スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第43話 お仕事再開と、旧友の行方

 

【□月#日】

 

 今日から、僕らの立ち位置が少し変わりました。

 

 先日のガーディムの襲撃をどうにか退けた僕らだが、せっかく補給とか色々してたところだっていうのに、また破損した機体は出るわ、負傷者は出るわ、資材燃料その他は減るわで、また少しの間体勢を整えるために時間を置く必要が出てきた。

 なので、もうしばらく『第三新東京市』にいる予定であるとのこと。

 

 幸い、この世界での敵勢力の1つである『ネオ・ジオン』や『Dr.ヘル一味』は、今は何も動きがなく静かなようなので――逆にそれが不気味でもあるが――その余裕は多少なりあるし。

 

 補給は引き続きNERVにお願いする予定……なのだが、それも限界がある。

 

 何せ、この世界における連邦軍も……いかんせん味方とは言い難い立場。

 エヴァや『ロンド・ベル』を、ネオ・ジオンと戦うための戦力として接収しようとしてきたことからもわかるように、世界共通の敵との戦いよりネオ・ジオンとの戦いを優先して、そのために動こうとしない僕ら独立行動部隊を敵視している感じだ。

 

 碇司令がやり手とはいえ、そんなアウェー気味な状況の中で、僕ら全員の補給を面倒見るにも限界があるわけで。

 

 なので、僕の傷病休暇も明けたことだし、ここで『サイデリアル・ホールディングス』として、また仕事をさせてもらうことにした。

 

 新しく僕らの戦力に入った戦艦『アルデバル』は、ネルガル重工と旋風寺コンツェルンの技術協力の元、『パラレルボソンジャンプ』の機能を搭載しており……さらに機体設計上、次元転移にも耐えることができる。というより、最初からそれを前提に設計されている艦だ。

 

 これを使って『宇宙世紀世界』と『西暦世界』を往復し、物資の輸送を行う。向こうの世界で物資その他を仕入れてこっちに持ってくる、というのが今回の手である。

 

 ドックその他は、各艦にあるものや、NERVのを使わせてもらうしかないが、このやり方なら物資は少なくともNERVにかかる負担を軽減できるし、向こうの世界でやっていたように、各自の希望に沿ったものを、嗜好品その他含めて用意することができるだろう。

 

 全体ミーティングの際にそう提案させてもらい、艦長達にもその有効性が理解されて承認された。

 『復帰したばかりのところに苦労を掛ける』って沖田艦長からは言われたけど、いえいえ、このくらいなんでもないです。

 

 ……で、だ。

 さっき、『立ち位置が少し変わった』って言ったことについてなんだが、本題はここからである。

 

 今日から、僕とミレーネルも、正式にこの『独立行動部隊』に参加させてもらうことになったのである。

 

 今までは、あくまで一般というか、外部の協力者として支援をさせてもらっていたわけだけど、ここ最近何だかんだで一緒に戦う機会も多いし、普通に仲間と言ってもらえるくらいには元々交流もしている。

 

 加えて、先日の戦いで見せた『ヘリオース』の戦闘能力や、『アルデバル』やら『アンゲロイ』といった強力な兵器を運用できることも知られている。

 その力を、2つの世界を救うための戦いに貸してくれないか、と言われたのである。

 

 一応僕らには、『サイデリアル・ホールディングス』の会長とその秘書っていう立場があるにはあるんだけど、そこは、同じような立場で(むしろもっとでかい企業で社長やってるが)舞人社長っていう前例もある。

 本来の所属は別にしておいて、一時的に協力関係にするっていう立ち位置についても、宇宙世紀世界のロンド・ベルや、西暦世界ではパラメイル第一中隊がそれに該当している。

 

 もともと『サイデリアル』は、多少の期間であれば、僕がいなくても大体の業務は何とかなるようになっているし、舞人社長からは、何かあれば『旋風寺コンツェルン』からも支援はさせてもらうと言われた。社長不在の間に企業を問題なく回す方法とか。

 

 ……そういやこの人、補給とかでヌーベルトキオシティに戻ってる時以外は、ずっと本社不在にしてるんだもんな。そらノウハウもあるわ(笑)。

 

 僕やミレーネルとしても、ここまで一緒に戦って来た、と言っていい皆からの申し出であるし……沖田艦長達から、力を評価してそんな風に言ってもらえたのはすごく光栄だ。

 それに、他人事として後ろの方で見ているにも、状況的によろしくない場面がいくつもある――使徒とか。ミスると世界滅ぶし――ことも知っている。

 

 強いて言うなら、未だに僕らの操縦テクとか戦闘能力が……機体性能頼りなところが大きくて、ここでエース張ってる皆さんには遠く及ばない部分でちょっと気が引けてる感じもあるくらいか。

