気を利かせた番外編でも特別編でもなんでもないけど投稿です。
今回からちょっと、オリジナルパートっぽいものに入ります。
スパロボVでは、いつの間にか終わってた的な部分にちょっと、うちのミツル君を介入させてもらいました。
……原作と何かちょっと矛盾とか違うところあったら、それはスパロボ時空だからということでひとつ……(汗)
では、第26話、どうぞ。
【×月@日】
無事地球に帰還。
連邦軍に今回の仕事の顛末と、ついでに帰る途中に襲われた連中についても話しておいた。
そしたら、連邦軍からもそいつらの情報をもらうことができた。
というのも、他ならぬ『独立部隊』が、宇宙でそいつらに遭遇していたらしくて、そいつらに関する情報が報告されていたのである。
あのグーリーって奴とも遭遇済みで、その時はなぜか総司さんがやたら目の敵にされていたらしい。
問題なく勝ちはしたものの、それなりに苦戦したようだ。
……ちょっと失礼な話、そんなに強かったかな、って思ったんだけど……あっちは部隊でいるところを、それを承知で襲ったためか、無人機も僕の時よりかなり数が多かったみたいだ。
加えて、直前に襲撃してきた『火星の後継者』とも戦っていたみたいだから、多少なり消耗もあったってことだろう。
そして、あいつらの組織の名前……それがなんと、『ガーディム』だってこともわかった。
すさまじく聞き覚えのある名前である。
……どうりで連中の機体に見覚えがあったわけだ。
アレ、僕が今、生産拠点として使わせてもらってる『バースカル』の元の持ち主だったのか。
生産システムの設計データの中に、あれらの機動兵器のデータがあったんだ、そういえば。ちょっと見ただけで出番なかったから、ほぼ完全に忘れてたけど。
えー……お世話になってるから『会えたらお礼言おう』とか思ってたけど、なんだよ、迷惑連中の1つみたいな感じなわけ、『ガーディム』とやら……
……これは、うん、仕方ない。
いらんトラブルを避けるためにも、今まで同様、『バースカル』の存在は秘匿して……こっそりこれからも使わせてもらうとしよう(確信犯のネコババ)。
あの連中に、戦力はともかく拠点として使える『バースカル』を渡すのは危険だしね。
しかし、そんな風に突っかかってくるとなると……これからも出くわすことになるのかな、あの『ガーディム』とやらに……。
それも、独立部隊も、僕個人も、かな? ……面倒だなー……
今火星に向かってる独立部隊が、現在いる面倒な連中の筆頭である『火星の後継者』の方を片づけてくれれば、少しは状況もマシになるだろうから、そっちに期待するか、ひとまずは。
【×月;日】
期待した途端に特大の凶報が飛び込んできた件。
いや、凶報かどうかはまだわからんけど……いやでも、詳細ないし正確な情報はわからなくても、よくない知らせであることは確かだからな……こう言うしかないだろう。
なんか、独立部隊が消息を絶った、らしい。
しかし、『火星の後継者』に返り討ちにされたというわけではない。
もしそうなら、連中は『地球連邦軍肝いりの部隊を撃破した!』って声高に喧伝するはずだし、偵察に向かった連邦軍の部隊の報告では、両陣営が激突したと思しき『火星極冠遺跡』の周辺には、戦闘の痕跡が残されていた。
しかし、残骸として放置されていたのは『火星の後継者』の機動兵器のみであり、ヤマトをはじめとした、独立部隊の機体なんかは撃墜を認められなかったとのこと。
しかも、『火星の後継者』が連邦軍の偵察機を見つけてもろくに迎撃もしてこなかったため、向こうも相当なダメージを受けているのは間違いない、とのことだった。
推測としては、独立部隊は『火星の後継者』との戦いには勝ったんだろう。
しかしその直後、何か予想外の出来事が起こって撤収ないし、その場を離れなければならないようなことが起こり……その状態から未だにこちらに連絡を寄こすこともできていない。
ミスマル中将は『彼らがそう簡単にどうにかなるはずがない』と信頼したことを言っていたし……僕自身も大丈夫だとは思うけども……本当に、何が起こったんだろうな、独立部隊に。
