スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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ランキング9位…感激で泣きそうです。
これからも楽しんでもらえるように頑張ります!

そして今回、ヒロイン候補というか、原作ブレイクキャラというか、そんな子が新たに登場します。
さて、どこの誰でしょう…

第16話、どうぞ。



第16話 『エリアD』にて

【○月■日】

 

 連邦軍の代表として来た『ミスマル・コウイチロウ』中将とも話して、協定書も無事に用意できた。

 

 聞けば、中将ご自身も、『ナデシコ』部隊とやらに、軍人として以外にも縁があり、個人的にも彼女達には頑張ってほしいと思っているそうだ。

 その助けになってくれるということで、個人としてもありがとう、と感謝された。

 

 それと同時に、妙というか、よくわからない頼み事もされたけど。

 なんか、ナデシコ部隊の知り合いである、ある青年と共闘することもあるかもしれないから、その時は彼のことも助けてやってほしい、とのこと。

 

 なんか、すごく思いつめた様子で語っていた。詳しく聞くのが躊躇われるほどに。

 一応それについても、『その場での判断になるかと思いますが覚えておきます』と返しておいた。

 

 しかし、ミスマル中将、か……日本語名っぽいけど、苗字どんな字書くんだろうか。全く想像つかない。

 

 まあそれはいいとして、協定はそうして無事に交わしたわけだ。

 

 ……そしたら、その日のうちに早速協力要請が舞い込んできたよ。

 また随分いきなりっていうか、容赦なく働かせようとしてくるな……まあ、いいけど。

 

 で、要請の内容は……今、『火星の後継者』の拠点を探すために日本を離れている独立部隊に、物資その他を届けてほしいというもの。

 今はどうやら、現地での補給が難しい場所に赴いているらしいのだ。

 

 届ける物資等や、輸送代金については、別に僕らの方での持ち出しというわけではなく、きちんと連邦軍が精算してくれる。

 ただし、その他の業務に優先して大至急、また安全確実に行ってほしいとのこと。

 

 さらに、色々と秘匿すべき情報も扱う仕事なので、最も信頼のおける部下を使い、情報の周知等は最小限にしてほしいそうだ。

 

 そんな条件で働かせるんなら……そりゃ、密約に近い形の協定書も必要になるわな。

 

 希望する物資のリストとして届いたものは……早ければ2日で全部用意できる。早速手配を始めよう。

 

 あとそれから、仕事には関係ないことだけど、ニュースで結構どでかい騒動が起こったみたいなことを見たのでついでに書いとく。

 

 なんか、始祖連合国にある『ミスルギ皇国』の第一皇女である、アンジュリーゼ皇女が『ノーマ』であることが判明したとか何とか。

 何やら式典の最中に色々あってその事実が暴露され、その最中に人死にまで起こったらしい。

 

 あ、『ノーマ』とか『始祖連合国』云々については、色々とあの国特有の事情やら何やらがあるんだけど……これについては省く。

 語るにしても、あんまり気分のいいもんじゃないからね。僕も、『ノーマ』ってのがどういう存在で、『始祖連合国』がどういう国で……ってことを知った時には、正直、なんだそりゃ、と顔をしかめることになったのを覚えている。

 

 強いて言うなら……アンジュリーゼ皇女とやら、これから苦労することになるんだろうな。

 

 

 

【○月?日】

 

 今僕は、わが社で開発した自社製品であり、長距離運送部門で主に使われている輸送艦『グラーティア』に乗って、一路、独立部隊の元を目指している。

 

 うん、今回の仕事、僕が自分で動くことにした。

 僕と、ミレーネルの、主に2人だけでやる。これなら、秘匿性も何もばっちりでしょ。

 

 それにコレ、別にただの思い付きってわけじゃなく、もともと考えてたことでもあるから。

 

 将来、総司さん達と……僕らの世界から来た人と接触できて、行動を共にする機会が増えたりした時のために、会長である僕でも最大限フットワーク軽く動けるように、そうなるように企業内の構造を作ってきてあったのだ。

 

