スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第93話 M・K・5(マジでキレる5秒前)

 

 

【▼月^日】

 

 イスカンダルにて、ヤマトを『コスモリバース』に作り替えてもらう作業もようやく終了。

 ようやく僕らはこれで、地球に戻れるようになった。

 

 実際の『コスモリバース』を見せてもらったけど、波動砲のコアシステムがあったところに……なんていうか、巨大なカプセルみたいなものがついてた。

 これが、地球を……それも、並行世界のそれを3つ同時に救ってしまえるものなんだなと思うと……感慨深いものがある。僕らの旅の目的は、こうしてようやく果たされたんだな、って。

 

 いやまあ、もちろん、地球に戻ってからコレを使って、地球を救うまでが大事だってのはわかってるんだけどね。

 それでも、明確に旅の、本当のゴールが見えてきたんだと思うと、どうしてもね。

 

 でも、まだ油断しちゃいけない。

 

 エンブリヲやレナードといった、『時空融合』を完遂したい面々は、地球に戻れば……いや、多分戻る前に邪魔して来るだろう。……ひょっとしたら、『コスモリバース』そのものを狙ってくるかもしれない。

 

 今までだって、絶対に邪魔してほしくないタイミングで、必ずと言っていいほど余計な奴らが横からちょっかい出してきて、余計な苦労をさせられてきたんだもんな……。

 

 今言った通り、エンブリヲや、レナード達『アマルガム』。

 それに……まだ推測ではあるけど、エグゼブをさらに裏から操っていた(かもしれない)何者かの存在も気になる……

 

 ……あと、あんまり考えたくないけど……ガミラスの『旧体制派』についてもそうだ。

 ディッツ提督やヒス副総統が主導で動いている『新体制派』には従えない、っていう一部の軍人が、大ガミラス帝星を出奔して行方不明になってるらしい。

 もしかしたらそういう奴らが、逆恨みで襲ってくるかも? こっちも要注意ではあるか。

 

 とにもかくにも、『帰るまでが遠足です』という諺?にもあるように……きちんと旅の道程を全て消化し終えて、目的を完遂する……『コスモリバース』で地球を救うその瞬間まで、油断大敵ってことで。

 帰り道に何が起こっても大丈夫なように、準備は整えた上で進む必要があるだろう。

 

 それと、帰る前にガミラスによっていくことになった。

 

 こないだの、デスラー総統とガーディムの艦隊と、三つ巴でドンパチやった時……何人か、戦いの中でガミラスの軍人その他の捕虜を捕らえたんだが……その人達が今まだ、ヤマトの営倉に入ってるのだ。

 聴取その他はすでに終了しているので、手続きをしたうえで、大ガミラス帝星で彼らを開放することになった。

 

 もう僕らはガミラス(の、新体制派)とは戦う意思はないからね。遺恨の残らないように、きちんと彼らも母国……もとい、母星の土を踏ませてあげないと。

 

 その捕虜の中には、何人か『旧体制派』と思しき人もいるので、若干不安ではあるけど……そのへんは引き渡して以後、ヒス副総統とかに任せることになるだろう。今のガミラスのかじ取りをしてるのは彼らだからね。

 

 ちなみに、解放する捕虜の中には、ミレーネルがずっと探していた、彼女の姉的存在である、ミーゼラさんという人もいた。

 

 もうずいぶん前になるが……ミレーネルがまだ僕の秘書になる前に話してくれたんだっけ。

 惑星レプタボーダの収容所で一緒だった……彼女が知る限り、たった一人の同族。

 辛い時間を2人で乗り越えてきた、かけがえのない存在だから、いつか彼女も助けてあげたい。できるなら、この星でまた一緒に暮らしたい。

 

 そんな風に言ってた相手が……まさか、ガミラスの総統の側近になってたなんてな……。

 しかも、ミレーネル自身は……一度は同じようにガミラス軍に入っていたとはいえ、今は紆余曲折の末、地球にある『サイデリアル・ホールディングス』の会長秘書。

 そして同時に、ガミラスと敵対する『地球艦隊・天駆』の一員。

 

 事実は小説よりも奇なり……とは、よく言ったもんだ。

 

 一応説得はしてみたようだけど、ミーゼラさんは結局、地球に一緒に来るつもりはないって。

 

 けど、なんかガミラスにも戻りたくないそうだ。

 

 彼女は過去に救われた恩から、ガミラス軍の中でも特にデスラー総統に心酔しており……『彼がいないガミラスにいる意味なんかない』とまで言ってたらしい。

 しかし、他に行くあてもないし、そもそも僕らも大ガミラス帝星以外に彼女を下せるような場所はないから、しばらくはそこで暮らすそうだけど。

 

