スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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衝動的にこういう話が書きたくなって書いた。

反省はしている。後悔はしていない。


第80話 デリケートな大問題

【▼月×日】

 

 今日もまあ、平和と言えば平和だったんだけど……ちょっとばかり問題が起きた。

 

 いや、別にそんな、深刻なアレじゃないんだけど……いや、やっぱ結構深刻かもしれない。部隊内の、微妙な不和的な意味で。

 

 険悪なのは、ごく一部の範囲内。

 というか、たった3人だけ。

 

 アンジュと、ヒルダ、そしてタスクである。

 

 もともとこの三人は、アンジュをめぐる三角関係だった。

 ……ヒロインをめぐる2人の片方が女性っていう、ちょっと変則的なそれではあるけど。

 

 タスクは、無人島でアンジュと出会って以降、彼女とともに戦うことを決め……『自分はヴィルキスの騎士じゃない、アンジュの騎士だ』とまで言うほどに強い意志を持ち、実際に何度も、命がけでアンジュのために戦った。

 

 ヒルダも、最初こそ死ぬほど仲が悪かったけど……色々あって信頼し合える関係になってからは、その好意を隠すこともなくなった。『アンジュはあたしにとって王子様なんだよ』って、堂々と皆の前で言ってたことすらあったっけ。

 

 そのヒルダとタスクは、アンジュをめぐり、最近は割とバチバチ火花を散らしてたわけなんだが……この度、その関係にどうやら変動があったらしく。

 

 ……どうも、アンジュとタスクが一線を越えたらしい。

 

 ここ最近のメイルライダーの皆は、こないだも言った、カトリーヌ・ビトンの美容教室で色々な知識をつけて美容に気を使い、その結果として日々かわいくなっていった。

 それは、アンジュも同様である。もともと王女様としてそういうのに気を使った生活をしていた彼女だから、そういうのを思い出して実践するのに時間はかからなかったし、効果もより早く表れたのかもしれない。

 

 ……だからなのかは知らないけど、ここ最近、ヒルダやタスクがアンジュを見る目に、より一層熱がこもっている気がしてたし……その結果として、男女は行くとこまで行ってしまった……ということなんだろうか。

 

 というか、その前日に、タスクが『男女が最低限の節度を守って仲良くするのに必要なアイテム(精一杯の湾曲表現)』を用意できないかって相談してきて……

 いや、実際『ソーラーストレーガー』の生産設備で問題なく作れたから別にいいんだけどね。男として、そういうのを恥ずかしがりつつも用意したくなる気持ちはわからんでもないし。

 

 ……まさかこの艦でこんなもん作ることになるとは思わなかったし、コレの原型を作ったガーディム人も思ってなかっただろうな。

 あんまり深く考えないようにしながら、材料になるゴムを放り込んで……秒で完成したそれを、タスクに渡した。20回分。これだけありゃ足りるだろ。

 

 そんでおそらくは、それをさっそく使ったんだろうね。

 

 まあ、各部屋のベッドメイクは各人で担当していただくことになってるし、洗濯その他は全自動でできるようになってるから、『布団を汚した』ことについてはいいんだけどさあ……

 

 そのことをヒルダも察したみたいで、すごく悔しそうにしたり、落ち込んだりしてるんだよね……かつてないくらいの落ち込み方で、はたから見ててちょっと心配になるレベルだった。

 ……彼女にとっては、失恋に等しい出来事なわけだから、無理もないかもしれないけど……。

 

 今のところは平和だからいいけど……ないとは思うけど、これが原因で戦闘に悪影響とか、そのへんの事態になるのは勘弁だから……うまいこと解決してほしいもんだけど……。

 

 

 

【▼月△日】

 

 ……一応、問題は解決した。

 解決した……けど……素直に喜べない。

 

 どうしてかって? うん、ちゃんと説明する。するから……少し待ってくれ。気持ちの整理が必要だ。

 ホント、どうしてこうなった……?

