スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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ここ最近、仕事がちょっと忙しくなってきてますので、投稿が不安定になるかもです。早くもというか、1日1回は厳しくなるかも……


第19話 いったん離脱

【○月%日】

 

 今日は、まーなんというか、色んな事が一度に起きた……。

 

 まず、今朝アンジュが目を覚ましたらしい。

 その話を僕は、食堂にいる時に聞いたんだが、それが聞こえた途端……メイルライダー組の空気が一気に悪くなった。その瞬間を境に飯の味が変わったような気さえしたからな。

 

 ヒルダの方から『チッ』って舌打ちの音が聞こえて、露骨に機嫌が悪い感じになった。一緒にいたロザリーとクリスも同じ感じ。

 

 僕の向かいに座っていた(なんか最近よく話しかけてくれる)ミランダは、うつむいて暗い影を背負ったように見えたし、コップを持つ手が震えていた。

 

 ヴィヴィアンは……変わってない。

 むしろ、様子が変わった面々を見て『?』な顔になってた。

 

 エルシャは不安そうにしてて、サリアはそんな様子の面々を見渡して、こちらも先行き不安ゆえかため息をついてた。

 

 が、その直後に警報が鳴って、ドラゴンが攻めてきたので、第一中隊が出動することに。

 まだちょっと調子悪そうなミランダも出撃だそうだ。……正直不安だけど、僕が口出せることじゃないしなあ……。

 

 しかし、どうやら彼女達だけじゃなく、独立行動部隊の面々も戦闘に参加するらしい。

 

 もともとジル司令との間には、拠点としてアルゼナルを使わせることや、情報を提供する代わりに、必要に応じてドラゴンの迎撃に力を貸すっていう約束もあったみたいで。

 基本的にはパラメイルが相手をするんだけど……今回みたいに、アルゼナルの戦力だけではドラゴンを止められないと思った時に力を借りるつもりだったらしい。

 

 今回の一件で、第一中隊は大きく戦力ダウンした上、最近はドラゴンの襲撃そのものが激しくなってきているらしい。再編成ないし、状態の立て直しが間に合わなかったと言ってた。

 

 パラメイルとは大きくサイズの違うモビルスーツや勇者特急隊のロボ達、サイズは近いが明らかに別系統の機体であるASなんかが並び立っているのは、ある種奇妙な光景だった。

 

 あ、ちなみに僕は出撃しなかった。

 僕はあくまで補給その他担当で、独立行動部隊には所属してないからね。基本的に、連邦軍との協定に盛り込まれている範囲でしか仕事はしない。

 

 まあ、ヤバそうだったり、このアルゼナルに被害が及びそうだったら、その時は加勢するのもやぶさかではないけども。一応、すぐに出られるようにアスクレプスは準備だけは終えてある。

 

 で、そのままドラゴンと開戦、ってなるかと思ったら……その前にと言うか、ドラゴンじゃなくてモビルスーツ達が来た。

 

 またかよ、っていうかあいつらもアルゼナル襲ってくるのかよ、って思ったんだが、よく見ると、無人機じゃないっぽいのが先頭にいた。

 というかアレはむしろ……無人機に追われてるのか、あの4機が。

 

 しかもよく見たら、あれガンダム混じってるし……見たことあるのからないのまで。

 え、何? まさかまた『並行世界からの』云々か?

 

 ……どうやらそれっぽい、ジル司令のところに現場から通信入ったって。

 ハサウェイの知り合いらしいんだけど……ガンダム達はそのまま迎撃に協力してくれるみたいだ。

 ……また予定外の味方=食い扶持が増えたなこりゃ。計算し直しだ。

 

 その後、無人のMS軍団を撃墜したら、やっとドラゴン登場。

 

 数こそ多かったものの、順調に応戦できていたんだが……突然別方向から、伏兵と思しきドラゴンが現れてアルゼナルに向かって来た。やだ、賢い。そんなこともできるのあいつら。

 

 が、それとほぼ同時に、こちらからも迎撃のためのパラメイルが1機……1機だけ?

