スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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本日午前10時30分頃、書きかけの別な話を間違って投稿してしまい、幸いすぐ気づけたのであわてて消しました。危なかった……。
もしその時に見た方いらっしゃいましたら『ナニコレ?』ってなったかもしれませんが……その場合は何というか、すいません、お騒がせしました。


第56話 ストレート・フルクラム

「いつもいつも私の神経を逆なでしてくれるな、君は……だがそれも今日までだ。君はここで退場してもらう……永遠にね。葬る前に、一度くらい直接顔を見ておけばよかったかな?」

 

「できもしないことを言うもんじゃない……っていうか、何さっきのことなかったことにしてんだよ。思いっきり会ってただろ直接」

 

「何をわけのわからないことを……その減らず口をも叩けないようにしてやろう!」

 

「……? 覚えてないのか……?」

 

 エンブリヲの言葉に、少し不思議に思うミツルだったが、その理解を待たずにエンブリヲは動いた。

 自機で動くと同時に周囲の無人機に指示を出し、全方向からの飽和攻撃でヘリオースを撃墜しようとする。

 

 が、その大半が、直後に動き出した仲間達の機体によって撃ち落とされる。

 

 ストライクフリーダムや∞ジャスティス、サバーニャが雨あられと放つ弾幕に撃ち抜かれて次々に落とされ、それをかいくぐることができても、動きが鈍ったところを刹那のクアンタやシンのデスティニーが一刀のもとに斬り捨てていく。

 小型の機体も、エステバリス隊やミスリルのASが逃さず落とす。

 

 大型で鈍重な機体は、ダナンから発射されたミサイルの直撃で木っ端微塵になり、不用意に固まっている者達に対しては、ナデシコのグラビティブラストが直撃して一気に消し飛ばされた。

 

 エンブリヲ陣営が投入した戦力は、最早ほとんど残っていない。

 散開して対応する必要がなくなった結果、機動部隊は集結しつつあり……宮殿前広場全体に広がっていたはずの戦場は、今やエンブリヲの周囲のみになっていた。

 

「生意気な……まとめて消し飛ばしてぐおっ!?」

 

 エンブリヲがヒステリカの両肩を展開しようとした瞬間、レーバテインが放った、破壊の意思とエネルギーが凝縮された砲弾が直撃し、大きく体勢を崩す。

 

 更に飛んだ先で、高速で突っ込んできたブラックサレナの本家ディストーションアタックが直撃してさらにはじき飛ばされた。

 

「戦場で棒立ちになり、手や足を動かさずぺらぺらと口だけは達者……三流以下だな」

 

「そして悪役のお約束でもある。だが、あいにくこちらが待ってやる義理はない」

 

「っ……おのれぇっ!」

 

 体勢を立て直しながら、エンブリヲはビームライフルを構え、離脱しようとするブラックサレナを狙うが、そこにまたしても高速で突っ込んでくるものがあった。

 

 それは、これまでの恨みつらみをまとめて晴らさんと剣を構えて突撃してくる、アンジュのヴィルキス。

 

 その姿を視認したエンブリヲは、そちらから迎撃しようとビームライフルの照準を向けるが、直後にその銃身は、下からの大きな衝撃によって弾かれたように上に持ち上がった。

 

 驚いたエンブリヲが、何かが上に抜けて行ったのを見て、目でそれを追うと……それは、先程ヘリオースとともに現れ、その周囲に浮遊していた、謎のリング状モジュールの1つだった。

 それが、戦輪のごとく高速で激突してきたのだと悟り……しかし、その一瞬目を離してしまった隙に、ヴィルキスが懐に飛び込んできて剣を振るう。

 

 直前でビームシールドを展開して防いだものの、その直後にヴィルキスは姿を消した。

 高速で移動したためではない……目の前で、正真正銘、一瞬で『消えた』。

 

「……っ……空間跳躍か! だが……」

 

 すぐさまエンブリヲは転移の反応を探知してそちらに銃を向ける。

 

 案の定そこに姿を現し、追撃をかけんとしてきたヴィルキスを、今度こそ狙い撃とうとするが……

 

「フォーメーション、スプリットライン」

 

 そのヴィルキスの両脇に2機ずつ、4機飛来したモジュール。

 それが今度は、リングの穴になっている部分を見せるように浮遊し……そこからビームを発射してヒステリカを攻撃。アンジュに対する援護射撃を行う。

 

 直撃しては流石にまずいと直感的に悟ったエンブリヲは、攻撃を諦めて大きく回るように飛んで回避するが……その先に、

 

「もらったァ!」

 

