スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第62話 『時空融合』とアウラの言葉

【▽月;日】

 

 さーて……大変なことになった。

 いや、違うな。大変なことに『なっている』。今まさに。

 

 ぶっちゃけ今、こうして日記なんか書いてる場合なのかって自問自答したくなるくらいに、今、現在進行形で大変なことになっている。

 けど、他に何かするっつっても、今すぐに何かできることがあるわけでもないので……状況の整理と、精神を落ち着ける意味も兼ねて、こうして日記を書いています。

 

 というわけで、今こうして起こっていることを……いやどうせなら、昨日から順序だてて見返してみるとしようか。

 

 

 

 まず昨日は、ええと……最初は、使徒の襲来から始まったんだっけ。

 それも、アスカが乗ってる『エヴァ参号機』を乗っ取った使徒が。

 

 しかもそのあと、先んじて出撃したエヴァ3機(含、マリ)が苦戦してるところに、劇場版ゼルエル(正式名称知らん)まで現れて大暴れを始め、しまいには綾波さんを零号機ごと吸収。

 

 しかもそこに、突如、行方不明だったマジンガーZEROも現れた。

 

 さらにそこにガーディムも現れた。いつもどおり、総司さんとナインを狙いつつ、マジンガーZEROとエヴァ、それに使徒のデータを取りに来たらしい。

 指揮官はやっぱりジェイミー。復活して、そして前回のことは忘れていた。グーリーと同じ扱いをされていることが確定した瞬間である。

 

 これに対して僕らは、部隊を大きく3つに分けて応戦し、それぞれの対処に成功。

 

 まず、マジンガーZEROに対しては、グレートマジンガーと真ゲッターを中心としたスーパーロボットが主体となって応戦。

 

 途中、鉄也さんがグレートマジンガーの光子力エンジンを暴走させて、特攻同然の攻撃をしてZEROを道連れにしようとしたものの、相手の防御を抜くことができずに失敗。

 

 鉄也さんはどうにか脱出できたものの、グレートは大破。

 そのままZEROにとどめを刺されそうになったんだが、その時、どこからかもう1機マジンガータイプの機体が飛んできて……鉄也さんはそれに乗り換えた。

 

 その名も『マジンエンペラーG』。マジンガーZEROに勝るとも劣らない存在感、そして戦闘能力を誇る『偉大なる魔神皇帝』だそうだ。

 

 その名に恥じないだけのすさまじい戦闘能力を発揮して、ZEROと互角以上に渡り合い、仲間達との連携でついにZEROを撃破。

 その直後、仲間達の呼びかけに応えて甲児君も復活し、マジンガーZを取り戻した。

 

 しかもその直後……何があったのか詳しくは知らないが、なんと『マジンガーZERO』を制御できるようになったらしく、きちんと甲児君自身の手で制御したままに、再びZEROに変身して見せたのである。

 これには僕ら全員驚かされたが、あの力が味方になったんだと思えば、これほど心強いものもない。前向きに受け取ろう。

 

 で、次。

 エヴァと使徒2体の方については……こっちもなんだかすごいことになっていた。

 

 なんか、エヴァ初号機が、暴走……よりもやばそうな『疑似シン化第一覚醒形態』だか何だかっていう姿に変わり、それまで苦戦させられていた使徒を一蹴した。

 

 いやだってあんな、光るエネルギーでできた腕みたいなのを飛ばしてロケットパンチ?したり、めっちゃおぞましい感じで吠えながら目からビーム出したり……失礼ながら、使徒よりよっぽど怪物に見えてしまった。

 

 けど、その初号機が使徒を倒した隙に、僕はヘリオースの次元力制御を全開にして、綾波さんを取り込んだ使徒に干渉した。

 

 NERVの司令室からの情報によれば、あの使徒はエヴァ零号機を、パイロットもろとも完全に取り込んで融合している状態にあり、そこからパイロットを助け出すことができるかどうかはわからない……というか、正直に言って限りなく絶望的、とのことだった。

 

 しかしそれを踏まえた上で、僕は彼女を助け出すことができる、と考えていた。

 

