スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第85話 想定外の怪物

【▼月◆日】

 

 先の戦いで拉致された森船務長についてだが……彼女が狙われた理由が分かった。

 というか、正確に言えば……そもそも彼女は狙われてなかったみたいなんだが。

 

 結論から言うと……彼女は、ユリーシャさんと間違われてさらわれた可能性が高い。

 ユリーシャさん自身がそう言っていた。つまり、本当は狙われていたのは……同じくヤマトに乗っていたユリーシャさんだったと。

 

 そういえば、ミレーネルの話にあったな。ガミラスは『イスカンダル主義』とやらを掲げていて……イスカンダル人を神のごとく崇拝しているって。

 ミレーネル自身はそうでもないので、ピンとこないらしいけど、一部のガミラス人は、それこそ己の命を投げ出すほどにその主義に傾倒しているらしい。

 

 そういう人達からしたら……イスカンダル人がヤマト(敵対勢力の戦艦)に乗ってるこの状況を見て、『お助けせねば!』みたいに考えてもおかしくない。

 自発的に動いたのか、あるいはガミラスの偉い人に指示されてかはわかんないけど。

 

 しかし……幸か不幸か、ユリーシャさんと森船務長は、確かに似ている。

 顔のつくりはもちろん、ゆるく波打った髪型や髪色も、細身な体つきも……それこそ遠目で見たら、地球人でもちょっと間違えそうになるくらいには似ていると思う。

 

 だとしたら、間違われても仕方ないと言えばそうかもしれない。

 

 森船務長がユリーシャさんと間違われているなら、手荒な真似はされないだろう。むしろ、手厚くもてなされていると見ていいと思う。万が一にもイスカンダル人に対して無作法があっちゃいけないだろうし……そこはまずは一安心か。

 

 いやでも……ばれた時のことを考えると怖いが。

 

 イスカンダル人なら当然知っているはずの知識とかマナーみたいなのがあったりしたら……森船務長、答えられないだろうし……そういうのでなり替わりがばれるのってお約束だよな。

 

 自分達が勝手に間違えたんだろう、って言っても、知ったこっちゃないとばかりに豹変しそうだよな……するよな、きっと。

 早いとこ助け出さなきゃいけないことには変わりないか。

 

 

 

【▼月?日】

 

 ヤマトに、メルダから通信が入った。

 『新西暦世界』に帰ってきたときに別れて以来だから……モニター越しではあるけど、けっこう久々の再会である。

 

 いや、期間的にはそこまで開いちゃいないはずなんだけど、密度が濃かったからな、最近の日々は……。

 

 しかし、何の用なのかと思ったら……意外や意外、こちらと協力したいという申し出だった。

 

 メルダはあの後、本星に戻り、ゲール提督の数々の問題行動を内部告発しようとしたらしいんだが……その途中で例のゼーリック元帥による暗殺未遂事件が起こり、それに巻き込まれて動けなくなっていたらしい。

 一時は彼女自身もお尋ね者にされてしまい、今まで逃げ隠れしていたんだとか。

 

 というのも、彼女の父親であるガル・ディッツ提督が、邪魔者としてゼーリックによって濡れ衣を着せられてしまい、現在失脚中だからだそうで。

 そういえば、メルダのフルネームは『メルダ・ディッツ』だったもんな……まさかとは思ったけど、血縁……どころか、親子だったのか。

 

 現在はその冤罪も晴れているらしいんだが、そのディッツ提督はすでに本星から連行されて連れ出されてしまっており、彼女はそれを救出しに動いているらしい。

 

 そのディッツ提督が幽閉されている場所が、『レプタボーダ』だと聞いた時には……ミレーネルが一瞬だけど、微妙そうな表情になっていた。嫌なことを色々思い出したのかもな。

 ガミラスに逆らう異民族や、政治犯なんかを閉じ込めておく『収容所惑星』なんだっけ。

 

 そんなわけで、メルダはそのレプタボーダに行こうとしているらしいんだが、時を同じくして、ガーディムがレプタボーダに現れて襲撃を始めており、近づけないらしい。

 連中の目的が何なのかはわからないが、もしこのままガーディムがレプタボーダに攻め込んだりすれば……ディッツ提督をはじめ、そこに入れられている人達が危ない。

 いかんせん連中は目的も思考回路もてんで意味が分からない集団なので、虐殺とか始めないとも限らないしな……そりゃ不安にもなるわ。

 

