スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第84話 『七色星団』の決戦

 

【▼月★日】

 

 少し前にも日記に書いたが、今、僕ら『地球艦隊・天駆』が、捕虜としてアンジェロ……フル・フロンタルの元親衛隊長を収容しているというのを覚えているだろうか。

 

 捕らえた当初は、まだちょっと調子がよろしくないというか、精神的に不安定な感じだったんだが……しばらく時間を置くことで多少落ち着いてきたようなので、今日、聴取が行われた。

 

 その結果、ガミラスの現状について、ミレーネルに聞いていた以上に色々なことが分かった。

 あのゲールとかいうのに一緒について行動してたからな、多少の情報は持ってるだろうと思われていたんだが、期待通りだったみたいだ。

 

 ただ、それを聞いて……なんというか、あっちはあっちで変なことになってるな、と思った。

 

 一言でいうと、今現在ガミラスは、謀略と内部分裂からくる足の引っ張り合いで、全体的に混乱しているっぽい状況らしい。

 

 バラン星の亜空間ゲートの近くで、ガミラスの艦隊1万隻を相手に戦った時、敵側で指揮官をやっていた男……ゼーリックとかいう奴を覚えているだろうか。

 ドメル上級大将より上の地位なのに、戦い方はお粗末どころじゃなかった奴だ、命令に従って同士討ちをしている敵の兵士達が哀れでしかないような光景を作り出していた無能の極みである。

 

 大ガミラス帝星は、総統であるデスラーがトップとなっているわけなんだが、ゼーリックは彼に忠誠を誓ってはおらず、その地位を狙っていた。

 加えて、自分より有能で軍内や民たちへの人気も高い、ドメル上級大将と、もう1人……ガル・ディッツ提督という人を、自分の立場を脅かす者として邪魔に思っていた。

 

 そこで、それらの邪魔者を一気に片付ける策を前々から練っていて……今回、それを実行に移したらしい。

 

 デスラー総統の乗る艦を爆破して彼を暗殺し、ドメル上級大将とディッツ提督にその罪を着せることで更迭した。

 その上で、総督府内が混乱している隙に帝都バレラスを制圧、とどめにガミラスにとっての仇敵となりつつある『地球艦隊・天駆』を討ち取る功績を立てれば、晴れて自分は盤石な地盤をもってガミラスのトップに立てる……と考えていたそうだ。

 

 アケーリアスでの戦いで、ドメル上級大将が突然退却していったのは、それに巻き込まれたからだったんだな。罠にはめるために、帝都に呼び戻されていたわけだ。

 

 しかし、その策はすでにデスラーに見破られていたらしく、暗殺は失敗。

 ゼーリックは裏切り者として粛清されたらしい。哀れな末路である。

 

 そんなわけで現在は、きちんとデスラー総統が戻ってきてはいるものの、ゼーリックが色々やったことの後始末でやや混乱を引きずっている状態にある。

 

 具体的には、ゼーリックが自分にとって邪魔な奴らをあの手この手で排除しようとして、人事関係が滅茶苦茶になってるので、そのへんの整理だそうだ。

 『秘密警察』とかいう、昔の日本でいう特高警察みたいなヤバそうな連中まで巻き込んで動かしていたようなので、事実関係とか法的な手続きが面倒なんだと。

 

 ドメル上級大将はすでに復職しているらしいが、もう1人巻き込まれたディッツ提督や、その他一部の被害者はまだ呼び戻せていないそうだ。

 

 そして、アンジェロが身を寄せていたゲール提督は、ドメル上級大将の復活に伴ってまた立場を追われそうなところだったので、焦っていた。

 とにかく手柄を求めて懲りずにヤマトに手を出し……そしてまた惨敗した、というわけだ。

 

 ……まあ、敵なんだし、足の引っ張り合いをしてくれているのは、こちらとしては願ったりかなったりではあるが……どこの国、どこの星でも、真面目な奴がバカな奴に足を引っ張られて苦労するっていうことは起こるもんなんだなあ。

 

 

 

【▼月■日】

 

 沖田艦長達から、今後の航行スケジュールについて連絡があった。

 

 今僕らがいる宙域からイスカンダルを目指すにあたっての最短ルートは、『七色星団』という場所を通るものらしい。

 

 ただしこの『七色星団』とやらは、7つの縮退星によって構成され、所々でイオン乱流やら宇宙ジェット、その他さまざまな現象が発生し、レーダー障害すらも起こる危険な宙域で……ここを通ることは自殺行為、とまで言われているらしい。

 まともな感性を持っている者なら、まずここを通ろうとは思わないそうだ。

 

 実際、イスカンダルに行くにあたって、ここを避けて進む迂回ルートも当然用意されていた。

 

 ……もう何が言いたいのかわかるね?

