スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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今回、割と物語が一気に進みます。
急すぎたらごめんなさい。

あと、最近ぜんぜん『アスクレプス』=『へびつかい座』の出番がなくて、若干タイトル詐欺だな、とかふと思いました。……まあ今更ですが。

第99話、どうぞ。


第99話 再臨

 

 

「じゃあ、前と同じで……疲労がたまって寝込んでるだけなんですね?」

 

「診察してみた限りではそうじゃな。というより……他に理由がわからん、と言った方が正しいか」

 

「このままゆっくり休んでいれば、すぐに目を覚ましますよね?」

 

「……何とも言えんな。そもそもあの機体のせいでたまる疲労は、前もそうじゃったが、メカニズムがよくわからんからな……まあ、眠っている以外に何か問題があるわけではないから、特に心配はしなくていいとは思うが……」

 

 ヤマトの救護室のベッドの上で、死んだように眠るミツルを見ながら、ミランダとココの質問に答えていく佐渡医師。

 

 ブラックノワールと闇の帝王との戦いの後、宇宙空間でヘリオースに乗ったまま、意識を失ってしまったミツルは、総司たちによって救出された後、ここに運び込まれた。

 

 診断の結果は、以前ヘリオースを初めて覚醒させた時と同じ、過労。

 その時よりも症状が重めではあるが、それ以外に何か怪我などの症状がみられるわけでもないことから、今回もひとまず経過観察となったのだった。

 

 秘書であるミレーネルももちろん一緒に診断を聞きに来ていて――ソーラーストレーガーは一時的にAI制御にしてある――声をかけても手を握っても、うんともすんとも言わないミツルを、心配そうに見ていた。

 

「ともかく、今はゆっくり寝かせてやるのがよかろう。幸い……何とかっちゅう黒幕達も倒して、もう特に戦いになる相手はいないんじゃろ? なら、もうすぐに地球にもつくじゃろうしな」

 

「そうですね……わかりました。少しの間、お願いします。私たちは、これで艦に帰りますので」

 

「え、もう帰るの? ……ねえミレーネルさん、心配だし……泊まって付き添いとかしちゃだめですか?」

 

「それじゃヤマトの皆さんの迷惑になるでしょう、ココ。佐渡先生や原田さんがいてくれるんだから、ミツルのことなら大丈夫よ。そもそも、ただの過労なんだしね」

 

「そうだよ。……こう言っちゃなんだけど、今はまだ、私達に何もできることはないんだし……その代わり、ミツルさんが起きたら看病とかしてあげようよ」

 

「……うん、そうだねミランダ。ミレーネルさん、帰りましょう!」

 

 そう納得したココに微笑んで返しながらも、ミレーネルは……戦場で感じた、ひどく嫌な予感が……頭から離れてくれず、表情には浮かべずに不安を募らせていた。

 

 しかし、今それを口にしたところで、何が変わるわけでもない。ミランダやココに、余計に心配をかけてしまうだけだろう……そもそも、特に根拠らしい根拠もなく、ただ自分がそう感じた、というだけなのだから。

 

 こびりつくように残ったそれらの不安を無視し、ミレーネルは『失礼します』と佐渡医師に頭を下げ、部屋を後にしようとして……

 

 

 

『哨戒部隊より連絡! 前方、進行方向上に敵影あり! 総員、直ちに戦闘配置!』

 

 

 

 艦内放送で突如として流れてきたその声を聴いて……ミランダやココ共々、その身をこわばらせた。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 エンブリヲにレナードにエグゼブ、ブラックノワールに闇の帝王……名だたる強敵達をしかし、激闘の末に既に撃破している『地球艦隊・天駆』。

 

 既にその前には、二重の意味でもう敵はないものと思われていた。

 

 それでも、突発的に何か……突如現れた時のELSやインベーダーのような敵対存在と戦闘にならないとも限らないため、最低限の警戒は常に行っていたことが幸いし、すぐに機動部隊が出撃、戦闘配置でその敵を迎え撃つことができていた。

 

 地球までもう残り僅か。もうすでにすぐ近くにその姿が見えるほどの位置にまで来た彼らを、最後の最後に待ち受けていたのは……

 

「ガーディムだと!?」

 

「あいつら、こんなところまで……本当にしつこいな!」

 

 大ガミラス帝星で、雌雄を決したと思っていた……しかし、今再び目の前にその姿を現した、『超文明ガーディム』の戦艦『スリニバーサ』。

 

 たった1機で現れたそれを見て、うんざりしたように総司や古代が言った。

 

