スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

10 / 113

ちょっと思うところがありまして、タイトルを変更しました。
と言っても、頭に『スーパーロボット大戦』と付け足しただけですが。
今後ともよろしくお願いいたします。

第9話、どうぞ。


第9話 こちら『星川製作所』

【△月×日】

 

 今日で、この世界に来てからおよそ1ヶ月くらいか。

 色々とひと段落したいいタイミングだし……ここ最近のことを振り返って整理してみようか。

 

 まずこの世界は、色々と大きな戦乱が収束したタイミングであり……それらに巻き込まれていた国や地域は、復興に全力を注いでいる所だった。

 

 しかし、世界規模で起こった戦乱だっただけに、よその国から支援をもらうってことも難しく……限られた大国はそれが可能だったみたいだけど、そういう国から支援をもらった小国は、属国のような扱いに甘んじることになる、っていうケースが大半のようだった。

 

 ま、そのへんの外交関係は別にどうでもいいんだけど……そういう、必死こいて国力を取り戻そうとしている国が狙い目だったんだよね、僕にとっては。

 

 ネットを使ったり、必要に応じて実地で探してみると……人口増加や税収増を目当てに、戸籍登録とかその辺のチェックがガバガバになっている国をいくつか見つけられた。

 

 その辺の国の中から、流通や治安の面で比較的マシな国を選んで、この世界で通じる戸籍をゲットした。

 いやホントに、素人の僕から見ても『ここまでってどうなの』と思いたくなるくらいにガバガバだったなあ……助かるけどさ。

 

 まあ、戦争が終わった後で、戸籍情報が消失したようなケースとかもあったみたいだから、それの救済措置としての面もあわさってのコレだったのかもしれない。

 

 ……それを悪用したと考えると、ちょっと罪悪感がこみあげてきますが……向こうも向こうで、多少怪しくても見過ごしてくれるくらいの感じだったし、よしとしよう。

 

 戸籍もとい、身分証明の手段を手に入れた僕は、続いて『仕事』を探すことにした。

 しかしながら、伝手も何もない僕が見つけられる仕事なんて、その辺の日雇いやドサ仕事、あるいはあまり大きな声で言えない仕事くらいのものだった。

 

 社会情勢を学ぶという目的もあって、しばらくはそういう仕事をこなして生活していたけど……このまま続けても、安定した生活には到底結びつかなそうだったので、思い切って自力で『起業』することにした。

 

 会社運営にかかるスキルは、幸運にも星川少年の記憶や人生経験の中にあった――そういや元の世界では実家の製作所手伝ってたもんね――ので、そこらへんで困ることはなかった。手続その他も大体一緒だったし、なんならここでも色々簡略化されてたし、費用も安かった。

 とにかく早く経済活動を再開して、国に税金を入れてほしいんだろうな。

 

 それらの緩和措置その他をフルに悪用……活用して、僕は、『星川製作所』という名前の会社を作った。

 元の世界で、星川少年が手伝っていた実家の社名そのまんま。もうちょっと凝った名前にしようかとも思ったけど、あくまで最初のとっかかりとして使う会社のつもりなので、適当に決めた。

 

 事業内容は、工業製品や機械類のパーツ作成・納品である。これまた、元の世界の『星川製作所』と大体おんなじ。

 

 けれど、復興に力を注いでいる+物資が少ないこの国の情勢では重宝される、需要の多い仕事であるはず。働いている最中もそう実感する場面は多かったし。そう思ってこれに設定した。

 

 何せ、僕には『バースカル』がある。あそこの生産設備を使えば、工業製品やそのパーツなんて簡単に作れるし、材料だってそのへん(次元断層の中)にいくらでもある。

 

 あまり派手な品物……兵器類とか作って売ったりすると、流石に目立って一発で目をつけられるだろうから、小さな規模から徐々にやっていくつもりだ。

 

 会社としての拠点は、国の補助で古ビルを安く借りることができたので、そこを簡単に改装して工場スペースにした……ってことにしている。

 実際には、そのビルの中にある保管庫の中で『アスクレプス』に乗り、バースカルにもどって必要なものを生産して戻ってくる、って感じなんだけどね。

 

 そういう感じで、僕はこれからこの会社を大きくしていって――ただ、従業員は当面雇うつもりはないけど――生活基盤を盤石なものにしていく、という計画だ。

 

 あと、もう1つ。ここ最近で、新たなアスクレプスの機能、ないし能力が使えるようになっていた。

 なんか、アスクレプスを異空間にしまっておけるようになったのだ。

 

 わざわざ格納庫とかを用意しておいておかなくても、念じるだけで一瞬でアスクレプスを収納して置ける。そして、いつでも好きな時に呼び出せるようになった。

 