独立部隊については、推測する以上のことはもう何もできないので、このへんにしておく。
ただ、それとは別にもう1つ、凶報というか、よくわからないことが起こったという情報が入ったので、記しておく。
さっきまでの話とは完全に別な話になる気がするんだけど……少し前から、オーブの代表であるカガリ・ユラ・アスハ氏と、アザディスタン王国のマリナ・イスマイール氏が行方不明らしい。
どっちもそこまで詳しい身の上とか経歴は知らないけど、名前は知ってる。『Z』にも出てきたし。
世界各地にまだ戦乱の傷跡が残る中、平和を模索して色々頑張ってる人達だったはずだけど……何かあったのだろうか? ちょっと気になる。
最近だと、何やら『始祖連合国』の方でもきな臭い動きがあるって話だ。
行方不明になった2人とも、面会・対談の予定入ってたらしいし……けどそのことについては、『我々は何も知らない』と、ミスルギ皇国の皇帝・ジュリオは突っぱねている。
どれもこれも、よくないことの前触れな気がして、不安だ。
ゲームシナリオだと大概、こういう時って怪しい連中が暗躍してて、その影響だったりするからな……。
あとどうでもいいけど、あのミスルギの皇帝、そこはかとない小物感があると思えるのは僕だけだろうか。権力とか立場をかさに着て、めっちゃ得意になってるオーラが出まくってるし。
……どことなく、某神聖帝国の第三皇子に似てる気がする。分不相応な野心や傲慢が原因で途中でこの世からフェードアウトしたりして。なんてね。
【△月○日】
……とりあえず現状を整理しよう。
いきなりでなんだが、今僕は、『火星の後継者』の拠点かどこかに捕まって、軟禁されている。
特に暴行されたり、拘束とかもされてない。それどころか、ちょっとしたビジネスホテル並みに環境の整った部屋を与えられて、妙なことをしなければ自由にしていていい、とまで言われている。
ネット環境とかはないし、携帯電話を始め、外に繋がるものは一切取り上げられてるけど。
また、部屋から出ることはできないし、監視カメラによって24時間監視されている。窓もないから、ここがどこなのかもわからない。下手したら地下かな?
この日記は取り上げられなかったので、精神を落ち着ける+状況を整理する意味で、今こうして書いているという感じだ。
どうしてこんなことになってるのかと言うと……奇襲を受けて、誘拐されたから、としか言えないな。
すでに2日経ってるので、もう一昨日の話になる。
僕はその日、ネルガルとの打ち合わせのために、指定された場所を訪れていた。
そこで、ネルガル側の代表として来た、月臣元一郎さんという人――見るからに只者じゃない的なオーラを漂わせている、シュッとしたイケメン。強そう――と、その部下の人達と、情報交換やら何やらをしてたんだが……そこに突然、『火星の後継者』が襲撃をかけてきたのである。
しかも、打ち合わせをしている建物の周囲を取り囲むように、ピンポイントで『ボソンジャンプ』を使って、機動兵器を送り込んできた。
……なるほど、連中が語る『ボソンジャンプの危険性』ってのもうなずけるなこれは、なんて、思わず納得してしまう。
この精度で一気に飛んで、標的との距離をゼロにできるとなれば……戦略ってものが根本からひっくり返るし、こんな風に誘拐やらテロに使われたら厄介すぎる代物だ。
実際、相当な手練れであるらしい月臣さんや、ネルガル・シークレットサービスの人達が何をする暇もなく囲まれてしまったわけだし。
ただ、なぜか連中、月臣さんを見て戸惑ってる様子だったのが気になるが……知り合い?
その後は、『無要な犠牲を出したくなければ我々に従え』との要求である。
当然、周囲には何も関係ない一般人も大勢いて、さも当然のようにその人達も人質にする形で……やっぱロクデナシだわこいつら。
そんな状況では流石に抵抗することもできない。
幸いと言っていいのか、連中が要求してきたのは僕1人の身柄だけだったし、ひとまず大人しく従うことに。
……その時に迎えに来たのが、あの北辰って奴とその部下達だったあたり、いい趣味してやがるホントに……!