 しかもその途中で、ヤマトの艦橋に(無断で)ユリーシャさんが入ってきて……『レプタボーダに森船務長がいる』と衝撃的な情報を放り込んできた。

 

 何でそんなことがわかるのかは不明だけど、それならなおさら急がないといけない。

 

 突然のイスカンダル人(貴人)の来訪に、通信の向こうで驚いてテンパってるメルダがちょっと面白かったけど、さっさと再起動してもらって話をまとめ……『地球艦隊・天駆』は、一時進路を変更し、レプタボーダに向かうことになった。

 

 目的は、ガーディムによる破壊行為の阻止と、森船務長その他の救出。

 そして、その見返りに……って言うと言い方がアレだが、メルダ達から、現在のガミラスに関する情報を聞かせてもらうことだ。

 

 ミレーネルが知ってる範囲のそれとは、また大きく事情が変わってきつつあるみたいだし……より中枢に近い、ディッツ提督を救出することができれば、有益な情報を色々とえられるだろう。

 

 メルダも……彼女は以前、ヤマトにいた時は、内部情報を渡すことはしなかったけど、『あの時とは事情が違うから、ある程度はあなた方の役に立つ情報を渡せると思う』って言ってくれたし。

 

 

 

【▼月$日】

 

 死 ぬ か と 思 っ た!!

 

 本当に……本ッ当にやめてほしいこういうの。

 いきなりとんでもない、予想外にもほどがある展開が……それまでとは点で比較にならない、やばすぎる相手が……もう、ホントにもう!!

 

 こうして1日を無事に終えて、部屋でどうにか日記を書くことができている事実がちょっと今でも信じられないくらいに……いや、無事じゃないか、寝込んでるし今、僕。

 

 久々に限界を超えて次元力を使った結果である。

 『ヘリオース』に変身して、『SPIGOT』も使って……それでもなお殺しきれない反動で、今僕、動けません。

 

 またしてもミレーネルとミランダ、そしてココのお世話になってます。早く治れー。

 

 

 

 さて、例によって何があったかだけども。

 

 メルダ通信を受け、僕ら『地球艦隊・天駆』が惑星レプタボーダにやってきた時……僕らの行く手を阻んだのは、ガーディムではなく……なんとインベーダーだった。

 

 とんでもない数の群れが押し寄せ、レプタボーダを襲おうとしていたのである。

 

 レプタボーダには、エネルギー鉱石の鉱脈がある。あの連中は生物も無生物も、有機物も無機物もなく、何でも食らって力に変えるから、それを狙ってきたらしい。

 連中の親玉……コーウェン&スティンガーがそう言ってた。

 

 惑星フェルディナで見た時は、まだ人間の姿をしてた2人ではあるが……ここに来るまでに色々と食ってきたんだろう。きっちり異形化していた。

 超巨大な芋虫みたいな体になって、コーウェンの頭からスティンガーが生えてるっていう、悪魔合体も真っ青の姿である。

 

 ……何であの姿で、さも自分達が最高の生命体であるかのような、得意げな態度をとれるのか……本気でわからない。

 インベーダーに寄生されて、頭までアレなことになってんだろうかな……いっそ哀れだ。

 

 こいつらの迎撃のために、ガミラスの艦隊は身動きが取れないでいたそうだ……って、メルダが通信で言ってた。自ら戦闘機を駆り、インベーダーを撃ち落として戦いながら教えてくれた。

 

 既にガーディムは、相当数がレプタボーダに降下してしまっており、地上にいる迎撃部隊では、迎撃するにも限界がある。そう時間をかけずに陥落してしまうだろう、とも。

 そうなってしまえば……なぜかわからないけど、ガーディムはガミラスを敵視しているみたいなので……当初から危惧していた虐殺的な展開が起こらないとも限らない。

 

 が、そんな事情は知ったことかと言わんばかりに、インベーダーは襲い掛かってくる。

 

 沖田艦長は、『地球艦隊・天駆』がインベーダーを引き受け、先にガミラスの艦隊をレプタボーダに降下させると言って、メルダ達を先に行かせた。

 

 そして、『これは知的生命体との戦いではない。宇宙に存在する全ての命にとって害悪となる者達との闘争である』と判断し、これまで戦闘において使うことのなかった波動砲の使用を解禁。

 