 え、しかも乗ってるのアンジュだって? おい大丈夫か、大丈夫じゃないだろ絶対。

 

 案の定と言えばいいのか、むしろ予想よりひどいと言えばいいのか……アンジュは人型に変形することすらせずに、ドラゴンに向かって突っ込んでいく。

 あれじゃ特攻にもなってない、ただの自殺……え、まさかとは思うけど、それが目的じゃないだろうな。

 

 が、そこからさらに事態は急転。

 

 そのまま撃墜されるかと思ったアンジュだが、ひらりひらりと攻撃をかわし(ちょっと当たってたが)、しぶとく生き残る。

 

 その際、何かのはずみで通信機のスイッチが入ったらしく、アンジュの声がこっちにも聞こえてきた、んだけど……

 

『私は……私が、生きたい……まだ……!』

 

『お、お前……お前が……!』

 

『お前が死ねぇえええっ!!』

 

 なんかすごい気迫で叫んだかと思うと、パラメイルが変形して人型になり……そのまま、凄まじい勢いの連続攻撃でドラゴンを落としてしまった。

 

 え、何じゃ今の……こないだと全然違うんだけど。めっちゃ強いじゃん。

 

 そこからはもうアンジュ、機動部隊と合流して大暴れである。何かが吹っ切れたかのように。

 

 あっという間にドラゴンを撃墜あるいは撃退して、戦闘は終了した。

 

 その後、夕食の席でアンジュを見かけたんだけど……髪がショートヘアになってた。

 あれ、ちょっと前までロングだった気がしたんだけど……いつの間に切ったの?

 

 それと、戦闘後に今回合流した、新顔の方々との顔合わせも行われ、僕もその場に呼んでもらったんだけど……だめだ、顔も名前も全然思い出せん。Zにいたっけ?

 

 少なくとも、『ダブルゼータ』なんてガンダムは初めて聞くので、そのパイロットであるジュドー君とやらは初めて見る、知らない人のはずだ。

 

 一方、『ゼータ』の方は知っているけど、パイロットは、名前でからかうとキレるあの人だったはず。なんでかわいい女の子が乗ってるんだろ。乗り換え中?

 

 ともあれ、今日の襲撃は被害らしい被害もなく無事に終わったわけだ。

 

 けど……食堂で感じた、第一中隊の面々とアンジュとの間の、不協和音が聞こえてきそうなほどに不穏な空気を見る限り……まだ一波乱……いや、二波乱、三波乱くらいはありそうである。

 

 

 

【○月&日】

 

 アンジュが復帰し――というよりは、ようやく正常稼働し始め――ようやく本来のメンバーがそろったパラメイル第一中隊だが……ぶっちゃけその内部の空気は最悪である。

 

 理由は言わずもがな。先の戦いで、前隊長とココが死んだ戦犯であるアンジュが、よく思われていないためだ。

 

 前の隊長を慕っていたらしいヒルダ、クリス、ロザリーは表立って不満をあらわにし、口で突っかかって行くのはもちろん、なんかいじめじみた嫌がらせとかもやってるっぽいし。

 

 ミランダの方は、ヒルダ達ほど直接的に言ってはいないものの、不満自体は隠そうとはしていない。親友であるココが死んだのがアンジュのせいだってことで、やはりよくは思っていない。

 

 そんな隊員達の状況を見て、サリアは今日も頭を抱えている。がんばれ隊長。

 

 あと、ヴィヴィアンとエルシャは特に何もないようだ。

 先日の一件に思う所がないわけではないようだけど、彼女達曰く、『アンジュは既に償いは終えた』とのことで、それ以上追求しようとは思わないらしい。

 

 ここアルゼナルでは、戦死者が出た場合は、生き残った者がその者達の墓を買って立てる、というのが、ある種のしきたり、ないし掟なんだそうだ。

 

 アンジュは既に、この間の戦いで死んだ2人分のお墓を買って、それを自分で荷車で運んで、共同墓地に置いた。それで、務めは果たした、ということらしい。戦死者が絶えないアルゼナルらしい掟だな。

