スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第57話 後処理と、『始祖連合国』の末路

【▽月!日】

 

 今僕は、帰還したアルゼナルの自室で、ゆったりと休息しながらコレを書いている。

 

 ミスルギ皇国を舞台にしたエンブリヲとの決戦は、無事に僕らの勝利で終わった。

 

 エンブリヲは倒したし――死んだかどうかは残念ながら微妙ではあるが――救出目標になっていた人達は大方救出に成功している。

 

 アンジュに、かなめちゃん、あと、『龍の民』のスパイやってもらってたっていうリザーディアさんに、エルシャが心配してた年少部の子達。

 

 それに、サリア、クリス、ココの3人もきちんと回収完了。3人共、エルシャ同様、謝罪した上で罰を受け入れ、以降は今まで通り仲間として一緒に戦ってくれるとのことだ。

 

 いや、戦力的には今まで通りどころか大幅アップなんだけどね?

 何せ、サリアとヒルダの2人はラグナメイルに乗り換えた上、ミランダはこの戦いでロールアウトした『サイデリアル』製のパラメイルもどきを実戦で運用し始めた。

 

 加えて、ココとジル司令までもがメイルライダーとして戦力に加わることになった。

 ココの機体は残念ながら、ちょっと修復できるかどうか怪しいレベルまで破損しちゃったものの、ジル司令はサリア達と同じく、今後はラグナメイルに乗るとのこと。

 

 あと、彼女達に科すことになった罰については……内容的には全然大したことないので。

 食事当番1か月間ぶっ続けとか、プリンおごるとか、ささやかなものばかりである。皆、既に心の中で彼女達を許し、受け入れている証拠と言っていいだろう。

 

 エルシャもそれに応えて、彼女らしく明るく優しいお姉さん役としての立ち位置に戻ってきたし、クリスはまだちょっとおどおどしているものの……いやこれは元からか。

 

 そしてココも、元々のフレンドリーで人懐っこい性格に戻って、パラメイル第一中隊の皆とは、一から友達になり直して仲良くするんだって息巻いている。

 

 ……僕、彼女の元の性格までは知らないんだけど……それでも『ああ、もとからこういう子だったんだろうな』って想像、ないし納得できるくらいには、彼女、活発でかわいい子だった。

 ミランダが早くもその制御役というか、面倒見る立場になってて……え、これも元から?

 

 皆、問題なくなじめそうで何よりである。

 

 あと、パラメイル第一中隊関連じゃないけど……戻ってきたかなめちゃんも、すっかり元通りになって宗介君と夫婦漫才を繰り広げていたので、こちらも安心……だと思う。

 

 時折、ちょっと不安そうな顔になるのは……少し気になるけど。

 まあ何かあっても、宗介君が今度こそ守ってくれるだろう。そう信じたい。

 

 それと、もう1人……いや、『1人』って言っていいのかは正直疑問ではあるが……助けた『存在』がいるんですけどね。

 

 他でもない。龍の始祖……『アウラ』さんである。

 

 消し飛んだ『暁の御柱』跡地、その奈落の底から、文字通り飛び出してきたアウラさんは、巨大なドラゴンの姿で……悠然と空を飛ぶその姿は、なんというか、神々しさみたいなものを感じてしまうような……そんな姿だった。

 

 しかし、アウラさんはそのまま空中高く飛び去ると……時空をゆがめて門を作り、どこかに消えてしまった。

 

 その少し後になってから聞いたことなんだけど、サラマンディーネさんが、アウラさんからのメッセージを受け取っていた。

 内容は、開放してくれたことに感謝する、っていうものと……ここにいると人々が混乱するからもう行きます、というもの。配慮のできるドラゴンさんだった。

 

 行き先は恐らく、元々住んでいた宇宙世紀世界……龍の民の領域だろう。シンギュラー反応も検出できてたし。

 

 様子を見に行く……まではしなくていいかな、少なくとも今すぐには。

 封印から解放されて、しばらくはアウラさんもゆっくりしたいだろうし……そもそもその隠里って秘匿されてる場所だから、気軽にはいけないだろうしね。

 

 数少ない行ったことがあるメンバーである、アンジュやタスク、ヴィヴィアンに聞いた話だと……何やら随分とカオスな場所だったみたいだが……興味がない……って言ったら嘘になるな……。いつか行けるだろうか?