 理由は簡単。これと似たようなケースを他に知っているから。

 完全に融合ないし変容し、不可逆的に怪物に変わってしまったにもかかわらず、もとの人間の姿に戻ることができたケースを。

 

 ぶっちゃけて言うと、『第二次Z』のエスターのことだ。

 

 色々省くが、あの作品では彼女は、『人造リヴァイヴ・セル』によって機体と強制的に融合させられ、『次元獣』という怪物に変えられてしまっていた。その変化は不可逆的なもので、二度と人間には戻れない、とされていた。

 

 しかし、2つのスフィアを……それも、相性が良く、力を高めあえる『天秤』と『水瓶』を使い、膨大な次元力を用いて干渉することで、彼女を元に戻すことができた。

 

 おそらくは、次元力の本質である『事象制御』によるものだと思うけど……要するに、相応の出力とコントロールさえあれば、次元力は『不可逆』を『可逆』にしてしまえるのだ。

 

 僕がやったのはその再現。ヘリオースから発生させた膨大な次元力を用いて使徒に干渉し……彼女を無理やり分離させて引っ張り上げた。

 それを、シンジ君が初号機を使って救い上げ……彼女を救出することに成功した、ってわけだ。

 

 さすがにというか、おそらくはかなり高レベルの事象制御だったんだろう。1回やるだけでも無茶苦茶疲れたけど……その分、やり遂げた感はあった。

 

 そのあと、同じようにしてアスカも救出。

 こっちは完全に取り込まれたわけじゃなく、使徒にエヴァごと侵食されてただけなので、そこまで難しくはなかった。

 

 そんな感じで、使徒2体は撃破。パイロット2名も無事救出完了。よし。

 

 で、最後にガーディムについては……ミレーネルが大暴れして片付けた。

 つい最近ようやく完成した、『サイデリアル』の鬼札……『アンゲロイ・アルカ』に乗って。

 

 第三次Z天獄篇をプレイした人なら誰でも知っているであろう、あのトラウマ機体である。

 

 外見は、ただ黒く塗装されただけの『アンゲロイ』にしか見えないのだが……その性能は完全に別物。

 武装や駆動のすべてに次元力をダイレクトに用いているため、攻撃力、防御力、機動力、その他諸々、全てが冗談みたいに強力。その戦闘能力たるや、通常のアンゲロイのなんと30倍という恐ろしい状態になっている。しかもこれ公式設定なのよね。

 

 HPの残量次第では、どこぞの3回行動おじさんよりも堅くなるという『お前ぜったい量産型じゃねーだろ』と多くのプレイヤーに言わしめたバケモノである。

 

 当然、ただのアンゲロイ、あるいはちょっと改良された程度の同型機だと高をくくって戦いを挑んだガーディムの皆さんは、もれなく粉砕されることとなった。

 

 この戦闘能力に仕上げるのは、『バースカル』の生産能力でもかなり大変で、ぶっちゃけ行き詰ってたんだけど……『アスクレプス』が『ヘリオース』に覚醒した時や、それ以降の戦闘データをフィードバックすることで飛躍的に開発が前に進んだ、という経緯があったりする。

 なので、完成したのはホントに最近なのだ。

 

 それでも、苦労して作っただけの甲斐はある兵器に仕上がったと思う。

 ……横目でチラチラ見てたけど、マジでガーディム、全然相手になってなかったもんな……攻撃は効かないし、逆にこっちの攻撃は一発でも当たれば、ほぼ間違いなく即撃墜だし。

 

 そのままガーディムの軍勢は、『アルカ』に加えて、周囲のうち漏らしを狩っていたパラメイル第一中隊やミスリルとの連携で、ほどなくして壊滅。

 ジェイミーの乗る『マーダヴァ』も撃墜した……ものの、やはりというかジェイミーはアンドロイドだったので、意味があるかどうかは微妙である。また出てきてもおかしくない。

 

 そんなわけで、使徒は対峙して、ガーディムはぶっ壊して、マジンガーZEROは戦力として組み込むことができたので、どうにか一件落着。

 

 ……そう、誰もが思っていた、その時だった。

 

 

 

 エンブリヲと、レナード、それに……『エグゼブ』とかいう名前の男を含めた3人が現れ……とんでもないことをやってくれたのは。

 

 

 