 さらに、ここで僕らにも出番が来た。

 何気に惑星フェルディナで使って以来だった『事象制御システム』を使うためだ。

 

 沖田艦長の要請を受け、『ソーラーストレーガー』と『ヘリオース』でこれを起動。

 味方全体に全能力強化+継続回復のバフがかかり、こっちの戦力が激増。反対にインベーダー達に対してはデバフがかかり……これによって短期決戦を目指すという形になった。

 

 『常用していると慢心を招く恐れがある』という沖田艦長の判断で、今までの戦いでは乱用はしなかったこれを、戦闘の最初から使っていくとは……波動砲解禁といい、沖田艦長も本気でここで奴らを根絶する気のようだ。その決意の強さが垣間見える。

 

 なお、これを使っている間、僕と『ヘリオース』は戦力外になってしまうわけだが……結論から言って、それは問題にならなかった。

 

 さらにコントロールの精度を増した『事象制御システム』で強化された『地球艦隊・天駆』は……自分で言うのもなんだが、ちょっと引くほど強かったのだ。

 コーウェン&スティンガーと因縁深い真ゲッターを中心に、一方的にもほどがある勢いで、片っ端からインベーダーを宇宙のチリにしていった。

 

 そのコーウェン&スティンガーにも、何度も有効打を叩き込んで、倒す寸前まで行ったんだが……そのたびに連中、周囲にいるインベーダーを食って回復しやがるので、キリがなかった。

 

 それなら周囲のインベーダーを一掃してから倒せばいいんじゃないかと思うだろうが、こいつら放っておくと、とんでもない威力のビームを放って味方もろとも攻撃して来るので、放置しておくこともできなくてね……

 

 マジンガーZEROのブレストファイヤーで丸焼きにされ、真ゲッターのストナーサンシャインで吹き飛ばされ、マジンエンペラーGのサンダーボルトブレーカーで黒焦げにされ、真ゲッターのシャインスパークで消し飛ばされ、シン化エヴァンゲリオンの衝撃波で貫かれ、真ゲッターのファイナルゲッタートマホークで真っ二つにされ……もう逆にきついだろいっそそのまま死んどけよって言いたくなるくらいに、しぶとく復活を繰り返した。

 というか、致命打を与えたのの半分くらいは真ゲッターだったな……殺意がすごい。いや、別に文句はないけども。

 

 あと、ファイナルゲッタートマホークを使ったときに、巻き添えでレプタボーダの周囲にある衛星だか小惑星っぽいのを1つか2つ一緒に破壊しちゃってたんだけど……コレ、あとでメルダとかに怒られないだろうか。

 ……インベーダーのせいにしよう。うん、それがいい、そうしよう。

 

 というか、インベーダーが襲ってきたからこうして戦わなければいけなかったわけだし、インベーダーを倒すためのやむを得ない犠牲だったのはホントなんだから、これはもうホントにインベーダーの仕業だと言っても過言ではないのでは? うん、きっとそうだ、そうに違いない(必死)。

 

 最終的には、周囲のインベーダーも1匹残らずいなくなったところで、ヤマトの波動砲が直撃したことでついにコーウェン&スティンガーも年貢の納め時に。

 早乙女博士と違って、最後まで人間としての心を取り戻すことなく……餌を前にして、今度こそ完全に消滅し、宇宙に散ることとなった。

 

 

 

 ……さて、ここまではむしろ順調に行った方だった。

 

 しかし、問題はその後……インベーダーがいなくなったってことで、『地球艦隊・天駆』もレプタボーダに降りて行ったんだが……そこで目にしたのは、話に聞いていた『艦隊』としてのガーディムの襲撃だった。

 

 以前僕らが使っていた『バースカル』に似た姿の……おそらくはガーディムの主力戦艦『スリニバーサ』であろうそれらが、10隻近い数になってガミラスの艦隊や防衛部隊を一方的に蹂躙していた。

 ガミラスの砲撃は、スリニバーサの装甲の前にほとんど通じていないうえ、前面が広いあの形状から放たれる光子魚雷やら破壊光線のせいで、冗談みたいな面制圧爆撃になってた。

 

 しかもそれと並行して、地上にはアンドロイドの白兵戦部隊が大量に放たれているようだし……

 

