スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第40話 力の反動

 

 

 宇宙から降ってきた『使徒』を無事撃破し、人類がまたしてもどうにか未来を勝ち取った……その翌日。

 

 独立部隊の面々は、引き続き第三新東京市の『NERV』にて、補給を受けながら滞在していた。

 

 先の戦いは、使徒だけでなく、西暦世界の敵である『DG同盟』や、その他無人機の軍団、そして何より、敵の首魁であるエンブリヲまでもが現れ、部隊全員にとって、火星極冠遺跡以来の激戦と言っていい戦いだった。

 

 修理を終えたガインの合流や、その後の『グレートマイトガイン』への合体、ドラゴン及びグレートマジンガー、『アルデバル』に乗ったミレーネルの加勢、そして戦いの中で覚醒し、圧倒的な力でエンブリヲを討ち取った『ヘリオース』の活躍と、いくつもの要因が噛み合った結果として、どうにか勝利をつかむことはできた。

 

 しかし、こちらが受けたダメージも決して軽いものではない。

 万全の状態で活動を再開するためにも、しばしの間、補給及び休息を必要としたのだ。

 

 そしてそれは、ロボだけでなく……『人』もまた然り。

 

 先の戦いで、敵の首魁であるエンブリヲを討ち取る大手柄を上げた、『アスクレプス』及び『ヘリオース』のパイロットである青年、星川ミツル。

 

 彼は今、ヤマトの医務室で……床に臥せっていた。

 

 

 ☆☆☆

 

 

【□月■日】

 

 目が覚めると、病室っぽい部屋でベッドに寝かされていた。

 

 リアルに『知らない天井だ』っていう場面に、しかも原作と同じく病院で遭遇することになるとは思わなかった。

 いや、正確には病院じゃなくて、艦内に設置された医務室だけども。ヤマトの中の。

 

 まあ、そんな風なことを考えられるのも、状況を理解した今だからであって……目覚めた直後は、いきなり見覚えのない部屋に寝かされてたから『!?!?!?』ってパニックになりかけたからなあ。

 

 けど、すぐ隣というか、ベッドのすぐ横に座っていたミレーネルが、目を覚ました僕にすぐさま状況を説明してくれたので、パニックにはならずに済んだけども。

 

 その彼女から聞いた話によると、どうやら僕、あの戦いの後……倒れたらしいんだよね。

 

 

 

 順番に振り返ってみよう。

 

 使徒……だけでなく、DG同盟とかエンブリヲとか、色々襲ってきてめっちゃ総力戦になり、世界が滅ぶってのにどいつもこいつも自分の都合で他人様に迷惑ばっかりかけてくるもんだから……その途中でブチ切れたんだっけな、確か、僕。

 

 その瞬間、体の中、奥の奥から、すごい勢いで何かこう……力のような、熱のような……上手く言えないけど、湧きあがってくるものがあるのを感じて。

 直感的にそれの使い方が分かった僕は、それに逆らわずに身を任せ……その直後、『アスクレプス』の封印が解かれ、真の姿『ヘリオース』に覚醒した。

 

 そこからはもう、勢いに任せて大暴れ。

 エンブリヲを消し飛ばし、ついでとばかりに他の敵……DG同盟や無人機部隊も吹き飛ばし、上空から落ちてくる使徒のATフィールドを焼き払って、そのままみんなと協力して撃破した。

 

 その戦いの中で、僕は、これまでとは比べ物にならないくらいに上手く『次元力』を使えて……それも、本質である『事象制御』により近い使い方をしていた気がする。

 

 極大火力の攻撃に加えて、敵味方判別しての超広範囲攻撃、さらには、使徒のATフィールドを、中和どころか焼き尽くして無効化とか……

 振り返ってみると、マジで無茶苦茶やってるな僕、と思ったけど……なぜかあの時は、出来る気がしたというか、間違いなくできるって直感してたんだよね。

 

 ……毎度のことながら、不思議なことが起こるなあ、アスクレプスや次元力が絡むと。

 

 

 

 問題はその後である。

 

 戦闘後、『ヘリオース』は元の『アスクレプス』の姿に戻った。

 それと同時に、戦闘中ずっと僕の中にあった『熱』みたいなものが急速に引いていったような感覚があって……頭が冷えた僕は『あーコレ絶対説明とか必要だよね、どうしよう?』なんて考えながら、アスクレプスを降りて……そこから記憶がない。