 虎視眈々とこの時を待っていたあいつらは、マジンガーZEROと、覚醒したエヴァ初号機の力を起爆剤代わりに使い……『時空融合』という、世界を一度終わらせて作り変えるための……儀式?みたいなのを発動させたのである。

 

 詳しい仕組みについては省くけど(ぶっちゃけ僕も理解しきれてはいないので)、この『時空融合』をやると、『西暦世界』と『宇宙世紀世界』の2つの地球が融合してしまうらしい。

 

 しかし、その際に発生する負荷に耐え切れず、地上は壊滅。さらに、衝撃波が発生して、木星あたりまでそれが届き、周辺宙域のコロニーその他も含めて滅茶苦茶になるらしい。

 

 ……エンブリヲは、『一度世界を終わらせて作り直す』的なことを以前、言っていたことがあったのを思い出した。そのための手段がコレか。

 レナードも、似たようなこと考えてたっけな。Z世界とはやり方が違うけど、『世界を作り直す』っていう目的には沿っている……のか?

 

 そして、3人目の謎の男……『エグゼブ』。

 こいつに関しては、目的も含めてわかっていることは多くないが……どうやらこいつ、『DG同盟』を裏で操っていた黒幕にして、なんと、舞人社長やエースのジョーの親の命を奪った仇敵でもあるらしい。このタイミングでそんなのが出てくるとは。

 

 そして、一度始まってしまった『時空融合』を止めるすべはない。

 

 このままいくとバッドエンド一直線だったわけだが……それを止めてくれたのは、なんと、『龍の民』の始祖である、アウラさんだった。

 

 彼女(女性みたいだし、この呼び方でいいかな)が突如としてジオフロントに現れ、その力で時空融合を止めてくれている。

 現在、融合はこの付近だけにとどまっている、という状態だ。

 

 次元規模の現象すら制御できるなんて、ホントにすごいな、アウラさん……さすがというか、その力で『始祖連合国』全体の『マナの光』を支えてただけはあるわ。

 

 ……僕にはできなかったってのにね。情けない限りだよ。

 

 うん、3人が現れて『時空融合』を始めようとしたとき、僕は次元力で発動を食い止めようとしたんだ。次元境界線の異常歪曲は観測できてたから、そこに割り込むような形で『事象制御』で正常化しようとした。

 

 けど……残念ながら力が及ばず、時空融合が始まってしまったのである。

 それなりに成長したつもりではいたんだけどな……まだまだだってことか。

 

 ……しかし、次元力で干渉しようとした時に……何だろう、まるで弾かれたというか、邪魔されたような感覚があった気がしたんだけど……あれってただ単に、僕の力が足りなかっただけかな? それとも……

 

 まあいい……ともあれ、起こってしまったもの、始まってしまったものは仕方がない。

 そうなってしまった以上は、ここからどう巻き返していくかだ。

 

 現状、シンジ君をはじめ、『時空融合』の衝撃で気を失ってしまい、まだ目を覚ましていないメンバーも多い。

 

 ある程度体制を整えられたところで、艦長達や有識者が集まって今後の対応を協議することになるそうだから、まずはそれ待ちだな。

 どう動くことに決まってもいいように、僕もきちんと休んで回復して、待機していよう。

 

 

 

【▽月:日】

 

 艦長達の会議では、『宇宙世紀世界』のみならず『西暦世界』からも有識者その他を呼んで話し合ったらしいんだが、これといった決定的な打開策は出されずじまいだったらしい。

 

 というか、なまじそういうのに見識がある人たちが集まったために、『これはガチでどうしようもない』という結論に至ってしまったんだとか。

 

 起こっている災害(こういう表現でいいのかどうかはわかんないけど、起こってることはまさにそれなのでそう呼称する)の規模が大きすぎて、手に負えないと。

 少なくとも、今の技術レベルでは。

 

 今はアウラさんが抑えてくれているけど、彼女の力だって有限だ。

 いつかは支えきれなくなり……その時は正真正銘、この世界が融合に飲み込まれる時、ということになるんだろう。

 

 最早打つ手はないのか、と思われたが、そんな中で一筋の光明になったのが、他でもない、そのアウラさんに助言を請うというものだった。

 

