スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第73話 宇宙の雪と、魔女の罠

 

【◇月*日】

 

 ヤマトの真田副長からの話で、この後の具体的な行動予定が伝えられた。

 イスカンダルに行くにあたって、旅程の遅れを取り戻すため、この先にある『亜空間ゲート』なるものを使うらしい。

 ワープを繰り返して進めば、もうあと数日で到着する位置にあるそうだ。

 

 亜空間を利用したワープ用の設備であるらしいそれは、普通に艦としての機能単体でワープを行うよりもはるかに長い距離を移動できるものなのだそうだ。

 これを使えば、一気に目的地に近づくことができる。なら、使わない手はない。

 

 色々と細かい問題はあるみたいなんだけど、それも対処可能だとのことなので、『地球艦隊・天駆』は一路、そのゲートを目指すことになった。

 

 しかし、宇宙空間にあるそんな設備の情報まで教えてくれるなんて……ホントに優秀というか、助けられるな、その『自動航法システム』とやらには。

 イスカンダルからもらったっていう航路図に、そんなものまで記載されてたのかな?

 

 まあ、その辺のお礼は、イスカンダルについた時にでも……その、イスカンダルからメッセージを送ってきてくれたっていう『スターシャ』さんとやらに言えばいいだろう。

 問題なく目的地にたどり着けるなら、こちらとしては何の問題もないわけだし。多分。

 

 

 

 話は変わるけど、この『ソーラーストレーガー』には、他の艦からいろんな人がよく遊びに来る。

 

 自画自賛になるけども、この艦は他の艦に比べて、生産設備や娯楽設備がぶっちぎりで充実している。

 

 以前にも言った通り、食堂ではオート調理で和・洋・中いろんなメニューが好きなように食べられるし、飲み物もソフトドリンクから酒類まで選り取り見取り。

 

 他の艦ではなかなか食べられない、生鮮食品すらもある程度は食べられる。野菜類の水耕栽培プラントや、養殖用の生け簀まであるからね。

 さすがに大型の魚類とかは飼育してないけど、エビとかウナギとかなら食べられるよ? これも飼育環境は完全機械制御。

 

 飲食以外にも、いろんなソフトの筐体のそろったゲーセンや、お一人様から大人数まで対応可能なカラオケボックス、ビリヤードやボウリングが楽しめるサロンもあり、子供から大人まで楽しく遊ぶことができる。

 

 トレーニングジムや、戦闘機や機動兵器の訓練に使える高性能シミュレーターもある。

 まあでもジムはともかく、シミュレーターは各艦にもあるし、皆自分の機体でやれるだろうからそんなに需要はないけどね。

 

 さらには図書館やシネマルームもある。さすがに質量的にあれだしかさばるから、紙媒体の本はない。電子書籍オンリーだ。

 それでも、古今東西のいろいろな名作のデータを入れてあるので、これもいつでも好きな時に楽しめる。アキトさんの強い要望で『ゲキ・ガンガー』も全話入れてあるよ。

 

 なお、年齢制限があるコンテンツも入ってるけど、それらを視聴するには18歳以上であることが証明できるIDカード認証が必要になる。お子様は見られません。

 にも拘わらず、ヴィヴィアンやサリーちゃんといった面々を招待した上で、自分のIDでダウンロードした映画の鑑賞会(意味深)を開こうとしたヒルダには厳重注意の処分が下りました。反省しなさい。

 

 おまけに室内プールやスパリゾート的なものまである。

 アルゼナルの皆はここが特にお気に入りで、ドリンク持ち込んでバカンス気分でゆったり過ごしたり、思う存分泳いで体を動かしてはしゃいだりしている。

 

 こんな感じで、『戦艦じゃなくてアミューズメントパークか何かじゃないのかここ』って言いたくなるくらいのものになってしまっている。まあでも快適に過ごせる分にはいいじゃない。

 

 他の艦も、長期の航海にも対応できるように色々と設備が整ってるとはいえ、基本的には戦闘や軍事作戦を遂行するために作られてる艦だから(うちも一応そうではあるんだけど)、サロン系の設備はそこそこどまりである場合が多いからね。

