スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

69 / 113
第68話 『ソーラーストレーガー』と、艦隊の名

 戦場に突如現れた、敵味方双方にとって未知の巨大戦艦。

 

 推定で全長800m以上。宇宙戦艦ヤマトの実に倍以上の大きさを持つそれは、しかしその大きさ以上に、その異様な姿でもって、その場において圧倒的な存在感を放っていた。

 

 意匠からして、おそらくは『アルデバル』の系列であることは明らかであり、加えて先ほど聞こえてきた音声。

 ミツルとミレーネルが乗っている、ということは……まぎれもなくこれは、『サイデリアル』製の戦艦だということだ。

 

 実際には少々異なり、サイデリアルの軍事部門で研究こそ行ってはいたものの、製作に関しては会社側のラインや資材、そして資金は一切使わず、ミツル達が独自に作っていたものであるが……それについては最早些細な問題だろう。

 

 聞こえてきた音声から察するならば、『ソーラーストレーガー』という名前らしいその機体に、最初に刃を向けたのは……機械ゆえに、動揺も恐怖もすることはない、無人機たちだった。

 

 戦場の直上に突如出現した敵機めがけて、グレイブからモビルスーツまで、何機もの大小の無人機が武器を手に向かっていくが……その光景を見ていた者達は、一様にその様子が、愚かな特攻にしか見えなかった。

 まだ武装の1つも見ていない現状ではあるが、あの戦艦が無策で突っ込んでどうにかなるようなものではないことくらい、誰の目にも明らかなことだった。

 

 そしてそれは、その戦艦に乗っている面々……ミツルとミレーネルにも同様で。

 遅れたことを詫びつつ、この艦について仲間たちに説明しようとしていた2人は、無粋にも突撃して来る十数機の無人機を確認し、切り替えてこう考えた。

 

 『試射にちょうどいいかな』と。

 

 そして、その次の瞬間には……巨壁のごとき前面装甲にちりばめられた、無数のクリスタル状の機構が輝きを放ち始め……エネルギーが収束していく。

 

 それは、同型機(恐らく)である『アルデバル』にもあった兵装。しかし明らかに桁が違うレベルの出力で稼働している。

 各艦の艦橋でそれを観測していた、新見薫やマキビ・ハリなどのオペレーター役を担っていた面々は、検出されたその数値に恐れ慄くことになった。

 

 そして、わずか数秒にも満たない、エネルギーの規模を考えれば破格どころではない、短い時間でチャージは終わり……

 

「それじゃ軽めに……『タキオンブリッツ・プレッシャー』……一斉掃射(フル・ボンバードメント)!」

 

「発射!」

 

 その瞬間、十重二十重、という言葉すら生ぬるいであろう、破壊光線の暴風雨が戦場に吹き荒れた。

 

 一目見ただけで数える気が失せるほどに放たれたレーザーの弾幕は、向かってくる無人機達に回避できるわずかな隙間も残すことなく、その全身を貫き……一瞬にして爆散・蒸発させた。その爆音という名の断末魔すら、レーザーが空を切る甲高い音に、ほとんどかき消されてしまった。

 グレイブのビームシールドも、マジンシリーズのディストーションフィールドも、モビルスーツの対ビーム装甲も……全て無いも同然に貫かれ、何一つ役に立ちはしなかった。

 

 しかも、レーザーの豪雨はひとまずの標的を消し飛ばした後もさらに直進し……

 

「何ぃっ!?」

 

 油断、ないしあっけにとられていたエンブリオをそのまま飲み込んで消滅させ、

 

「ぬおおおおっ!?」

 

「ば、馬鹿な、我らミケーネがこのような形で……ぐああぁぁあ!?」

 

 同じように範囲内にいたミケーネの神々や、その手勢であるケドラをも、ついでとばかりに……というか実際ついでなのだが、その圧倒的な破壊の中に沈めて蹴散らした。

 

 なお、当然ながら味方には余波含めて1発も当ててはいない。

 

 その様に調整し、なおかつミツルの言う通り『軽めに』撃った攻撃でもなお、

 

「……マジかよ……」

 