「っ……何だと!?」

 

 アンジュと同じく、空間を跳躍して現れたヒルダのテオドーラが出現、懐に入り込まれて剣による一撃を受けてしまう。

 

 さらにそれが離脱すると同時に、今度は遠距離から、追撃を兼ねた離脱支援砲撃が飛んでくる。

 サリアのクレオパトラと、ジルのレイジアだ。一瞬前までは、全く違う離れた場所にいたはずの2機。おそらくはテオドーラと同様、転移して位置を変えたのだろう。

 

「……っ……テオドーラにクレオパトラ、レイジアまでもが私に盾突くか!」

 

「ざまあないわね、エンブリヲ! 女や他人を駒としてしか見ていない、用済みになったらあっさり捨てるような奴なんて、そいつこそ見限られて捨てられて当然ってことよ!」

 

「本当にそうですね。こういう時、『ねえどんな気持ち?』と言うのが正しい作法なんでしたでしょうか?」

 

 直後、また別の方角からビームが飛んできてエンブリヲを襲う。

 飛んできた先にいたのは、サラマンディーネ達の乗る、3機の龍神器だった。

 

「龍の民の機体か……待て、貴様ら、一体今までどこで何を……」

 

「サラ子、お帰り。アウラっての見つかった?」

 

「ええ……リザーディアも救出しました。それと、ついでのような言い方になって恐縮ですが……エルシャさんの気にしていた、幼年部の子供達も保護しておきましたよ」

 

 その報告に、ハウザーに乗っていたエルシャの表情がぱあっとほころんだ。

 

「本当!? ありがとうございます、サラマンディーネさん!」

 

「いえいえ。このくらいなんでもありません、せっかく戻ってきてくれた、仲間ですからね。ただ……それとは別に、少し問題がありまして……」

 

「? 問題って?」

 

「そのままアウラを開放しようとしたのですが、おそらくはこの男の仕業であろう封印が思いのほか強固で……龍の始祖たるアウラを封じられるくらいですから、当然と言えば当然なのですが」

 

 サラマンディーネはそう言いながら、視線で『暁の御柱』の方を指し示す。

 やはり、アウラはあの建物、あるいはその地下にいたようだ。おそらくは、捕らわれていたらしい、協力者のリィザ……もとい、リザーディアも。

 

「封印を破壊するには、最低限、あの『暁の御柱』ごと消し飛ばすくらいの火力がないと到底無理そうでして……」

 

「いや、そんなん撃ったらアウラさんもやばいんじゃないの!?」

 

「大丈夫です。アウラならそのくらい防げるでしょう……アウラ自身もそう言っていました」

 

「マジかよ、すげえな龍の始祖」

 

「ただ、正直、それだけの火力を用意できるかも微妙なのです。アンジュと私が『収斂時空砲』……もとい、『ディスコード・フェイザー』を同時に撃てばどうにかなるかもしれませんが……」

 

「まちなさいあんた達、そんなの撃ったら町ごと壊滅するわよ!?」

 

「わかってるって、流石にそれはまずいわよね……撃ったらスッキリしそうではあるけど」

 

「……なんかアンジュ、最近ますます考え方が物騒になってきてるよな」

 

「ロザリーに同感……ぶっちゃけちょっと怖い。引く」

 

「そこ2人、うるさい! やらないって言ってんでしょうが!」

 

「……ふむ、火力は極大かつ、限定的な範囲に攻撃できる必要があるわけか。機動兵器が携行可能な武装では威力が足りない……かといって戦艦級の火力では周囲も巻き込んでしまう。グレートマイトガインらスーパーロボットがいない現状、それが両立可能な機体は……」

 

 レイジアのコクピットで、ジルはぶつぶつと呟きながら考え……答えを導き出すと、モニターの1つに目を向ける。

 

 そこには、少し離れた場所で……6つのリング型モジュールを縦横無尽に飛ばしながら、エンブリヲのヒステリカと大立ち回りを繰り広げている、ヘリオースの姿が映っていた。

 

 

 

(なるほど、アレ消し飛ばせばいいわけね……ちょうどいい。こいつらの火力実験がてらやってみるか)

 

 通信でしっかり聞いていたミツルは、エンブリヲが彼女達の方に行かないようにひきつけつつ、自分がやるべきことを理解する。

 素早く頭の中でプランを組み上げ、

 

「よし……そんじゃそろそろ終わらせますかねっと! フォーメーション・ショットガン……行け、『SPIGOT』!!」

 

 号令とともに、次元力の光を纏った3つのリング型モジュール……もとい、『SPIGOT』が急加速して飛翔、四方八方からヒステリカに襲い掛かる。

 