 数は少ないし小型ばかりだとはいえ、この世界の地球を散々苦しめたガミラスの戦艦が子ども扱いも同然にやられている光景は、色々と衝撃だったが、動揺してもいられない。

 最低限の補給を済ませた機動部隊を発進させ、彼らを迎え撃つために僕らも動き出した。

 

 なお、この時にはすでに『事象制御システム』は解除していたので、僕とヘリオースも戦線復帰している。

 

 強敵ではあるが、それでも勝てるだろう。僕ら『地球艦隊・天駆』の総力でなら、ガーディムの艦隊だろうが負けることはない。

 確かにあの戦艦は強力だけど、こちらには『バースカル』を解析した時のデータもあるし……それをもとに効果的な戦略を練ればいい。

 

 油断さえしなければ、速やかに奴らを駆逐して、レプタボーダを救うことができるだろうと……この時はまだ、そう思っていた。

 

 

 

 ……アレが、現れるまでは。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 惑星レプタボーダにある重要施設の1つ……『第17収容所』にて。

 

 他の施設と同様、ガーディムの襲撃を受けていたここでは……加勢してきた『地球艦隊・天駆』によって、上空にいる機動兵器や戦艦はけん制され、その間に地上にいるアンドロイド達の駆逐も進んでいた。

 

 その戦闘の最中、森雪船務長の救出のために収容所に乗り込んだ古代進だったが……そこで倒れていた伊藤保安部長の口から、彼女はすでにここにはいない、と聞かされた。

 

 しかも、それは、惑星を脱出したという意味ではなく……

 

「ガーディムに拉致された!? それは本当なのか、伊藤!?」

 

「嘘をついても仕方ないでしょう……。彼女はどうやら、イスカンダル人と間違えられていたようでしてね……手厚くもてなされていたんですが、そこにガーディムが攻めて来て……ガミラス本星から来た迎えの船に乗って、脱出しようとしたところを……戦艦の砲撃に撃墜されていた」

 

「!?」

 

「不時着した船を、機動兵器が取り囲んで、中から乗組員を連れ出して連行していた……森船務長も、その中に……助けようとはしましたが、この通りですよ……」

 

「っ……わかった、もういい、しゃべるな。誰か、彼に手当を!」

 

 近くにいた救護部隊員に伊藤を任せると、古代はまだ、『地球艦隊・天駆』と戦いを繰り広げているガーディムの艦隊を見上げた。

 

(あの中のどれかに、雪が囚われているのか……それとも、別の……くそっ、すまない……また、君を助けられなかった……っ!)

 

 すでに今の話は、通信でヤマトに伝えてある。戦艦を撃墜した後、その中を調べて捜索は行われるだろう……そこで彼女が見つかってくれるのを、古代は祈るしかなかった。

 

 今は自分の役目を果たすため、コスモガンを手に、再び歩き出す。

 

 

 

 その古代の背中が、収容所の施設内に消えて言った頃、

 

 一進一退の攻防が続く、『地球艦隊・天駆』と『ガーディム』の戦いに……予想外の方向から、一石が投じられようとしていた。

 

 

 

「かつて仇敵としていた者達のために、今度は命を懸けて戦うか……まるでよくある大衆演劇のような陳腐な展開だね」

 

「っ……その声は……!」

 

 耳にしただけで不快感を禁じ得ない、聞き覚えのある声。

 真っ先に反応したのは……アンジュ。そして、ヒルダやジル、サラマンディーネ達といった面々だった。

 

 声のした方に目を向ければ……案の定、ラグナメイル『ヒステリカ』に乗ったその男が、戦場に姿を現すところだった。

 

「エンブリヲ! こんな時に……一体何の用よ!?」

 

「今はあなたにかまっている暇はありません、失せなさい!」

 

「心配しなくとも、私はすぐにいなくなるよ……君たちに、ちょっとしたプレゼントをした後でね」

 

「いらねーからさっさと消えろ! どうせまた余計なことしていくつもりだろーが!」

 

 その返事をエンブリヲが口にする前に、ヒルダと、同じようにジルやサリア、ココにミランダといった面々が一斉に攻撃を放ち、ヒステリカを排除しようとするものの……それらを容易くかわしてヒステリカは空に舞い上がる。

 

「全く、こらえ性のない女共だ……」

 

 そう言うと同時に、エンブリヲはぱちん、と指をならし……その瞬間、

 

 

 

 ―――ゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 

 

 惑星レプタボーダの地面が、まるで地震が起こっているかのように揺れ始めた。

 

