Z世界だと、破界篇とかのセリフの中で名前が出てくるときは『リヴァイブ』ですけど、天獄篇になって再登場したときは『リヴァイヴ』みたいなんですよね。強化パーツとしての名前もそうなってるし。なぜだろう……?
いろいろ考えましたが、この世界では『リヴァイヴ』でいきます。
今後ともよろしくです。
その日、テンカワ・アキトは、宿敵である北辰に手紙で呼び出され、1人、人目につかない孤島を訪れていた。
手紙の内容は、一対一の決闘を申し込むというもの。早い話が、果たし状である。
アルゼナルの職員の1人である、整備士のメイに手紙を渡しており、『いつでも貴様の仲間を殺せる』という脅迫でもあった。
奇しくもごく最近、同じようにジョーから果たし状を叩きつけられて決闘に赴いた、旋風寺舞人と同じような状況となった。
しかし、決闘に臨む者の内面、ないし魂胆は見事に対照的なもの。
アキトが『ブラックサレナ』に乗り、指定された場所に赴いた直後、北辰は1人だけではなく、隠して潜ませていた『北辰衆』に加え、何人もの『火星の後継者』の構成員が、同じように機体に乗った上で彼の前に立ちはだかった。
はなから決闘などするつもりはなく、全てはアキトを捕らえ、ボソンジャンプを運用するためのA級ジャンパーとするための罠。
予想通り、仲間達に何も話すことはなく、予想通り1人で来たアキトを、後は総出でとらえて連れ帰るのみ……と、北辰たちは思っていた。
しかし、その計画は……同じように機体を隠してついてきていた、アキトの仲間達……『ナデシコ部隊』をはじめとする、独立部隊の面々が姿を見せたことで、見事に頓挫することとなる。
「ぬうう…馬鹿な! 隊長が作戦を読み違えただと!?」
「奴は仲間には告げず、必ず一人で来ると踏んだというのに……!」
「テンカワ・アキト! 貴様には矜持というものがないのか!」
「そんなものは犬に食わせた」
バッサリと一言で斬り捨てるアキトと共に並び立つ、ヴァングレイやソレスタルビーイング、ダイターンにザンボット、パラメイル第一中隊といった仲間達。
こうなれば力ずくでと始まった戦い。
後がない『火星の後継者』達は必死で攻めるものの、卑怯な手段でアキトを闇討ちしようとしたことへの怒りに燃えるスーパーロボット軍団の前に、ほとんど相手にもならずに散っていく。
しかしその戦いの最中、北辰が防衛網を突破して、中枢である戦艦『ナデシコB』を強襲。
直ちに大破するようなことこそなかったものの、動力部その他に致命的なダメージを受け、もともと寿命間近だった艦は、轟沈寸前というところまで追い込まれてしまう。
その上、後づめとして控えていたと思しき敵の増援までも到着し、絶体絶命かと思われた。
だがその時、突如として戦場に、見覚えのないナデシコタイプの戦艦がボソンジャンプで出現。
原則、A級ジャンパーのナビゲートなしでは、ボソンジャンプは使用不可能。しかし、『火星の後継者』がボソンジャンプの独占をもくろみ、次々とA級ジャンパーを拉致もしくは暗殺したため、最早A級ジャンパーとして確かな能力を持っている者は、ほとんどいないはず。
ナデシコ部隊にも、同行してくれているアキトや、本当の非常時にそれを務めてくれた万丈のみである。
では、明らかにネルガル製であろうあの戦艦に乗っているのは、一体誰なのか。
皆が疑問に思う中、通信用のスピーカーを通して聞こえてきた声はなんと……
「ユリ、カ……?」
「そう! あなたの可愛い奥さんのユリカだよ! ぶい!」
『火星の後継者』に捕らわれの身となり、行方不明になっているはずの、アキトの妻……ミスマル・ユリカその人だった。
予想外にも程がある展開に驚きつつも、ルリ艦長の指示により、すぐさまナデシコBから、ユリカが引っ提げて現れた『ナデシコC』への引っ越しが行われ、さらにその勢いのまま、ルリ艦長によるクラッキングと、主砲『グラビティブラスト』によって、今しがたやってきた敵の増援は一瞬にして壊滅。
流れは再び、独立部隊側に傾くこととなる。
そして、そんな中……さらに戦場に波紋を立てる展開が待っていた。
「あーもー、今はこいつら片づけるのが先だ! でも一体どういうことなのか、ちゃんと後で聞かせてもらうからな、ユリカ!」
