【▼月◇日】
アマルガムにエグゼブ一味、ミケーネにインベーダー……厄介な奴らとの戦いがどうにか終わり、現在つかの間の休息を堪能しているところである。
残念ながら、バカンス?に最適だった惑星フェルディナは木っ端微塵になっちゃったので、それぞれの艦でだけど。
まあ、補給や各機体の修繕その他は問題なく行えたことだし、文句は言うまい。
休息をとりつつ、あの一連の戦いの後始末、ないし今後についての対策を進めることにした。
まず、サリーちゃんと『イノセントウェーブ』について。
前回の戦いの中でその有用性が示されたコレについては、一応今後も、浜田君達を中心としたメンバーで研究を進めていき、『増幅装置』の改良その他を行っていくことになった。
既にエグゼブは倒したので、もしかしたらもう『魔のオーラ』を使ってくることはないかもしれないけど、念のためにね。
連中と手を組んでた、レナード達アマルガムや、エンブリヲは健在なんだから……似た力を使ってくる可能性はある。
そういう時に、敵側のバフや継続回復を打ち消す、リアル『いて〇くはどう』を使えるっていうのは、こちらにとって大きな強みになるだろうからな。
……そう考えた時、一瞬、某大魔王のポーズで『いてつく〇どう』を放つサリーちゃんのグラフィックを想像してしまって微妙な気分になった。何やってんだ僕。
それに……エグゼブ達に関してはまだ不安もある。
さっきは『エグゼブは倒した』とは言ったけど……そのエグゼブも、どうにも『次元力』を上手く使えていたようには見えなかったからな……。
パープル同様、『誰かに与えられた』という感じが強かった。戦闘中にもそんなこと言ってたし。
……傍受した通信の中でも、『私はまだ見捨てられてはいないのですね!』とか何とか言ってたようだし……まるで、さらに上位者、ないし黒幕がいるようなことまで……気になるな。
こういう不安もあるので、『増幅装置』の改良その他は続けてもらうことにしたわけだ。
それともう1つ……戦いの直前に捕獲?した、ソフィアについて。
かなめちゃんに悪霊よろしく憑依しようとしてたところを、ミレーネルが引っぺがしてタブレットに封印したわけなんだが……意外にも彼女は今、大人しくしてくれているようだ。
まあ、そうせざるを得ないだけ、と言った方がいいかもしれないが。
最初はどうにかしてタブレットから出ようとしていたみたいなんだけど、それができない、完全にこちらの技術その他が、自分ができる範囲の抵抗を上回っていると悟ったようで。
今は、こちらからタブレットのカメラ越しに顔を合わせると、恨めしそうな目を向けては来るものの……特に罵詈雑言を飛ばしてくるわけでもなし。
その代わりに、こちらの質問その他にもこたえてくれる気配はないし、まだあきらめずに虎視眈々と脱獄?の機会を狙っているようだが。
味方の一部からは『尋問して情報を引き出すべきでは?』との声も上がったが、テッサ艦長やかなめちゃんからの要望でそれは却下、ないし保留になった。
ソフィア自身、過酷かつ非人道的な人体実験のせいで命を落とした被害者なんだから、って。
かなめちゃんの体を乗っ取ろうとしたのも、レナード達に協力しているのも、失った自分の人生を取り戻そうとしているから、っていうのが一番大きな理由のようだし。
まあ、そのために他人の人生を犠牲にしていいのかって言われたら、そりゃもちろん否だけども。
かなめちゃんも、そこまでしてソフィアに協力してやるつもりはないみたいだし。
ただ、一度1つの体に2つの精神が入っていた影響か、どうしてもその気持ちは多少わかっちゃうんだって。難儀だな、ウィスパードってのも。
ひとまず、彼女についてはこのまま保留ってことにした。
……肉体のない、精神だけの捕虜、ってのは……前例がなくて扱いが難しいけど、とりあえず手探りで……ひどいことだけはしないように頑張ってみようと思う。
【▼月▼日】
通信を使った艦長同士の会議で、ヤマトチームとナデシコチーム、それぞれの現況の情報交換が行われた。
どうやら向こうもかなり波乱の道のりだった様子。
特に、ガミラスとガーディムはしつこく襲ってきたみたいで……こっちには来なかったあたり、あっちばかりに集中して狙いを定めて襲いに行ったみたいだな。