 ……何度も言うように、そっちの方がむしろ普通というか当然で、この艦がむしろ全力で趣味に走りすぎてるってだけなんだけど。

 

 なので、非番でやることがない人の息抜きの場所として最適、みたいに扱われており……さっき言ったようにいろんな人が遊びに来るわけだ。

 

 アスカやさやかさん、プルやプルツーなんかの女の子メンバーは、よく食堂にスイーツとかを食べに来るし、もうちょっと年齢が上の層……マオさんやミサトさんなんかは、例によってお酒。

 

 他にも、例によって総司さんや、他のヤマトクルーが多い気がするが、生け簀でとれた魚とかの生鮮食品を食べに来ることもある。

 お刺身や焼き魚、納豆なんかをお供に白いご飯……というのが、皆さん至福のひと時のようで。

 

 男女問わず、特に日本人メンバーに人気なのが、大浴場他、スパリゾート系。

 色々な風呂を体験できるのはもちろん、そもそもゆったり足を延ばしてお湯につかれるっていうのが気に入っているらしい。僕もわかるなあ、その感覚。

 好みは人それぞれだろうけど……やっぱいいよね、大浴場。

 

 なお、スパリゾートにはサービスでコーヒー牛乳やフルーツ牛乳を冷やしておいてある。様式美ってやつだ。

 かなり好評で、利用者のだいたい2~3人に1人くらいは、風呂上がりに飲んでいく。

 

 その中のさらに何人かは、よく、腰に手を当てて一気飲みしていたりする。こないだそれを見て、ああ、どこの世界でもこういうの定番なんだな、って思ってしまった。

 

 宗介君や甲児君、鉄也さんや竜馬さんなんかは、トレーニングジムで鍛えに来ることも多い。

 色々と機材が充実してて、筋トレとかなら割と本格的にやれる環境か整ってるし……汗かいたらその後、スパで気持ちよく流せるからな。

 

 あと、宗介君とかと同じく軍人であるクルーゾーさんも来るんだけど、彼は時々、シネマルームを1人で予約して大画面でお気に入りの映画を見て行ったりしている。

 最近はいわゆる『名作アニメ』だけでなく、最近のアニメもよく見ているようで……ええと、こないだは確か、『鬼〇の刃』と『ヴァイオレット・エ〇ァ―ガーデン』……ああ、うん、何かわかる気がする。

 

 そうして非番の時間を有意義に過ごした人達は、自分達の艦に帰る際に、色々とお土産を持っていき、留守を守ってくれていた仲間たちにふるまう……というところまでが半ばワンセットになっている。

 うんうん、たくさんの人がそうして喜んでくれて、『地球艦隊・天駆』全体の士気向上につながるなら、僕らとしても役に立ててうれしい限りだよ。

 

 ただ、今日というかさっきは、帰りがけの総司さんに『たまにはお前らもこっちに遊びに来いよ』って言われた。

 

 この艦みたいに設備が充実してたりはしないけど、ヤマトにも割と大きな食堂があって、そこによく皆で集まっておしゃべりしたりするそうだ。

 『O.M.C.S』もあるから、いろんなもの食べながら話したりすることもできるし。

 

 それに、ヤマトは『ソーラーストレーガー』とは逆で、人がかかわって動かす機関がかなり多い艦だから、他ほど気軽にうちに遊びに来れる人は多くない。

 そういう人はヤマトにずっといるわけだけど、彼ら・彼女らとおしゃべりしたり交流する意味もあって、ヤマトにも結構色々な人が集まったりするそうなのだ。

 

 また、その人たちをはじめとしたヤマトクルーの皆さんは、同じ世界出身として、あるいは一度ヤマトの医務室でお世話になった身として、僕らのことも気にかけてくれてるそうで。

 だからたまに顔見せに来いよ、って田舎の親戚みたいな感じで総司さんは言ってくれた。

 