 アスクレプス自体にも、もともとそういう能力はあったからな。

 異空間に収納している『リベレーター』という武装を必要に応じて呼び出し、それを使って攻撃するっていう技があるのだ。ゲームにもあったけど、この世界でも同じように使えた。

 

 そして、その応用か何かかと思われるんだけど、僕自身も異空間を使って、ものをしまっておいたり、出し入れする感じのことができるようになっていた。

 ……ファンタジーの定番『アイテムボックス』みたいな能力である。あるいはド○クエの『ふくろ』。

 食料でも、武器でも、衣服でも、色々しまっておける。

 

 便利でいいな。特に、『星川製作所』として作った品物を運ぶのに使えそうだ。

 

 入れられる量に制限があるのかは、わからない。ないかもしれない。

 今のところ、どれだけ物を入れても『これ以上入りません』的なことにはなってないので。

 

 

 

 

 さーて……道筋は大体立った。これから忙しくなるぞ……なってもらわなきゃ困るぞ……

 

 

 

 

 

【▼月□日】

 

 起業してからおよそ4ヶ月。

 『星川製作所』の経営は順調である。

 

 どこかから注文ないし相談を受ける。

 見積を出して問題なければ、料金や納期を設定して契約する。

 

 材料を発注して集め、届いたら工場を稼働させて製品の作成に移る―――

 

 ―――と見せかけて『バースカル』に移動。

 

 設計データを打ち込み、生産設備に材料をぶっこんで、あとはもう全自動で作ってくれるので、本でも読みながら待ってればOKだ。

 

 納期自体は、製品の作成難易度やら何やらに応じて、不自然じゃない程度に設定してるけど、バースカルの生産設備なら、工業製品のパーツ程度、ものによっては秒でできるので、大量発注でも数日かからない。

 ただ、あんまり早く納品するとそれはそれで不自然に思われるので、そこそこ時間を置いてから納品するようにしてるけども。

 

 あと、完全にカモフラージュ用になってる、表向きの工場にも、多少の生産設備は置いておき、簡単な部品ならその工場で本当に作れるような環境を整えておいた。

 こうしておけば、誰かが見に来たりした時でも不自然な会社だとは思われまい。

 

 ……実際には、その生産設備そのものが、バースカルの生産設備で作ったものなんだけど。

 

 仕事は早くて丁寧、作れるパーツの種類の幅も広いとあって、評判は上々。お得意様も増えてきつつある。

 

 情勢が情勢だから、勢いがある企業なんかは短期間で伸びられるみたいだな。安定したシェアを持つ競合相手がほぼいないから、そこを掻っ攫えれば一気に成長できる。

 

 同じ時期に『一旗揚げよう!』と意気込んで起業した他の会社を突き放す勢いで成長できている。

 

 競合他社からの嫌がらせその他が心配だったんだが、その辺は意外にも、警察や行政が率先して守ってくれた。

 しかし、ちょっと考えてみれば納得の理由だった。

 

 片や、バリバリ仕事をして経済を回して、他の関連業種の助けにもなり、税金もたくさん納めてくれる優良企業。

 片や、業績がパッとしなくて燻ってる上、他人に迷惑をかけて足を引っ張るような連中。

 

 うん、復興途中でまだまだ伸びていきたい国や地域が、どっちを重く見るかなんて、考えるまでもないよな。

 

 徐々に業務規模を拡大していき、いい意味で忙しい、嬉しい悲鳴の絶えない経営状況になっているわけなんだが……強いて言うなら、その業務規模の拡大が問題でもあった。

 

 業績が上がってきたのであれば、普通はオフィスを大きくして、従業員もいっぱい雇って、業務規模や分野をさらに拡大して、会社そのものを大きくするものだ。

 そして僕は、従業員1人、イコールで社長であるこの会社には似つかわしくないくらいの業績をすでに上げつつある。

 

 結果、徐々に有名になってきているこの『星川製作所』に、『働かせてください!』って就業希望で来る人が出てきたり、行政からも『色々支援しますから会社を拡大しませんか?』っていう申し出が来るようになった。

 『優秀な個人事業主』から、『多くの人材を抱える優秀な会社』に成長させようとしてる。被用者側からも、そうなることを求められている。

 

 今のところは『まだ起業から半年も経ってなくて、色々ドタバタしてますので……』って言ってかわしてるけど、そう長くは持ちそうにないな……。

 

 というか、たった4ヶ月でこんなところまでこれた僕の方がびっくりだよ。

 行政の方もよっぽど、それこそ僕自身よりも断然必死なんだなってわかった。

 

 ひとまず半年くらいまではこのまま引っ張ろう。それ以降は……どうするかな……

 

 企業の実態が実態だからなあ……あんまり従業員とか雇って、内部に入れるわけにもいかないんだけど。

 あと、穿った見方かもしれないけど……企業スパイとかも怖いし。

 