 

 結論から言えば……アンジュが男気を見せた、とでも言えばいいだろうか。

 

 ヒルダが元気をなくしていることについては、当然アンジュも昨日のうちに気づいていた。

 それが、自分とタスクの関係が進展したことが原因であることも。

 

 以前のアンジュとヒルダであれば、関係が悪くなってもお互い素直になれずに、ずるずると引きずり続けたかもしれない。

 

 しかし、他ならぬアンジュがそんな風になるのを嫌って……気まずさとか一切を無視して、ヒルダときちんと面と向かって、腹を割って話したのだ。

 

 そしてそこで、ほとんど泣き顔でヒルダがぶつけてくる文句やら何やらを全部受け止めた。

 私も好きだったのにとか、アイツがいい奴なのは知ってるけど、それでも……とか、気が付けばヒルダの方も、何もかも隠さず、我慢せずに全部ぶつけて……

 

 そして、泣き崩れそうになった彼女を抱きとめて、アンジュは優しくそれを受け入れた。

 

『ごめんね、ヒルダ……好きな相手を、こんな風に泣かせて、悲しい気持ちにさせちゃうなんて……王子様として失格だよね』……と、そんな風に、さらっととんでもない告白まで紛れ込ませて。

 

 お互いの本音を隠さずぶつけ合い、その上でアンジュも……そしてヒルダも、相手のことを受け入れ、許し……この問題には、無事に決着がついた…………

 

 

 ……と、思ったんだけども、

 

 

 その直後、事態がおかしな方向に進んでいった。

 

 アンジュと抱き合っていたヒルダの目が、なんだか爛々と輝き始めたように見えたのだ。

 

 図らずもその場に出くわした面々が、『ん?』と、何かおかしいことに気づいた直後……ヒルダはアンジュの肩をガシッと両手でつかむと、

 

『それじゃあ、昨日はタスクだったんだし……今日はあたしだよな!』

 

『……へ?』

 

 きょとんとするアンジュの手を引いて、そのままずんずん歩いていき、自分の部屋の前まできて……そのあたりでようやくアンジュ、再起動。

 『あ、コレ何かやばいスイッチ入ってる』と気づいたものの……時すでに遅し。

 

『ちょ、ちょっとヒルダ!? きょ、今日はあたしって、っていうか私達女同士なんだけど!? い、いったい何をどうやって、私知らな……』

 

『大丈夫だって! 私経験あるから! ちゃんと教えるし、優しくするから!』

 

『いや優しくってだからホントに、待って、お願っ、ちょ―――』

 

 そのまま、部屋の中に引きずり込まれて消え、ドアにカギがかかる音がして……夕飯前まで、数時間にわたって出てこなかった。

 

 そして、夕食の席で姿を見せたアンジュとヒルダは……なんか、今朝以上につやつやになっていた。

 タスクがショックを受けてorzになっていた。

 

 しかもどうやら、夕食とそのあと少しの間は単なる休憩時間らしく、どうやら夜になったら続きをやるのだと思われる。

 

 なんでそんなことわかるのかって?

 

 ……頼まれたからだよ、ヒルダにも。タスクと同じように。

 『女の子同士性別の壁を越えて楽しく遊ぶためのいろいろなグッズ(精一杯の略)』をさ!

 

 二日続けて艦の生産設備で大人のおもちゃを作ることになった僕の心中、誰か推し量ってくれるだろうか。

 しかもヒルダ、すっごい色々こだわってて、材質とか形とかめっちゃ細かく指定して来るし、手に取ってみて納得いかなかったら何度でも作り直させるし……なんなのこの情熱。夜の生活に命かけてるの君?

 

 なんか精神的にすっごい疲れた僕を置いて、出来上がったおもちゃ(意味深)を抱えて、アンジュの手を引いて、ヒルダは部屋に消えていった。

 

 ……不和の種は消えた。それはよかった。

 けど、なんかこの休暇の間に、一部のメンバーがおかしな方向に性徴……じゃなくて、成長してしまいそうで……なんか、不安である。

 

 タスク、強く生きろ。じゃないと……とられるぞ、マジで。

 

 

 

【▼月□日】

 

 アンジュとタスク、そしてヒルダのあれこれで色々と疲労していた僕である。

 

 しかしまあ、愛し合う者同士が仲睦まじいのはいいことだし……戦闘やら人間関係に悪影響なく、きちんと収まってくれるのであれば、うん、文句はなかった。

 色々苦労させられたり、やるせない気持ちになったことなんて、日記に愚痴書いてストレス発散する程度で忘れてあげるつもりでいたんだ。

 

 

 

 ……だってのに、何で、状況がより悪化するかな!?

 

 いや、悪化と言っていいのかは正直微妙だけども! そして方向おかしいけども!

