惑星バラン。
ここには、多くの銀河につながる亜空間ゲートが設置されており、ガミラスやその勢力が宇宙のハブステーションとして利用している重要施設である。
そこでは現在、大ガミラス帝星のほぼ全軍と言ってもいいレベルの、1万隻を超える数の戦艦が集結していた。
そこに、座乗艦である『ゼルグート2世』に乗り、ガミラス中央軍総監にして国家元帥、ヘルム・ゼーリックと、その側近として取り立てられた、銀河方面司令官、グレムト・ゲールが登場。
並び立つ1万隻もの艦隊に向かって、オープンチャンネルで演説を行っていた。
その内容は、ガミラスの将兵達にとっては衝撃的なもの。
大ガミラス帝星の永世総統である、アベルト・デスラー総統の死亡。
その暗殺を企てた犯人として、艦隊総司令官ガル・ディッツと、エルク・ドメル上級大将が捕らえられた、というものだった。
それに続けて、ゼーリックはこのガミラスを襲った国難に、元帥である自分がその使命として、亡き総統の遺志を受け継いでガミラスをまとめ上げること。
そして、今もなお帝都バレラスには反逆者達に与する者達がいるとして、バレラスへ侵攻し、総統府に巣くう奸賊達を殲滅するのだと。その戦いのためにともにいざ行かん、と。
しかし、その演説の最中……突如として、ワープアウト反応を感知。
その反応の先に……ガミラスの仇敵としてたびたび名の上がる『宇宙戦艦ヤマト』をはじめとした、『地球艦隊・天駆』の戦艦が次々にその場に姿を現した。
これに一瞬ゼーリックは動揺するものの、『これこそ吾輩にヤマトを討てとの神の啓示!』と、その場に集った1万隻を超える艦隊に、『地球艦隊・天駆』を撃滅すべく攻撃支持を出した。
しかし、その時にはすでに、『地球艦隊・天駆』の各艦から、機動部隊は出撃を終えており……
「聞いてた通りとんでもない数ですね……」
「こりゃ本当にガミラスの全軍が集結しててもおかしくないな……だが、なるほど沖田艦長の予想通り、儀礼か式典として来ていただけらしいな。これじゃ艦隊の強みは生かせないぜ」
「ああ、これだけ密集していては、砲撃を放っても確実に味方にあたる」
「逆にこっちは、ほとんど狙いをつけずに適当に打っても外しようがないってわけね」
驚きつつも、こちらの予定、ないし予想通りの事態になっていることをその目で確認するトビアや総司。
鉄也やアンジュは、これならば恐るるに足らず、むしろ望むところだと戦意を高揚させる。
他のメンバーも、それぞれの乗る機体を前に出し、臨戦態勢に入る。
それに対して、密集陣形をとっていたガミラスは……予想通り、ろくに動くこともできていないようだった。下手に動けば、それだけで味方の艦と接触しかねない。
「この艦隊全てを相手にする必要はない、かく乱しつつ敵旗艦を標的として狙え! その後、敵陣を突破し、所定のポイントへ参集することを第一目標とする!」
沖田艦長の号令に、マジンガーが、ゲッターが、ガンダムが、パラメイルが、ヴァングネクスが、そしてヘリオースが……さらに艦隊各艦も一気にエンジンに火を入れ、1万隻の大艦隊めがけて突撃していく。
はたから見れば、わずか10隻にも満たない戦艦と、小さな機動兵器で飛び込んでいくその姿は、やぶれかぶれの特攻以外の何物でもないだろう。
しかし、彼ら・彼女らは今、確かにこの場を生き延びることを、そして、目的地であるイスカンダルへ行きつくことこそを考えて飛翔しているのだ。
その証拠に、彼らの中に、多少の恐怖や不安はあっても、諦めや絶望を浮かべているものなど1人たりともいない。
「さあて……それじゃ、いっちょ大暴れと行きますか!」
☆☆☆
Side.ミツル
沖田艦長の作戦は、こうだ。
大前提として、僕ら『地球艦隊・天駆』は、このバラン星にある亜空間ゲートを使い、一気にイスカンダルのある『大マゼラン銀河』に到達することを第一目標とする。
そのために、ここに集結しているガミラス軍を突破してゲートを使用するわけだが……ただ突破して飛べばいいってものじゃない、というのが艦長の見方である。
仮に一点突破でゲートを使うことができたとしても、その後ガミラスの艦隊もそのゲートを使って追いかけてきたんじゃ……それに対応しきれず、いつかは僕らの方が力尽きる。
ちょうど、アルゼナルを防衛した時に問題になったのと似た状況になってるわけだな。