 それに気づいた一部の面々は、惑星フェルディナで起こったこと……正確には、エグゼブが引き起こしたことを思い出して青ざめる。

 

「まさか……エンブリヲ、お前、この星を!?」

 

「安心したまえアンジュ、そういうわけじゃないさ……まあ、この星が滅ぶ、という意味で言えば……当たらずとも遠からずではあるがね」

 

「どういう意味だ!? この地震はなんだ……いったい何をした!」

 

「それほど規模の大きな、災害になりうる震度ではないようですが……」

 

 強い口調で問いただす舞人と、素早くデータを解析していた新見情報長。

 それに対してエンブリヲは、こちらの神経を逆なでするように、ゆっくりと語り始める。

 

「少し面白いことを教えてあげよう。この『惑星レプタボーダ』は、現在はガミラスの収容所惑星として使われている。もともと無人の星だったのを、ガミラスが開拓して利用し始めたのだが……実はそれよりもはるか昔に、この星にも文明が存在した痕跡がいくつも見つかっている」

 

「そうなの、メルダ?」

 

「ああ、そう聞いている。だが、痕跡を見る限り、年代測定も困難なほどに……太古の昔、といっていい時代の話だ。だが……それが一体どうしたというのだ?」

 

「おそらくはその時代の遺物なのかもしれないが……先ほど面白いものを見つけたんだ。それを、君達にも見せてあげようと思ってね」

 

 エンブリヲがそういうと同時に、『地球艦隊・天駆』の各艦に、データーファイルが送られてきて……勝手にその画面の片隅に、ウィンドウが開いた。

 ウイルスの類ではないようで、どうやらこの惑星の、別の場所を移した映像のようだ。

 

「その映像に映っているのは、この惑星の極点……地球でいう、南極に相当する場所だ。ほら、見ていたまえ……目覚めるぞ」

 

「目覚める? って、何が……」

 

 ヤマトの艦橋で南部砲雷長がそう呟いたと同時に……映像に移っている地面に地割れが発生し……その中から、何かがゆっくりと浮遊して出てきた。

 

「……卵?」

 

 森船務長に変わって艦橋に立っている岬准尉がそう呟いた通り、その丸い物体は、何かの卵のように見えた。

 

 しかし、周囲にある木々などと対比すると、その大きさはかなりのもので……仮にあの中に何かが入っているのだとすれば、それが『生まれた』時の大きさは……100mを優に超えるだろう。

 

 まさか、インベーダーのような怪物か、あるいは、エンブリヲが言っていた『遺物』という言葉からすると、古代の生物兵器か何かか。

 そう思いいたった面々が、かたずを飲んで映像を見守る中……

 

 ……『それ』の正体に気づいた者が……2人だけいた。

 

「あ……あぁ……」

 

「!? どうしたんだ、ユリーシャさん!? アレが何か知ってるのか!?」

 

 1人は……古代とともに収容所に入り込んでいた、イスカンダルのユリーシャ。

 古代が持っていた通信機越しに見たその映像を見て、恐怖を隠しきれずに震えだした。

 

 今まで一度も……それこそ、おぞましいインベーダーの大群が迫ってきた時も、不快感は見せても取り乱すことはなく、捉えどころのないマイペースな調子だった彼女が、はたから見ても、心底から恐怖している。

 その事態に、古代はこの『何か』が、尋常ではなく危険ないし異質なものなのだと理解した。

 

 ……そして、もう1人。

 それは……ヘリオースに乗り込んでいた、ミツルだった。

 

(いや、ちょっと待て……アレって、まさか……)

 

 絶句する彼の目の前で、ゆっくりとその卵が、ほどけるようにして開封されていき……中から出現したのは、1体の……龍のような何か。

 

 それはしかし、サラマンディーネ達『龍の民』が変身するような姿ではなく……全身がクリスタルのようなもので形作られた、生物かどうかも怪しい存在だった。

 

 翼はなく、獣脚類の恐竜か怪獣のように、2本の足で地面に降り立ち、天に向かって咆哮する。

 産声というにはあまりにも力強いそれは、惑星全体に轟くかのように響き渡った。

 

「あれは……この惑星に、残って、眠っていたなんて……!」

 

 愕然とした様子でつぶやくユリーシャは、続けて……その名を、口にした。

 

 

 

「審判の、巨獣…………エル・ミレニウム……!」

 

 

 

 

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