 流石に、長期間何度も留守にするとかになると、ちょっと色々と問題も出てくるだろうが、いざとなればリモートで情報を受け取ったり、指示でも何でも出せるし。やり過ぎなければ問題ない。

 

 それに、僕、会長っていう職についている割にはかなり精力的に働いていて、他の役員たちからも『少しは休まれては』って毎度言われてたので、それも利用させてもらうことにした。

 いや、ホントに会社のため、将来のためを思って働いてたわけで、こういう時に彼らの心配する心を利用するためにブラックワークに徹してたわけではないよ? 断じて。

 

 そんなわけで、この『外部独立部隊』とやらの支援に関する業務は、基本的に僕がやります。

 

 今僕とミレーネルが向かっているのは、『エリアD』と呼ばれる場所だ。

 

 磁気異常その他により計器が狂うため近づけないとか、なぜか衛星でもそこの様子を調査することができないとか言われていて、現代の『バミューダトライアングル』的な扱いを受けている海域らしい。

 

 しかし、またしてもネルガルの会長曰く、『あそこは別にそんな感じの場所じゃないから』とのこと。だから何でそういうこと知ってるんだあんた。

 

 まあともかく、メカに異常が起こるようなへんな現象が起こるわけではないと。

 

 ただし、安全という意味でもないらしく……きちんと武装はして行け、とのことだった。

 交渉不可能の問答無用で襲ってくる連中がいるからと。撃墜する分には構わないからと。

 

 いや、何がいるんだよ、教えてくれよ。

 行けばわかる? 秘匿事項だから外で迂闊に口に出せない? そんなー。

 

 仕方ないので、グラーティアそのものの武装に加えて、僕の愛機『アスクレプス』と、もう1つ……わが社で新開発したある機動兵器をグラーティアに積んである。

 

 さらに、グラーティアそのものも、通常のものを僕用にカスタマイズしてあり、重装甲・高機動・高火力という性能に仕上がっている。そこらの機動兵器くらいなら相手どれるであろう戦闘能力を発揮できるので、可能ならこれだけで乗り切りたいところである。

 

 一応、僕とミレーネルが出た後にも、AIで自動航行できるようにはしてあるけどね。

 

 さて、もう間もなく件の『エリアD』に差し掛かるところだ。

 一体何が出るのやら。……問答無用で襲い掛かってくる敵……つまりは、コミュニケーション不能な敵ってことか?

 

 ……インベーダーとか、メタルビーストじゃないだろうな。

 

 

 

【○月#日】

 

 何アレ?

 

 いや、インベーダーとかメタルビーストでなかったのはよかったけど、より意味わかんない奴がいたんですけど。

 

 そいつらと交戦して、しかも何かその後めっちゃ色々あってすげー疲れたんですけどぉ!?

 

 無事に目的地である『アルゼナル』にはたどり着いたけど、到着前にどんだけ混沌としたバトルやら何やら経験させるんだよ! しかも割と血みどろの!

 

 いきなりフルスロットルで『アスクレプス』動かすことになった上に、ミレーネル用の『アンゲロイ』も出す事態になったし……

 

 その後に総司さん達とも会ったけど、『すいません疲れてるんでまた後で……』って逃げるように自室に戻る羽目になったし……いや実際疲れてたんだけどさ。

 

 

 

 ……えーとですね、何があったのかというとだ。

 

 まず、『エリアD』に入って早々、いきなり現れたモビルスーツ、しかも、パイロットが乗ってない無人機の集団に出くわした。

 

 そして、いきなり襲って来た。

 いや、無差別に襲ってくる無人機がエリア内に放たれてるって何なんだよ。

 

 どこかの国や組織が何らかの陰謀でやってるのか……ああそう言えば、独立部隊って『火星の後継者』の拠点を探すためにここに来たんだっけ? ……連中ならやってもおかしくない気はするな。

 

 アカツキ会長が言ってた奴らってこれか、と思いつつ、グラーティアに搭載していた武装で十分対応できてたんだけど……問題はその後だった。

 