「そいつは同感。ま、大方あの落ち目の会長さんが色々やってたんだろうとは思うけどな……今回ばかりは素直に礼を言ってもいいかもしれねえ」
リョーコとサブロウタの、文句を言いながらも、表情にも声音にも喜色を隠しきれていない、そんな言葉に対して、ユリカはというと、
「もちろん、ちゃんと説明するから安心して。あーでも、会長さんだけじゃなく、ミツル君にもお礼言わないとね。まだ私、通信でしか会えてないし」
「……うん? ユリカ、今何て? え、ミツル?」
思わずと言った調子で声を上げたリョーコ同様、その名前を通信越しに聞いた仲間達全員、『なぜここでその名前が?』と困惑を隠せない。
その一瞬の動揺を隙と見て、不利な戦局を打開すべく、北辰衆の乗る機体『
「隙ありだ! 落ちろ、エステバリス乗り!」
「ところがぎっちょん!!」
そんなセリフ――ある事情で一部のメンバーにとってはあまりいい思い出のない――と共に、突如として洋上に、ボソンジャンプして現れたのは、白い機体……『アスクレプス』。
跳躍を終えた瞬間に加速したアスクレプスは、エステバリスに襲い掛かろうとしていた六連目掛けて突っ込み、剣を一閃。
その一撃は、ディストーションフィールドと錫杖の組み合わせで防御されてしまうが、それと同時に迂回するように回り込んできた、蛇のようにうねる砲身が、六連の目の前で鎌首をもたげ……エネルギー弾を連射。
フィールドを貫いて直撃したそれによって、機体は火を噴き……トドメとばかりに叩き込まれた蹴りによって、大破・爆散して落ちていった。
「お前は……」
「お前……ミツルか!? 何で、それ……」
なぜここにいるのか。
なぜボソンジャンプで現れたのか。
なぜミスマル・ユリカが彼のことを知っていたのか。
アキトと総司が言いかけて、しかし疑問点が過剰にありすぎて言葉が続かなかった。
それを察するかのように、ミツルは早口で言い放つ。
「さっきユリカさんも言ってた通り、後で全部説明します。なので今は……こいつらの息の根を止めるのが先ってことで、お願いします」
言うなり、北辰の乗る『夜天光』と、それに従うように構える『六連』の残りに向けて、手に持ったブレードを突きつけるように構える。
通信越しのその声には、抑え込んで、努めて冷静になるようにはしているようだが……隠しきれない怒気が込められていた。
☆☆☆
【△月%日】
完・全・勝・利!!
ようやく『火星の後継者』との戦いに……というか、連中の止まらない迷惑行為に、終止符を打つことができた。あー、すっきりした。
僕らがやったことといえば、単純である。
ユリカさん救出作戦の時と同じように、連中の本拠地(仮)を襲撃し、制圧した。それだけだ。
ちょうど北辰達が出払っていた……アキトさんの襲撃・誘拐のために出ていたタイミングだったので、抵抗らしい抵抗もなかった。
まあ、偶然そうなったわけじゃなく、もちろん狙ってそうしたんだけどね。
連中にとっては、起死回生の一手だけに、出し惜しみせず残存の戦力をアキトさんの誘拐に投入していた。しかしその分、守りは手薄になっていたわけだ。
しかも、ネルガル・シークレットサービスの人達……白兵戦も強いのな。
特に、月臣さん。『木連式・柔』とかいう技術らしいけど、武装した構成員がもう、てんで相手になってなくて。
そのまま一気に、最深部にいるあのほうれい線……じゃなくて、草壁達のところまで攻め込み、幹部格を全員逮捕して、この闘いに決着をつけた。
ちなみに、僕は主に、アスクレプスで外の警戒をしていた機動兵器の相手をしていて……しかしそれもすぐに終わったので、増援が来ないか外で見張ってた。
そのため、最後の白兵戦には参加してない。通信越しに状況を見て、聞いていただけだ。
素人の僕がこんな大捕り物に参加したって、邪魔なだけだしね。出来る範囲のことで協力させてもらった。
それとほとんど同時に、ネルガルの方から『ナデシコBがピンチなのでナデシコC投入します』という連絡が入ったので、なら僕も手伝いに行くかってことで、アスクレプスでジャンプ。
戦場に乱入し、出会い頭に北辰衆の機体を一機叩き落させてもらったわけだ。
その後は、独立部隊の皆さんと一緒に連中との決戦である。
ユリカさんの帰還にテンションMAX状態となった皆の力はもう凄まじく、今回は1機たりとも逃さず撃墜させることができた。