 

 けどそれに関しては、勝平君や舞人社長からは『俺達もまだまだだよ』『それこそ皆で協力して強くなりましょう』って言われたし、竜馬さんや総司さん、アキトさんからは、コーチ役や模擬戦の相手ならいくらでも協力するって言われた。心強いことだ。

 

 その申し出を受けさせてもらい……こうして正式に、僕らも彼らの仲間になったわけだ。

 

 もっとも、やることは実質変わらない的なところもあるけどね。ひとまずは当初の予定通り、『アルデバル』でのピストン輸送で、向こうの世界から物資とか運ばなきゃだ。

 

 

 

 それと、その際にもう1つ変わったことが。

 正式に仲間になるにあたって……今まで隠していたことの1つをカミングアウトした。

 

 といっても、僕じゃなくてミレーネルがだけど。

 

 火星出身者やビアル星人(の末裔)、ガミラスの軍人までいることだし、知られても問題ないだろうってことで……何より、仲間と言ってくれたんだから信用したいってことで、ミレーネルが地球人ではないことを告白したのである。

 

 灰青色の肌と白に近い髪を見て、皆最初は驚いていたけど……さすがというかなんというか、秒で受け入れていた。この部隊、やっぱ懐の深さが半端ないな。

 

 メルダ少尉は、『ジレル人』という種族自体を知っていたようで、ひときわ驚いていたようだけど、きっちりこの部隊に毒され……もとい、感化されているようだし。

 ただ、受け入れつつも、何か気になることがある様子ではあったけど。

  

 彼女が持っている……そして、『ジレル人』が迫害される原因になった、精神干渉能力についても、『ニュータイプやイノベイターがいるんだから今更』だと、問題にもされなかったしな。

 

 これには、それなりに覚悟しながら告白したミレーネルも、半分呆れながら、しかしはっきりとわかるくらいに喜んでいた。

 うん、受け入れられてよかったよかった。

 

 ミサトさんやアンジュ達から早速女子会に誘われたりしているミレーネルを見ながら、僕も自分のことのように嬉しくなってしまった。

 

 

 ☆☆☆

 

 

Side.ミレーネル

 

 本当に、この惑星は……昔の私では想像することもできなかったであろうくらいに、居心地がいい。

 

 私を異星人と知ってなお、精神干渉能力を持っていると知ってなお、当たり前のようにこうして受け入れてくれる。

 自分の心を覗かれるのではないかとか、危害を及ぼされるのではないかとか……そんな疑心暗鬼から迫害されてきた、私達『ジレル人』の歴史からすれば、ありえないくらいの厚遇だ。

 

 彼ら、彼女らからすれば、これを『厚遇』なんて認識すらしていないわけだし。

 ごく普通に友達、ないし仲間として扱ってくれているだけ。だから何も気まずいこともないし、変に遠慮したりもしない。

 

 階級も年齢もほとんど関係なく――所属が違う者同士が入り混じっているから、というのもあるだろうけど――いい意味で『緩い』関係で結びついている。それでいて、その絆、ないし結束力は、下手な軍隊よりもよほど上なのだ。

 

 そんな文化は、この宇宙全体で見ても、非常に珍しい部類だと言っていいだろう。

 

 けれど、決して不快じゃなく……むしろ心地いい。いつまでもここでこうしていたい、と思えてしまうほどに。

 

 今もこうして、カミングアウトの直後に早速誘われた『女子会』で、色々なスイーツに舌鼓を打ちながら、『独立部隊』の女性陣と笑い合いながら、そんな風に思う。

 

 大人も子供も、軍人も民間人も、はては地球人と異星人までもが入り混じっているこの場で……ふと私は、斜め向かいに座っている者の顔を見て、あることを思いついた。

 

「そうだ。ねえメルダ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」

 

「ん? 何だミレーネル?」

 

 彼女の名は、メルダ・ディッツ。

 青い肌からもわかるように、地球人ではなく、ガミラス人だ。それも、正規軍において、少尉の階級を持っている、れっきとした軍人である。

 

 もちろん、ここにこうしている以上は、生まれも過去も関係なく、彼女もまた仲間、ということに違いはないので、彼女がガミラス人だかどうこう言うつもりはない。

 ただ、ちょっと、軍人としての知識を持っているであろう彼女に、聞きたいことがあるだけだ。

 

「あなた、ガミラスの軍人なのよね? 内部の人事とかには詳しいの?」

 

「多少はまあ……しかし、済まないが、内部情報を話すことはできないぞ? 一応今現在も私は、ガミラス軍の所属だからな……ここに置いてもらっておいて図々しいとは思うが……」