 レーダーが新しく何かを感知したんだけど、おかしなことにその反応は、機動兵器じゃなくて……生命反応だった。

 それも、かなり大きな……クジラサイズか、それ以上のものが多数、進行方向に現れた、と。

 

 このレーダーは魚群探知機ではないので、もちろん海の中の魚なんぞにいきなり反応することはない。反応するとすれば、それこそメタルビーストとか、そういう敵性生物が出た時だ。

 

 まさか本当に……とか思いつつ、警戒しながら僕らが行った先にいた者とは、なんと……

 

 

 ☆☆☆

 

 

「……ミレーネル、何アレ?」

 

「ドラゴン、じゃない? 少なくとも、私にはそういう感じの生き物に見えるわね」

 

「だよね、僕にもそう見える……え、何、この海域あんなの出るの? もしかして、エリアDの『D』って……ドラゴンの『D』とか?」

 

「可能性はあ……待ってミツル、他にも何かレーダーに反応が出た」

 

 他に部下などがいない場では、ミツルとは砕けた口調で話すミレーネル。

 彼女が艦のレーダーと、望遠装置を操作して、今新しく感知した何者かの方を、画面を分割して映し出す。

 

「この反応は、機動兵器? でも、モビルスーツや戦闘機じゃない……何コレ?」

 

 画面に映し出されたのは、かなり小型の機動兵器だった。

 先程感知した『ドラゴン』達目掛けて、一直線で飛んでいく。討伐部隊か何かだろうか。

 

 人型をしているが、装甲はかなり薄そうで、率直に言って頼りない。その分機動力はありそうではあるものの、その先に待ち受けている、ドラゴンなどという巨大生物を相手取るのかと考えると、かなりの度胸が要求されそうだ。

 

 中には、人型ではなく、飛行機のような形で飛んでいるものもいるが……こちらはなんとコクピットがむき出しになっている。まだ若い少女が乗っているようだ。

 

「アレが変形してあの人型になるのかな?」

 

「だとしたら、機密性も防御力もまともなものになってるとは到底思えないけど……何なの、あの兵器? パイロットの安全とかガン無視じゃない。機動力に全振りしすぎでしょ」

 

「武装もそこまで強力なものがついてるようには……ん?」

 

「? どうしたの、ミツル?」

 

「あの、後ろの方飛んでる白い機体に乗ってる、金髪の女の子、どこかで……」

 

 

 

 

 

「何なのよ、これはッ……!?」

 

 突然、野蛮で反社会的な化け物『ノーマ』であるとの烙印を押された。

 

 今まで持っていた全てを……立場も、居場所も、服も、尊厳すら奪われた。

 

 どこかもわからないところに押し込められて、わけのわからないロボットに乗せられた。

 

 その挙句、見たこともない怪物と戦え、と言われて放り出された。

 

 その少女、アンジュリーゼ……ではなく、アンジュは、血を吐くような叫びを戦場に響かせた。

 

 『パラメイル第一中隊』……そう名のついた、戦闘部隊と思しき集団に所属させられ、ドラゴンを相手に戦えと言う。

 他の所属メンバー達は、勇敢にも、あるいは無謀にもそれに挑んでいる。機体を見事に使いこなし、怪物を相手に戦い、撃ち落としている。

 

 そんな中、アンジュは、その流れに乗れず、後方にいるばかりだった。

 

 幸い、前線にいるメンバーの腕がいいおかげで、こちらに討ち漏らしがやってくることはない。

 それでも、そんな戦いが間近で起こっていると言うだけで、アンジュの精神はガリガリと削られていった。

 

 無理だ、できっこない。自分にはあんな野蛮な真似はできない。

 シミュレーターで訓練したから動かし方こそわかるが、戦うなんて絶対に無理だ。

 

「もう……もう、嫌!」

 

 そう叫んで、アンジュはパラメイルを、飛翔形態『フライトモード』のままで飛ばし、戦線から離脱を図る。

 

「あっ、アンジュ逃げた」

 

「はぁ!? 何やってんだあのバカ姫、敵前逃亡は極刑だってさっき……」

 

