS……『モビルスーツ』が研究・開発され、連邦軍に力を与え続けている後方の重要拠点の1つ。

 

 現在でもまともに稼働している、決して多くない研究施設の1つであるここに、今日もまた……1人のとある少年が訪ねてきていた。

 

 

 

「ごめんくださーい、星川製作所ですけどー! ご注文の品をお届けに上がりましたー!」

 

「うん? お客さんか」

 

「あっ、そうだった、届くの今日だったっけ。はいはーい、今行きまーす!」

 

 その日、第3特殊戦略研究所の職員である如月千歳は、多忙だった。

 

 少し前に月面特殊戦略研究所から到着し、重要な物資を輸送してきた、叢雲総司を出迎えたところだったのだが、その直後に研究所の出入り口から元気な声が聞こえてきた。

 

 ちょうど総司からの物品受領も済んだところだったため、こちらも負けじと元気よく返事をして、扉を開ける。

 そこには、黒髪黒目で、千歳よりも少し背が低い少年が、プラスチック製のコンテナを両手でどうにか抱えて立っていた。

 

 名前は、星川(みつる)

 ここ最近、研究所の下請け業者として、様々な部品を発注している『星川製作所』……そこの息子であり、家の手伝いで度々配達にやってくる少年だ。

 

 やや小柄で童顔なため若く、ないし幼く見られがちであるが、年齢は17歳。千歳の2つ下である。

 世界がまともであった時代ならば、高等学校に通って青春を謳歌していたであろう年齢だ。

 

 しかし今では、動ける者は皆、何かしらの仕事について必死で産業を回すことで、どうにか社会を機能させている現状である。他の家の例にもれず、彼もまた、教育と青春に使うはずだった時間を途中で切り上げ、労働の現場に身を投げ出していた1人だった。

 

 細身の見た目に反して体力はある方であるため、今日のように、物品の配達で度々この研究所を訪れている彼は、雑用よろしく様々な職務をこなす千歳とは顔なじみだった。

 

 ゆえに、配達に来れば千歳が応対してくれるというのは、勝手口からお母さんが出てくるくらいにいつものことだったのだが、この日は彼女以外ももう1人、奥に見知らぬ人物がいるのに気付いた。

 受領証にサインをもらいながらその人を見ていると、目が合った。

 

「お疲れさん。若いのに大変だな」

 

 そう、気さくに声をかけてきた青年――叢雲総司は、満からコンテナを受け取ると、『私運びますから、仕事ですから』『いいのいいの、こんくらい楽勝楽勝』と、ちょっと慌てている千歳をなだめるようにして、そのまま奥に持って行った。気を利かせて重い荷物を千歳に代わって運んでくれたということらしい。

 態度は軽い感じではあるが、気配りができる大人なのかも、とミツルは思った。

 

 その後は、千歳から次の発注の内容を聞き取って紙に書き起こしながら、なんてことはない雑談にしばし花を咲かせていた。

 

 総司がこれから1ヶ月休暇で、しばらくのんびりする予定だとか、千歳が連邦軍の制服を着ていないのは、多様な職務に対応するため(と、職員達の私的な希望によるもの)だとか、満は本当はモビルスーツのパイロットが志望だったが、そんな余裕もなくなってやむなく実家の手伝いに収まったという事情で、パイロットである総司を尊敬しているとか。

 

 総司はそう言われて、少し何か思う所があったようで、ほんの一瞬、真剣な表情になった場面などがあったものの、すぐに普段の軽い感じの笑みになって、雑談に戻っていた。

 

 しかし、そんなつかの間の平穏な時間すら……侵略者は奪い去って行く。

 

 

 

 ―――ウ~~!!  ウ~~!!

 

 

 

「! 如月三尉、この警報は!」

 

「いけない……敵襲です! 多分、ガミラス……避難しなきゃ、急いで!」

 

 

 

 ガミラスによる地球への攻撃は、主に『遊星爆弾』によって行われるため、ガミラス側の戦闘機や戦艦などが地球にやってくることはほぼない。

 もはや滅びを待つばかりの星、そこまでする必要性が最早ないからだろうと言われている。

 

 しかし、全くそういうことがないというわけではなく、ごくまれにこうして、ガミラスの戦闘機が嫌がらせのように地球にやってきて、最早抵抗する力もろくにない地球の各所を攻撃していくという事態が起こっていた。

 