 

 そう……『地球艦隊・天駆』は、ここを突っ切っていくことになりました。

 

 それだけ警戒されているのなら、こんな場所を通るとは敵も思っていないだろうから、敵の裏をかくと同時に、一気にスケジュールを短縮することができるだろうって。

 

 発表された際に、驚きはあったものの反対意見はほぼゼロ、歓声すら上がったあたりに……なんというか、僕らもたいがい頭のネジがぶっ飛んできている気がする。

 かくいう僕も反対はしなかったわけだが。効果的なのは確かだしね。

 

 ……ただ、こないだアンジェロに聞いた通り……向こうにはかの『宇宙の狼』とやらが復活し、どうやら総統の命を受けて、正式に僕らを討ち取るべく動いているようで。

 それを考えると、これが『敵の意表を突く』ための方策であっても……万が一のことを考えれば、油断はできないんじゃないかな……と、思う。

 

 もっとも、そんなことは僕ごときが言うまでもなく、沖田艦長達も想定しているだろうけどね。

 

 こちらとしても、何が起こってもいいように、万全の態勢で『七色星団』突破の時を迎えられるように……準備を進めておこうと思う。

 

 

 

【▼月!日】

 

 予 感 的 中。

 

 難所と名高い『七色星団』をあえて突っ切るという奇策だったわけだが……見事に見破られていたようだ。すでにガミラスの艦隊が待ち伏せしていた。

 

 しかもどうやら、やってきたのは以前に聞いた『ドメル軍団』。やはりというか、これを見破って待ち構えていたのは……ドメル上級大将の指示であり、相手はその直属の精鋭たちらしい。

 二手に分かれていた時に、ヤマトチームが相手をしたことがあるらしいが、やはり相当手ごわかったそうで……油断できない戦いになるのは明白だった。

 

 アケーリアスで見た、ドメル上級大将自身の座乗艦はいなかったので、これから合流するのか……あるいは挟撃に持ち込まれる恐れもある。あらゆる理由で時間はかけられない。

 

 沖田艦長の号令とともに、『地球艦隊・天駆』総力で、ガミラスの最強部隊との戦いは始まった。

 

 戦艦の数はこちらの数倍。さらにその数十倍はあろう数の戦闘機やら何やら。

 それらの物量や性能のみならず、二重三重に用意された作戦や、高い熟練度の連携能力から繰り出される戦術の数々。

 さらに周囲には、さっきも言った通り、イオン乱流やら何やらが吹き荒れていて、こちらもある意味天然のトラップゾーンみたいなもの。片時も油断できない。

 

 そして予想通り、敵が足止めを行っている隙に、ドメル上級大将の座乗艦も合流してきたし……そこからは、それまで以上に苛烈かつ精密な攻撃が飛んでくるようになった。

 

 危ない場面はいくつもあったけど、どうにか乗り越えることができた。

 

 まず、物体転送系の装置を使った、いきなり出現する敵機による奇襲。

 何もない場所からいきなり戦闘機が現れて攻撃して来るもんだから、最初はびっくりした。

 

 けど、転送による襲撃は、こちらも既に対応のノウハウがある。

 『火星の後継者』が使ってきたボソンジャンプ戦術と同じだから、そういうのが来るとわかって以降は、即座に対応できるようになった。

 

 そして戦いの途中、その転送を行っている装置が、敵旗艦の甲板にあるとわかった。

 

 そこでこちらも、意趣返しとばかりにボソンジャンプで跳躍したアキトさんのブラックサレナ()がそれを強襲。装置を破壊したことで、敵は転送戦術を使えなくなった。

 知ってはいたけど……呆れるほどに有効な戦術だぜ。

 

 さらに、戦闘が始まってしばらくたった頃、すごいスピードで戦場を突っ切って、ヤマトめがけて飛んでいった1機の戦闘機が、限界ギリギリまで近づいて……ミサイルのようなものを放った。

 その機体そのものは撃墜できたけど、あまりにヤマトに近すぎたせいで、ミサイルの方は迎撃できず、波動砲の砲口に命中して飛び込んだ。

 

 しかもそのミサイルは、単なるミサイルではなく、削岩機……つまりはドリルを改造して作られたもので、回転しながら奥へ奥へ侵入していく仕様になっていた。

 このまま進ませれば、ヤマトの内部にどんどん深く食い込まれて……しかも時限信管で起爆してしまい、致命的なダメージを負う恐れがあったが……アナライザーがそのシステムに侵入してドリルを逆回転させ、外に放り出すことに成功して事なきを得た。

 

 もちろん、それ以外にも様々な戦術を使って攻めてきたし、ヤマト以外もどんどん攻撃を加えられた。

 

 ドメル上級大将の乗る旗艦のほかに、航空母艦ならぬ『航宙母艦』が、相手には4隻もいたので……戦闘機や小型戦艦もひっきりなしに飛んでくるし。

 

 本当に、本当に手ごわい相手だった。

 

 

 

 それでも、僕らはどうにか……勝った。

 

 

 

 重力という縛りのない中をすごい速さで飛んで襲ってくる戦闘機を、それ以上の機動力を持つヴァングネクスやヒュッケバイン、それにパラメイルやモビルスーツが撃ち落とし、 

 

 防御力と火力で攻めてくる戦艦は、こちらも戦艦の砲撃と、スーパーロボットの突破力を組み合わせた戦術で迎え撃って沈めていった。

 