 

 ……ただ、1つ気になってることがある。

 飛び去る間際、アウラさん、何か少しだけ……僕の方を見ていたような気がしたんだけど……気のせいかな?

 

 

 

 追記

 

 今回は僕、『ヘリオース』に変身しても、寝込まずに済んでいる。

 

 やっぱり、補助用に作った『SPIGOT』がいい仕事をしてくれたようだ。

 Zシリーズの中でも、個人的にかなり気に入ってる武装の1つ。あれも元々は、膨大な次元力を暴走させずに制御するための装備だったはずなので、参考にしてみてよかった。

 

 若干疲れはあるけど、これなら特に後のことを心配する必要もなく、ヘリオースの力を使えるだろう。同時に、次元力そのものに感ずる理解も深まったと思う。

 

 ……これなら、今開発してる『アレ』についても……近いうちに形になりそうだ。

 

 

 

【▽月◆日】

 

 一大決戦だったこともあり、後始末やら何やらにも時間と手間がかかっている。

 

 いわゆる『嬉しい悲鳴』なんだろうけど、それでもやっぱり忙しそうで……特に、ジル司令とかは昨日から、事務作業とか色々ですっごい大変そうだった。

 それでも、宿願叶ってエンブリヲに一泡吹かせてやれたのは嬉しかったようで、色々愚痴みたいなことを言いつつも、率先してそれらの業務をこなしている。

 

 もちろん僕や、その他のメンバーも、自分にできる範囲のことでお手伝いさせてもらってます。

 

 当然というか、僕がやってるのは物資輸送なんだけどね。ボソンジャンプで。

 

 その他の『後始末』の例を挙げるなら、

 

 まず、エンブリヲのところから保護して連れ帰ってきた、年少部の子達。

 『エンブリヲ幼稚園』なんていう、絶対まともに育つことができなさそうな教育機関に、一時的にとはいえ入れられていたことについて……どうやら悪影響はないみたいで一安心だった。

 

 今後彼女達については、これまで通りアルゼナルで面倒を見るとのこと。

 

 もう、アルゼナルにいるノーマ達が何かと戦う必要はないからね。

 

 将来的には、アルゼナルを出てどこかに引っ越すことも検討するそうだが、人数も結構いるし、準備は色々必要だからって、今は保留になってます。

 

 念のため、『第一中隊』以外の部隊の人達が警備に当たることになっている。

 けど、正直そこまで心配はいらないだろうな。

 

 もうドラゴンが攻めてくることはないし……それに加えて、ここを攻めそうな『始祖連合国』の方も……今はそれどころじゃないから。

 それに関しては、もうちょっと後でね。

 

 エンブリヲのところから戻ってきた、エルシャ、クリス、サリア、そしてココは、元通りパラメイル第一中隊に復帰。さらにそこにジルも加わって、一緒に戦ってくれることになった。

 

 もう司令としての立場は捨てて協力するからって、『司令』はつけないように言われたので……ここからは呼び捨てになってます。はい。

 ……なぜか、『さん』付けするとにらまれるというか、面白くなさそうにされるんだよね……。

 

 アルゼナルの留守は、ジャスミンさんやマギーさん(医者の人)、そしてエマさんに任せるそうだ。

 

 ジャスミンさん、ジルの前任の司令官だったんだって。マジか、すげえな。それなら組織の運営も任せられるだろうね、安心して。

 

 あと、ここにいる中でただ1人ノーマではなく、どちらかと言えば『始祖連合国』側であるエマさんを運営サイドに組み込むっていう決定は少し意外だったんだけど、何か彼女は彼女で吹っ切れてるっぽいんだよね。

 

 アルゼナル襲撃の時、エマさんがいるにもかかわらず、『始祖連合国』の連中、アルゼナルごと吹き飛ばす勢いで攻撃してきたから……彼女、見捨てられた立場なわけで。

 それで、一時的に失意のどん底に至り、酒浸りになったりしてたらしいんだが、こうなったらもう祖国がなんぼのもんじゃい、とばかりに開き直って協力してくれるらしい。いいのかそれ。

