スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第94話 ソフィアの決意

 

 

 エンブリヲによって、『地球艦隊・天駆』の女性達が拉致された少し後。

 残された面々は、突如として発生した次元震に巻き込まれた。

 

 それによって転移させられた先は……どこともわからない異空間だった。

 

 そこには、団子のように三つ連なった、融合寸前の状態にあると思しき地球が見えていて……しかし、真田副長の観測結果によれば、それに実体はないとのこと。

 3つの地球はすぐそこに、この空間にあるわけではなく、別な空間の光景をここから観測している結果としてああ見えている、という推論だった。

 

 そしてなぜかこの空間には、西暦世界のエリアDにあったはずのアルゼナル……によく似た施設が存在していた。

 

 摩訶不思議なその光景にをとられていた『地球艦隊・天駆』の面々。

 

 しかしその眼前に、誘拐の主犯格であるエンブリヲと、その共犯者であるレナード達『アマルガム』や、北辰とその部下達。

 そして、どうやら偶然この空間に迷い込んだらしい、ガミラスのゲール達が出現。

 

 さらにゲールは、虎の子として残しておいた、木星帝国最凶のモビルアーマー『ディビニダド』3機と、それに乗り込むクラックス・ドゥガチ(の、クローン)をも戦線に投入。

 

 まさに総力戦とも呼ぶべき、混沌極まる戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 一方その頃、なぜかこの異空間に存在している……エンブリヲ曰く所の『真実のアルゼナル』では……なぜかここにもいるエンブリヲが、さらってきた女性達を前にして、欲望と傲慢の滲み出た表情を隠そうともせずに笑い、得意げに語っていた。

 

「心配いらないよ、アンジュ。第一夫人は、君だから」

 

「誰が何の心配をしてるってのよ、この変態オヤジ……よくもまあこんだけ、恥ずかしげもなく自分の欲望をさらけ出せるものよね……!」

 

 言いながらアンジュは、庭園のようなそこに、自分と同様に連れてこられた、何人もの女性達に目をやる。

 先程『地球艦隊・天駆』から拉致された面々に加え、それぞれの地球や、別な場所にいたはずの女性達も、何人かそこには混ざっていた。

 

 それと同じくエンブリヲも彼女達の方を見て……聞いてもいないのに、1人1人に向けて語り掛け始めた。

 

「ミネバ・ラオ・ザビ……その気高き美しさを私は求める。同じく高貴なる者の持つ責任感が生み出す美のベラ・ロナ……それとは別の、優しさという美のマリナ・イスマイール……何者にも従わない不屈なる美のカガリ・ユラ・アスハ……」

 

 突然このような場所に連れてこられようとも、おびえる様子も見せずに毅然とした態度でエンブリヲをにらみ返す、ミネバ――オードリーと、ベラ・ロナ。憐れむような目で見るマリナに、反抗の意思を隠そうともしないカガリ。

 

「心を落ち着かせてくれる安らぎの美のベルナデット・ブリエット……歌声で戦士達を鼓舞する戦いの美のラクス・クライン……周囲の気持ちを明るくする陽気な美のミスマル・ユリカ………一点のシミもない無垢なる美の吉永サリー………」

 

 動揺や弱気を表に出さずに相対するベルナデッドに、こちらもエンブリヲを憐れむように、嫌悪しつつも何も言わずに見ているラクス。いつもの調子を崩さず、しかし強い意志の光を目に宿して睨み返すユリカ。その背にかばわれているサリーは、理解の及ばない存在を前におびえてしまっているが、彼女の年齢を考えればそれも無理はないだろう。

 

「その知性が生み出す美のテレサ・テスタロッサ……逆境にも悲劇にも屈さず抗い抜いた覚悟の美のミレーネル・リンケ……星をも超えて人々の思いを集める、崇められる美のユリーシャ・イスカンダル……そして、愛する事が生み出す美の森雪……」

 

 何も言わず毅然とした態度のままのテレサに、いら立ちや怒りをこらえ、勤めて冷静にしつつ、機をうかがっているミレーネルと森。ユリーシャはエンブリヲを、汚らわしいものを見るような目で見ていた。同じ地球人でこうも違うのか、という思いを禁じ得ないのかもしれない。