 そして最後には、ドメル上級大将の乗る旗艦が突撃してきて……それと、ヤマトが真っ向から打ち合う文字通りの頂上決戦に。

 

 相手の旗艦……『ドメラーズ3世』というらしいが、全長700mを超える、ヤマトの倍以上の大きさだ。

 その各部に備わった砲塔から、実体・非実態織り交ぜられた一斉射が放たれる光景は、ちょっとどころじゃなくプレッシャーのあるそれで……しかし、それで怯むヤマトでは、そして『天駆』ではなく。

 

 前面に集中展開した波動防壁でそれらを防ぎながら、なおも突撃するヤマト。

 

 それに先行する形で、機動部隊の中でもトップクラスの戦闘能力を誇る面々が、弾幕を潜り抜けてドメラーズ3世に猛攻を叩き込んだ。

 

 真ゲッターのゲッタービーム、ヴィルキスのディスコード・フェイザー、覚醒エヴァンゲリオンの衝撃波が、ドメラーズ3世の砲台を次々と破壊して沈黙させていく。

 

 既に放たれた砲撃は、マジンガーZEROのブレストファイヤーが空中で焼き払い、マジンエンペラーGは飛来する砲撃やミサイルを剣で切り払うという神業を見せていた。

 

 機動兵器と戦艦の波状攻撃によって、ドメラーズ3世の勢いを弱めたところで……とどめにヤマトが至近距離まで飛び込んで、集中砲火でドメラーズ3世の甲板を火の海に変えるほどの数のショックカノン、魚雷、融合弾を撃ちこんだ。

 

 それでもドメラーズ3世はすぐには沈まず、最後の最後でヤマトを道連れにすべく特攻をかけて突っ込んできたが……最後の意地とか矜持とはいえ、それを許すわけにもいかない。

 ヘリオースの力でドメラーズの進行方向上に小型の次元震を発生させ、それを妨害。

 

 次元震に巻き込まれ……例えるなら、渦潮に捕まったような状態になって動けなくなったドメラーズ3世は……そのまま、艦の各部から火を噴いて爆散し……轟沈。

 『七色星団』のイオン乱流渦巻く宇宙空間で、消えていった。

 

 その時に……オープンチャンネルで聞こえてきた、ドメル上級大将本人の者であろう言葉は……今でも、耳に残っている。

 

 

『沖田艦長! 軍人として……いや、1人の男として……貴方のような人物とあいまみえた事を、心から誇りに思う!』

『君達テロンと、我がガミラスに…栄光と祝福あれ!!』

 

 

 ……ホント、どっかの提督や元帥とは、大違いだとつくづく思う。

 

 できれば、彼のような人とは……もっと違う形で出会って、もっと違う結末を迎えたかった。

 

 ……終わった後でこんなこと言うの、卑怯かも、あるいは無粋かもしれないけどね。

 

 

 

 

 

追記

 

 ……これ、書こうかどうか迷ったんだが……今回の戦い、僕ら『地球艦隊・天駆』の、文句なしの完全勝利……というわけでは終われなかった。

 

 というのも……戦いの最中、ヤマトに、恐らくガミラスの工作員部隊みたいなのが侵入してきて……森船務長を拉致していってしまったのだという。

 戦いの最中は知らされなくて……終わった後に聞かされて、驚いた。

 

 もしも、ミレーネルが近くにいれば、それに気づけたかもしれない。

 

 けど戦闘中、僕やミレーネルの乗るソーラーストレーガーは、かなり前の方にいた。

 防御力と火力を生かして、真正面から敵と撃ち合ったり、前線で暴れる真ゲッターやWマジンガーの援護砲撃とかしてたから。

 

 けどそのせいで、ミレーネルの思念波感知能力がヤマトまでは届かなくなり……ヤマトに侵入者がいたことに気づけなかったわけだ。

 

 そのことをミレーネルは悔いてたけど、これはもう……こういう言い方はなんだが、どうしようもないとしか言えないだろう。

 焦って突出しすぎたとかならまだしも、勝つための戦術として僕らは前に出てたんだし。

 

 そもそもヤマトにだって、伊藤保安部長率いる保安部隊がいるんだから、そっちの守りはそっちに任せておくのが当然で……いや、守れなかった彼らを責める意図は別にないんだけどね?

 

 このことで、ヤマトの乗員達……特に、古代戦術長がひどく落ち込んでしまっているようで……仕事はきちんとこなしているようだけど、ずっと彼女を心配して、沈痛な面持ちでいる。

 

 もちろん僕やミレーネルも、いや、『地球艦隊・天駆』の皆が、彼女の無事を祈っている。

 

 ……奇妙なのは、ガミラスの連中が……明らかに森船務長個人を狙って行動していた(ように見えた)という点だ。それ以外には、一切目もくれずに。古代戦術長がそう言ってた。

 彼女を拉致するための支援戦闘以外では、ヤマト内部の破壊工作すら行わなかったらしいし。

 

 一体何で、彼女個人を狙って動いたのやら……

 

 何にせよ、機会さえあれば助けに行くつもりでいるので……それまで何事もなく、無事でいてほしいと切に願う。

 

 

 

 

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