 一発一発が無視できない威力を持つその突撃を連続して叩き込まれ、回避も防御も徐々に間に合わなくなってきているヒステリカ。

 

 ついによけきれずに連続で直撃を食らい、体勢を崩した瞬間、突如として眼前にヘリオースが……一瞬前まで、間違いなく何もいなかったはずの空間に現れる。

 

「なっ……転移だと!?」

 

 一瞬にしてクロスレンジに飛び込まれたヒステリカに、ヘリオースの蹴りが連続で叩き込まれ、きりもみ回転で宙を舞う。

 

 それと同時に、ヘリオースの両脇にSPIGOTが1機ずつ飛来。

 そのリングの部分から、剣の柄のように見える何かが、生えるように出てきて……ヘリオースはそれを両手でそれぞれ持って、引き抜いた。

 

 現れたのは、剣。

 それも、エネルギーの刀身の剣ではなく、実体剣のように見える。白と金色主体の刀身と柄が特徴的な、見た目華美で豪奢ながらも、実用に耐えうるとわかる剣だった。

 

 実際にはその2本の剣……『フルアクセルグレイブ』は、次元力を超高密度に凝縮したもので、厳密には『実体』ではないのだが、そう言って差し支えないほどの密度及び攻撃性能を持っており、対ビーム装甲だろうがシールドだろうが貫通する。

 

 2本の剣を両手で構え、一瞬で加速して彼我の距離をゼロにすると、目にも留まらぬ速さで連続攻撃を叩き込む。

 発生させたシールドなど、最初の一撃で砕け散った。

 

 斬撃の合間に蹴り技も組み合わせて叩き込まれ、上下左右に蹴飛ばされ、機体のサイズ差も相まってヒステリカが玩具のようにやられるがままになっていた。

 

 そのさらに合間にできる、本当にごくわずかな隙に、今度はSPIGOTの激突やビームによる援護射撃が入り、本当に何もできないままヒステリカは追い詰められていく。

 

「この……私がっ……!」

 

(なぜだ、なぜこうまで追い詰められる……調律者たるこの私が……火力だけならまだしも、力がほとんど使えなくなっているだと!?)

 

 ヒステリカのコクピットの中で、困惑と憤怒に顔をゆがめるエンブリヲ。

 

 この絶え間ない連続攻撃に対し、機体を再生させ続けることでどうにか持ちこたえているものの……できていることと言えばそれだけ。回避も反撃もできず、されるがままだ。

 

 ここまで何度も、アンジュやヘリオースがやってみせたように、転移で回避を試みてはいるが、一向に成功しない。

 いつもであれば、それこそ生身であろうと、わざわざ集中する必要もなくできるようなことが、今は全く発動する気配がない。

 

(先程から同じようなことばかり……まさか、この男が封じているのか!? ヒステリカの次元制御能力も……ココ達の命の制御・掌握も!?)

 

 そのエンブリヲの懸念は、半分正解であった。

 

 アンジュのヴィルキスを解析し、またサラマンディーネとの技術協力によって、ミツルはヒステリカにも当然搭載されているであろう転移機能を封じるため、周囲一定範囲の次元制御を行っていた。

 その一翼を担っているのが、今回ロールアウトした新武装『SPIGOT』である。

 

 ヘリオース内部にあったデータをもとにして作り上げた異世界の武装であり、膨大な次元力を暴発させずに制御し、最高効率で攻撃や戦闘補助に転用するための補助兵装。

 

 それまでは、ヘリオースの膨大過ぎる力を、ある程度の指向性を持たせて振り回すのがせいぜいだったミツルであるが、理論上、この武装を使えば、以前までに倍する攻撃力を、さらに効率よく使うことができ、さらに反動もかなり軽減することが可能。

 

 もちろん、単純な戦闘用ユニットとしても強力で、突撃させてよし、遠くから撃ってよしであるが、ミツルの負担が減った分、次元力の本質である『事象制御』に関しても強力に使えるようになっており、今エンブリヲの能力を封じているのは、こちらの作用ゆえだった。

 

 しかし、エンブリヲが苛立っているもう1つのこと……ココや、年少部の子供達の命を掌握して利用できないという点に関しては……『SPIGOT』どころか、ミツル自身は関与していない。

 

 そちらが作用しないのは……この場にいる誰1人……それこそ、生き返らせたエンブリヲ自身も知るよしのない、ある理由からであった。

 

 もう何度も、エンブリヲは、彼女達を生き返らせた自分の力を介して干渉しようと試みている。

 しかし、命を没収して屍に戻すことも、体や機体の制御を奪って自分の援護をさせたり、盾にすることもできない。

 

(なぜ……なぜだ!? ノーマだろうと一定の条件さえ満たせば、マナの光を……ドラグニウムの力を用いて干渉できるのは、アンジュにやってやれたことからも明らかだ。彼女達に与えた仮初の命は、思考や感覚まで含めて私の制御下に置けるものだった! だというのになぜ……それに!)