 

 アルゼナルはそれでいいとして……『始祖連合国』についてなんだけども。

 

 ボンクラ皇帝の崩御で結構な混乱の只中にあったミスルギ皇国だけでなく、今は『始祖連合国』全体が大パニックになってるらしい。

 

 理由は簡単。いきなり『マナの光』が使えなくなったから。

 

 そもそもあれは、エンブリヲがアウラさんを供給源にして、『始祖連合国』全体に与えていた力であり……そのアウラさんが解放された以上、使えなくなるのはまあ、当たり前のことである。

 

 あの国々は、日常生活から情報通信から、結構何でもかんでも『マナの光』の便利パワーに依存しまくっていたため、それが一気に失われた結果、必然の大パニックが起こったというわけ。

 他の国で例えれば、ライフラインとネット環境が一気に機能不全を起こしたようなもんだろうか……いや、もっとひどいかも。

 

 どうにかしろと各国政府が突き上げを食らっているものの、そのシステムを知っていたのはエンブリヲだけだったため、修復なんてできるわけもない。

 

 社会機能そのものがマヒ……を通り越して崩壊の兆しを見せている。

 というか、このままいくと遠からず国が滅ぶ。間違いなく。

 

 なので恐らく、その前に他の国々が干渉することになるだろうけど……国力そのものが大きく低下している形になっているわけだから……盛大に足元見られる上に、内政干渉もじゃんじゃんされるんだろうな……。

 国としての体裁、残るだろうか? それすら怪しいもんである。

 

 そのことをパラメイル第一中隊の皆に話したら、爆笑する者に『あーあ』と呆れる者に、反応は様々だった。けど、心配する者がほぼゼロだったあたりに、あの国に対する皆の印象というものを察することができる。

 

 唯一ミランダだけは、残してきた家族が心配だって言ってたけど。

 摘発されて離れ離れになるまで、自分のことをかくまってくれて……ノーマとか関係なく、家族として愛情を注いでくれた家族だからって。

 

 どうやらその国は、ミスルギ皇国ではないらしいんだけど……ふむ……。

 

 

 

【▽月?日】

 

 ひとまず、アルゼナルでの『後始末』その他は終了。

 近日中にまた『独立部隊』として動き出すことになりそうだ。

 

 物資の補充も機体の修繕も、一部を除いてばっちりできたので、何も問題はない。

 

 なお、『一部』というのは、ココの機体である。

 やっぱり破損が酷くて修繕が……できないことはないけど、短期間じゃ厳しいんだよね。使えない部品も多いから……ほとんど一から作り直すような感じになる。

 

 それでも修繕できないことはないんだけど、他ならぬココの希望で、彼女にはミランダと同じ『デモンメイル』を作ってプレゼントすることになったのだ。お揃いがいいからって。

 

 『デモンメイル』というのは、僕が命名した、あの『パラメイルもどき』の正式名称である。

 姿かたちは似ていても、パラメイルとも、ラグナメイルとも、龍神器とも全く違う分類の機体ってことで。

 

 メイン動力に次元力を用いているってことで、『Dimension』の一部を取って『Demon』。

 それに加えて、エンブリヲが用いるラグナメイルが『神の兵器』っていう異名をとっていることから……Z世界でもあった『神をも殺す悪魔』というもじりも込めて、そう名付けた。

 

 ココの希望を聞き、彼女の戦闘スタイルなんかも加味しつつ、現在鋭意製作中である。

 

 あと、今後『始祖連合国』をどうするかっていう点についてだが……早速地球連邦が動き出したようだ。

 

 それに加えて、ネルガルとか一部の企業も動き出している。

 滅びかけて、しかし復活しようとしている国っていうのは……割とビジネスにおける都合のいい市場でもある……というのは、僕も身をもって知っている。そういう国で成り上がった身として。

 

 もちろん、僕ら『サイデリアル』も参入します。

 

 今言ったように、何と言ってもノウハウがありますからねえ……そういう状態の国や地域を相手にして、どんな物が必要とされ、どんな風にすると物が売れるか……そして、儲かるか。

 

 幸いと言っていいのか、『始祖連合国』というだけあって、国はいくつもある。

 すなわち、ある程度企業ごとにすみわけができる。

 