ガミラスから『地球艦隊・天駆』の旗艦として認定されてるであろうヤマトと、ガーディムが狙ってるヴァングネクスとナインがひとところにあるんだから、まあ……予想はしてたけど。
この点で見れば、こっちに出現したエグゼブ一味やミケーネのことも考えれば、『互いが互いの陽動として動く』というこの別動隊作戦の目的は果たせたと言っていいと思う。
あっちも問題なく、それぞれの敵の撃退には成功したようだし。
あと、襲ってきたガミラスの中には、宇宙世紀世界から戻ってきた奴もいたらしいんだけど……そいつらと戦った時に、宇宙世紀世界出身の捕虜を何人か収容したらしい。
その中には、あのフル・フロンタルの親衛隊長もいたそうだ。……ああ、出発の時の見送りとか式典に出て来てないと思ったら、ガミラスに合流してたのか。
……彼も、『フル・フロンタルの考え方に賛同できなくて離反した』っていう、一部のネオ・ジオンの中の1人だったんだな。
意外といえば意外だ。フロンタルに心酔してたようだから、そのままついていくと思った。
幸い今は、精神が不安定になっているとかそういうこともなく……ある程度ではあるけど、前向きに物事を考えることができるようになっている様子。
時間はたっぷりある。自分の中でゆっくり気持ちの整理はつければいい。
あと、同じく宇宙世紀世界から……というか、もともとはこの世界の出身者だっていう。木星帝国のザビーネとかいう奴もいて……こちらはトビアとキンケドゥさんが討ち取ったらしいんだが……ぶっちゃけ僕、そいつと接点ないのでわからん。
ルート分岐……もとい、行動する隊分けの関係で、戦うこともなかったし。
なので、省く。許せ。
ガーディムは例によって千歳さんとジェイミーが襲ってきたらしいんだが……今回もジェイミーはやっぱりアンドロイドだった。
そして千歳さんは、再び総司さんが説得を試みたものの、聞く耳もたず……というか、何かジェイミーに、詳しく話すことを禁止されているみたいなことを言っていたとか。
何らかの形で地球を救うのには協力するから、何も言わずにガーディムに協力してヤマトとヴァングネクス、そしてナインを奪い取れ……みたいなことを言われてるっぽい。
一体何を吹き込まれてるのやら……こないだの通信で言ってた『騙されないで……イスカンダルは……』っていう言葉といい、謎が深まるばかりである。
……次に遭遇した時には、多少強引にでも話を聞くようにした方がいいかもしれないな。
そして、ヤマトチームについてもう1つ。
ガミラスやガーディムとの戦いの合間に、今までに遭遇したことのない、謎の敵と遭遇したらしい。
それは、宇宙で突然襲ってきた、意思を持つ生きた金属だったという話で……ああ、うん、いたねそういえばそんなの……『Z』でも中盤~終盤でなんか出てきたやつ。
『ELS』と呼ぶことにしたらしいそいつらと交戦し、その中で刹那が負傷し、ティエリアが肉体を失ったとのことだった。
ティエリアは『イノベイド』だから、肉体を失っても精神をデータにして復活できるから問題ないし、刹那もたいして重症とかじゃないっぽい。それはまあ、よかった。
けど、今後もそいつらに遭遇する見込みであることを考えると……厄介だな。
ここはガミラスの本拠地に近い上、インベーダーやら何やらもやってきていて、ただでさえ敵が多いっていうのに。
とまあ、そんな感じで互いの情報を交換したわけだが……これらを踏まえて今後の予定を検討した結果、予定を前倒しして、両チーム合流することにした。
集合場所に行くのではなく、『ボソントランスミッター』と『ボソンレシーバー』を使って、超長距離ジャンプで、直接僕らがヤマトのところに飛ぶ形で。
周辺の安全確認その他のために、合流は明日以降になる予定だけども。
それぞれで厄介な敵を撃破したことだし、状況は前よりも好転している。このまま戦力を結集して、一気にイスカンダルに行ければいいけど……同時に、襲ってくる奴らの戦力も集中するってことになるからな。油断できない旅は続きそうだ。
【▼月●日】
無事、ヤマトチームとの合流完了。
細かい情報交換とかも済んで、今日から全9隻でイスカンダルを目指す旅路の始まりである。
現状、差し迫って何かしなくちゃいけないことがあるわけじゃないので、敵の襲撃だけは警戒しつつ進んでいくことにした。