 確かに、単独で時空融合を抑えるほどの力を持ち、そもそも彼女は、言い伝え通りなら1000年以上の時を生きている存在だ。

 過去の大規模なゲッター線災害を知り、また、ラグナメイルが現役で戦場を駆っていた時代を知っている彼女なら……うん、何か知っているかもしれない。

 

 ただ、今現在アウラさんは、時空融合真っ只中の空間の中にいる。

 その周辺は時空がゆがんだりしてやばいことになってて、とても近づけない。そのため、相談することもできないのだ。

 

 そこで話が回ってきたのは、僕とサラマンディーネさんだった。

 

 まず、サラマンディーネさんは、『龍の民』の中でも特に強い力を持つ者の1人であるため、かなり離れた位置からでもアウラさんと交信できる。

 

 そして、僕の『ヘリオース』は、独立部隊の中で……それこそ、戦艦級まで全て含めた中で、最も『次元空間』を渡るのに適正をもつ機体である。

 『ヘリオース』なら、アウラさんの周辺にあるゆがんだ空間をこじ開けて、ある程度まで近くに行ける、という見込みだ。

 

 ゆえに、その2つを組み合わせる。

 サラマンディーネさんをヘリオースに乗せ、可能な限りアウラさんの近くにまで行き、彼女がアウラさんからと交信して、打開策が何かないか聞く、というもの。

 

 それを、善は急げとばかりに、今日の午後、実行した。

 

 『空間をこじ開ける』というのは、なんというか不思議な感覚で……ものすごく粘度の高い泥の中をかき分けて進むみたいで、なかなか前に進めなかった。

 

 ……あと、言ってみればこれ、大嵐の中を進むようなものだったため、かなり機体が揺れまして……相乗りしているサラマンディーネさんが、とっさにしがみついてきたときに、柔らかい感触とかいい匂いとか『っくぅ……!』って切なげで苦しげな声(堀江〇衣ヴォイス)ががが……

 

 落ち着け、世界の運命がかかってるときにおかしなことを考えるな。彼女だって必死で真剣なんだぞ。消えろ邪念。

 

 色々苦戦しつつも、これ以上は無理、というところまで近づいて、あとはサラマンディーネさんにバトンタッチ。

 

 その結果、期待通りにアウラさんは、この状況に対処する方法を知っていた。

 ただ、その内容っていうのが、予想外にもほどがあるもので。

 

 

 

 『イスカンダルへ行け』

 

 

 

 どうして『宇宙世紀世界』の住人であったはずのアウラさんが、『新西暦世界』のイスカンダルのことを知っていたのかとか、そこにこの状況を打開する術が本当にあるのかとか、そもそもそれなら『新西暦世界』に帰らなければならないじゃないかとか、色々と疑問・懸念は尽きない。

 

 それでも、確かに示された、クモの糸にも等しい可能性を目指して、僕たちは向かっていくことになったのだった。

 

 

 

 

 

追記

 

 これは、皆に報告したほうがいいことなのかどうかわかんないけど……なんとなく、言わない方がよさそうな気がしたので、僕1人の胸の内にしまっていることがある。

 

 サラマンディーネさんがアウラさんと交信している最中のことだ。

 なんと、というかなぜか……アウラさんが、僕にも話しかけてきたのである。

 

 話というか、一方的にメッセージを送信してきた、みたいな感じだったんだけどね。頭の中に、声……というよりは、彼女の『意思』がそのまま響き渡ってきたみたいな感じで。

 

 そして、その内容っていうのが、どうにも……

 

 

 

 

 

『あなたが本来の力を使えれば、『イスカンダル』に行く必要もなかったはず』

 

『しかしそれは、確かに……ない方がいい、使うべきではない力であるのも事実』

 

『今のあなたには、私が何を言っているのかはわからないでしょう』

 

『ですがもし、この先、あなたが本当の力を取り戻すようなことがあれば』

 

『その時は、その力の使い方だけは間違えないで』

 

『そうなってしまったら……きっと、私でも止められないから……』

 

 

 

 

 

 ……なんだかなぁ……不吉というか、不穏というか……そんな感じの言葉を、一方的につらつらと並べられてしまった。

 

 

 

 

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