ゆえに、僕らがゲートを使った後、ガミラスはそこを通ってこれないようにしないといけない。
そこで艦長の作戦に戻るんだが……敵軍の中を突破して亜空間ゲートを使い、ヤマト
そして最後にヤマトが飛ぶ。
しかし、ただ飛ぶのではない。
バラン星に『波動砲』を撃ち、爆縮・崩壊させることで大爆発を起こす。
その際、いつも波動砲を撃つ時に使っている『重力アンカー』という装置を、使わずに撃つ。
これを使うことで、砲撃の反動でヤマトが動かないように船体を固定する、というものなんだけど……それなしで撃つことによって、ヤマトは波動砲発射の反動で大きく後退し……その勢いを利用して『亜空間ゲート』に飛び込む。
そうすれば、ヤマトが脱出した直後にバラン星は大爆発。
その衝撃で『亜空間ゲート』は使用不能に。ガミラスは、僕らを追いかけることができなくなる……というわけだ。
他のゲートを乗り継いで使ったとしても、超大幅にタイムロスになるらしいからな。
そして、その作戦を実行に移すのに最適なポジションを確保するために、僕らは全力で攻撃してガミラスの艦隊を蹴散らしながら、その陣形を突破する必要があるわけで……今、ここね。
「吹き飛べぇぇええっ!!」
総司さんの乗る『ヴァングネクス』が放った陽電子砲が、ガミラスの戦艦の横っ腹に直撃する。
それが致命傷になり、また1隻、戦艦が爆炎の中に消えていった。
その仇を取ろうと向かってくる無数の戦闘機。しかし、総司さんはトップスピードのはずのそれらをたやすく振り切ってかく乱し、逆にミサイルで迎撃して残らず撃ち落とす。
時折飛んでいくファンネルみたいな支援兵装は、ナインが動かしているんだろう。それから放たれるビーム1発だけでも、直撃すれば戦闘機を撃ち落とす威力がある。
さすがは戦艦用の動力炉を積んで超パワーアップしただけある……相手が戦艦だろうが何だろうが、もはや物の数じゃないな。
同じように、ゲッターやWマジンガー、グレートマイトガインやエヴァンゲリオンといったスーパーロボット達も、無双さながらの大暴れをしている。
グレートマイトガインは動輪剣で砲塔を切り裂いたり、パーフェクトキャノンで戦艦を装甲をものともせず打ち抜いてるし、マジンエンペラーGが薙ぎ払うように放ったグレートブラスタ―で、戦艦が何隻も一度に爆散した。
真ゲッターは敵が密集しているところにストナーサンシャインを投げ込んで大爆発を起こし、戦艦を数隻、戦闘機も何十機もまとめて吹き飛ばしている。
エヴァンゲリオン初号機は今さっき『シン化』し、あの光る腕の衝撃波を放ったかと思うと……それが直撃した戦艦が側面を大きくへこませて吹き飛び、その向こう側にいた別な1隻に激突。
さらにそれがその向こう側の1隻に激突……といった具合に繰り返されて、ビリヤードみたいに何隻もの戦艦が爆散していった。
そしてマジンガーZ……もとい、マジンガーZEROはもっとすごい。
例によってあのとんでもない威力の、目から出す光子力ビームが放たれ……そこに何もないかの如く、ガミラスの艦隊を次々貫通してハチの巣にし、勢いの衰えぬまま戦場を横断、宇宙の彼方に消えていった。その途中で貫かれた戦艦? もちろん残らず爆散だよ。
まあ、半ばこうなることは予想できてたので、発射準備に入った段階で射線上から『地球艦隊・天駆』のメンバーは全力で退避したわけだが。
それに加えて、ブレストファイヤーは小型の艦なら直撃しなくても余波で融解・爆発するレベルの威力と熱だったし、ルストハリケーンは巻き込まれた端から金属の船体が塵になっていった。アイアンカッターは当然のように戦艦のボディを縦断(二重の意味で)するし、そもそもただ単に殴ったり蹴ったりしただけでも大砲みたいな威力の衝撃で船体がひしゃげるっていう……。
本当に無茶苦茶だな、あのマジンガー……。まあ、味方としては頼もしいことこの上ないが。
一方、スーパーロボットほど無茶苦茶ではないものの、モビルスーツやパラメイル、エステバリスといった面々も活躍している。
小型で小回りの利く機体を生かして立ち回り、ガミラスの戦闘機をかく乱して撃墜したり、砲座を破壊して無力化し、相手が攻撃したり移動するのにむしろ邪魔な障害物にしてしまったり。
