感謝に言葉もありません…!
感想も全部読ませてもらって、力にさせてもらってます。今後ともよろしくです!
そして今回、ヒロイン?登場。
本SSで、超大幅に運命が変わるキャラクターの1人……の、予定です。
【×月▲日】
……そろそろ、起業から1年だ。
あれからさらに事業の規模を拡大した僕は、今まで使っていた古ビルを『支社』に変更し、より立地のいい場所に『本社』を移転させて『星川製作所』の運営を続けている。
事業規模自体を見れば、まだ中小企業の域を出ない会社ではあるけど、それでも従業員は50人を超え、それなり以上の規模にまで成長していた。
まあこれは、僕の営業手腕が卓越していたとかではなく……周りにあった付き合いのある会社で、燻り気味だったり経営が苦し目になってきていたところと合併した結果、急成長したって話なんだけどね。
経営では一番うまくいってた『星川製作所』の名前をそのまま使って、各事業所は『○○支社』って感じでそのまま運営を続けている形だ。
そしてそれぞれの支社においては、もともとやっていた業務をそのまま行っている。
どういうことかというと、例えば、元々『星川製作所』はパーツその他の製作がメインだったけど、その業務は、もともと『本社』だった、今は『支社』になっている工場にそのまま任せてある。
他の合併した会社は、それぞれ『輸出入業』『資材調達』『人材派遣』『機械類整備』『運送業』の5つなので、それぞれがやっていた業務をそのまま支社の『部門』にして、『星川製作所』全体で、普通なら外部委託するような業務まで、自社でほぼ全部自己完結できるようになった。
その全体の運営には、流石に僕一人じゃ手が回らないので、各部門でもともと手腕を発揮していて、ノウハウも持っている元・社長さん達(現・支社長&本社役員)の方々にとてもお世話になった。
今では国や自治体からの覚えもめでたく、それぞれお得意様になっている。
大口の仕事が入った時なんか、支社も含めて全体で結構必死こいて業務こなしたりして……古き良き『会社は家族』的な、いい感じの経営状態になってると言えるだろう。
みんなで手を取り合って、この1年で『星川製作所』はここまで大きくなりました。
……そう……もう1年経ったんだよなあ。
元の世界の地球は……どんな形にせよ、一応の結末を迎えたはずだ。
どうなったかな……ヤマトは無事に、イスカンダルから、地球を救う『何か』を持ち帰れたんだろうか。
それとも、あの次元断層の出口で、あるいはそのもっと後にまた何かがあって志半ばで倒れて、地球人類は滅亡してしまったんだろうか……
……今となっては、それを知ることもできない。
【×月☆日】
今日、ちょっと、いやかなりびっくりするようなことがあった。
本社の在庫保管庫の1つとして使ってるとある物件に、最近『出る』って噂になってるところがあったんだよね。
何が出るかは、まあ、説明するまでもあるまい。
不動産屋に紹介してもらった時は、特にそんな話は聞かなかったし、最近までは問題なく使えてたのに……どうしたんだろうか、今になって。
軽く調べてみたけど、別にそこで人が死んでたりとか、曰く付き物件って感じでも何でもないようだったんだけど。
で、近くまで来たのでちょっと寄ってみたわけだ。
と言っても真っ昼間だったので、流石にこんな時間から出やしないだろうな、と思ってたんだけど……電気もしっかりつけて倉庫内を見回ってみたら…………いた。
倉庫の隅にぽつんとたたずむ、半透明の髪の長い女の人ががががが……
機動兵器やインベーダーの相手はしたことあっても、流石に心霊現象の相手はしたことないし、耐性もついてなかった僕は、思わずちびりそうになってしまったわけだが……明るくしていたことが功を奏して、ふとおかしなことに気づいた。気づけた。
あーっと、僕の中で、女の人の幽霊といえば、一番に思い浮かぶのは……呪いのビデオを見ると井戸の中から出てきたり、テレビ画面から飛び出してきて襲ってくる、長い黒髪を振り乱してめっちゃ怖いあの人なんだ。
やばいな、この人も髪の毛長いな、けど黒くないな、外国の幽霊かな……と思った。
そのまま、テンパった頭でその幽霊のその他の特徴を見ていったんだけど……よくよく見ているうちに、徐々に色々なことに気付いて冷静になっていったのだ。
髪の毛は長くて、白に近い灰色。
でもなんか、よく手入れされてるみたいに奇麗なストレートヘアで、幽霊っぽくない。
目は……金色? 黄色?