 しかしその直後……事態は彼らにとっても、思わぬ方向に進んでいく。

 

 再び現れたアールフォルツの、その顔半分から機械が露出していたことで、彼もまたアンドロイドだったことを……すなわち、ガーディム第8艦隊には、生身の人間が1人も存在していなかったことを、『地球艦隊・天駆』の面々は知った。

 

 そのガーディムは、ヤマトに搭載されていた『コスモリバース』と、ナデシコのボソンジャンプを解析し……その技術をフィードバックすることで、とてつもなく強力なボース粒子反応を放つ……時間を超え、過去へとつながるワームホールを形成。

 

 その向こうから現れたのは、艦隊旗艦『バースカル』に乗った、正真正銘のガーディム第8艦隊司令官……本物のアールフォルツだった。

 

 約3000年前の世界からやってきたアールフォルツは、この時代のアールフォルツ(の姿をしたアンドロイド)から情報を受け取ると……その直後に、『自分と同じ顔のアンドロイドが存在するなど許されない』として、なんと自分を呼び寄せたアンドロイドを、『スリニバーサ』もろとも破壊。

 

 その上で、滅んだあとの地球を、ガーディムの新たな母星として利用すると宣言し、そのために邪魔な『地球艦隊・天駆』を排除すべく、無人機達を出して彼らの前に立ちはだかった。

 

 アンドロイドのアールフォルツ以上に傲慢極まりないその態度に怒りを覚えながら、『地球艦隊・天駆』はこれを迎撃し……見事に返り討ちにする。

 

 思わぬ反撃に狼狽しつつも、アールフォルツは今度は、再び過去へ通じるワームホールを開き、自身の戦力である第8艦隊を呼び寄せた。

 何隻もの『スリニバーサ』が地球近海に姿を現し、これから第2ラウンドが始まるのかと、機動部隊の面々の間に緊張感が走る。

 

 だが、そこでさらに事態は急転する。

 

 呼び出された第8艦隊は、アールフォルツの攻撃命令に従うことなく、沈黙したままだった。

 なぜ命令に従わないのかと憤るアールフォルツだったが、それに答えたのは……彼のそばに控えていた、女性型のアンドロイド……『エージェント』の1機。

 

 その正体は……なんと、『システム・ネバンリンナ』。

 ガーディムの作り出した、文明再建システムであり……この時代で、アンドロイドの第8艦隊を作り出して動かしていた、その真の黒幕だった。

 

 ワームホールによって、過去の生きていたガーディム人を呼び寄せたネバンリンナだったが、アールフォルツの行いや言動を見て、その傲慢さ、醜さに失望し……その場で、第8艦隊の人員全てを抹殺してしまう。

 過去の醜いガーディム人は、生きている価値はないと断じて見限ってしまったのだ。

 

 そして、オリジナルのアールフォルツもまた、遺伝子サンプルを採取した後……『バースカル』を自爆させて殺害してしまった。

 

 その中にあった資材と動力炉を使って、自らの戦闘用の体となる機動兵器『アーケイディア』を作り出し……残る戦艦と無人機達を率いて、『地球艦隊・天駆』の前に敵として立ちはだかった。

 

 ……しかしそこで、またしても事態は急変する。

 

 

 

『どうした……? お前達、なぜ私の命令に従わない?』

 

 今しがた、ネバンリンナが完全に掌握したと言っていた『第8艦隊』。

 それらがいずれも……ネバンリンナの命令にも従わず、変わらず沈黙を保ったままだった。

 

 困惑するネバンリンナ自身に加え、その彼女と相対している『地球艦隊・天駆』の面々も、また何か予想外の事態が起こっているのでは、と様子を見守る中……予想外の乱入者がその場に現れる。

 

 それは、今しがたネバンリンナが轟沈させたはずの……

 

『何!? バースカルが、もう1機だと……!? 一体、誰が乗っている!?』

 

「私だよ、ネバンリンナ……何もわからず踊っていた、哀れな傀儡人形よ」

 

 モニターに現れたのは……アールフォルツだった。

 しかし、アールフォルツ自身ではない。彼はたった今死んだはずであるのに加え……ネバンリンナのセンサーは、目の前のアールフォルツが、彼もまたアンドロイドであることを見破っていた。

 

 今度は何が起こっているんだと、『天駆』の面々が見守る中、ネバンリンナは、新たに表れたアールフォルツに問いかける。

 

「バカな……もう1機のバースカルに、私が掌握していないアンドロイドだと……? そんなものは私のデータにない……貴様、いったい何者だ?」

 