 思わずつぶやいてしまった総司同様、敵味方を問わず、絶句するしかない惨状がそこに広がっていた。

 

 標的となった無人機達に加え、ついでに消し飛ばされたエンブリヲとミケーネ勢。

 それらがいた場所……すなわち、『タキオンブリッツ・プレッシャー』が蹂躙した射線上は、大地が盛大にえぐれて土埃が巻き上がり、その下に見える地面は、膨大な熱量で溶解したり、ところどころガラス化を引き起こして不気味にきらめいてすらいた。

 

 ほとんど戦場を縦断するような形で走った破壊痕を、今の一瞬で作り上げたその戦艦。

 その所業とは対照的に、そこから聞こえてくる声は……呆れるほどに普段通りだった。

 

「えーっと……挨拶より先に、ってか挨拶代わりにぶっ放しちゃいましたけど……ともあれ、遅れてすいません。星川ミツル、およびミレーネル・リンケ、機動戦艦『ソーラーストレーガー』と共に、今から参戦します! 夜露死苦!」

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

【◇月▽日 続き】

 

 そんなわけで、ココとミランダの専用機である『アントワネット』と『ラピュセル』、

 

 そして、『アンゲロイ・アルカ』以上に長い期間をかけて作り上げ、とうとう完成した超大型機動戦艦『ソーラーストレーガー』が、この度の戦いの中でロールアウト。

 

 それらが大活躍しつつ、エンブリヲもミケーネも撃退することに成功した。

 エンブリヲは……まあ、どうせまた死んではいないんだろうけど、まあいいや、まずは。

 

 まあ当然、極秘裏に開発していた機体だった上に、ほとんど不意打ち気味に表れて大暴れしちゃったから、戦闘の後は質問攻めだったけどね。あっちこっちから。

 あの戦艦は何なんだ、『サイデリアル』の新兵器なのか、いつの間に作っていたんだ、etc。

 

 もちろん、きちんとその後説明はさせてもらったけどね。

 ついでだし、日記にも一応書いとくか。

 

 まずは先に、ミランダ達の機体である2機のデモンメイル……『ラピュセル』と『アントワネット』から行こうか。

 

 これらはともに、彼女達の新たな機体として作り上げた新兵器であり、基礎フレームはパラメイルやラグナメイルと同様ではあるけど、その実、3つの平行世界……どころか、『多元世界』の技術を随所に織り込んで作り上げた超高性能機に仕上がっている。

 

 あまり詳細に説明すると、長く+ややこしくなるので適度に省くけど、装甲は材質から何から見直しているので、強度はかなり上がってるし、コクピット周りの気密もきちんと改善されている。フィールドなしでも宇宙空間で活動可能なレベルまで。

 ……ラグナメイルすら、着水しただけで浸水するレベルだからなあ……おかしいってあのへん。

 

 動力には『Dエクストラクター』を……すなわち次元力を使っているため、継戦能力や最大火力は爆上がりしている上に、パイロットの意思の力でさらにそれを強化することが可能。

 この辺については、パイロット各位、操縦技能とともに今後も訓練して強化していってもらうつもりである。

 

 そして2機は、それぞれの戦闘スタイルが割と対照的なので、共通部以降はそれに合わせていろいろとチューニングを行ったり、武装を組み込んだりしている。

 

 ミランダは遠距離戦主体なので、中~遠距離で猛威を振るうべく、手持ち武装に『ガナリー・カーバー』を、補助武装に『クラフティブ・レイガン』を搭載し、敵を近づけずに遠くから一方的に狙い撃って乱れ撃って勝負を決めるスタイルにしている。

 また、仮に近づかれても大丈夫なように、『ラムダ・ドライバ』や『ディストーションフィールド』、それに『Dフォルト』といったシールド系兵装も、過剰なほど搭載しており、防御も万全。

 

 対照的に、ココは接近戦が主体なので、ミランダよりも装甲や馬力の部分を強化し、代わりに、射程距離の長い兵装は大部分をオミットした。

 その代わり、クロスレンジや中距離で大暴れできるように、マジンガーシリーズから拝借したバ火力武装をいくつも搭載している。両肩の『ブレストフラッシュ』や、頭部の『サンダーストライク』など。あと、某反逆の世界の兵装である超振動溶断剣『MVS』も。