北辰の乗る『夜天光』も、アキトさんの『ブラックサレナ』が、激闘の末に撃破した。
ディストーションフィールドを纏って突っ込んで……しかも縦横無尽に、すごい勢いで追撃もかまして……目で追うのが大変だったよ、あの2人の戦いは。
最終的に、それも決着したわけだけど……機体は落としたものの、北辰とその部下達は脱出したらしく、身柄を抑えることはできなかった。
まあ、機体がなくなった上、後ろ盾でもあった『火星の後継者』も、今度こそ完全につぶれたから、大したことはできないと……いや、あいつら個人の戦闘能力もヤバいんだよな……
今後、ゲリラ的な犯罪者にならないかどうか、ちょっと不安であるが……まあひとまずは、今回のこの勝利を喜ぼう。今日くらいはそれでいいじゃないか。
戦いの後、一時はアキトさんは、『俺はもう昔の俺では(略)』『ユリカが無事ならもうそれで(略)』的なことを言って、ユリカさんに会わずに行ってしまおうとしたんだけども、そこはユリカさんやナデシコチームからの猛プッシュが入り、最終的には根負けして、きちんと戻ってきた。
ナデシコの格納庫で、ブラックサレナから降りて夫婦が再会して……うん、思い出しただけでもちょっと泣けてきそうな……うん、いい光景だった。
やっぱり愛し合う2人は幸せになってほしい、ならなくちゃいけないってもんだよ、うん。
誰が言ったセリフだったか……一流の悲劇より、二流のハッピーエンド。全くその通りだ。
アキトさんもユリカさんも、末永くお幸せに。
というか……なんか今後、独立部隊に参加するっぽいしね、ユリカさん。やる気満々だしね。
戦術アドバイザーとか、ボソンジャンプ使用時のナビゲートとか、色々兼任で……なんかバッチリ制服っぽいのも着込んでるし。いつ用意したのそれ。
ついこの間まで悪の組織にとらわれてて、病院で療養とか検査とかリハビリしてたはずだってのに……行動力あるなこの人妻。
夫婦で世界を守る戦いに参加するのか、何かすごい……いやでも、ソレスタルビーイングには、親子でメカニックとかやってる人もいたっけ?
まあ、心強い味方が出来たと思うことにしよう。
ナビゲーターとしてナデシコCに乗艦するなら、アキトさんなしでもボソンジャンプも使えるようになるだろうし。
そうそう、ボソンジャンプと言えば。
テンカワ夫妻の再会の後、今度は僕が質問攻めにされる番だった。
もちろん、これこれこういうわけで、『火星の後継者』は壊滅させて、ユリカさんも救出してました。けど奪い返されるのが怖いから、ギリギリまで情報は隠してました、って、きちんと全部説明したよ。そして、アキトさんにもきちんと頭下げて謝ったよ。黙っててすいませんって。
アキトさんも、そういうことなら仕方ない、ってわかってくれて、許してくれた。よかった。
まあ、そのあたりの事情はすぐに、他の人達も含めてわかってもらえたけど……むしろ皆さんの関心が向いていたのは、僕がいきなり戦場に『ボソンジャンプ』で現れたことだっただろう。
『火星の後継者』がやっていたように、A級ジャンパーを『人間翻訳機』にして片道のジャンプをやったわけでもないだろうに、どうやって僕がジャンプできたのか。
当たり前だが、僕もミレーネルも、A級ジャンパーではありません。
その秘密は、この間完成させた秘密兵器『リヴァイヴ・セル』である。
以前日記にも書いたと思うんだけど、この強化パーツは、人間の意思をよりダイレクトに機体に伝えることができるようになる、サイコフレームの類型とでも言えそうなものだ。
こいつを『アスクレプス』に搭載することで、僕のイメージを『演算ユニット』とやらに届けることができるようになった。それは、A級ジャンパーのナビゲートと同様の効果を発揮する。
結果、僕は『アスクレプス』単体でボソンジャンプできるようになったのだ。
それを教えた時、独立部隊の皆さんは、やはりというかとても驚いていた。
そして、『これでもっとボソンジャンプが使いやすくなる』と歓迎する声もあり、『不特定多数の人間がボソンジャンプを使えるようになるのは……』と危惧する声もあり……まあ、このあたりの反応は予想通りである。
自分で言うのも何だけど、結構なブレイクスルーだと思うしね、この発明。