 そういうことなら……そうだな、今度、時間見つけて遊びにでも行こうか。

 せっかくだし、色々お土産になるような食料品その他、たくさん用意して持っていこう。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 その、数日後のこと。

 ミツルとミレーネルの2人は、『宇宙戦艦ヤマト』に久々に遊びに訪れていた。

 

 今現在、『地球艦隊・天駆』は、数日前から話になっていた『ワープゲート』にようやくたどり着いたところだった。

 

 宇宙空間に浮遊している、巨大な穴を形作るリング状の構造物。

 この設備を使うことで、単体でのワープを行うよりもはるかに長い距離を踏破することができるわけだが……ここ『アケーリアス遺跡群』のゲートは、もう長いこと使われておらず、存在すらほとんど忘れられている設備なのだという。

 そのため、機能そのものは現在、稼働していない。

 

 ただ、再起動させることは可能だとのことだったため、現在、コスモゼロで古代進と森雪、それに真田副長の3人が、その遺跡に行ってワープゲートを動かすための作業に従事している。

 各艦はその近くに停泊し、それが終わるのを待っている、というのが今の状況だ。

 

 ミツルとミレーネルは、その待っている間の時間を利用してヤマトに来ていた。

 

 

 

「あー、それで雪いないのね……仕事中なら仕方ないか」

 

「ちょうどタイミング悪かったわね……どのくらい時間かかるかわからないけど、今日は割とゆっくりできるんでしょう? なら、帰りがけには会えるかもしれないわ」

 

「もし無理そうでも、お土産は渡しておくからさ」

 

 場所は、ヤマトの食堂。

 『O.M.C.S』で作られた食事やスイーツに舌鼓を打ちながら、ミレーネルは玲や岬といった面々と楽しく談笑しているところだった。現在、一時的にミツルとは別行動中である。

 

 さやかやかなめ、アスカなど、時間ができてちょうどそこに集まっていた面々も一緒にいて、いつもの女子会のような雰囲気になっている。

 

「まあ、間が悪かったのはあっちもだし、仕方ないんじゃないの? ちょうどこんないいお土産が持ってこられた時に、外での仕事とか……ついてないわよねえ」

 

「こらアスカ、全部食べないでよ? ちゃんと帰ってきた時の雪の分も残しといて」

 

「わかってるわよ。そもそもこんなにいっぱいあるの全部食べるとか無理だし……にしても、コレおいしいわね。砂糖菓子みたいなのに……なんていうの? 味わい深い、っていうか……」

 

「それは確かに……っていうかあの船の調理装置、和三盆まで作れたのね」

 

 不思議そうな顔をしながら、ミレーネルが持ってきたお土産の『和三盆』を口にするアスカに、うなずきながら感心するさやか。

 アスカはドイツ育ちであるためか、こういったものを食べるのは初めてのようだ。

 

「あくまで機械で作った『再現』の品だけどね。本場の、職人が作ったやつってもっと美味しいわよ? 前に『サイデリアル』の会議で京都行った時に、お茶請けで出してもらった奴なんか、食べた時衝撃だったなあ……こんなにおいしい砂糖があるのかって思った」

 

「砂糖て。いやまあ、確かにそうだけど……」

 

「まあ、これ以外にも……というか、そもそも地球の食べ物って全体的にレベル高いから、ほとんど何食べても美味しいし、そのたびに驚かされたけどね」

 

「宇宙人にそう言ってもらえるとなんだか誇らしいわね、地球の文化のレベルが銀河に通用してるみたいな感じで」

 

「でも確かに、メルダもパフェ食べてびっくりしてたよね。見た目もきれいなのにすごくおいしい、って」

 

「うん。それですっかりハマって、よく食べに来てた!」

 

 プルやプルツーも一緒になってそんな風に語っていると、窓の外を見ていたかなめが、ふと何かに気づいて、

 

「ん? 何だろあれ……」

 

「え? かなめどうしたの……え、雪?」

 

「えっ、何? 雪、もう帰ってきたの?」

 

「あら……思ってたより早いわね。もう遺跡の修復終わったのかしら」

 

