【◇月●日】
物資輸送の仕事は今日はお休みにして……艦長達や各艦の幹部が集う会議に参加。
今後の方針……というか、具体的にどのような手順でこの『宇宙世紀世界』を出発し、僕らがいた世界……『新西暦世界』に戻るか、という点についての確認と情報共有のための会議だ。
この作戦において、カギになるものは3つ。
ゲッター線、パラレルボソンジャンプ、そして次元力だ。
まず、転移する手段そのものについては、パラレルボソンジャンプを使うわけだが……以前にも言ったように、ボソンジャンプによって生命体が転移するには、A級ジャンパーによるナビゲートが必要になる。
しかし、アキトさんもユリカさんも、もちろんイネスさんも、『新西暦世界』のことなんか知らないから、ナビゲートができない。
『新西暦世界』について知っているのは、その世界出身のメンバーだけだ。
すなわち、総司さんやトビア達を含む、宇宙戦艦ヤマトの乗組員の面々。それに僕とミレーネルだ。
しかも、ジャンプした経験がない行先に行くわけなので、ただ漠然とした意志だけじゃ跳躍は難しいかもしれないときている。次元の壁を越えて跳んでいけるような、強固なイメージが必要だ。
1人分じゃおそらく足りない。量で、あるいは質で補う必要がある。
そこで、その補助としてゲッター線と次元力を使う、というのが、真田副長が説明してくれた案である。具体的な手順はというと、
1.『真ゲッタードラゴン』のゲッター線に、『新西暦世界』への帰還を願う皆の意思を集める。
2.ゲッター線によってその意志の力を増幅する。
3.ゲッター線を『ソーラーストレーガー』の次元力と共鳴させ、さらに増幅する。
4.増幅した意志の力を、『リヴァイヴ・セル』を媒介にして『演算ユニット』に送る。
これでナビゲートは完了。
5.『ヘリオース』の力で次元震を起こし、次元境界線を緩める。跳躍しやすくするため。
6.パラレルボソンジャンプを実行。
とまあ、こんな感じである。
前に僕がした、『リヴァイヴ・セル』を使えば、A級ジャンパー以外でも跳躍できる、という話をもとに組み立てた方法なんだそうだ。
なるほど……スケールは桁違いだが、確かに僕が『アスクレプス』や『ソーラーストレーガー』でボソンジャンプを使う時と、やってることは同じだな。
なお、次元震を起こすのには、ヤマトの『波動砲』を使う案もあったが、ヘリオースでやった方が周囲への影響も少ないし、早いし、何より省エネである。
アレ、一発撃つごとにヤマトのエネルギーの大部分を使うことになるし、冷却でしばらく使えなくなるって話だからな。そう何度も使っていいもんじゃないだろう。
それに、沖田艦長は『波動砲』を、やむを得ない事情がない限りは使うべきではない、使ってはいけない兵器だととらえているそうだ。『メギドの火』という例え方をした、とも聞いた。
星をも破壊しかねない威力の兵器だ、運用に慎重になるのも当然ではある。
ヤマトのクルー各員も、おおむねその方針には賛同しているそうで――約一名そうでもない者もいるとかいないとか――実際、最初の試射を除いては、敵対勢力との戦いで波動砲を撃ったことはないらしい。そして、これからもそのつもりはない、とのこと。
ともあれそんなわけで、方針は確認できた。
後は、準備が整うのを待つばかりである。
……何事もなくその時を迎えられることを願うばかりだが……今までの経験上、そういう時に限って邪魔が入ったりするんだよなあ……不安。
追記
今日の日記を書き終わった段階で知らされたことなんだけど、『地球艦隊・天駆』に増員というか、さらにメンバーの追加があったらしい。
この『宇宙世紀世界』にある研究施設の1つで、『ニコラ・ヴィルヘルム研究所』とやらからの応援メンバーらしい。
新たに加わったのは、金髪に長身の男性、ヴェルターブ・テックストと、オレンジ色の髪の女性、シャルロッテ・ヘイスティングの2名。
そして、それぞれの愛機である、ヒュッケバインとグルンガスト、だそうだ。
ヒュッケバイン……は、名前だけは知ってるんだけど……詳しくは知らない。
グルンガスト……は、名前も知らない。ごめん。
なんかいきなり出てきた感はあるものの、機体スペックはかなり高いみたいだし、頼もしい援軍だ。
今日も、ヤマトが2人を迎えに行った時には、2人の存在を察知して襲ってきたらしいガーディムを、既に2人だけで蹴散らしてて、それから合流してきたらしいし。うん、心強い。