いや、ただ単純に白兵戦で返り討ちにされて逃げられないようにだったのかもしれないけど。
こないだと同様の薄気味悪い笑みを浮かべながら、月臣さんやミレーネルも残して僕は誘拐され、目隠しをされて何かに乗せられ――車、ではなかったと思う。浮遊感あったし、飛行機能のある輸送艇か何かかな――運ばれ……気が付いたらここだったというわけだ。
手荷物検査を受けた上で、簡単な説明を受け、『しばらくここで大人しくしていろ』と、この部屋に放り込まれて現在に至る。
さてさて……連中、一体何の目的で僕を誘拐したんだか。
身代金を取って資金源にする? それもありえなくはないけど……機動兵器出してまでやるかと思うと、違う気がする。
となると。こないだと同じく……目的はアスクレプス、ないし、僕が保有している兵器類の技術とかだろうな。既存の技術体系からすると、どう見ても異質な兵器やらシステムやら色々と搭載してるし、気になるんだろう。
上手く利用すれば、地球連邦相手により有利に立ち回ったり、こないだ起こったであろう戦いの損害を取り戻せるかもしれないとでも考えたか。
……実際にそれ(日記はここで途切れている)
☆☆☆
日記を書いている途中で部屋のドアが(ノックもなく)開き、『出ろ』と言われて呼ばれたミツルは、兵士の案内に従って歩き……応接室のような部屋に連れてこられていた。
そこに待っていたのは、『火星の後継者』の指導者たる立場にある、草壁春樹。
その部下である、シンジョウ・アリトモとヤマサキ・ヨシオ。
護衛としてだろうか、壁際にはさらに複数人の部下と、北辰も待機していた。
まさに四面楚歌と言っていい状況の中、案内されるままにミツルは部屋の中央に置かれた卓につく。ソファはそれなりにいい品のようで座り心地はよく、この光景だけ見れば、単なる企業や団体の重役同士の会合、に見えなくもない。
実際は、拉致された側と拉致した側の、あらゆる意味であまりにも不平等な戦いの場であるが。
『まずは挨拶させていただこう』と、草壁達は、自身と部下達の簡単な自己紹介をした後、すぐに本題に入った。
「早速だが、星川ミツル君。君に我々の協力者となってもらいたい」
「……ご気分を害するのを承知の上であえて聞きますが……テロ行為に加担しろと?」
語感的には大分柔らかく言っているものの、明確に非難する形で言ったミツルの言葉に、壁際に待機している部下の何名かや、卓についているシンジョウが、僅かに表情を歪ませた。
が、おそらくこの反応を予想していたのであろう草壁と、もともとこういうことで感情を乱すタイプではないヤマサキは、涼しい顔のままだった。
草壁が今の言葉を問題にする気はないとわかり、シンジョウ達の表情もすぐに元に戻った。
「テロ行為か……なるほど確かに、世間一般から見れば我々の活動はそのように見えるのだろう。いや、実際に非難されても仕方のないことを多くやっているからな。しかし我々は、それらの行為は、人類の未来のために必要なものであるという確信をもってこの身を投じている」
語気を強めも荒げもはしないが、意思と力のこもった声で、草壁は話し始める。
自分達の活動は、ひとえに『ボソンジャンプという技術の持つ危険性』を、正しく人々に、世界に認識させるためのものなのだと。
地球連邦では、ボソンジャンプを単なる有用な移動手段としてとらえ、地球内外の各所に置いた『チューリップ』をステーションとして使い、人類が広くその恩恵にあずかれる形で活用していこうと考えた。
しかし草壁曰く、ボソンジャンプはそのように楽観的かつ簡易的な管理で放っておいていいものではない。もっと厳格に管理しなければならないものだ、と言う。
「その危険性は、君が身をもって体験してくれたことと思う。こうして手荒な形でここに招待したことは申し訳なく思うが……率直に聞こう。我々の『迎え』が行った時、君はどう思ったかね?」
「……稚拙な言い方ですが、こんなんありかよ、と思いましたね。防ぎようがない、と」
「まさしくその通りだ。ボソンジャンプは確かに有用な技術ではあるが、あのような形で軍事転用された場合、時としてその脅威性は核兵器すら凌駕するだろう。実際に我々も、やむを得ず今まで何度かそれを利用した戦術を展開してきたものの、そのほとんどで、相手側にろくな抵抗も許さず大打撃を与えることに成功している」
(『やむを得ず』ね……よく言うわ。そして、『ほとんど』じゃない一部の例外は……総司さん達だろうな。日本で何度か、ボソンジャンプで跳んで襲ってくる連中を返り討ちにしたらしいし)