 

「あ、ごめん、そういうことじゃなくてね……実は私、探してる人がいるのよ。その人の情報か、あるいは、探せそうな人や、知ってそうな人がいないかと思ったの」

 

「ああ、そういうことか。しかし、私に聞くということは……ガミラスの関係者なのか?」

 

「いや、探したい人そのものは、関係者……ではないわね。まあ、関わりがないわけじゃないけど」

 

「? と言うと?」

 

「……こういう場で話すことじゃないから詳しくは省くけど……私、昔、レプタボーダにいたの」

 

「何……!? そうか、それは……何と言うか……」

 

 政治犯や思想犯、その他、ガミラスに反抗的な劣等種族達が入れられる収容所惑星『レプタボーダ』……流石に軍人であれば、その名前くらいは知っているようだ。一瞬だけど、苦い表情になっていた。

 

 ……実際は、公になっているよりもよほどえぐいことが行われているんだけどね……まあ、今言った通り、こういう場で話してせっかくのお菓子を不味くするようなことじゃないから、詳しくは言わないけど。

 

 周りにいる皆も『何かわけありっぽい』程度には察している様だけど、詳しくは聞いてこないみたい。配慮がありがたい。

 

「まあ、私の昔のことはいいの。ただ、その頃からの……いいえ、それ以前からの付き合いなんだけど……私、姉みたいな人がいたの」

 

「? それほどの長い付き合いとなると……同じジレル人か?」

 

「ええ、私が知っている限りでは、たった2人だけの生き残りね。私が記憶喪失だって話はしたわよね? その人とは、レプタボーダでは一緒だったんだけど……それから先の記憶が欠落してて、そのせいで、彼女がどうなったのかわからないの」

 

 そもそも、私自身、どうやってレプタボーダを脱出したのかすら覚えてないからね……気が付いた時には、生身の肉体を失って精神体だけになって、『西暦世界』の地球にいた。

 あの時、運よくミツルに拾ってもらえなかったら……私、あのまま消滅してたでしょうね……。

 

 そしてそのせいで……彼女が今どこで何をしているのか、何もわからない。覚えていない。

 

 今もまだレプタボーダにいるのか、それとも私と同じように脱出したのか……後者だとしたら、どうやってか。今、どこにいるのか。

 

「ジレル人……たった2人だけの……? まさか……すまないミレーネル、その人の名前は?」

 

「ミーゼラ。ミーゼラ・セレステラよ。知ってる?」

 

「……! ……ああ、知っている」

 

「! 本当!?」

 

 正直、驚いた。

 何か手掛かりだけでも儲けものだと思っていたから……まさか、直接彼女に……ミーゼラに関する情報を知っているなんて、思わなかったし。彼女、意外と顔が広いのかしら?

 

 けれど、彼女の口から、それに続く言葉を聞かされた時……私は、そのあまりに予想だにしない内容に、さらに驚かされることとなった。

 

「このくらいなら、話しても構わないか……その名前なら、私もよく知っている。というより……ガミラス人であれば……軍人か民間人かを問わず、割と知っている者は多いんじゃないかと思うよ」

 

「? どういうこと?」

 

「ミーゼラ・セレステラは……大ガミラス帝星のトップ、アベルト・デスラー総統の側近の1人だ。私の知る限りでは唯一、純血のガミラス人以外でその大任に就いている存在だよ」

 

「な……っ!?」

 

 ミーゼラが……ガミラスの総統の側近?

 なんで彼女が、そんな地位に……レプタボーダに入れられて、ガミラスに虐げられていた彼女が、一体どんなことがあったら、そのガミラスの、限りなくトップに近い位置にまで上り詰められるっていうの……!?

 

 それに、だ。

 ちょっとまだ上手く理解できないけど、メルダが言う通り、ミーゼラが今聞いた通りの地位にいるとしたら……私は?

 

 レプタボーダで彼女と一緒だった私は……どうなったの? 私は一体、何を忘れているの?

 

 何らかの方法、あるいは過程で、ミーゼラがガミラスの所属になったんだとしたら……ひょっとしたら、私も同じように……?

 

 メルダ曰く、彼女は知名度こそあるものの、その素性や能力、任されている仕事内容……そして過去の経歴なんかには、一般には公開されていないことも多いとのこと。

 メルダも、それ以上のことは知らなかった。

 

(ミーゼラが、ひとまず無事そうなのがわかったのは、まあよかったけど……思いっきり敵勢力だ……それにどうしよう、私自身の記憶も……思い出すの、ちょっと怖くなってきちゃったかも……)

 

 

 

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