 

 なので、その後のことは、伝聞になるんだけど……ヤマトの格納庫で、僕は、アスクレプスから降りたその直後にぶっ倒れたらしい。

 そのまま気絶して、呼びかけてもゆすっても全然目覚めなかった。

 

 同時に帰ってきた総司さん達が慌てて僕を医務室まで運び、急患として佐渡先生と原田さんが手当してくれた。

 そのままベッドに寝かされて……僕が目を覚ましたのは、その翌朝だった。

 

 検査及び診察の結果、佐渡先生から告げられたのは……『過労』とのこと。

 体にだいぶ疲れやストレスがたまってて、そのせいで体が休息を欲してぶっ倒れ、そのまま翌朝まで起きずに眠り続けたんだろうとのことだ。

 

 幸いそこまで重篤な状態じゃないけど、大事をとってもう1日経過を見ることになった。

 明日の朝再度検査して、問題なければ退院できるそうだ。

 

 ただしそれまでは、きちんと安静にしていること、と釘を刺されてしまった。

 無理して動いたり、仕事しようとなんかすれば、かえって悪化して長くベッドのお世話になることになるぞ、と。

 

 どうやら佐渡先生の知り合いに、無茶を押して仕事に取り組む、すごく勤勉で真面目だけど、医者としては『いい加減にしてくれよ』と思うしかない知り合いの人がいるそうで。誰だそれ?

 

 まあ、こういう場面で医者の言う事は素直に聞いておくに限る。

 降ってわいた休暇だと思ってゆっくり休むことにしよう。佐渡先生の言う通り、仕事はしっかりなおして体調が元に戻ってから、だ。

 

 ……しかし、『過労』ね……そんなに疲れてたかな僕?

 

 確かに仕事は忙しかったけど、そこまで疲れがたまって大変ってほどでもなかったし……『宇宙世紀世界』に来てからは、『サイデリアル』としての仕事ができなくなって、むしろ暇だったくらいだと思うんだけど。

 

 ……ひょっとして、『ヘリオース』のせいか?

 

 あの『覚醒』の瞬間、凄まじい次元力をあふれ出すのを感じたけど……次元力ってのは本来、人の意思の力で引き出し、制御するもの。

 あれだけの次元力を、限定的とはいえ事象制御レベルで操ったんだから、それを考えると……その分の反動というかフィードバックが来ても、おかしくはない、か。

 

 考えても結論は出そうにない……けど、可能性は高いな。

 参ったな……なんか界○拳みたいな欠点あるんだな、『ヘリオース』。戦闘能力は爆上がりするけど、それと引き換えに体力ごっそり持っていかれるのか?

 

 いや、でも、もしそうだとすれば……これも単純に僕が、反動なしで『ヘリオース』を使えるくらいになるまで成長すればいいだけの話だけど。

 反動に耐えられるように鍛えるか、あるいは、次元力の扱いそのものを上達させて、反動自体が起こるのを抑えるか。

 

 体調が元に戻ったら、色々やることがあるなあ。

 そのためにも、今はきっちり休んでおかないと、だな。

 

 

 

【□月!日】

 

 今朝の検査で問題がなかったので、晴れて退院となった。

 佐渡先生と原田さんにはお礼を言って、僕はヤマトの医務室から出て……そのままアスクレプスごと、ミレーネルが持ってきてくれた『アルデバル』に移った。

 

 この艦にも居住区はついてるし、せっかくミレーネルが完成させて持ってきてくれたんだし……と思ってね。うん。

 

 しかし、そこに移った後も僕は、日がな一日部屋でゆっくりしている。仕事もせずに。

 

 これは別にさぼってるわけじゃなく、これも『回復のため』である。

 

 佐渡先生曰く、今日の朝の結果は良好だったので、退院だけなら問題はない。

 しかし、仕事に復帰するのはまだもう少し待て、とのことだったのだ。最低でも3日、可能なら1週間くらいは、仕事もせずにゆっくり休んで疲れを取れ、と。

 

 そう言われちゃ仕方ないので、引き続きこの『アルデバル』で……その中にミレーネルが用意してくれていた自室で、今日ものんびり療養生活を送ってるわけだ。

 幸い、差し迫って何かしなきゃいけない仕事とかもないし。

 