 

 そんな、十人十色の、しかし一様に自分を否定する意思のこもった態度を目にしながらも……エンブリヲは得意げにして、腕を大きく広げ、高らかに言ってのけた。

 

「おめでとう! 君達は私の花嫁に選ばれたのだよ!」

 

 

 ☆☆☆

 

 

「ハハハ! ハハハハハハハ! わしには見えるぞ、滅びゆく地球が! お前達の33万6千光年の旅路も全ては無駄に終わり、憎き地球は終わりの時を迎えるのだ!」

 

「もう……もう、あんたの時代じゃないんだよ!」

 

「消えろ、ドゥガチ! お前の見た光景は幻だ!」

 

「ぬ、ぬおおおおおおっ!」

 

 最後の『ディビニダド』を撃墜し、その機体が爆炎の中に消えていく――もちろん、内蔵されている核弾頭を起動させることはなく――のを見届けた、キンケドゥとトビア。

 

「み、見事だ……テンカワ・アキト……黒衣の復讐者よ……」

 

「もう、俺は復讐にとらわれてなどいない。お前の存在もどうでもいい……さっさと消えろ!」

 

 その向こうでは、アキトが北辰の乗る『夜天光』を、ディストーションアタックの直撃で押しつぶして粉砕し、今度こそ引導を渡し……部下の機体達も、ナデシコ部隊を含む他の『天駆』メンバーによって爆砕され、宇宙に散っていた。

 

「てめえらとの因縁もここまでだ!」

 

「落ちろ……ゲール! 戦士の誇りも知らぬ、ガミラスの面汚しめ!」

 

「ば、馬鹿な……私は、デスラー総統の元で、総統と共にガミラスの再起を果たし、その立役者として栄光を手に……ぬ、ぬわあああぁぁあ!!」

 

 ゲールの乗る戦艦『ゲルガメッシュ』は、ヤマトをはじめとした各艦からの集中砲火を受けて火を噴き……最後に残った砲で一矢報いようとするも、急降下して強襲してきたコスモファルコン隊とメルダのツヴァルケにそれを破壊され……炎の中に消えていった。

 ゲールが忠誠を誓う、デスラー総統が、もう既にこの世を去っていることを、ついぞ知ることもないままに。

 

 その他にも、エンブリヲが繰り出した無人のグレイブ(ラグナメイルの量産型)や、彼に忠誠を誓ったままのターニャとイルマ。

 

 レナード達『アマルガム』――ただし、レナード自身はまだ出てきていないが――の手勢についても、同じASを操るミスリルが主軸となり、側近クラスも含めて次々と撃破していく。

 

 その戦いの中で、高みの見物を決め込んでいるエンブリヲの口から……3つの世界に関する、誰も知らなかった事実が明かされていた。

 

 当初、『地球艦隊・天駆』の面々は、融合しかかっていた『西暦世界』と『宇宙世紀世界』の2つの地球に加え、『新西暦世界』の地球までもがなぜ融合しそうになっているのかと困惑していたが……その理由をエンブリヲは、『最も近いのは『宇宙世紀世界』と『新西暦世界』の2つの地球だから』だと明かす。

 

 実は『宇宙世紀世界』と『新西暦世界』は、かつてエンブリヲとミケーネの戦いで一度滅んだ際に、2つに引き裂かれてしまった……もとは1つだった世界だという。

 それゆえに、2つの世界は互いの影響を大きく受けるし……また、元が同じだったためか、似たような歴史をたどり、同じ名前の人物が歴史の中に登場する。

 

 しかし、2つの世界は完全に同じにはならず、時代も含めて『別の世界である』と断言できるほどの大きな差が、実際には誕生している。それにも、理由があった。

 

 全ての始まりは、『新西暦世界』のおよそ100年前に存在した科学者……『サガラカナメ』。

 

 夫の戦死後――その『夫』については、特に何も資料は残されていないため不明である――異端とも呼べる研究……『過去の改変』にのめりこんでいった彼女は、しかし、生きているうちにその目的を果たすことはできなかった。