思い浮かんだ悪態は、口に出さずに心の中に留めていたが、実際ミツルの推測は当たっていた。
安直に『ボソンジャンプ戦術』とでも言うべき、機動兵器をボソンジャンプできなり敵中枢へ送り込む戦い方は、破壊にしろ制圧にしろ、あまりにも有効だった。
例外的に、ほぼゼロ距離で出現する敵機にすら即時対応して反撃し、返り討ちにできるレベルのエース級がそろった、『ナデシコ』をはじめとする独立部隊の面々にだけは、通じていなかったが。
そして草壁は今一度言う。
あの技術は、極めて厳重に、厳格に管理されなければならない、と。自分達はそのために立ち上がったのだと。
「我々はこの戦術を用いて、地球連邦を『無血開城』という形で制圧するつもりだ。連邦政府の要人が集まる議会の場に、ボソンジャンプで機動兵器を送り込んで即時制圧し、降伏させる。そうすれば、無用な犠牲を生むこともない、一発の銃弾すら必要なく、連邦政府は我々の手に落ちる。君には、その手伝いをしてもらいたい」
「『サイデリアル・ホールディングス』……立ち上げから僅か2年で、東南アジア全体でも有数の大企業にまで上り詰めた出世頭。お噂はかねがね聞いていますよ。その手腕と技術力にあやかれればと思いましてね」
草壁に続く形で会話に加わってきたヤマサキ。
技術者でもある彼は、これまた率直に、自分達がミツルに求めるものについて言及し始めた。
躍進著しい『サイデリアル』の持つ技術力の提供や、兵器類をはじめとした物資その他の『火星の後継者』への援助。
その他、フロントとして様々な役割を担ってほしい、とのこと。
盛大にこちらを、企業ごと利用する気満々なその内容を聞いて、頬をひくつかせるミツル。
「特にあの白い機動兵器は興味深いですね、既存の技術体系とは全く異なるテクノロジーがいくつも使われているのが、見ただけでわかりましたし。ああもちろん、こちらだけが得をするような形にはしませんから安心してください。きちんとあなた方にも大きなメリットがありますよ」
「……例えば?」
「世界経済の覇者に名を連ねる大企業になれます。今まさにその名を轟かせている、ネルガル重工や旋風寺コンツェルンを押しのけて、ね」
現在、『火星の後継者』には、ネルガル重工と敵対する関係にある『クリムゾングループ』をはじめとした、複数の支援者が存在する。
それらは一様に、『火星の後継者』の宿願が成った暁には、地球連邦およびその関係機関における公共事業その他の発注等を、ほぼ独占に近い形で取りつけるという約束を、あるいはそれに近いリターンを約束する取り決めを交わしている。
目論見通りに地球における影響力を確保できさえすれば、なるほど確かにそれも不可能ではないだろう。
完全に職権乱用、市場経済における公正な取引に後ろ足で土をかけるやり方ではあるが、草壁達は『それも必要なこと』だと考えて疑わない。
ゆえに、会話の中で少々黒い内容のそれが混じるくらいのことを、問題にもしない。
「まあ、ハイリスクハイリターンな投資みたいなものだと思ってくだされば。損はさせませんよ? 自発的に色々と協力していただければ、我々も面倒がなくて楽でいいですし」
「……参考までに聞きたいんですが、もしお断りした場合は?」
「その時は……参考までにお教えしますが、協力したくなるようにまあ、色々と」
声の調子を全くと言っていいほど変えずにさらりとそう言ったヤマサキ。
ミツルの中で、『あ、こいつ外面は普通だけど中身絶対ヤバいな』という評価が出来上がった。
さらに、壁際に立っている北辰の笑みが一瞬深まったように見えたのも、より一層気が滅入る原因になった。
(想像したくねー……)
すると、草壁はふいに手首にはめていた腕時計を見ると、
「……今すぐに答えを出せとまではいわないが、なるべく早く決めてくれるとこちらも助かる。部屋でじっくり考えてくれたまえ」
どうやら何かしら予定が詰まっているらしく、草壁は言いながら席を立った。
そのまま扉から出て行こうとして、しかし、『それと』と立ち止まって振り向いて、
「一応教えておくが、助けが来るなどとは思わないことだ。この拠点の所在は、外部に対して徹底的に秘匿しているし……連邦の虎の子であるナデシコ部隊は、どこへ行ったやらわからない状況だからな」
そう言い残して、草壁は部屋を出て行った。
その後すぐにミツルも、案内役の兵士達に促され、元の部屋に戻されたのだった。