「オラオラオラァ、死にたい奴からかかってきやがれ! 撃墜スコアでボーナスにしてやる!」
「ヒルダ、柄悪いわよ……まあ、今更か」
「……邪魔をするなら、押し通る……!」
ヒルダのテオドーラとサリアのクレオパトラは、ラグナメイルの転移能力を駆使して縦横無尽に駆け回り、戦闘機を叩き切り、撃ち落としていく。
アキトさんのブラックサレナも同様で、ディストーションアタックで激突して叩き壊していく。しかも機体が真っ黒で、フィールドもほぼ無色透明だから、宇宙空間の黒色に溶け込んで見づらいときている凶悪さだ。
それよりも大型のモビルスーツ……νガンダムやΞガンダム、デスティニーやストライクフリーダムといった機体は、時にファンネルやドラグーンといったトリッキーな攻撃を交え、時に戦艦なみの威力の砲撃を放って、戦艦も戦闘機も撃ち落としていく。
「むっ、まずいな……集中砲火で落としに来たか。ミランダ、ココ!」
「はいはーい、任せてください! 『ブレストフラッシュ』あーんど『サンダーストライク』! どっちも広範囲拡散バージョン!」
「こっちも……『クラフティブ・レイガン』、爆雷モード全力投射! 『ガナリー・カーバー』は、散弾モード! 行けぇぇええっ!!」
業を煮やした一部の艦が、エネルギー砲の掃射でこちらを落としに来たのをジルが察知した。
その号令で、ミランダとココが広範囲に攻撃を放ち、ガミラスの攻撃を誘爆させて撃ち落とす。
そうしてできた隙間に、今度はアンジュのヴィルキスと、サラマンディーネの焔龍號がやってきて……戦場に歌が響き渡る。
そして放たれる、ヴィルキスの『ディスコード・フェイザー』と、焔龍號の『収斂時空砲』。
宇宙空間に突如として発生した次元の大竜巻は、掃射のために並んで止まっていた何隻もの戦艦を巻き込み、爆散させて塵にしてしまう。相変わらずスーパーロボット顔負けの威力だ。
そして、同じように不用意に……というか、最初と同じで密集したままになっている個所には、戦艦が猛威を振るう。
ナデシコの相転移砲や、ラー・カイラムやネェル・アーガマのメガ粒子砲、真ゲッタードラゴンのゲッタービーム、その他もろもろの高火力兵器の餌食になっていく。
もちろん、僕だってさぼってるわけじゃなく、きちんと戦っている。
「消し飛べ……『ソール・インペトゥス』!」
次元力で頭上に巨大な火球を作り出し、それを投げるように飛ばす。
するとその火球は、まっすぐ飛んではいかず、かく乱するかのように複雑な軌道を描いて飛び……しかし寸分たがわず、狙ったガミラス艦に直撃、大爆発を起こす。
その爆風は、直撃した戦艦を飲み込んだのみならず、その周囲にいた他の戦艦にまで届いて大破、もしくは半壊状態にまでもっていった。
僕はそのまま、爆炎の中に飛び込み……それを突き抜けて反対側に出る。
そこで密集している艦の群れの中心まで行き……今度はヘリオースを中心に、全方位に次元力を開放。それを熱波に変えて……
「僕とヘリオースが太陽になる……『ソール・ネオランビス』!!」
言葉通り、ヘリオースをすっぽり覆うほどの大きさの火球を発生させ、そこから全方位に熱エネルギーを怒涛のように放ち……周囲にあったガミラスの艦や機体を消し飛ばしていく。
どこに撃っても敵にあたるから、味方を巻き込まないようにだけ気を付ければ、好き放題暴れられるな、この戦場。MAP兵器……もとい、広範囲殲滅系の攻撃が大活躍だよ。
そしてあっちの方では、『ソーラーストレーガー』の制御を任せているミレーネルが、こちらも大暴れしている。
機体全面をシールドで覆いながら、装甲についているクリスタルから光子魚雷や破壊光線を四方八方にまき散らしながら、戦場を縫うように飛び回っている。
すれ違いざまに何十発、何百発のレーザーや光弾が撃ち込まれるので、ひとたまりもなくガミラスの艦は轟沈していく。
そのおかげで、進路上、あるいはそのすぐ横あたりにいる艦がもれなく爆散させられていき……飛んだあとの軌跡が、ガミラスの艦が吹き上げた爆炎で炎上した道みたいに見えるという、中々に怖いことになっていた。
なお。時折、それを体を張って止めようと、横っ腹を見せて『ソーラーストレーガー』の前に立ちはだかり、玉砕覚悟でぶつかって仕留めようとしてきたりもするんだが……装甲強度と、纏っている障壁機構の強度の問題で……激突しようがこちらには痛打にならない。