 

 だが、彼女が『ウィスパリング』として送った未来の知識は、ソフィアを始めとした、テッサやレナード、そして千鳥かなめといった、『宇宙世紀世界』の『ウィスパード』達に届いていた。

 それらのブラックテクノロジーが、その世界の技術レベルを大きく進め、結果的に『過去の改変』と言って差し支えない現象を引き起こしていた。

 

 惑星フェルディナでレナードとソフィアが千鳥かなめに語って聞かせた、それこそが『罪』。

 並行世界の彼女自身の行動が、ウィスパードという存在を作り出し、またそれによる急激な技術の進歩が、『宇宙世紀世界』における戦争の激化を招いた……ということだった。

 

「なるほどね……そりゃかなめちゃんもショック受けても仕方ないわな」

 

「ですがキャップ、それはあくまで並行世界の……『宇宙世紀世界』のかなめさんのなしたことであり、私たちの仲間であるかなめさんとは関わりはないことです。彼女が気に病む必要性はないと思いますが」

 

「頭じゃわかってても、どうにもならないものってあるのよ、きっと。……かなめちゃん、優しいもんね……まだちょっとしか一緒にいない私でも、よくわかるわ」

 

 納得したように言った総司とは逆に、ナインは理解できないといった風に問いかけた。

 それに答えを返したのは千歳。『自分ではない自分』のやったこととはいえ、それで苦しんでいる人達の存在を知り、他人事には思えなくなってしまったのだろう少女の心を案じていた。

 

 なお、千歳が今乗っている機体は、ナインが新たに作り上げた『グランヴァング』である。

 

 『ヴァングネクス』とは打って変わって、スーパーロボット然とした大型の機体は、見た目通りのパワータイプであり、射撃・砲撃の他に、接近しての肉弾戦も得意とし、タフネスも高い。

 パイロットスキルにおいて総司に大きく劣っている、千歳向けに作られた機体だった。

 

「でもそれ以上に許せないのは、その気持ちを利用してもっと悪いことをしようとしてるアマルガムの連中だよね!」

 

「肯定だ。凶事を引き起こすべく行動している者達こそが全面的に悪いのであって、かなめ嬢が気に病む必要は何一つない。……さて、あらかた片付いたな。これで後は、囚われのお姫様達の救出を残すのみだろう」

 

 ロッティとヴェルトがそう言うと、どうやらちょうど同じことを考えていたらしいジルが、

 

「タスク! ここはもういい、お前はあのアルゼナルもどきに突入してアンジュを助けてこい! 宗介、お前も行け! 千鳥かなめとソフィア、その他のさらわれた女達もあそこにいるはずだ!」

 

「死んでも助けてこいよ! あの下衆野郎に、アンジュに指一本触れさせんな! わかったな!」

 

「宗介、あんたもね! かなめと一緒に高校に帰るんだろ、行ってきな!」

 

「「了解!」」

 

 ヒルダとマオの激励も受け取り、妨害する者のほとんどいなくなった空間を突っ切った宗介とタスクは、それぞれの思い人を救出するために、『真実のアルゼナル』に飛び込んでいく。

 

 その様子を見ていても、エンブリヲは『無駄なことを……』と、自らの優位性を疑うことなく、向かってくるスーパーロボット達を迎え撃つべく、自らも飛び立った。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 ちょうどその頃、さらわれた女性の中で、ただ1人、エンブリヲの元にはいなかった彼女……千鳥かなめは、レナードと相対していた。

 

 そして、レナードの手には、ソフィアが封印されているタブレット端末が持たれている。

 かなめの誘拐時に、エンブリヲが同時に持ち出していたものだ。

 

 レナードはソフィアを開放し、再びかなめに取り憑かせて、『歴史改変』のための最後のピースを埋めるつもりでいた……が、

 

「なんだと……それはどういう意味だ、ソフィア?」

 

『今言った通りよ、レナード。……もう、私はあなた達には協力しない』

 

 全く予想外の理由で、その計画は頓挫しようとしていた。

 自らの幸せのために、失った人生の『やり直し』のために、『歴史改変』を望んでいたはずのソフィアが……ここにきて意思を翻すようなことを言っているのだ。

 