 他の人達からすると、場所が『アルデバル』の自室に移りはしたものの、実質まだ入院中みたいなもんだと受け取ったのか……今日の日中、何人かお見舞いに来てくれた。

 

 まず、総司さんとトビア、それに古代戦術長。

 ヤマトを代表してってことと……僕が倒れた時にその場にいて運んでくれたのが、ちょうどこの面子だったらしい。

 

 『全然元気そうで何よりだ』って笑いながら、お見舞いだって果物籠を持ってきてくれた。あ、やっぱお見舞いとなるといつの時代もこれが定番なのね。

 あとでミレーネルにむいて出してもらお。

 

 それと、あの戦いでは一番の功労者は僕だってことで褒めてもらったのと……同時に、まあ当然ではあるけど、一体あの姿……『ヘリオース』は何だったのかについても聞かれたな。

 

 これはまあ、細かく話すわけにはいかないから、ざっくりした説明になっちゃったんだけども……あの姿『ヘリオース』は、『アスクレプス』の真の姿であり、真の力なのだ、と説明しておいた。

 

 本来持っている力が膨大過ぎて制御しきれない――少なくとも、あの時までの未熟な僕には到底無理だった。嘘でも何でもない――ため、意図的に力を封印していた姿が、普段の『アスクレプス』なのだと。

 

 色々と細かい気になることはありそうだったけど、一応は理解してもらえたみたいだった。

 実際、あのレベルの力が、制御できなくて暴走、なんてことになった日にゃ、ろくでもないことにしかならないのは目に見えてるしな。

 

 ひとまず、肝要な部分……『アスクレプス』=通常モード、『ヘリオース』=本気モード(ただし制御するのが大変+反動アリ)、っていうことだけわかっててもらえば大丈夫だろう。

 もしこれ以上に詳細な説明が必要な場面とかが出てきたら……その時に考える。

 

 なお、この話については、総司さん達のみならず、基本的に誰に対しても聞かれたら同様の説明を行うことにしたので、よろしく。

 

 そして今日、見舞いに来てくれた人達がもう1組。

 アンジュと、サラマンディーネ、タスク、それにミランダの4人である。

 

 アンジュ、サラマンディーネ、タスクの3人は、エンブリヲを倒してくれたことに対してのお礼を言うのも兼ねて。

 サラマンディーネとタスクは更に、仲間ないし自分を戦いの中で助けてくれたことに対してのお礼も兼ねてだそうだ。律儀だな。

 

 まあ、この全員にとって、エンブリヲは不俱戴天の仇と言っても差し支えない間柄なわけだし、自然と言えば自然、なのかもしれないけど。

 

 しかし、終わってみれば……『神様』なんて呼ばれていながら、あっけない終わりだったな、とも思う。

 

 けど、倒せたんならそれで万々歳だ。何も問題はないな―――

 

 

 

 ―――と、言えたらよかったんだろうけど。

 

 

 

 そのエンブリヲに関して……ミレーネルから気になる話を聞かされてるんだよな。

 

 何でも、彼女、西暦世界で、アルゼナルでの戦いの後にアイツに遭遇してるらしく……その際、拳銃で撃ち殺したはずなのに、次の瞬間何事もなかったかのように復活したというのだ。

 

 見間違いなんかじゃなく、ちゃんと眉間に着弾して倒れ、血だまりまでできていたはず。

 なのに、一瞬でその血だまりごと消えて、無傷の状態で復活していたのだという……どういうことだそれ?

 

 しかも、その後またしてもミレーネルは自爆し……工場ごと爆破したから、確実にエンブリヲも巻き添えで死んだはずなのに、平然とああして出て来たことからして……ミレーネル曰く、あいつは簡単には死なない可能性がある、とのことだった。

 

 それを考えると……こないだああして倒しはしたものの、油断しない方がいい……のか?

 なんか、不吉な可能性が浮上しちゃったなおい……

 

 

 ちなみに、アンジュ達と一緒に来たミランダであるが、彼女が来たのは、アルゼナルにおいて、僕の『担当』だからだとかなんとか。いや、担当て……

 

 お望みなら、療養中のお世話とかお手伝いもしますけど、って申し出られたものの、その役目は今もう既にミレーネルがやってくれてるので、ひとまず大丈夫だって言って断っておいた。

 

 そしたら、なんかがっかりというか、残念そうにしてた。何でだろ?

 

 

 

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