今回『火星の後継者』が多用していた、『ボソンジャンプ戦術』のことを考えれば、不特定多数の人間……それこそ、テロリストとかも含むであろう人達がコレを使えるようになるのであれば、それは決して歓迎すべきことではないわけだし。
……しかし、僕はそうは思っていない。
そうはならない、なりようがない、と確信している。
確かに、『リヴァイヴ・セル』と『ボソンジャンプ』を組み合わせて使うことができれば、極端な話、A級ジャンパーとか関係なく、誰でもボソンジャンプを使えるようになる。
が、それはあくまで、『リヴァイヴ・セル』が使えればの話だ。
『リヴァイヴ・セル』を使えるかどうかは、結構向き不向きがあり、また人間だけでなく機体との相性もあるため、その時点で『使える人+使える機体』というのは限られる。
僕とアスクレプスは、幸運なことに大丈夫だった。あと、ミレーネルも。
加えて、『リヴァイヴ・セル』を動かすには、エネルギーとして『次元力』が必須である。
『リヴァイヴ・セル』に、単独で次元力を生み出す力はないから。
……本家本元の『リヴァイヴ・セル』なら別だが、今回は安全性最重視で作ったので。
そして、現時点で、ではあるが……この世界で『次元力』を生み出せるのは、僕のアスクレプスと、『Dエクストラクター』などの、ごく一部の動力炉システムだけだ。
それだって、試作品として作った1基しかなく、それは『バースカル』に保管している。
というかそもそも、『Dエクストラクター』はもちろん、『リヴァイヴ・セル』も、僕は流通させるつもりはないので。将来的にも、全く。
完全に仲間内だけで使うつもりである。
……アカツキ会長からそれとなく購入や事業提携の打診が来ていたが、既にはっきり断った。
なので、『リヴァイヴ・セル』+『ボソンジャンプ』は、当面は僕だけの専売特許になりそうだ。
『サイデリアル』の秘匿技術に関わることなので、こればっかりは総司さん達が相手であっても開示も協力もできません、ってことで、はっきり言っておいた。
……万が一コレをナイン(前科アリ)あたりが無断で使おうとしたら、今度は許さない、とも。
ぶっちゃけ、まだ検証段階の技術なのは本当なので、仲間だと思ってるからこそ迂闊にこんなもん使わせられない、ってのもあるし。
何はともあれ、本日の大捕り物+感動の再会は、これにて無事全て終了と!
めでたし、めでたし。
追記
折角合流したので、このまま僕も、独立部隊の皆さんがいるアルゼナルに行くことにした。
丁度そろそろ補給物資持っていく時期だなって思ってたし、もうその準備はできてたし。
そして、『ボソンジャンプ』が使えるようになったことで、輸送の足がさらに速くなった。
具体的には、いつも使ってる輸送艦『グラーティア』にコアユニットとしてアスクレプスを接続することで、輸送艦ごとジャンプできるようになった。もちろん、中身も一緒だ。
ボソンジャンプで一瞬で物資を届けられる補給線……やばい、最強じゃね?
その気になれば、『サイデリアル』本社と、日本の旋風寺コンツェルンと、太平洋上のアルゼナルを、1日のうちに行き来することすら可能だ。
消費する燃料も、アスクレプスが生み出す次元力のみで済むので、むしろコスト抑えられるし。
……やばい、最強じゃね?(2回目)
Q.アスクレプスってもともと次元転移できるよね? ボソンジャンプ使う意味あるの?
A.どっちも一長一短あるので使い分けてます。
ボソンジャンプはこの世界にもともとある技術だから、奇異の目で見られることなく使える。また、イメージさえできればどこにでも比較的簡単に、複数人で跳べる。
欠点としては、跳躍のシステムを演算ユニット等の既存の装置に依存しており、それらの不調が機能の維持・利用にもろにかかわってしまう。また、ジャンプの規模ややり方によっては機体にも多少負担がかかる。
次元転移はアスクレプス単体で発動可能で、他者による妨害や干渉を受けづらい。また、今後ミツルの次元力制御能力が成長していけば、それに伴って能力も成長し、できることが増えていく見込みである。
欠点としては、ボソンジャンプとも量子テレポーテーションとも違う異質な技術だから注目されやすい。また、現時点ではアスクレプス単体での跳躍しかできない、ミツルが行ったことがある場所にしか行けないなど、ミツルがまだまだ使いこなせていないが故の制約もある。