ひとまず2人は、ヤマトに搭乗することになり、機体スペックやコンセプトその他を考えて、相性がいいと思われる総司さんと組む予定だとのことだ。
なお、2人ともテストパイロットという立ち位置で軍人ではないため、色々と分からないことも多いがよろしく、とのことだった。
大丈夫大丈夫、この部隊、そんなんばっかだし。
愛称として、ヴェルトとロッティと呼ぶことになった。これからよろしく。
【◇月▲日】
方針も決まり、着々と準備は進んでいるわけなんだが……今日ちょっと、その『準備』の一環ってことで、とある相談が持ち掛けられた。
『地球艦隊・天駆』は、3つの平行世界の戦力からなる混成艦隊だ。
『宇宙戦艦ヤマト』を実質的な旗艦とし、宇宙世紀世界の地球連邦軍の『ラー・カイラム』と『ネェル・アーガマ』、ミスリルの『トゥアハー・デ・ダナン』、光子力研究所の『真ゲッタードラゴン』、西暦世界の地球連邦軍の『ナデシコC』、ザフトの『エターナル』、ソレスタルビーイングの『プトレマイオス2改』、そして僕らサイデリアルの『ソーラーストレーガー』。
この9隻の艦に、それぞれの世界の勢力が分かれて乗るわけだ。
もちろん、各艦にもともと乗っている、ないし在籍している面々は、そのまま乗ってる。
エステバリス隊は『ナデシコ』に乗ってるし、ソレスタルビーイングのガンダム各機は『プトレマイオス』に、という感じで。
そして必然的に、その他の面々……すなわち、今並べた艦が所属するどの勢力にも属していない者は、それらのいずれかに乗せてもらうことになるわけだ。
神ファミリーや万丈さん、勇者特急隊、マジンガーチームなどがそれにあたる。
正式なクルーじゃないって意味で言えば、総司さんとナイン、トビア達もそうかな。一応ヤマトには乗ってるけども。
そういう、言ってみれば『乗り合わせ』みたいなものについてなんだけど、さっき言った通り、相談が持ち掛けられたのである。
『ナデシコ』のルリ艦長とユリカさん、そして『プトレマイオス』のスメラギさんから。
簡単に言うと、『要乗り合わせメンバーおよびその機体のいくらかを『ソーラーストレーガー』で受け持ってもらえないか』というものだった。
今現在、各艦の乗り合わせ状況はというと、えーと……1回きっちり整理してみて、
〇宇宙戦艦ヤマト
ヤマトクルー、総司、ナイン、トビア、キンケドゥ、ベルナデッド、メルダ
〇ラー・カイラム及びネェル・アーガマ
ロンド・ベルの面々、エコーズ、カミーユ、ファ、マリーダ等
〇トゥアハー・デ・ダナン
ミスリルの面々、ハサウェイ
〇真ゲッタードラゴン
竜馬、隼人、弁慶、號、渓、凱、マジンガーチーム、鉄也、NERV各員
〇ナデシコC
ナデシコクルー、万丈、アキト、神ファミリー、勇者特急隊、ジョー、グラハム、コーラサワー
〇エターナル
キラ、アスラン、シン、ルナマリア、エターナルクルー達
〇プトレマイオス2改
ガンダムマイスター及びプトレマイオスクルー、パラメイル第一中隊+ジル、龍の民
現状、こんな感じになっているそうだ。ややこしいようなわかりやすいような。
基本的に、その機体やパイロットに何かしらの所縁がある艦に搭載される形になってるけど、いくつか例外もある。
例えば、『真ゲッタードラゴン』に、ゲッターチーム以外にもEVAやマジンガーが乗っているのは、機体のサイズに合わせてっていうのもそうだけど……もともとこの(一応)戦艦は、早乙女博士の研究を引き継いで兜剣造博士が作ったものであり、ゲッター以外にもマジンガーとの共闘も最初から視野に入れて作られていた。
そのため、マジンガーの整備に適したドックを最初から備えてあるのだ。『プトレマイオス』や『ラー・カイラム』に、ガンダム用のドックが最初からあるように。
戦艦は、機動兵器の整備その他を行うのも立派な役目である。その意味での適材適所だ。
また、プトレマイオスにパラメイル第一中隊の面々が乗っているのは、ご存じの通り、スメラギさんが以前、彼女達を『買い上げた』ためで、その時の縁。
『龍の民』も一緒なのは、パラメイルと機体構造が似ているからってことで。
『ナデシコC』にグラハムさんやコーラサワー……あ、間違ったマネキンさんだっけ、彼らが乗ってるのは、同じ『西暦世界の地球連邦軍』所属だから。
神ファミリーや勇者特急隊、波乱万丈さんが乗ってるのは、かつて一緒に戦った仲だから。
アキトさんは言うまでもないな。完全に身内だし。いろんな意味で。