 この先どうするかは、ゆっくり考えるそうだ。

 

 ミレーネルは、かける言葉が見つからなかったそうだ。

 今まで何よりも大切に思っていたものを失い……仲間だったはずのミレーネルには裏切られ……やりたいことも、行く当てもない。生きる意味的なものを、一気に全て失ってしまった形だ。

 

 ……外野がこういうこと言うのもあれだけど……きっと、今は何言っても彼女には届かないか……余計につらくなってしまうだけだろう。しばらくそっとしておいてあげて、気持ちの整理をつけさせてあげた方がいいのかもな。

 

 少なくとも、デスラー総統の敵だった僕らが――直接手を下したわけではないとはいえ――何を言ったところで、ね。

 

 

 

 さて、ガミラス軍の捕虜についてはそんな風に扱うとして……僕らの船は、それ以外にもいろんな捕虜を載せている。

 

 ネオ・ジオンや木星帝国からガミラス軍に移って行動を共にしていた、アンジェロその他の連中については、このまま地球まで連れ帰る予定だ。開放するとしたら、それぞれの故郷にだろうし。

 

 アンジェロは、捕虜になった当初は落ち着きがなかったり、自暴自棄に近い状態だったらしいけど、今はもうすっかり落ち着いている。

 同じように、戦争で人生を振り回された者同士、リディ中尉と最近はよく話してるようだ。

 

 ……この分なら、地球、あるいはネオ・ジオンに戻った後も、しっかりと自分の人生を歩んでいけるだろうと思う。

 またフル・フロンタルについていくのか、それとも違う形で生きるのかはわからんけどね。

 

 それから、彼らに輪をかけて『特殊な捕虜』として扱われてる、ソフィアについて。

 

 こちらも捕まった当初は、そっけなくて自暴自棄気味だったわけだが……とっかえひっかえ色々な人が話しかけて来て交流を持つうちに、割ともう毒気を抜かれたように見える。

 

 最初は、いかにも囚人と被害者の面会って感じで、重苦しいことこの上ない、あんまり同じ場所にいたくない雰囲気を醸し出していた2人。

 

 けど最近はもう、かなめちゃんだけでなく、ヴィヴィアンやココを筆頭に、持ち前のポジティブ&フレンドリーな性格でガンガン押して行って、仲良くなった面々も少なくない。

 彼女達と話している時のソフィアは、普通に同年代の女の子とおしゃべりを――まだちょっとぎこちなくて、探り探りな感じは残ってるけど――楽しんでいるように見える。うんうん、いいことだ。

 

 この分なら、今の軟禁……というか、封印状態を、近いうちに多少なり緩和しても大丈夫かな、とも思ったんだけど……彼女の場合、そもそも肉体がないからなあ。

 

 これは前にヴィヴィアンが言っていたように、ミレーネルと同様の『義体』をプレゼントして、それに封印しなおす形をとるべきか……。

 ノウハウはもうあるから、その気になればすぐ作れるし。

 

 今度、テッサ艦長達に相談してみよう。ミスリルとアマルガムの関係から、彼女の処遇に関して一番的確に相談できそうだし……テッサ艦長自身もまた、彼女とよくおしゃべりしに来る1人だから、どうすべきかの判断を相談するには尚更ちょうどいいだろう。

 

 そして最後に1人。こちらは……もうほぼほぼ『捕虜』としては扱われてないんだけど……ガーディムから奪還した、千歳さんについて。

 

 予想通り、ガーディムに嘘の情報を教えられて、僕らと戦うよう仕向けられていたようだった。

 いや、より正確に言えば……一部しか情報を開示されずに、って感じか。

 

 西暦世界で自分探しの旅?をしていた彼女は、ある日突然ガーディムに招かれ、イスカンダルが波動砲を使って星々を侵略している、という事実を教えられた。

 しかしこの時、それがすでに数千年前のことだとは教えられていなかったらしい。

 

 さらに、イスカンダルが仮に地球を助けてくれたとしても、そんなことを平気でやっているイスカンダルが、ただで地球を助けてくれるわけがない、必ず何か対価を要求され、地球は結果として食い物にされるだろう、とも吹き込んだ。

 

 その結果、イスカンダルを信じられなくなった彼女は、『ガーディムならば君の故郷を救える』というアールフォルツの甘言に乗ってしまい……彼らと手を組むことになった。

 

 ……実際は、ガーディムこそ地球を利用しようとしてたわけなんだけどね。

 助けるどころか、滅んだ後の地球を、ガーディムの新たな母星として活用し、超文明ガーディム再建の足掛かりとするつもりで。

 