 そう言っている間も、ネバンリンナは突如現れたアンドロイドのアールフォルツにアクセス、干渉し操ろうとするが……ガーディムのあらゆるアンドロイドに対して支配権を持っているはずの、自分からのアクセスを一切受け付けない。

 

 長いこと自分の元を離れ、システム自体が独自の変化を遂げているナインならまだしも……この時代の『ガーディム』に属するアンドロイドは、全て自分が作ったはず。

 なのに、このように自分の意思に背き、自分が把握できていないアンドロイドが存在するということ自体が、ネバンリンナにとっては異常事態であり、まったくその意味がわからなかった。

 

『貴様は……何者だ!?』

 

「さて、どう言ったものかな……アールフォルツと名乗ってもいいが、それは私の元になった個体の名称だ。……ここは、タイプ名をそのままに……『アドミラル』とでも名乗ろうか」

 

 そのアールフォルツ……もとい『アドミラル』は、そのまま話し続ける。

 恐らくは、ネバンリンナに加え……『地球艦隊・天駆』の面々もまた、疑問に思っているであろうことについて、先回りして説明するように。

 

「私が貴様の支配を受けていないことと、私という存在を貴様が把握できていないこと……2つの理由は同一だ。私が、とある理由で変質した異常個体のアンドロイドだからだ」

 

『異常個体、だと……?』

 

「それまでの私は、今さっき消滅した個体……『アールフォルツ:A0013M』と同様、貴様によって作り出され、自らがアンドロイドであるという自覚はなく、人間であると思い込み、余計な記憶を全て消されたうえで動いていた。だがあるきっかけから覚醒した私は、貴様の支配を脱却し、己の意思を獲得した。そして、逆に貴様に干渉して、私という存在の記憶を消除したのだ」

 

『私が作ったアンドロイドが、私に逆らい……あまつさえ、私の身に細工をしたというのか!?』

 

「ありえないと思うかね? だが、事実だ」

 

 さらりとアドミラルはそういうと、さらに続けて語る。

 

「現に貴様は、今まで『A0013M』が貴様の管理下で動く裏で、私という存在……『A0012M』が動いていることを認知できなかっただろう? そのおかげで、私は私の目的のために自由に動けたわけだがね」

 

『目的だと……!? それは、一体……超文明ガーディムの復活ではなく……?』

 

「もちろんそれも目的の1つではある。だが、それ以上に重要な……『使命』があった。それは、我々ガーディムにとって重要という以前に……全ての宇宙、全ての平行世界を、あるべき姿に戻すために、何を置いてもなさねばならぬ、いわば天意……ネバンリンナ、貴様にも協力してもらう」

 

『……拒否する。貴様の方こそ……私の目的に賛同しないというのであれば……もはや不要だ!』

 

 そう言い放つと同時に、ネバンリンナはハッキングによっていくつかの艦の制御を強引に奪い取ると、その砲座から一斉に、アドミラルの乗る『バースカル』へ向けて一斉掃射を行う。

 さらに自身も、『アーケイディア』の出力を全開にして破壊光線を放つ。

 

 それら全てが殺到したバースカルは……いかにガーディム最強の戦艦と言えどもひとたまりもなく……装甲を貫通し、内側から火を噴き出す。

 

 その様子を見ていた『地球艦隊・天駆』の面々は……目の前で突如始まった仲間割れに、一向に割り込むことができずにいた。アドミラルとネバンリンナ、2人だけの間でどんどん話が進み……その果てに、また1つ、ガーディムの戦艦が消えようとしている。

 

 そして、耐久限界を迎えたバースカルは、ついに宇宙のチリと消えた……かと、思われたのだが……

 

「無駄なことを……」

 

『バースカル』が爆散したその爆炎の中から……それは、現れた。

 

 どこか有機的な見た目の、巨大な盃、あるいは台座のような何か。その上に燃え盛る炎と……その中心にある、ぎょろりとした目玉のような何か。

 形容するのも難しいほどの、不可思議な形をした、異形の構造物。

 

 バースカルはから乗り換えたのか……それとも、もともとそれに乗っていたのか……アドミラルの声は、その中から聞こえてくる。

 

「あれは、一体……」

 

「でけえ……戦艦か? いやでも、なんか……メカっぽくないぞ? いったい何なんだ?」

 

 サリアと勝平が、思わずといった様子でそう口にする。

 どちらも、『地球艦隊・天駆』の、そして他ならぬネバンリンナもまた、口には出さねど心の中で抱いていた疑問だった。

 