そんな感じに分けられてるわけなんだが、さっき言った通り、これらのうちのいくらかを『ソーラーストレーガー』に受け持ってほしい、という相談だったわけだ。
各艦の格納庫や居住スペースの問題とか、理由はいろいろあるんだけど、一番は『整備にかかる時間と手間』だそう。
これもさっき言った通り、各艦はそのドックで機動兵器の整備やら修繕やらをするわけだが、搭載している機体が多くなれば、それにかかる手間は増える。
ある程度はロボット等に任せて自動化できるとはいえ、設備も人員も有限だ。10機も20機も同時進行で整備を進められるわけもない。最悪の場合、後回しにしていた機体の整備にまで手が回らないうちに次の戦いが……なんてことにもなりかねない。
また、何かのトラブルで艦が航行不能になったりして、搭載されていた機体が発進できない、なんてことになるかもしれない。その時、その艦に機動兵器の大半が搭載されていました……なんてことになってたら、笑えないことになる。
そういう事態を防ぐためにも、普段からなるべく分散させて搭載し、整備やら何やらを同時進行で迅速に終わらせることができるようにしておくことが望ましい、というわけだ。
加えて、『ソーラーストレーガー』はドックにおける整備作業その他を極限まで自動化している。
他の艦に比べて、人の手が必要な作業が非常に少ないため、どこをどう修理、あるいは改造するか設定してあとはお任せ、みたいな感じにできる。
そのため、細かいカスタマイズ機能を除けば、整備機能という面においては、なんなら『地球艦隊・天駆』の中でもダントツと言っていいくらいなのである。
そこにいくらかの機体整備を任せることができれば、他の艦の負担はだいぶ小さくなるわけだ。
もちろん、その時の状況に応じて、どの艦でどの機体の修繕を行う、ないし行わなければならない、っていうのは変わるだろうから、前述した組み分けだってケースバイケースだろうけどね。
今回『ソーラーストレーガー』では、『勇者特急隊』と『パラメイル第一中隊』、『龍の民』、及びそれらの関係者を受け持つことになった。
振り分けの理由は主に、ノウハウがあるから。
以前僕らは、『サイデリアル』の仕事として、パラメイルの宇宙適応のための改造を請け負ったり、旋風寺の工場の手伝いでガインやブラックの修理を手掛けたりしたから、これらの機体の修繕等のノウハウを持ってるわけだ。パラメイルと構造が近い『龍神機』も同様だな。
それに、もともとココとミランダの『デモンメイル』は、見た目は似ていても『サイデリアル』製の機体だ。
この艦で整備するつもりだったし、そもそもここ最近は2人ともほぼここで寝泊まりしてるから、そっちの意味でもちょうどよかったと言える。今更、とも言うかも。
また、この振り分けに関しては、既に各メンバーの了解は取ってあるとのこと。
全員快く受け入れてくれたし、むしろ歓迎している者すらいたそうだ。
この艦の居住区の居心地の良さは、『西暦世界』への送迎バス代わりに利用していた面々ならよく知ってるだろうからな……人はいないけど、AI制御で割と何でもできるし。
まあ、喜んでもらえるならこちらとしても何よりだ、と思うことにする。
クルーが増えるってことになるから、食料とか多めに積んでおくことにしよう。
それと、勇者特急隊が乗るってことは、浜田君やサリーちゃん、ルミナちゃんも乗るってことだな……人の手で行う微細な調整や、ロボットにはできない範囲の手料理なんかの面で助けてもらうこともできそうだ。
ああそれに、料理ならエルシャやミランダも上手かったはずだな。助かる。
ちなみに、各艦に分かれて乗るってことは、乗ってる間は他の艦の面々とは会って話したり、一緒に食事したりできないのか、と思うかもしれないが、そうでもない。
小型艇で割と簡単に各艦を行き来できるので、戦闘中とかでもなければ、ちょっと遊びに行くくらいの感覚で行ったり来たりできるはずだ。宇宙空間でも。
あと、北辰の奴がやってたような、個人単位でのボソンジャンプとかもできないかどうか、実は今も研究進めてるので……どうだろ、出発までに形になるかどうか……。
もし実現すれば、他の艦に遊びに行ってる時に、急に敵襲があったりしても、即座に自分の艦に戻って、搭載されてる機体に乗り込んで出撃! なんてこともできるだろうし……。
でも、さすがに厳しいかなあ……期間的に……。