 

 なお、2機の名前も今回の出撃直前に決めた。

 

 考えたのはそれぞれのパイロット2人なのだが、個人的にはもうちょっと……別な名前でもよかったんじゃないかなー、と思わなくもないんだが……。

 恐らく、アンジュ達の乗るラグナメイルと同じように女性名で統一しようとしたんだろうけど、それにしてもチョイス……

 

 そして最後に、僕とミレーネルが乗って登場した巨大戦艦について。

 その名も『ソーラーストレーガー』。全長800m超の、まさしく秘密兵器である。

 

 見た目は……ちょっとメタな言い方になるけど、Zシリーズに出てきた『プレイアデス・タウラ』に近い。あんな感じで、ゆるい流線型のボディに、何枚もの装甲板がついている。

 その装甲板に、砲台になるクリスタル状物質が何個もついており、そこから光子魚雷や破壊光線を発射して攻撃する、という感じである。

 

 しかし、カラーリングは違う。『プレイアデス・タウラ』は金と黒がメインだけど、こちらは白と金が主で、白の方がメイン。

 また、装甲板の大きさもサイズアップしている上、砲台役のクリスタルも大幅増設しているため、単純な防御力はもちろんのこと、手数も出力も上がっている。

 

 これらの改造は実は、『バースカル』の設計を参考にさせてもらっている。あの艦、前面の装甲を広く取った代わりに強固にして、そんでめっちゃ砲座をたくさんつけてたからね。露骨なまでに艦隊戦・砲撃戦に特化した仕様になっていたから、そのノウハウが使えた。

 

 また、同様の装甲板は背面や側面にも、装着……というよりは、船体に組み込むような形で設置してあるため、ほぼ死角なし。全方位に大火力で撃てるようになっている。

 

 そんな巨体でも、先にテストケースとして作った『アルデバル』と同様に、高い機動力を保ち、なおかつ少人数、あるいは1人での運用が可能なように作られている。

 まあ、『リヴァイヴ・セル』を応用した、思考で直接コントロールする方式だから、今んとこ僕とミレーネルにしか動かせないけどね。

 

 また、この艦の機能は『戦艦』としてのものだけではなく、移動拠点という面でも充実したものになっている。

 

 居住区画は、『サイデリアル』の不動産部門に監修してもらってデザインされているので、長期間の航海でもストレスなく快適に過ごせるようにデザインされている。空間が限定されているから色々制限はあるとはいえ、ちょっとした高級ホテル並みに仕上がった。

 

 食料等の生産設備も完備。『サイデリアル』の生産部門が使っている『ファーマー0831』や『グルメキッチン5252』なども搭載しているので、保存食だけでなく、その気になれば生鮮食品もある程度は食べられる。自動調理設備もあるから、様々なメニューが好きに注文できるし。

 

 その他にも、娯楽関係の設備も色々と導入しているので、退屈せずに遊ぶこともできるだろう。

 トレーニングに使えるようなジムや、高性能シミュレーターなんかもある。それらで汗を流した後は、スパリゾートばりに色々な種類のある風呂で汗を流せる。ゲーセンやシネマルームもある。

 

 ただ欠点があるとすれば、それら全てが機械、ないしAIで制御可能な範囲のものしかないってところくらいか。

 さっきも言った通り、もともと少人数での運用を前提に作った艦だから。それらの設備・施設を管理する『スタッフ』を入れるっていう想定がないからね。

 

 そして何よりこの艦には、『バースカル』から移設した生産設備の全てがそっくりそのまま、なんなら『多元世界』の技術を反映させて強化した上で搭載されている。資材さえ用意すれば、機体の修繕はもちろん、即興で武装から弾薬、家具や雑貨まで、ほぼ何でも作って用意できる。

 規模的にも技術レベル的にも、ヤマトやナデシコ、プトレマイオスやダナンといった、ベテランの艦にも負けない性能を発揮できると思っている。多分。

 

 ……まあ、各パイロットに合わせた細かい調整なんかは、やっぱりその道のプロにお願いする他ないだろうけどね。

 