むしろ、そのまま轢いて、跳ね飛ばして、爆散させて、犠牲者の数が増えるだけ。
モデルになってる『プレイアデス・タウラ』も、ワープして衝角で激突して相手を破壊する攻撃使えたからね、それと同じことができるように、こっちも元々設計されてるんだよ。
その気になれば、同じようにワープからの激突だって使えるぞ。技名まだ決めてないけど。
そんな感じで、僕たち『地球艦隊・天駆』は大暴れしているわけだが……それ以外にも実は、ガミラスに大打撃を与えている要因がある。
もちろん、僕ら以外の第三勢力が現れてガミラスを攻撃しているわけじゃない。
ガミラスを追い込んでいるのは……ほかならぬガミラス自身である。
戦いが始まる直前、僕らはミレーネルに、敵の指揮官について知っているかどうか尋ねたんだけど、
『多分だけど、あの声に、あのカラーの艦は……ガミラス軍総監、ヘルム・ゼーリック国家元帥ね。めったに戦場に出てくることのない、大物よ』
とのこと。元帥て……軍のトップじゃん。またどえらいの出てきたな……。
しかもなぜか、宇宙世紀世界でちょろちょろしてたゲールとかいうやつもいるみたいだし。
こないだ苦戦させられた、あのドメル上級大将よりも上の奴ってことで、これはかなりの激戦になるかと思われ……僕らも、覚悟を決めて戦いを挑んだわけだ。
……結論から言おう。全面的に杞憂でした。
というか、想像以上にその……元帥、とんでもない奴だった。ダメな方向に。
だって、密集陣形になってるのにかまわず砲撃命令出してめっちゃ撃たせて……当然というか、同士討ちもじゃんじゃん起こって……
傍受した通信から、敵兵の『この状況で砲撃命令なんか出すなよ!?』って怨嗟の声が聞こえてきた。マジで。
しかも、その時に傍受した通信の内容がコレです……
『手を休めるな、撃ち続けろ! このまま一気に押しつぶすのだ!』
『か、閣下! しかしこの密集陣形でそのようなことをすれば、友軍にも相当の被害が!』
『構わん!』
『えぇえ!?』
『歴史とは、勝利とは、犠牲の上に築かれるものである!』
『そ、そんな……』
『全軍、一斉砲撃続けよ! 恐れるな、数こそ力なり!』
……なんというか……一時でもこの人と比べてしまった上級大将さんに謝罪したい気持ちにかられた。
というか、隣で諫めてるのがたしかあのゲールってのだと思うんだが……そいつの方がはるかにマシに思えるレベルで、ちょっと、その……ひどい。
沖田艦長はさっき『同じ型の艦に乗っていても、司令官の技量は(ドメル上級大将とは)雲泥の差のようだな』って言ってたけど……それどころじゃなかったよ。
さっきから一言も声が聞こえてこない沖田艦長も、多分何て言ったらいいかわからなくなってるんじゃないかと思う今日この頃……
そんな感じで、むしろ友軍誤爆の方が被害出してるんじゃないかっていう凄惨な戦場になっていたわけだが……その終わりは、唐突に訪れた。
沖田艦長からとうとう合図が下り、指定されたポイントへ僕らは次々に急行していく。
その際、あくまでも立ちはだかろうとした敵旗艦に対し……
「第一船速、ヨーソロー!」
「波動防壁、前面集中、全力展開!」
「打ち方、始めぇ!」
「打ちィー、方ァー、始めェー!!」
ヤマトは前面に波動防壁を集中して展開し、突撃。周囲にショックカノンや実体弾をまき散らしながら進み……そのまま敵の攻撃を防壁で受け止めながら、集中砲火で……
「食い破れ!!」
至近距離ですれ違いざまに雨あられの砲撃を浴びせ、そのまま置き去りにして抜き去っていった。
後に『沖田戦法』と呼ばれることになるこの見事な突破戦術で、ついに敵の陣形には、修復不可能なほどの大穴が開き……『地球艦隊・天駆』全員が、所定のポイントに到達した。
そこから先は、予定通りである。
バラン星を爆縮させ、ワープゲートを破壊しつつこちらは撤退(ただし前向きに)。
ガミラスの大軍を置き去りにしつつ……
「ワープアウト、完了!」
「各艦各機、問題なし!」
「空間座標、想定通り示す。ということは、ここが……」
「ああ、ついにやってきたんだ……『大マゼラン銀河』に!」
旅の最終目的地である、イスカンダルのある、『大マゼラン銀河』に……とうとう、到着したのだった。