 

 なお、主にヒルダ達からの嫌がらせなどについて、アンジュはただただ、なされるがままになっている…………なんてことは全然なくて、バリバリ反撃している。

 戦場で錯乱していたのが嘘のようなパワフルっぷりである。変わり過ぎじゃなかろか。

 

 元気になったことはよかったかもしれないが、正直いつか刃傷沙汰に発展するんではないかと気が気じゃないです。女の戦い、怖い。

 

 特にヒルダとアンジュは、なんか上手く行けば仲良くできそうな気がするのにな……声的に。

 ……仲良くしたらしたでやべーことになりそうな気がしなくもないが。

 

 さて、それとは対照的に、ここに新しくやってきて『独立行動部隊』に協力することになったジュドー達は、すぐに皆に溶け込んでいた。

 

 知り合いであるハサウェイ達がいたことも理由として大きかっただろうけど、もともとどっちも人と壁を作らない感じの性格の人が多かったからな。

 

 トビア達も混ざって『ガンダムがいっぱいいるな』なんて笑い合ったりしていた。

 

 考えたらすごい話だよな。3つの世界のガンダムがひとところに集まってるんだから。

 ……いや、まず並行世界3つ全部にガンダムがなぜ存在するのかって話だけど。

 

 けどそれだけに、パラメイル第一中隊の子達との温度差が……ちょっとひっどいことになってるんだが……こればっかりはなあ。外野が何か言ったところでどうにかなる問題でもないし。

 

 そして、そんな空気にもめげずにナンパを繰り返すいつもの面々。いっそ頭が下がる熱心さである。

 案外とあれが潤滑油になって両者のわだかまりが解消……しないか。

 

 

 

【○月*日】

 

 ある問題は解決し、ある問題は残ったままではあるが……その結末を見届けることなく、ひとまず僕はここを離れることになった。

 

 ……のだが、どうやら独立部隊もぼちぼち動き出すらしい。

 

 ここ最近、この近辺を探してはいたものの、『火星の後継者』の基地とかは特に発見できなかったので、日本に戻るつもりなのだという。

 

 ただ、先に述べた戦力協力の件もあるので、いくらかはここに残していくらしい。少なくとも、アルゼナルの防備の再編成が終わるまでは。

 

 つまり、部隊を一時的に2つに分けると。

 スパロボ名物ルート分岐ですねわかります。

 

 日本に戻るのは、勇者特急隊とナデシコ、それにジュドー達MS組。引き続き『火星の後継者』を探しつつ、日本の方の様子も見る、と。

 

 対してアルゼナルには、ソレスタルビーイングとミスリルの面々が残る。

 あと、総司さんとナインもこっちに割り振りになったそうだ。

 

 僕はというと……僕が帰る先は『サイデリアル・ホールディングス』本社、つまりは東南アジア方面なので、どっちでもないのだが……ミスマル中将に色々と報告に行くので、まずは日本にはいくことになる。

 

 離脱自体は僕は一足先にすることになりそうなので、一応皆に挨拶しておいた。

 『気を付けていけよ』とか『次は一緒に戦おうな』なんて声をかけてくれたりした。

 

 総司さんは、日本に行ったら千歳ちゃんによろしく、とのことだった。

 

 パラメイル第一中隊の面々は……相変わらず、ヴィヴィアンとエルシャ以外は素っ気ない感じだったけど。もう慣れたな。

 

 そんな風に、概ね皆、軽い感じで送り出してくれたものの……ただ1人、ミランダだけはちょっと違う感じで。

 誰かから聞いたのか、こっちが挨拶に行く前に『帰っちゃうんですか!?』って詰め寄ってきた。

 

 彼女、最初に助けて以降、なんていうか……懐いてくれた感じがしてるんだよね。

 

 前にも言ったかもしれないけど、ここにいる間よく話しかけてきてくれた。

 頻度とか回数では、メイルライダーの中では一番……いや、視界に入るたびにポケモントレーナーよろしく声をかけてくるヴィヴィアンには負けるかもしれない。

 