 それに、イスカンダルも……まあ、昔はいろいろあったとはいえ、今はきちんと地球のことを助けてくれるつもりだったわけで。

 その辺の誤解は、既に解けている。千歳さんは、自分がうまく利用されていたんだっていうことも、きちんと理解して、反省していた。

 

 そんな彼女をこれ以上責めるつもりの者は、僕らの中にはいなかったわけで。

 イスカンダルに来る前からすでに、千歳さんは晴れて『地球艦隊・天駆』の仲間になっていた。

 

 なお、千歳さんがガーディムで使っていた機体……『マーダヴァ・デグ』は、最後の戦いで総司さんが本気出して攻撃したせいでほぼ大破状態で、修復も不可能だったので、破棄された。

 

 なので、これまでそんな機会はこなかったけど、もし千歳さんが『地球艦隊・天駆』の一員として戦う時には、また別な機体を用意する必要がありそうだ。

 ナインに相談するって言ってたから、これはさほど時間はかかるまい。……ホントに仕事早いからね、あの子。

 

 

 

【▼月^日】

 

 ……今までにも、動揺している心を落ち着けるために日記を書くってのは何度かあったけど……ちょっと今回はまた格別だな……悪い意味で。

 

 書いている最中ではあるが、なんかもう血圧ぐんぐん上昇中って感じである。書くために思い出すとそれだけで、怒りとか苛立ちがこみあげてくる。

 

 エンブリヲ……あの野郎。今度ばかりは絶対に許さん。

 もともと許しちゃいなかったけど、今度こそ絶対に〇す。

 

 ただいま、『ソーラーストレーガー』の艦橋。レーダー機能その他をフルに使って、あのクズヤローを捜索中である。

 

 

 

 何が起こったのかを順に説明すると、だ。

 

 当初の予定通り、『コスモリバース』を受領した僕ら『地球艦隊・天駆』は、イスカンダルを出発し、大ガミラス帝星に捕虜を届けるためにちょっと寄り道した後、帰路に就いた。

 

 その際、なぜかユリーシャさんが一緒に来た。

 彼女は、これからガミラスとイスカンダルの懸け橋になるために、大使として大ガミラス帝星に残るはずだったんだけど……なぜか直前になって、一旦地球まで一緒に行く、と言い出したのだ。

 

 何でそうするのか聞いたら、『お姉さまに言われたから』だそうで。

 それ以上の理由についてはユリーシャさんも聞かされていないらしい。

 

 せっかく大マゼラン銀河に帰ってきたのに、また別の銀河に戻ることになって……大変だな、ユリーシャさんも。

 

 ……思えばこの時、大ガミラス帝星に残っていれば……少なくとも彼女は、この後訪れるとんでもない災難を免れることができたのかもしれない。

 今更思ったところで、遅いけど。

 

 そんな感じで、大マゼラン銀河に別れを告げた僕らは、亜空間を通って一気にショートカットし、地球まで最短スケジュールで帰ることにしたんだが……その亜空間で、襲撃されたのだ。

 

 てっきり『第二バレラス』と共に滅んだ、というか死んだと思われていたデスラー総統と、その部下の『親衛隊』の機体達に。

 どうやら、僕らがこの亜空間を通って地球に帰ると読んで、待ち伏せしていたらしい。

 逃げるのも難しそうだったので、迎え撃つことになった。

 

 亜空間ではその性質として、レーダー系の機能やビーム系の兵器の使用が大幅に制限されてしまうため、戦闘手段が限られる。影響を受けない一部の兵器や、レーザーとかじゃない実弾兵器を使って戦うことになる。

 

 が、こちらはそういうのいくらでもあるので、特に苦労することも実はなかったりする。

 

 ゲッターにマジンガー、グレートマイトガインにエヴァンゲリオン……物理的な攻撃手段を持ち、しかもその威力がえげつないほど強い機体がいっぱいいるし……戦艦各艦にも、ミサイルやら実体弾頭はきちんと搭載されている。

 

 加えて、『ヘリオース』や『ソーラーストレーガー』がメインで使う『次元力』は、この空間の影響を受けずに普通に使えるので。

 

 そんな感じで、奇襲を受けたのには焦ったものの……特段ピンチになることもなく、次々に相手の戦艦を返り討ちにした。

 1機、また1機と、亜空間に散って消えていく、深い青カラーの戦艦達。

 

 ……どうでもいいけど、デスラー総統の親衛隊って、一部の例外を除いて、全員クローン人間で構成されてるらしいね。こないだミレーネルに聞いた。さすがに引いた。

 優秀な兵士とかのクローンを作った上で、生まれた時から徹底的に洗脳教育してデスラーへの忠誠心を植え付けて、裏切る心配のない兵士に育て上げて仕えさせるんだって。

 