表情は無表情で虚ろな感じ。この辺はちょっと幽霊っぽいか。
肌が……半透明だからちょっとわかりにくいけど、灰色っぽくないか? 血の気がない色だと思えば、確かに幽霊っぽいのかもしれないけど……
耳……ちょっと長い上に、先端がとがってないか? エルフ耳?
え、スパロボだと思ってたのになんかファンタジー要素? んなあほな。
そして……服が、コレ……ぴったりした、体に張り付くような……まるで宇宙服とかパイロットスーツみたいな感じに見える。
これのせいで幽霊らしさが8割減になってて、落ち着きを取り戻すことができた。
いや、まあ、宇宙での戦闘で死んだ幽霊だとしたら、こうなっててもおかしくはないのかもしれないけど……そんな幽霊がなんでこんな場所に出るんだっていう……
割かし冷静に状況を見ることができるようになった僕は、恐る恐るだけど、その幽霊(仮)に話しかけてみた。
すると、返事はしなかったけど、そのまま彼女はこっちに近づいてきて待て待て待て。
怖い! 幽霊っぽさは確かに多少マシではあるけど、半透明の女の人が音もなく近づいてくるのは普通に怖い!
きちんと足も2本あって、浮遊したりしないで歩いて近づいてきてるけどやっぱ怖い!
が、驚いたのはその直後だ。
その幽霊(仮)は、そのまますーっと僕の中に吸い込まれてしまったのである。
やばい、取り憑かれた!? と思ったものの、特に不調はない。意識が遠くなるとか、自分の意思に反して体が動いたりとか、そんなことも特にない。
けど、体の中に何かが入っているような、異物感、違和感みたいなものは感じる。
その日は仕事を早めに切り上げさせてもらって、『バースカル』に戻って調べてみたら……どうやら僕の中に入って行ったその『何か』は、厳密には幽霊ではなく、何かしらの思念体・精神体みたいなものであることが分かった。
酷く存在として希薄で不安定な状態になっており、このままでは消滅してしまいそうな感じではあるようだけど……生きた人間、あるいはそれに近い何かだってことだ。
興味が出てきた僕は、アスクレプスの中にあったいくつかのデータを応用して使い、その精神体が依代(よりしろ)として使えるようなデバイスを作った。
Z時空だと、霊魂みたいな存在をAIの代わりに機動兵器に乗せて戦わせる連中もいたからな……というか、アスクレプスの所属陣営が思いっきりそうだったから。その関係で、使えそうなテクノロジーが保存されてたのは、よかった。
ひとまず簡易的なものってことで、タブレット端末型にしてみたそれを手に取ると、精神体は自分から僕の中から抜け出して、その中に入って行った。
そして次の瞬間、タブレットの画面に、さっきの女の人が映し出された。上手く行ったようだ。
ただし、今度は半透明にはなってない。肌の色も輪郭もはっきり見える。
その状態で話しかけてみたんだが……なんか意識がボーっとしてるみたいで……寝起きで頭が目覚めてない人に話しかけてるみたいな感じ。反応が上手く返ってこない。
少しの間そうしてみてたんだけど、なんかダメそうなので、ひとまず今日はそれで終わりにした。
【×月★日】
今日丁度休みなので、朝からあらためてタブレット……の中にいる精神体に話しかけてみると、昨日とは打って変わって普通に応対することができた。
しばらく時間を置いた間に、徐々に意識がはっきりしてきたらしい。
昨日、僕が助けてくれたことも覚えてるって。ありがとうって言われた。
いや、助けたって言っても、なんか体の中に入り込んできたから、対処療法的に代わりのものを用意しただけなんだし、別にそういうつもりはあんましなかったんだけどね。
けど、彼女曰く、あのまま放置されていたら、遠からず自分の意識は完全に消滅していただろうから、本当に助かったんだって。まあ、そういうことならよかった……かな?