 ただ単純に慕ってくれてるとかなら、まあ嬉しいけど……それにしちゃどことなく態度が不自然だったりする部分もあって……

 穿った見方でなければ、親友であるココを失った悲しさを紛らわすために、新しい交友関係を築こうとしてる、のかも。僕以外にも、第一中隊のメンバー達にも、機会を見つけてよく話しかけてるみたいだし。

 

 まあ、悲しみからの立ち直り方の1つだと思えば、それもありか。

 

 挨拶に来た時は、すごく残念そうにしてたけど……最後には皆と同じように『気を付けて行ってくださいね』『またきっと来てくださいね!』と言って送り出してくれた。

 

 

 

 ただ、帰る前にちょっとばかり用事を済ませた。

 

 ここに来る前、ネルガルの会長から……『きちんと武装していけ』と言われていたわけだが……実はその他にもう1つアドバイスをもらっていた。

 『商品としての『武装』も持っていくといい』というものだったんだが……その理由が、ようやくわかった。

 

 ここアルゼナルには、『ジャスミンモール』という、大型商業施設?みたいなところがある。

 

 名前の通り、ジャスミン、という名の女性(もちろんノーマ)によって運営されている場所だ。

 メイルライダー達は、ドラゴンと戦って報酬――『キャッシュ』を得て、それをここで使い、色々と買い物をしたり、飲み食いしてストレス発散するらしい。

 

 『アルゼナル』では、所属するノーマに対し、最低限の衣食住は保証ないし支給するものの、本当に最低限であり、食事もまずいオートミールみたいなもの。

 なので、贅沢がしたければドラゴンを狩って『キャッシュ』を稼ぎ、自分の金で買え、というシステムなんだそうだ。

 

 ……なんか、どこぞの地下王国のシステムによく似てるな……とか思ってしまった。

 わずかな報酬(ペリカ)を物販とギャンブルで搾り取るあれにそっくりである。

 

 しかし、こちらの管理者であるジャスミン女史は、『ノーカン! ノーカン!』とか言いそうなアコギで怪しい感じではなく、ちょっと痩せ気味の普通のおばちゃん、って感じの人だった。

 

 なお、戦死者が出た時に『買う』墓石もここで売ってるらしい。すごいなジャスミンモール。

 なんか聞いたら『ブラジャーから列車砲まで何でもそろう』がキャッチコピーらしい。いやほんとすげえな。

 

 そしてそう、なんと武器も売ってる。

 というか、メイルライダー達の機体は、『ノーメイク』と呼ばれる初期の状態から、自分で稼いだ金で武装を追加したり、好きな色に塗装したりしてメイキングしていくんだが、その武器や塗料もここで買うのだ。

 

 ジャスミンさんはどうやら、こういう商品を独自のルートで調達するらしいんだが、そのルートの1つがアカツキ会長、ないし『ネルガル』だったようだ。

 

 そして、僕に武器(商品)を持っていくことを進めたのは……取引先として彼女を紹介する、あるいは彼女に僕を紹介するためだったわけね。

 

 商品を見せたら、『なかなかいいもん扱ってるね』と興味を持ってくれたようだった。

 

 ただし、今回持って行ったのは割とオーソドックスな武装ばっかりだったので、取引対象として成立したものは、残念ながら少なかった。

 

 けど、『面白いものを持ってきたらいい値段で買うよ』とのことだったので、次に期待してくれるようだ。

 それに加えて、『こんなのがあれば調達してほしい』という簡単な要望リストももらった。

 

 ふむ……思わぬところで商売相手ができた。

 次に来る時にはお望みのものをそろえていくとしよう。

 パラメイルに搭載可能なサイズの武器にしぼって持っていく必要はありそうだけど。

 

 

 

 そんなこんなで、期間としてはそんなに長くはなかったものの、予定よりもそこそこ長めに滞在することとなったアルゼナルを離れ、一路『サイデリアル』本社へ、そして日本へ出発した。

 

 

 

 

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