 

 そして、もう1つ。

 エンブリヲを苛立たせている理由が、

 

(何なのだ……干渉が失敗するたびに聞こえる、あの声は……なぜこんなにも腹立たしい!?)

 

 声が、聞こえるのだ。

 ココの命を奪おうとした時も、年少部の子供達の命を奪おうとした時も。

 何かをしようとするたびに、こちらの力が拒絶されるように弾かれ……そのたびに、呆れたような声が、頭に届くのだ。

 

 なぜかはわからないが……内容をさし引いても、妙に心がざわついて、怒りを掻き立てられるような……

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――そういうの、楽しくないよ?

 

 

 

 

 

 そんな、声が。

 

 一瞬、そんな苛立ちに気を取られたのは……エンブリヲにとって、失敗以外の何物でもなかった。

 

 はっと気づいた時にはもう遅い。

 

 目の前でヘリオースは、2本の剣の柄を合わせて、1本の長大な、両側に刃の突いた槍のような形状にすると……それを大きく振りかぶる。

 

 同時に、ヘリオースの前に、SPIGOTの1つが飛んできて、空中で停止する。

 

 次の瞬間、ヘリオースはその槍を勢いよく投げ……前方にあったSPIGOTのリングの部分を通り抜けて……その瞬間、膨大な次元力を纏って超加速し、ヒステリカに直撃。

 

 串刺しにしてそのまま飛び……轟音を立てて、『暁の御柱』に激突し、そこに機体を縫い留めるようにして固定した。

 

 身動きの取れなくなったヒステリカに狙いを定め、ヘリオースは膨大な次元力を練り上げていく。

 

 その前方に、6つのSPIGOTが飛来し……縦に6つ並んで停止。

 それはまるで、ヘリオースから伸びる長い1本の銃身のように見えた。

 

 その最初の1つ……眼前にあるSPIGOTのリング部分を通すように、ヘリオースは握った拳を勢いよく突き出し……それと同時に、次元力を開放・放出する。

 

 前方広範囲を消し飛ばすだけの威力を持った破壊の奔流はしかし、腕が通ったリングを媒介にすることで収束し、一本の、それでも極太のエネルギー波となって放たれた。

 

 しかしそれも、さらに次のリングを通過してさらに収束、さらに次のリングを……と繰り返すことで、最後のリングを通り抜けて放たれた時には、一条の光の矢のようになって飛んでいった。

 

 そしてその、極限まで凝縮された破壊光線は、寸分たがわずヒステリカに直撃し、貫通。

 

 一拍遅れて、炸裂したエネルギーが吹き上がり……天を衝く光の柱が、『暁の御柱』ごとヒステリカを、跡形もなく消し飛ばした。

 断末魔、あるいは、怨嗟の怒声すら、轟音の中に飲み込んで。

 

 しかし、その爆風すらも制御・収束されていたために、それより外側に破壊が広がることはなく……『暁の御柱・跡地』となったその場所に、地下深くまで届くであろう巨大なクレーター……を通り越して、最早、奈落ではないかと思えるような穴が開いたにとどまった。

 

 そして、部隊の面々が、怨敵・エンブリヲの消失に沸き立つよりも先に……

 

 暗い穴の底から光があふれ……それは、現れた。

 

 

「あれが……!?」

 

「始祖・アウラ……!」

 

 

 

 




おまけ 今回出てきた武器について

【SPIGOT】
元ネタは『第二次スパロボZ』に出てくる武装。
読み方は『スピゴット』。リング状の随伴装備で、膨大な次元力を暴発させずに制御しつつ、効率的に戦闘に運用することを可能にする。
リングの穴の部分からビームを出す、エネルギーをまとわせてそのまま突っ込ませる、リングの穴を通すことで攻撃の威力を増幅させるなど、変幻自在の使い方が可能。
この世界では、サイデリアルやガーディムの技術を盛り込んで、出力・汎用性などあらゆる面でさらに強化して再現されており、今回の戦いの中でもその全容をまだ明らかに配していない。また、ブラスタ以上に膨大なヘリオースの次元力を制御するため、オリジナルよりも多い6機作成され、投入されている。
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