 それでもこの艦は、これから始まるイスカンダルへの旅路の、地球を救うための一大作戦を実行するにあたっての、大きな戦力になるはずだ。

 今回、勢いで行った最初の『試射』でも手ごたえは十分あったし……あれ以外にも色々と武装は積み込んであるので、有用性は大部分検証・実証できたといってもいいと思う。

 

 もちろん、僕ら自身も……パイロットとしての働きを含めて、これまで積み上げてきた全てをもって、僕らもそこに協力させてもらうつもりである。

 

 あ、ちなみに。

 この艦の名前……さっき言った通り『ソーラーストレーガー』というんだが……その由来について。

 

 前述のとおり、この艦のデザイン元は『プレイアデス・タウラ』なのだが……名前そのままでいいもんかどうかちょっと考えてね。

 あっちは『おうし座』のスフィア搭載機だったからその名前でもぴったりだったけど、僕やミレーネルは『おうし座』に何の縁もゆかりもない身なわけだし。

 

 しかし、だとしたらどういう名前にするかって考えて……僕の乗る『ヘリオース』が、太陽神の名前を冠していることや、あの多元世界に存在した、地球の次元科学の集大成たるとある戦艦の名へのリスペクトから、『太陽』の意味を持つ名前をもらうことにした。

 また、使用されている技術の大部分が、この世界から見て異世界の産物であることや、僕やミレーネルも異世界から来た身であることから、艦自体を『異邦人』になぞらえて、名付けた。

 

 そうして僕は、『太陽』と『異邦人』を合わせて、この艦に『ソーラーストレンジャー(・・・・・・・)』という名前をつけた…………んだけども。

 

 その直後、まだ仮の名前の段階で書類に書いていたそれを、仕事で『サイデリアル』に来ていたココが偶然見つけて……その時に、声に出してこう言った。

 というか、読んだ。

 

『ええと……そ、そーらー……すとり、すとれ……すとれーがー?』

 

 どうやら『Stranger』を上手く読めずにとちって読んでしまったらしかった。

 

 ココの学力のせい……とは一概には言い切れない。

 書類、まだ仮のだから、手書きだった上に、走り書きで悪筆だったからな……。

 

 僕とミレーネルはそれを横で見てて『あらあら』なんて感じに笑ってたんだが……ふと、『あれ、意外とそっちの方が語感いいかも?』なんて思った。

 なので、思い切ってそっちにすることにした。

 

 こうして、この艦には正式に『ソーラーストレーガー』の名がついたのである。

 

 

 

 ああ、名前と言えばもう1つ。

 

 今回の戦いが終わったときに、沖田艦長から部隊全体にアナウンスが飛んだ。

 

 その内容は、これからいよいよ僕ら独立部隊は、イスカンダルへ向けて、16万8千光年の旅路に臨むことになる、という宣言。

 

 そしてもう1つ……それにあたって、自分達の結束を高める意味その他を込めて……3つの世界の地球の人間が参加して結成される、この部隊の名を決めるというもの。

 

 その名も『地球艦隊・天駆』。

 

 うん、気合が入っていていい名前だと思う。胸を張って名乗れる名前だ。

 その名を掲げての出向は……いよいよ間近に迫っている。

 

 さーて……一応は後方支援要員としての役目もあるわけだし、最終確認その他、きっちりやって準備を万全にしないとな。

 

 

 

 




おまけ  今回出てきた機体について

【ソーラーストレーガー】
本SSオリジナルの戦艦ユニット。
ミツルの新たな移動拠点兼『バースカル』の生産機能移転先として、実は物語の割と序盤から秘密裏に開発されていた戦艦。Zの世界とVの世界の技術をやりたい放題融合させて作った趣味の塊でもある。
システムは大部分がAI制御のため、先にテストケースとして作られた『アルデバル』と同様、少人数で運用可能。
とりあえず現在のところ、アルデバル以上の機動力、バースカル以上の生産能力、ミケーネ神を瞬殺する砲火力などについては本編中で明言され明らかになっている。その他能力などは今後、本編の中で徐々に書いていく予定。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。