今日は別にそのへんは何もなかったんだが……しいて言うなら、現在捕虜にしている、ソフィアについてでも書いておこうか。
以前の日記にも書いた通り、ソフィアは今現在、タブレットの中に収監、あるいは封印しているので、外を出歩くことはできないし、かなめちゃん達に危害を及ぼすことはできない。
しかし、画面越しに会話とかすることはできる。
それを利用して、このところ毎日、かなめちゃんはソフィアに会いに来ている。
万が一のことを考えて、彼女のタブレットは『ソーラーストレーガー』においてあるので、毎日輸送用のシャトルで、あるいは宗介のレーバテインで送ってもらって、うちの艦に来ている。
彼女は彼女で、ソフィアに乗っ取られそうになったことがありながらも、彼女のことを案じている。ひどい目にあって、助けを求めているのは本当なんだからって。
だから、封印してハイおしまい、じゃなくて……きちんと彼女と面と向かって話し合って、少しでも分かり合えれば、って思っているようだ。
ソフィアの方は、最初は取り付く島もない感じで、恨みがましい目を向けながら『もう放っといて』とか言うばかりだった。
けど、諦めずにかなめちゃんが何度も足しげく通って話し合おうとして……その甲斐あってか、多少なり会話になる程度には進展?したみたいである。
……もっとも、対応は相変わらずそっけなさ9割超ではあるけども。
それでも、恨み言に交じって自分の境遇とか……本当はこんなことしたかったとか、どんな風に今までつらかったとか……そういうことを話し始めてくれている。
かなめちゃんの努力は、無駄じゃなかったようだ。
【▼月▲日】
かなめちゃんがソフィアに会いに来るのはいつものことなんだが、今日はちょっといつもと違った。
かなめちゃんだけでなく、テッサ艦長も会いに来た。
同じウィスパードであるということで、一度話したいともともと思っていたそうで。一時的に艦の仕事はマデューカス中佐に任せてきたそうだ。
ソフィアの方も、テッサ艦長には多少なり興味があった様子。
テッサ艦長はウィスパードであるのに加え……彼女の仲間である、レナードの妹だ。それでいながら、こうしてレナードとは敵対し、彼の『時空融合』を、そしてその先の『世界の改変』とやらを阻止すべく動いている。
お互いに、相手が何を考えているのか、その辺を知りたかったみたいだ。
理由はちょっとギスギスした感じだったけど、結果的にいつもより突っ込んだところまで話が進んだようだったので……まあ、結果オーライと言っていいのかな?
ソフィアも普段より饒舌になって、色々と話してくれたそうだし。
というか、途中からは、互いの理念信念の語り合いとか討論会みたいになってたようだ。
その会話ログから明らかになったことではあるんだけど……レナードはどうやら、ウィスパードだったことで色々と嫌なことがあったり――プライバシーの関係で詳細は伏せるけども――その他さまざまな理由から、『世界をリセットしよう』と考えていて……そのための手段として、エンブリヲ同様の『時空融合』を。そして『歴史改変』を選んだとのこと。
レナードだけでなく、カリーニン少佐も含め、彼に付き従っているのはそういう目的を持っているか、レナードに心酔しているかのどっちかだそうだ。
一部、金のためにビジネスと割り切って従っている者もいるそうだが。
なお、ソフィアはもちろん前者である。人生を取り戻して、幸福に生きることが目的だそう。
そして、真の意味でその目的を達成するには、なぜかはわからないけど、かなめちゃんがキーパーソンになっているらしい。ただウィスパードであるってだけじゃなく、かなめちゃん個人である必要があるとのこと。
その理由については、残念ながらソフィアは話してくれなかった。
ただ、それについて『彼女の罪』っていう言い方をしてたんだが……はて?
かなめちゃんが何かやらかしたってのは、別段何も聞かないが……レナード撃ったくらい? あるいは、ソフィアが憑依している間に何か……いや、だとしたら言い方的に変だよな?
……彼女がもうちょっと心を開いて、あるいは油断して、情報を開示してくれるのを待つしかないかな。
ちょっと打算的な動機で悪いが、かなめちゃん達には今後も頑張ってほしい所である。