 ……まあ、身の安全や、高い水準での能力確保を考えた策なのは理解できるけど……そういうのが禁忌扱いされてる地球人の立場からすると、やばいなそれ、って思う。

 あと、そうでもしないといけないくらいに周囲を信用してないのかな、とも。

 

 ……デスラーについていった兵士の大部分は、実は彼に忠誠を誓っていたっていうよりは、それ以外の生き方をそもそも知らなかった、思いつきもしなかったんじゃないかな……。

 

 そんな風に、合理性を追求しつつ人間性を捨てて回りを固めていたデスラーだが、最後には付き従っていた艦隊をすべて失い……ついには亜空間のど真ん中で孤立無援に。

 

 しかしそれでも、逃走も降伏もせず、それどころか波動砲……もとい『デスラー砲』を撃とうとしていたっぽかったので、ちょっと焦った。

 

 けど、『こんなこともあろうかと』、真田副長が対策をすでに用意していた。

 『七色星団』でのドメル軍団との戦いを参考に、ドリル状の実体弾をあらかじめ用意してあり、それを『デスラー砲』の砲口に飛び込ませることで、砲身自体を損傷させて発射不能にした上、敵のエンジン出力自体も低下させて動けなくしてしまった。

 

 しかも、同じことをヤマトがやられた際は、アナライザーがプログラムをハッキングして書き換え、ドリルを逆回転させて輩出したが、同じことを今回のやつに対してやろうとすると、アクセスした瞬間に真田副長特製のウイルスが逆に流れ込んできて感染、さらに事態が悪化するようになっているという念の入れようだ。

 そうしてシステムが弱ったところに、ダメ押しとばかりにルリ艦長がクラッキングをかけて、艦機能はほぼ完全にダウン。

 

 結果、戦闘どころか移動も防御も何もできなくなってしまった『デウスーラ2世』は、あらかじめセットされていた時限信管が起爆し、内部から爆散。

 外からは、『地球艦隊・天駆』の総力を結集した集中砲火を食らい、散っていった。

 

 その散り際に、通信越しに、狂ったような高笑いと……『あの日の約束も果たせずに、こんなところで死ぬとはな!』なんて言葉が聞こえて来た。

 ……あの男はあの男で、ひょっとしたら、何か理由があって、そのために戦っていたんだろうか。『全宇宙を統一して云々』なんて、絵空事にしか聞こえないような侵略プランとは、また別な。

 

 ……ヤマトの艦橋で、何やら悲しそうな表情になっていたユリーシャさんが、何か知っていそうな気配がしたが……なんとなく、聞けなかった。

 

 

 

 こんな感じで、ガミラスとの最後の戦いはどうにか終わりを告げたわけだが……問題はこの後。

 

 デスラー艦隊の襲撃をしのいで一安心していた僕らの元に、あのクズヤロー……エンブリヲが、何の前触れもなく襲い掛かってきたのである。

 

 しかも、どういう理屈なのか皆目わからないが、エンブリヲは何人も同時に様々な場所に現れ、『地球艦隊・天駆』にいた女性達を次々と誘拐していった。

 

 奴がしつこく執着しているアンジュに加え、森船務長にベルナデット、ラクスさんにユリカさん、テッサ艦長にサリーちゃんにかなめちゃん、そしてユリーシャさんと……ミレーネルまで。

 しかもその際、『おめでとう、君達は私に選ばれたのだよ!』とかなんとか言って姿を消した。

 

 ……同じようなことが、アルゼナルでの戦いの時もあったな、とすぐに思い出した。

 あの時は、アンジュが……花嫁にするためとかなんとか言われながらさらわれたんだっけ。

 

 ということは、今回も……あんのゴミ野郎……どこまでも人を馬鹿にしてくれる。

 

 ってか、中学生や彼氏持ち、人妻まで拉致していきやがって……

 

 ちょっと今回ばかりは本気でキレそう。過去最高レベルにはらわたが煮えくり返ってる。

 そのせいで感情が高ぶりすぎて、スターシャさんが危険視しているものが僕の中で目覚めないかだけ、少し不安だ。

 

 ……そうなったらそうなったで、全部あのクソ下衆野郎にぶつけるだけであるが。

 ごめんスターシャさん、今だけは自重やめるわ。

 

 待ってろあのハーレム野郎、今僕の使える次元力の全てを動員して、二度と復活できないように無間地獄あたりに叩き落してやるからな……!

 

 

 

 

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