 

 

 

 アンジュ達3人が『そういうこと』になったがゆえに触発された……のかは知らんけども……なんか、そういう雰囲気が、この艦内……どころか、こっちのナデシコチーム全体に割と広がっていってる。

 

 もともとこの部隊、カップルとか多かったっちゃ多かったんだよな……

 甲児君とさやかさんとか、宗介とかなめちゃんとか、あと舞人とサリーちゃん、それに浜田君とルンナちゃんもだな。

 

 いや、このあたりの人達は特に何か進展したとか、そういう変化があったわけじゃないんだけど……問題はその他でしてね……

 

 ……アキトさんとユリカさんはいいんだよ。もともと夫婦だったし、長いこと引き裂かれてたんだから……仲睦まじいのはいいことだよ。

 

 ……だから、うん……ユリカさんが僕に、艦の生産設備を使ってイエスノー枕を注文して来ようとも……まあ、ぎりぎり我慢できるよ。

 その他にも色々と必要物資を注文されたけど、我慢したよ。ちょっと聞いてるのつらいから、担当窓口をミレーネルにバトンタッチしてもらったけど。

 

 あと、これはZ世界でもあったかもしれないけど……クルツとマオさんも……うん、そうなったっぽい。

 ま、まあね? もともと仲よかったし……互いのことをきちんと大切に思ってるようだし? うん、いいと思うよ?

 

 ……そして、ロザリーとクリス……ああそうでしたね、あなた方元々そういう関係でしたね。

 元々はそこにヒルダも交えてだったと思うけど、今はヒルダはアンジュに夢中なので、2人でだったっぽい。

 

 ……と思ったら、どうもヒルダとアンジュも加えて4人同時にいろいろやるという計画を立てているという話が聞こえて来て……どんだけ高度なことしようとしてんのあんたら!? 性別も人数も既存の常識をぶっちぎりすぎじゃござーせん!?

 

 まー別にいいけどね!? 仲がいいのはいいことだし! それで士気高揚につながるなら!

 

 タスクが余計にショック受けてふさぎ込みそうな点だけ不安ではあるけど、そうなったらアンジュがまた励まして元気にするだろうしね!

 ……アンジュにかかる負担が色々な意味で大きいな……。

 

 なんかどんどん部隊内にピンク色の空気が充満してきて、風紀の乱れが深刻なことになってる気がするんだけど……これ、合流した後、沖田艦長達になんて説明すれば……テッサ艦長とマデューカス中佐あたりに丸投げしようかな。

 

 それでもまあ、今言った通り、そういうのは突き詰めればプライベートの範囲内であるし……まあ、そのために注文されるおもちゃも、必要経費ってことできちんと生産させてもらいますけどね……節度を守って楽しんでくれる分には、繰り返すが、文句は言わないよ。

 

 

 

 

 

 ……だが、ココとミランダにおかしなことを吹き込みやがったのは許さん。

 

 

 

 

 

 昨日、夜になってから2人が部屋に訪ねて来て……何か用かと思って招き入れたら……ちょっと口に出して言うのははばかられる薄いものを持ってきた2人が、それを僕に見せながら。

 

『こ、これの使い方……ミツルさんに教えてほしいなあ、って……』

『私達、まだ子供だけど……もう子供じゃないんです!』

 

 その瞬間、僕は反射的に次元力を使って2人を眠らせた。

 

 そして、大至急ミレーネルを呼んでその記憶を読んでもらい、2人にこんな心臓に悪いいたずらを教え込んだ犯人が、ヒルダ、ロザリー、クリスの3人であることを把握した。

 

 その上で……悪いとは思ったが、これに関する記憶を2人の中から消させてもらい、それぞれの部屋に運んで寝かせた。

 明日になったら文句言わないと……

 

 ……2人ともかわいいから、ちょっと理性が揺らぎかけただろうが……っ……。

 

 

 

 

 

追記

 

 後処理の最中、ミレーネルにこんなことを言われた。

 

「今回は、ヒルダ達が面白がって焚きつけた結果みたいだから、これでもまあ、いいとは思うけど……」

「もしも、本気であなたに思いを伝えてきたら……その時は、真剣に受け止めてあげてね。それも、1つの責任の取り方よ」

 

 ……まさか僕に限って、なんて言いそうになったけど……どうにか飲み込んだ。

 

 というか、真剣な表情でそんなことを言ってくるミレーネル自身も、すごい美少女には変わりないから……なんていうか、ちょっとくらっと来そうになったよ。

 ……まったく、色々どうしようもないな、僕も……。

 

 とりあえず……その言葉は、覚えておこうと思う。

 

 

 

 

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