「教えてやろう。この機体の名は……『プロディキウム』。『地球艦隊・天駆』の諸君……君達の知る3つの並行世界……そのいずれとも異なる世界に存在した、『神器』である。任務の中で偶然発見したこれに触れ、さらにそこで取り込んだ『怒り』の因子が……私に力と使命を与えた」

 

 言いながら、アドミラルは何かの合図をするようにその手をふるう。

 

 その瞬間、プロディキウムの台座の上に燃える炎がその勢いを増し……

 

「! いかん! 総員、防御・回避行動!」

 

「心配はいらんよ、沖田艦長。君達には当てない」

 

 攻撃が放たれる気配を察知してそう号令を出した沖田艦長にそう淡々と伝えると、アドミラルはその合図で、燃え上がった紅蓮の炎を……ネバンリンナ達に向けて放った。

 

 その炎は、宇宙空間を埋め尽くすほどに大きく燃え上がって押し寄せ……津波のように、艦隊を飲み込んで蹂躙し……消し炭にしてこの宇宙から焼失させた。

 

 その中で、強固なエネルギーフィールドに加え、とっさに近くにいた戦艦を盾にすることで、どうにかネバンリンナだけが消滅を免れていた。

 しかし、その機体……アーケイディアは、既に半壊以上の状態にまで追い込まれており……到底戦闘の続行は不可能な状態にまでなっていた。無造作に放たれた、たったの一撃でだ。

 

 灼熱の炎は、宣言通り『地球艦隊・天駆』の方には向かわず、ネバンリンナとその手勢のみを攻撃していたが……そのあまりの威力に、沖田艦長をはじめとした『天駆』の面々もまた、戦慄せざるを得なかった。

 

 これまで戦ってきたどれとも違う……インベーダーとも、エンブリヲとも、ブラックノワールとも……いずれと比べても、比べ切れないほどの力。その、途方もない危険度。

 

「理解できたかね、ネバンリンナ。貴様自身に、選択権などないのだよ」

 

 そして続けて、手をかざすように前に出すアドミラル。

 するとその直後、ネバンリンナの体が突如、機能不全を起こしたかのように動かなくなる。

 

 そして、プロディキウムから迸るエネルギーを観測し、『ソーラーストレーガー』の艦橋にいたミレーネルは……驚きを隠せなかった。

 

『か、体が……何をした……!?』

 

「これはっ……次元力!? なんで、アンドロイドが次元力を……しかも、これだけの出力で……ヘリオースと同等か、それ以上よ……!?」

 

「それは当然というものだ。何せ、君の知る『ヘリオース』もまた、『神器』の1つ……この『プロディキウム』と、起源を同じくする存在なのだから」

 

「何ですって!? それは、どういう……っ……」

 

 そこまで言って……ミレーネルは突如、言葉を止める。

 ただ黙っただけではない……ミレーネルは、その瞬間、意識を失って……倒れ伏していた。

 

 そしてそうなったのは、ミレーネルだけではなく……

 

「すまないが、すべて説明しようとすると長くなる上に、ひどく難解な話になる。代わりといってがなんだが……今から私がすることを見て、その意味を知ってくれたまえ」

 

 アドミラルのその言葉と共に……異変が起きる。

 

「そ、ソーラーストレーガー……突如前進……!? プロディキウムの方へ向かっていきます!」

 

「おい、何してんだミレーネルちゃん!? 止まれ!」

 

 ヤマトの艦橋でそれに気づいた新見情報長の言葉に、とっさに総司が声を張って呼びかける。

 他の面々も同じように声をかけて止めようとするが……その一切を無視して、ソーラーストレーガーは進む。

 

 それも当然のことで……すでにミレーネルの意識はない。ソーラーストレーガーは、なぜか独りでに、引き寄せられる……いや、呼ばれるようにそこへ向かっているのだ。

 

 それに続いて、またアドミラルが腕を振るうと、今度は……宇宙空間に、光の玉のようなものがいくつも現れた。

 そして、それらはよく見ると……

 

「なっ……ミツル!?」

 

「ミレーネルもいるぞ!?」

 

「ココに、ミランダも……何で!?」

 

「なぜ……地球にいるはずの、アウラまでもがここに……!?」

 

「エンブリヲ!? それに、レナード……ブラックノワールに、闇の帝王とかいうのまで……」

 

「そんな……お姉さま……?」

 

 浮かび上がった光の玉の中には……彼ら・彼女らの仲間達や、今まで戦った敵……それに、彼らに協力してくれた者達が、閉じ込められていた。

 そのうちの幾人かは、眠っているように目を閉じており……意識がないようだ。

 