「いったいどういう意味だ……連中に説得でもされて、絆されたのか? 君の決意は、絶望は……そんなに安いものだったのか、ソフィア?」

 

『それは……わからないわ。正直、今でも、やり直したいとか、平和な人生をもう一度取り戻したいっていう気持ちはある。同じようにそれを望むあなた達の思いも、理解しているつもり』

 

「なら……」

 

『でもね……気づいたの。全部リセットして、幸せな人生をやり直す……でもそれはつまり、今のこの世界を、そこにある全部を否定してしまう……台無しにしてしまうことなんだって』

 

「それの何がいけない!? こんな人生に、こんな世界に、歴史に、意味なんてないと思ったからこそ、君は俺の手を取ったんじゃないのか! いまさらそんなきれいごとで……」

 

『……相良宗介に聞いたの。彼が最後に、Mr.K……カリーニン少佐と戦った時に、少佐がなぜアマルガムについたのかを聞いたんだって。……レナードは、その理由を知ってた?』

 

「……面と向かって聞いたわけじゃないが……戦争で失った妻との再会をあの男は望んでいた。それが理由だろう。それがどうかしたのか?」

 

『それだけじゃなかったみたい。少佐は……相良宗介のことも、案じていたそうよ』

 

 飛行機事故からただ一人生還し、天涯孤独となった宗介。

 カリーニン少佐によって救出された時、震えながらぬいぐるみを抱いていたその少年は……数年後、少佐が再会した時、硝煙漂う傭兵の世界で、銃を手に生きていた。

 

 恐らくは何の変哲もない一般家庭に育つはずだった……しかし、全てを失ったがために、傭兵として歩んでいくしかなかった宗介の姿を、カリーニン少佐は例えて言った。

 

 

「お前は……狼の群れの中で育った子羊だ」

「血に飢えることもないし、肉を貪る必要もないのに、狼のふりをしてきた……そうしなければ生きられなかった」

「これほどいびつで、これほど悲しい生き物がどこにいる……?」

 

 

『カリーニン少佐も、相良宗介のことを……助けたいと思ってたんだよ』

 

「……仮にそうだとして、それなら歴史を作り替えれば……その通りになるだろう! 相良宗介は傭兵になんてならず、死ぬこともなかった両親と幸せに……」

 

『でもそうしたら、少佐が彼のことを大切に思っていた……っていう、その事実までなくなっちゃうんだよ。それだけじゃない……ともに戦って、裏切られて、それでも最後にちょっとだけ仲直りして……それを糧にした相良宗介の決意も、少佐の覚悟も、彼を愛したかなめの心も、全部……そんなのは、嫌……』

 

「っ……どれもこれも、根っこのところの悲劇が原因で起こったことじゃないか! それを取り除けば、世界はよりよく……いや正しい歴史を歩みだす!」

 

『けど、そうしてやり直した世界でも、きっと嫌なことは起こるよ。その時レナードはどうするの? また『世界が悪いんだ』ってそれにそっぽを向いて、それ以外の全てもまとめて否定して……また同じことを繰り返すの?』

 

「それは……」

 

『レナードのところにいた時は、同じように過去を変えたい人がたくさんいるんだから、そうすることが正しいんだって、それで全ての人が救われるんだって思った。でも……違った。そうじゃなかったんだ……大事なのは、そんなことじゃなかったんだよ』

 

 画面越しでではあるが、ソフィアはレナードの目を真正面から見て、一言一言はっきり話す。

 

『誰だって同じ。世界はいつだって、『こんなはずじゃない』ことばかりなんだよ……あなた達のところを離れて、かなめたちと一緒にいて、話して……それがよく分かった。辛い過去を持っている人が大勢いるってことは……それと同じだけ、辛い過去を乗り越えて、今の、未来の幸せをつかもうと頑張ってる人がいるってことなんだ。それを台無しになんてしちゃだめなんだよ……!』

 