 ミスルギ皇国みたいな、バカデカい規模の市場はネルガルとかに任せて、僕らはもうちょっと小さな国を相手にする予定だ。

 まあ、それでも国まるごとだから、とんでもない一大事業になるけど。

 

 ふふふ……相手はこれまでほぼ鎖国状態で、外交だの国際取引だの、利権交渉だののノウハウが全くと言っていいほどない……言ってみれば赤子同然。

 下手すれば、ちょっとした中小企業並みか、それ以下の交渉能力しかないだろう。その上、自力での復興はどう頑張っても不可能で、外貨・外資に頼る他ないと来ている。

 

 ネルガルのイロモノ会長が大喜びしそうな好条件である。

 きっちりばっちり足元見つつ、適正価格(?)で色んな支援を行いながら、色んな利権を掻っ攫ったり買い取ったりしていくんだろうな……。

 金融取引とかでも、言われるがまま、されるがままに色々借りたり、担保で差し出したりするんだろうな……。ノウハウがないから、どんな取引、どんな契約条件が危険かなんて知らないから。

 

 けど、あの国に関しては止めるつもりはない。

 やってやれ、金持ち。僕らもやる。

 

 これについても、第一中隊の皆に話した。反応に関しては、前と同じである。

 

 ジルなんかはさらに聡いもので、『投資関係のいい話があったら一枚かませろ』って言ってきた。

 彼女個人の、いわばポケットマネーから、そのへんの資産運用や利権の売買を考えているらしい。

 さすがは元司令官……プラス、皇族だっけ? 目の付け所が違う。

 

 わかっていないメンバーが大多数だったので、説明もその場でしていた。

 

 簡単に言えば、今のミスルギ皇国をはじめとした『始祖連合国』は、外国や外国企業に頼らなければ、国としての形を維持することもできない、末期な状態。これはさっき言ったとおりだ。

 

 しかし、かの国々はまともにこちらとの取引で使えるようなものがほとんどない。

 国交自体がゼロに等しいから、普通に交易的に物の売り買いできるなんてこともないし……そもそも通貨取引に必要不可欠な、国としての『信用』が現在進行形でストップ安。

 

 そうなると必然的に、何か価値のあるものを担保にして借りる、あるいは売り払って換金する、ということをしなければならない。

 外の世界でも通用するようなものとなると、色々な……漁場や鉱山の利権なんかが主になるな。

 

 そうして差し出して、無事にお金を借りて返せたり、買い戻したりできればいいが……そうできなければ、それらのものは必然的に、買い取った他国、あるいは他国の企業のものになる。

 国内の数少ない資源を抑えられる形となり、結局その後もデカい面はできなくなる……どころか、その利権の持ち主の顔色をうかがいながら生きていくしかないわけだ。

 

 で、その『持ち主側』として投資やら株主やらで参加することで、雑に言えば、『始祖連合国』に対する支配者側に回って『敬いたまえ君達』とかやろうとしてるわけだ。ジルは。

 自分達の生活を支える、必須の利権を握っているとなれば(それが例え投資家の1人としてでも)……それがノーマだろうが、『始祖連合国』の人達は下手に出るしかないから。

 

 自分を追放した世界を恨み、ぶっ壊そうと考えていたジルからすれば、過度に物騒でもなく、何一つ法を犯すことなく溜飲を下げることができる、最高に近い方法だろう。

 

 それを理解したヒルダ達も『面白そうだ!』とまあ、予想通りの反応。

 こりゃ、アルゼナルが事実上の持株会社になる日も近いのでは……?

 

 

 

 追記

 

 ちなみに、僕らが縄張り(意訳)とする予定である国だが……どうやら偶然そこが、ミランダの故郷の国らしいんだよねー(棒読み)。

 

 うちの社で色々と取引を進める部門に、色々と伝えて……彼女の『キャンベル家』の所在や、その家や職場に絡む利権をいくつか確実に抑えておくよう頼んでおいた。

 これに関しては、会社絡みじゃなく、僕のポケットマネーでどうにかする予定だ。

 

 ……さて、ミランダに誕生日いつか聞いておかないと。

 『プレゼント』の確保、それまでに間に合うかな?

 

 

 

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