 不運にも今日、今回の襲撃では、この研究所ないしその近辺が標的になってしまったらしい。

 機銃、あるいはミサイルが撃ち込まれていると思しき爆音が聞こえる中、千歳は2人を先導しながら必死で走っていた。

 

「こっちよ、急いで! もう少しで避難用の簡易シェルターがあるから!」

 

「ガミラスの連中……隕石落とすだけじゃ飽きたらず、直接殴りに来たってわけかよ! くそ、機体が無事だったらな……」

 

 千歳、総司、そして満の3人は、そろって急いで研究所敷地内に設けられている緊急避難用のシェルターを目指して走っていた。

 

 実戦経験ほぼゼロ、半ば非戦闘員であると言っていい千歳はもちろんだが、いくつもの戦場を経験しているベテランのパイロットであるはずの総司もまた、戦わずに避難するという選択をしていた。

 

 その理由は、最初のガミラスの爆撃で格納庫が一部被害を受け、その際に自分が乗るはずだった機体が巻き添えで大破してしまったからだというもの。月から乗ってきた、輸送機ではあるが戦闘能力も持たせてあった機体は、見事にスクラップになってしまった。

 

 そして、その他にもう1つ、

 

(市民を守るのも、軍人の仕事だからな……!)

 

 自分達についてきて走っている満を一瞥しながら、総司は前を向き直す。すると、ほぼそれと同時に千歳が『あそこ!』と指をさして叫んだ。

 その先には、シェルターの入り口と思しき、分厚い頑丈そうな扉が見えてきていた。

 

 あそこまで逃げればひとまず安全だ、と考えたその時、総司の耳に、ヒュウウウ……と、何かが風を切って飛ぶような、不吉な音が届いた。

 聞こえていたのはごくわずかな時間だが、どんどん大きくなる……すなわち、明らかに近づいてくることに気づいた総司は、どっと冷汗が噴き出してきたのを感じながら、

 

「伏せろォッ!」

 

 と、千歳と満に向けて声を張り…………しかし、間に合わなかった。

 

 その直後、彼らが今まで走っていた渡り廊下に……狙って放たれたのか、あるいはたまたまなのかはわからないが……ガミラスの戦闘機から放たれた空対地ミサイルが命中。

 

 千歳と総司は、その爆風を受けながらも、直撃する位置にいなかったがために、間一髪、衝撃で転倒して転がる程度で済んだが……彼らはその瞬間、その目で見てしまった。

 

 爆発により粉々に砕け、瓦礫の山になって吹き飛ぶ通路の壁、崩れ落ちる天井。爆炎と土煙。

 それらに巻き込まれ、飲み込まれていく……自分達よりも数歩後ろを走っていた、満の姿。

 

 その光景は、以前に総司が何かのテレビ番組で見たことがあった、人が雪崩に巻き込まれる映像を思い起こさせた。

 

 あっという間に通路に立ち込めた土埃と黒煙で、自分達の服や顔が汚れていくが、総司も千歳もそんなことに気を向ける余裕がないまま……少し前まで楽しく話していた少年が、飲み込まれてしまった瓦礫の山を、茫然として見ていた。

 

「……そん、な……」

 

「ッ……ガミラス、ッ……!!」

 

 何が起こったか理解するのを拒むように、頭が働かず、そのせいでか体も上手く動かなくなり……床に座り込んで茫然自失になっている千歳。

 

 風通しがよくなってしまった通路の、壁に空いた大穴……そこから見えた、深緑色の戦闘機を、先程までの軽薄な雰囲気が微塵も感じられない、憤怒の表情で睨みつける総司。

 

 しかし、今はそんな場合ではないと、歯を食いしばって総司は動く。

 座り込んで動けないようすの千歳を抱きかかえ、シェルターの扉を開いて中に逃げ込む。

 

 その際、一瞬だけ、彼が飲み込まれた瓦礫の山――すでに火の手が回り始め、煙が通路を覆い始めている――を一瞥しながらも、今の自分に最早できることはないと、振り切るようにして総司は走り去った。ひとまずの安寧を手に入れられるであろう、シェルターの中へと。

 

 

 

 

 

 そして、同じ頃。

 

 同じ地球のある場所で、それは……誰にも知られずに、覚醒の時を迎えていた。

 

 

 

「……あれ……ここ、どこ?」

 

 

 

 




もし『面白いな』と思っていただけたなら、感想・評価などいただけると、作者が狂喜乱舞して喜びます。

今度ともよろしくお願いいたします。
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