「ソフィアの言う通りだと思う……きっと、あなたの言う『サガラカナメ』は、その悲しさや苦しさに耐え切れなかったんだと思う。それを否定する気にはなれない……。それでも、私は……何が起こっても、どれだけ辛くても、今こうして、宗介達とかけがえのない時間を過ごせた、この人生を大切にしたい。だから、あなた達には協力できない!」

 

 かなめも一緒になってそう言い切ると、レナードはぎりっ、と奥歯をかみしめて鳴らし、

 

「だから受け入れろっていうのか、俺にも!? 親に捨てられた過去も……妹と袂を分かった過去も……手に入るはずだったもの全て失った、こんなクソみたいな人生も!?」

 

『……それをやり直したいと思うのは……家族を……テッサを……あなたが大切に思っているからでしょ?』

 

「……!」

 

『裏切られた事実なんて……敵対してしまったことなんて認めたくない。そんなことはなかったことにして、元通りに『皆で』幸せになりたいと思ったんでしょ? ……今の世界を否定したら……あなたのその思いも……』

 

「……っ……それでも、俺は……! ぐっ!?」

 

 その瞬間、部屋のドアがけ破られ、銃声が鳴り響く。

 

 直前で察知し、間一髪でそれをかわしたレナードだが、その拍子にタブレットを取り落としてしまう。

 同時に宗介が突入してきて……床に煙幕弾を叩きつける。

 

 レナードが怯んだ隙に、かなめの手を取り、床に落ちているソフィアの入ったタブレットを拾い上げ……素早くその場から走り去った。

 

 その背中を……何もせず……銃を構えることすらせず、レナードは見送った。

 

 その目は……前を見ているようで……何も映してはおらず……まるでどこか遠く、全く違うものを見ているかのようなそれだった。

 

 

 

「このまままっすぐ走れ! 途中にいた人間サイズのASは片付けておいた、もう邪魔する敵はいない」

 

「ありがと宗介! 外はどうなってるの?」

 

「外の敵は、ガミラスの戦艦を含めて既にあらかた片付いている。ここに来る途中、森船務長とミレーネルの先導で避難している最中の女性達とすれ違った。アンジュはタスクが助けに行っているから奴に任せればいい……あとはレナードと、エンブリヲとの決着だ」

 

『……相良宗介。レナードは……』

 

「……すまん、突入のタイミングを計っていたから、途中から聞いていた」

 

 少しだけ声のトーンを落として、謝罪交じりに言う宗介。

 

「奴の事情も大佐殿からおおよそ聞いていた。……それでも俺は、奴が立ち向かってくるなら……俺の大切な『今』を、そして未来を守るために戦う。……奴も、同情を望んでいるわけではないだろうからな」

 

「わかった。そのへんはあんたに任せる。それでいいよねソフィア?」

 

『うん。……相良宗介、レナードは……ここに来るまでいろいろなものを失って、犠牲にして……もう止まれなくなってるんだと思う。でもそれじゃあ……いろんなものを無視して自分の欲しいものだけを見るようになったら、あの男と……エンブリヲと同じになってしまう』

 

「そういう言い方をするってことは……レナードはまだそこまでじゃないということか」

 

「確かに、エンブリヲと比べるようなこと言ったら、『一緒にするな』って不愉快そうにしてたっけ」

 

「朗報だな。敵であることに変わりはないが……まだマシだということだ」

 

『……相良宗介。レナードを止めてあげて。きっと、それだけが彼を……』

 

「……ああ、わかった。ソフィア……千鳥の思いも、お前の思いも、一緒にもっていく。そして……あいつに鉛玉と一緒にぶち込んでやる!」

 

 

 

 ある者は考えを改め、未来への希望を信じることを決め、

 

 ある者はそれでもなお、手に入ったはずの過去を取り戻すことを求め、

 

 ある者は、邪魔なもの全てに耳をふさぎ、目を背け、理想とするものだけを全て手にして悦に浸ろうとする。

 

 そしてある者は、その傲慢と独善を否定し、今と未来を守るために戦う決意をより固くする。

 

 3つの地球の、過去と今と未来をかけた戦い。

 その決戦の時が、とうとう訪れようとしていた。

 

 

 

 

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