ただ、それからさらに詳しく話を聞いてみたんだが……いや、聞いてみようとしたんだが、そっちの方は上手くいかなかった。
どうやら彼女、いわゆる『記憶喪失』になってるらしくて。
自分のことも含めて、ほとんど何も覚えていないんだそうだ。
自分がどこの誰で、何をしていた人間なのかも、何も覚えていない、と、申し訳なさそうに答えてくれた。
ただ、自分が持っているこの、精神体云々関連の能力については、直感的に使い方はわかりそうだ、とは言ってた。
それと、ただ1つ……名前だけは覚えているそうなので、教えてもらった。
『ミレーネル・リンケ』、だそうだ。
名前からして、とりあえず日本人じゃなさそうである。
いや、肌の色や身体的特徴からすると、地球人かも怪しいんだが(多分違う)。
彼女はそして、どうかこのままここに置いてもらえないか、と頼み込んできた。
迷惑をかけることになって申し訳ないが、自分は精神体だから、このデバイスに宿っていることさえ許してくれれば、他には何もいらない。飲食も必要ないし、放っておいてくれていい。
ただ、記憶が戻って……自分がここから出ても生きていくだけの力を取り戻せるまで――そんなことが可能なのかどうかも含めて、思い出さなければならないけど――ここに置いてほしい、と。
平面上でではあるけど、あまりにも必死に頼み込んでくるもので……まあ、僕としても、中途半端に助けた後で放逐するのはちょっとどうかと思うし、それについては聞き届けることにした。
ただ、彼女にはここ……『バースカル』の生産設備について見られてしまっているので、秘密保持その他の理由で、自由に出歩かせるわけにはいかないけど、と話した。
もちろんそれは了承してくれるようで、基本、タブレット(外部ネットワーク非接続)の中で大人しくしていてくれるようだ。
【×月?日】
今日、ミレーネルがちょっとした大手柄を挙げた。
ここ数日の間、ミレーネルには、タブレットの中で暮らしていてもらったわけだけど……何だか徐々に元気がなくなってきてるな、と思っていた。
いやまあ、無理もないだろう。こんな狭い(という感覚なのかどうかはわからんけど)ところで、昼も夜もなくジッとしてなけりゃいけないんだし。牢屋の中みたいなもんなんだろうな。
なので、ちょっとくらいならいいかな、と思い、気分転換に彼女を外に連れ出した。
タブレットを持って、外を散歩するってだけなんだけどね。カメラ機能とかをいろいろ工夫して、中にいる彼女にも外の景色が見えるようにして。彼女の声は、イヤホンで僕だけが聞けるようにした。
初めて見る外の景色やら街並みに――幽霊だった頃は自我が希薄で、記憶とかあんまりなかったっぽいし――すごいすごい、と楽しそうにしていた。
連れ出したかいがあったかな……と思っていた、そんな時だった。
バスに乗っている途中、突如、ミレーネルが何かに気づいたように押し黙ったかと思うと……神妙な声で、こうささやいてきた。
『斜め前のシートに座っている2人組の男、テロリストよ』と。
これは後になってから聞いたことなんだけど、ミレーネルには人の感情とか悪意を感じ取る、ニュータイプみたいな能力が備わってるらしく、それのおかげで、そいつらの強烈な殺意や悪意を感じ取れたらしい。
それで詳しく探ってみると、テロを起こそうとしているというところまでわかった、と。
その後僕は、その2人と同じバス停で降りて、同時に警察に匿名で『テロリストが○○バス停近くの駅ビルに入った』と通報し、後をつけた。
その後、警察に職務質問と手荷物検査をされそうになって、男2人は拳銃を取り出して逃走。
近くにいた小さな女の子を人質にしようと飛びかかったんだけど……そこに僕が割り込んで、最近習っている護身術で撃退した。
と同時に、ミレーネルが精神波を放ってテロリスト2人の精神にダメージを与えて動けなくし(そんなことまでできるの君?)、その隙に警察が確保した。
こうしてテロは未然に防がれ、僕は後日、警察から感謝状をもらうことになった。
しかし、公にできない身分であるミレーネルはそういうのもらえないわけで。
なんか僕だけ褒められることが心苦しかったので、ミレーネルにも『何か欲しいものある?』と聞いたら、『たまにでいいからまた気分転換に外出できれば』とのことだった。
そのくらいなら全然いいけど、どうせなら……
……うん、ちょっと思いついた。今度試してみよう。
上手く行けば……彼女に、この狭い空間(空間ですらないか)とお別れさせてあげられる……かもしれない。
原作ブレイク?開始。
今回登場した彼女については…次回あたり説明載せるかもです。