 考えておかないとなあ……そのへん。

 

 

 

【▲月!日】

 

 起業から半年が過ぎた。

 

 少し前まで懸念だった、事業拡大その他の問題については、一応は解決を見せた。

 

 あくまでカモフラージュ用だった表向きの工場と、そこに置いてある製作用の機械。

 それらを、『バースカル』でさらにグレードアップし、本当に企業として、工場として稼働させられるようにして、体裁を整えた。

 

 その工場を『本社』として使って、新規人員の雇用を行ったのだ。合わせて、会社そのものの規模も拡大し、より多くの業務をこなせるようにした。

 

 実際にそこの工場でも製品を生産し、事務仕事その他も行うことで、正真正銘の会社として稼働させておく。これなら怪しまれまい。

 

 ただ、ここの他にも提携してる業者や、別棟の工場その他があるってことにして、必要に応じてその工場で作れる稼働限界以上のものを作ってるので、まだまだ業績は右肩上がりである。

 え、他の業者や工場? もちろん、星川製作所『バースカル』支店ですが何か?

 

 ペーパーカンパニーいくつか作っておいたから、必要ならそっちの名義使えるし……まだまだこの国、そのへんガバガバだからね。

 審査そのものが緩いのはもちろん、多少怪しくても、違法行為さえなくて、結果を十分出せば何も言われない。見逃してくれます。

 

 それにうちの会社、この地域の他の会社とかとも色々業務の上で協力することが増えてきて、顔も広くなってきたから、そういう横のつながりもできてるんだよね。そこも心強い。

 

 特に、原材料の輸入会社や、工業製品の組み立て工場なんかは、お得意様である。時に発注者側として、時に受注側として、いい付き合いをさせてもらってます。

 

 ……しかしあれだな。

 ひとまずこの世界での生活基盤を作ろう、と思って始めたことだったけど……なんだかコレ自体が楽しくなってきてる自分がいるぞ。

 

 いやもちろん、元の世界に帰るための努力とか調査も怠ってはいないんだけどね?

 

 アスクレプスのシミュレーターを使った特訓も毎日欠かしてないし、前に比べれば『次元力』のコントロールも、ほんのちょっとずつではあるが出来るようになってきたと思う。

 それに由来するアスクレプスの武装の威力その他が徐々に強力になっていってるから、それはうぬぼれとかじゃなくて本当だと思うし。

 

 ただ、そういう何かこう……テクノロジーみたいなものに関しては、どうしても表側の身分である『星川製作所』の名義で調べたり閲覧したり、取り寄せたりっていうことでしか調べられないからな……遅々として進まないのが現状だ。

 かといって、あまりよろしくない手段で探そうと何かすれば、そういうの専門の連中から一発で目をつけられるだろうし……下手に動けない。

 

 あくまで真っ当な企業が『業務の上でちょっと有用そうだなと思って興味を持ちました、教えて?』という感じのやり方でしかアクセスできなくて……それで『ダメ』って言われて断られたら、諦めるしかないから……。

 

 比較的有名な辺りでは、『ボソンジャンプ』なるテクノロジーが有望だと見てる。

 

 なんか、古代火星文明のオーバーテクノロジーを使った、瞬間移動的な技術らしい。……並行世界間の移動になんて使えるかは、わかんないし、そもそも技術の全容が見えてないからね。何とも言えない。

 けど、なんか連邦軍はもちろん、過激派組織とか色々なところが関わってて、一層巻き込まれたら酷そうなんだよな……テロ、怖い。

 

 ……ひとまず、ゆっくり調べていくことしかできない。

 

 

 

 ……というか、もう半年経ったんだよな。

 

 たしか、僕のいた世界の地球人類滅亡までのタイムリミットって、1年だったよな。

 

 宇宙で過ごした時間を考えると、半年どころかもう7~8ヶ月経ってるだろう。

 もしもヤマトの旅が順調に進んでいるなら、とっくにイスカンダルに到着して折り返し地点に来てるはずで……

 

 ……そうなったらもう、僕には何もできることなんてない気がする。

 

 当初考えてた『地球に物資をプレゼント作戦 by伊達直人』も、焼け石に水よりはマシかも、程度の思い付きだったし……

 

 ……だったらいっそのこと、ここでこのまま暮らしていくことを考えても……いいんじゃないかな……?

 

 最近、ふとした拍子にそんなことを考えるようになってしまった。

 

 あくまでダミーのつもりで作った会社を通して交流する、近所の人達や従業員の皆との交流が、思いのほかあったかくて、居心地がよくて……ね。

 それで僕も楽になるし、彼らのためにもなると考えれるなら……危ない橋なんて渡らずに、ホントに、いち有望企業の若手経営者として、ここで……

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。