「それ以前に、パラメイルには戦闘一回分の燃料しか入れられてないのよ! 逃げてもどこかにたどりつくことなんて……」

 

(それでもいい! こんなところにいるよりは……)

 

 そうして逃げるアンジュの後ろから、彼女に憧れ、懐いている1人の少女が、同じようにフライトモードのパラメイルで追って来た。

 少女の名はココ。アンジュと同じく、今日が初陣の新兵であり……彼女が『魔法の国』と呼ぶ、『始祖連合国』に憧れていた。幼い頃にここ『アルゼナル』に連れてこられた彼女は、外の世界を知らないのだ。

 

 済んだ瞳、無邪気な笑顔のままに、アンジュを追って来たココは、しかし……

 

「アンジュリーゼ様、私も連れていってください! 私も魔法の国に……はうっ……!?」

 

 背後から襲ってきた、1匹のドラゴンの攻撃を受けて、一瞬でその命を刈り取られ……爆散する機体の中に消えた。

 

 その瞬間を、運悪くモロに見てしまったアンジュは、目の前で1人の少女が、あまりにも惨い最後を迎えた光景に……恐慌状態に陥った。

 

 しかも、その直後、悲劇は繰り返されようとしていた。

 

「ぞ、ゾーラ隊長! ココが……アンジュも止まらないし……ど、どうすればいいですか!?」

 

「まだ手が離せん! こっちが片付くまで自力で生き延びてろ!」

 

「そんなっ!? わ、私、どうすれば……きゃあっ!?」

 

 アンジュ(と、ココ)を連れ戻そうとして追ってきていた、もう1人の新兵である、ミランダ。

 彼女もまた、突然の親友の死に動転し……しかし、その隙を見逃さずにドラゴンが襲い掛かる。

 

 横合いから、その巨体を生かした体当たりを食らう。

 

 追跡のためにフライトモードになっていた……すなわち、機密性皆無の空飛ぶオープンカー状態だったパラメイルから、体当たりの衝撃でミランダは放り出されてしまった。

 

 なすすべもなく落下していくミランダ。そこに、3匹ものドラゴンが群がってくる。

 その顎が大きく開かれたのを見て、ミランダは次の瞬間、何が起こるか理解した。……理解、できてしまった。

 

「い、嫌……た、助けてぇぇーっ!」

 

 その叫びが虚しく響くも、それは誰にも届くことはなく。

 直後、殺到したドラゴン達の牙にかかり、若い命は無残にも洋上で散る…………

 

 

 

 …………はずだった。

 

 

 

 しかし、その瞬間……前を飛んでいたアンジュの機体の横を、凄まじいスピードですれ違って飛んでいく、白い何かがいた。

 

 ミランダの体にドラゴンの牙がかかる直前、伸びてきた白い大きな手が、彼女の体をしっかりとつかみ……ドラゴンの牙は、ガギン、と音を立てて、割り込んできたその腕に当たった。

 

 

 間一髪でその命を救った、『アスクレプス』の腕に。

 

 

「……えっ……?」

 

 

『……間に合った? 間に合ったな!? あ、あっぶなぁ……』

 

 

 

 




おまけ

【輸送艦グラーティア】

元ネタは第三次スパロボZ天獄篇に出てきた、『サイデリアル』が運用する輸送艦。
少人数でも運用可能な上、積載可能量がかなり大きく、宇宙空間でも使用でき、使い勝手がいい。ただし、武装は最低限なので戦闘能力は低い。
元々は地球の『アクシオン財団』が作成・販売していた輸送艦だが、サイデリアルに生産ラインごと奪われて運用されていた。アスクレプスにデータが残っていたのは多分このため。
敵ユニットとして出てくるのだが、出番が序盤のみで少ない上、天獄篇では中盤以降これより強力なのがポンポン出てくるのでぶっちゃけ影が薄い。

今回登場したのは、ミツルが自分用に改造したもの。動かすだけなら少人数どころか1人でも可能になっており、武装や装甲も一応増設・強化されている。
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