「いや、違う、雪……雪さんじゃなくて。空から降ってくる方の雪」

 

「わあ、すごい! ホントだわ、宇宙に雪が降ってる!」

 

「「「え?」」」

 

 感動したように言うベルナデッドにつられて、他の面々も窓の外を見ると……その言葉通り、艦の上の方から、はらはらと雪のようなものがあたり一面に降ってきているのが見えた。

 

「すごい、綺麗……」

 

「宇宙って、こんなことも起こるのね……知らなかった」

 

「何だろう一体……動きからして、デブリとかではないと思うけど……スノースター? それとも……まさか本物の雪が宇宙空間に降るはずないし……」

 

「まあまあかなめ、そんな野暮なこと言ってないで、こんな時くらい純粋に楽しもうよ。ね?」

 

 漆黒の宇宙空間で、ラメのようにきらめいて、明滅しながら降り注ぐ。神秘的、幻想的なその光景に、女性陣はおおむね感動して見とれていたが、そんな中で……

 

 

 

「……? コレ、何だっけ……どこかで見覚えが……」

 

 

 

 窓の外の後継を見ていたミレーネルが、ふと、この光景に既視感のようなものを覚えた。

 同時に、理由はわからないが……言い知れない不安感のようなものも湧き上がってくる。

 

 知っている。自分は、この光景を知っている。

 しかし、思い出せない。こんな幻想的な美しい光景、思い出として記憶の中に残っていてもよさそうなものなのに。

 

 ただ単に忘れているだけ? それとも……レプタボーダ以降の、『失った記憶』の一部の中に……

 

 そんな風に考えを巡らせていたミレーネル。

 少し気難しい顔になっていたのだろう。今さっきかなめを諫めたルーが、ミレーネルにも同じく純粋に楽しむように言おうとして……その直後、

 

「ミレーネル、ほらあなたも……ふあぁ……」

 

「あれ、何だろ……何か、眠く……」

 

「ん、昨日夜更かししすぎちゃったかな……」

 

 あくびをしたかと思うと、すぐにとろんとした半目になり、眠そうにして……いや、ルーだけではない。

 はっとして見てみれば、かなめに玲、さやかにベルナデッド……周りにいる女性陣の全員が、突如として眠そうにして……そのままテーブルに突っ伏したり、床に座り込んで、眠っていく。

 

 少し離れたところで談笑していた、甲児や宗介、勝平といった、男性達も同じのようだ。

 

 そんな中で、ただ1人無事で立っているミレーネルは……

 

「これって、精神干渉……攻撃されてる!? しかも、この能力……波長……」

 

 周囲に倒れ伏す仲間達を唖然とした表情で見て……しかしそれ以前に、自分の精神官能能力が察知した、ある事実に気づいたことで、愕然としていた。

 

 食堂全体……いや、ともすれば艦全体を覆っているかもしれない。この精神干渉攻撃。おそらく窓の外の雪……に見えるアレは、広域にその影響を及ぼすための触媒のようなものだろう。

 

 そして、感じ取れる精神波は、まぎれもなく……

 

「ジレル人特有の精神波……でも、ミーゼラのじゃない。これは、まさか……でも、なんで、ありえない……だってこれ―――

 

 

 

 ―――私、の…………!?」

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 同時刻、医務室。

 

 ミツルがお土産に持ってきた大吟醸の一升瓶を手に取り、ほくほく顔になっていた直後、突然ふらついて倒れこんでしまった佐渡先生。

 ミツルはあわててその体を受け止めるように支えて(ついでに酒瓶も)、床に頭から倒れるのは防いだが……視界の端で、原田衛生士が同じように崩れ落ちたのが見えていた。

 

 加えて、何かが自分の頭の中に干渉しようとしてくるような不快感が沸き起こる。

 

 とっさにそれを拒絶してはじいたミツルだったが、すぐに別な違和感に気づいた。

 

「今のって……ミレーネルの精神波じゃ……でも、なんで……?」

 

 

 

 

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