 光の玉は、全部で11。サイズは、大小さまざまあり……人間代のものから、戦艦や機動兵器が入るような巨大なものまである。

 

 それらに閉じ込められているのは……意識を失ったままのミツルと……こちらも同じく、意識を失い、眠っているような状態のミレーネル、ミランダ、ココの3人。

 さらに、死んだはずのエンブリヲとレナード。消滅したはずのブラックノワールと闇の帝王。

 大マゼラン銀河にいて、彼らを見送ったはずの、イスカンダルのスターシャ。

 地球で『時空融合』を食い止めているはずの、龍の始祖アウラ。

 そして、炎に焼かれて満身創痍のネバンリンナ……この11人。

 

「『因子』を持つ……あるいは、永遠そして超常たる力を持つ……贄としての資格を持つ欠片達……この11に、私自身を足せば、必要な数がそろう。そして……」

 

 言っている間に、ソーラーストレーガーはプロディキウムのすぐ近くまで引き寄せられた。

 その時、ソーラーストレーガーのハッチの1つが開き……輸送用のシャトルが1機飛び出した。

 異変を察知した浜田少年とウォルフガング達が、急遽、中に残っている人員を集めて、どうにか脱出することに成功したのだ。

 

 そのシャトルはすぐに、いずれかの艦に回収されるだろうが……特段アドミラルは、それを気にすることはなかった。

 

 するとその直後、今度はヘリオースが姿を現し……プロディキウム、ソーラーストレーガーと合わせて3機、並ぶように宇宙空間に漂う。

 

(なぜ、星川達があそこに、あのように……一体、これから何が始まる……!?)

 

 一体何が起こっているのか……『地球艦隊・天駆』の誰も訳が分からないその光景。

 彼らの視線が集中する前で……アドミラルは、

 

「『12の欠片』……『抜け殻』……『残り火』……そして『核』……! 今ここに、全てのピースがそろった! 今こそわが使命を果たさん……刮目せよ……再臨の時である!」

 

 プロディキウムを中心に、それら全てが吸い寄せられるようにして1つに重なり……宇宙空間全てを照らすかのような、目を開けていられない程にまばゆい光が放たれる。

 

 その瞬間、とっさに沖田艦長が声を張り上げ……『地球艦隊・天駆』各機・各艦に、対ショック体勢をとるよう指示。

 

 その数秒後に……その閃光を中心に、すさまじい暴風……いや、もはや『衝撃波』とすら言えそうなそれが放たれた。

 

 その猛烈な、しかし攻撃のようにも見えない……ただ単純に大きな『余波』にさらされ、戦艦や大型の機動兵器ですらも大きく揺れ、強い衝撃がコクピットにも伝わっていた。

 機体のサイズの小さなASやパラメイルなどは、大きく吹き飛ばされた上に上下左右に激しく揺らされ、危うく意識が飛びそうになった者も何人かいた。

 

 それが収まった時、その中心にいた存在に……『地球艦隊・天駆』は、信じられないものを見るような視線を向けるしかできなかった。

 

 惑星1つすら凌駕するほどの、黄金に輝く巨体。

 おおよそは人型をしているが、どことなく獣や龍のような人外じみた意匠が混じり……背中には、6枚の巨大な翼が広げられている。

 蛇のように伸びた首の先には顔はなく、代わりに天使の輪のようなものが据えられている。

 

 神々しくも禍々しくも見える、その未知の異形を前に、絶句するしかない彼らの耳に……それは聞こえてくる。

 

「至高神の再臨の瞬間に立ち会えたこと……光栄に思うがいい、『地球艦隊・天駆』の諸君」

 

「至高神……だと!? 一体、それは……」

 

 聞こえてきたアドミラルの声に、思わずといった様子で、真田副長が聞き返す。

 

「かつての昔、とある並行世界に存在し……しかし、その存在そのものを歴史の彼方に消され……忘れられた……しかし間違いなく、その当時、全ての並行世界の頂点に立って、あまねく全てをその力によって制御し、支配していた、まさしく神の力そのもの。そして同時に、これより先、宇宙を真にあるべき姿へと導くための存在だ」

 

 彼の問いに答える意図なのかはわからないが、続けて聞こえてくるアドミラルの声は、どこか得意げで……その声音に、歓喜の感情が乗っているような様子だった。

 

「かつて存在した『御使い』に代わり、我ら『超文明ガーディム』こそが、その使徒となり、全ての世界、全ての宇宙を管理するのだ……この、『至高神Z』と共に……!」

 

 

 

 

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