スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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第97話 ブラックノワールと闇の帝王

 

 

【▼月@日】

 

 ようやく、よ~~~やく、あのクソ下衆野郎との因縁を精算できた。

 

 エンブリヲ曰く所の『時の狭間の世界』。そこにあった『真実のアルゼナル』。

 そこで、この3つの世界における隠された真実やら何やらを知ると同時に……これまでの総決算みたいな感じで、いろんな敵と戦った。

 

 北辰衆にアマルガム、ガミラスのアホ提督……それに、なんか巨大な、こう……所々骨っぽい見た目の(※個人的な感想です)モビルアーマー。

 トビアとキンケドゥさん曰く、木星帝国のボス(の、クローン)で……しかもあのモビルアーマー、核弾頭何個も積んでてめっちゃ危ない奴なんだって。なんちゅう迷惑なものを……。

 

 どうにかそいつらは倒したうえで、宗介とタスクがアンジュ達の救出に行った。

 

 そして、しばらくして……ミレーネルの『義体』に仕込まれている発信機の反応を感知。

 

 その時、僕は『ソーラーストレーガー』を動かしてたわけだが、一時的にそれをオートパイロットに切り替えて、反応があった場所に次元転移で跳躍。

 そこで、無事だったらしいミレーネル達と合流し……ついでに、見たくもないニヤけ面が一緒にいたのでさくっとリボ〇クラッシュしておいた。

 

 思い付きではあるけど、ライトセイバー改造しておいてよかった。

 柄部分に内蔵されてる電源に加えて、握っている僕の次元力を注いで威力や長さを強化できるようにしてあったんだよね。リ〇ルクラッシュは、その応用である。

 

 最近では――特に、スターシャさんに僕の出自の真実を聞かされてからは――生身で次元力を割と自在に扱えるようになりつつある。

 狙った場所への次元転移が自在にできるようになったり、今回みたいに直で戦闘に用いて相手をクラッシュしたり……そのうち、アドヴェントみたいに、『光あれ』的に生身で機動兵器を返り討ちにとかできるようになるんだろうか?

 

 ……それが、望ましい変化なのか、歓迎すべきことなのかは……わからないけど。

 さっき言った通り、真実を知ってから……どんどんそっち方面の変化が早まっているような気がする。

 

 攫われた皆を助けて、それぞれの艦に次元転移で送ったときも……かなりびっくりされたし。

 

 まあ、それはいいとして、だ。

 

 無事、さらわれた全員を助け出し、エンブリヲもレナードもそのまま撃破。

 エンブリヲは、ヤツの不死身の仕組みをかなめちゃんと真田副長が見破ってくれたので、それを破った上で、『地球艦隊・天駆』総出で念入りにフルボッコにしておいた。

 

 わずか数分足らずの間に、10回を軽く超える回数、消し飛んだりバラバラになったりしたエンブリヲは、ついに再生できなくなってしまったところを、自身がゲスい手で手に入れようとしていたアンジュにとどめを刺され……今度こそ永遠に、この世から退場した。

 

 そして、もう1つの黒幕クラスであるレナードについては……こちらも宗介が一騎打ちの末に倒したんだが……その後、まさかの展開に。

 

 フルボッコにされ、逃走にも失敗した末に、こっちの戦艦を道連れにしようとしてきたエンブリヲを……レナードが背後から奇襲し、『俺達は負けたんだ、みっともない真似はもうやめろ(意訳)』って。

 

 その後、逆上したエンブリヲにとどめを刺される形でベリアルを落とされたんだけど……落下した先では、テッサ艦長の操るダナンがそれを受け止めていて。

 

 その時のやり取りは……無粋だろうから、省く。

 ただ、最後の最後に、ほんの少しだけ……兄妹で心が通じ合ったんじゃないかな、と思った。

 

 こことは違う世界で、最後まで世界を憎んで、理解されない自分を嘆いて死んでいった、彼とは別なレナードとは……随分違うというか、救われた最後だった気がする。

 許されなくても、敵どうしでも……最後の最後に……同じ方向を見れたんだから。

 

 

 

【▼月;日】

 

 エンブリヲとレナードその他との戦いは、巻き込まれた立場としては迷惑なだけだったけど……実は、予想外にいい影響をもたらしてくれてもいた。

 

 戦いが終わった後、現在地がどこなのかを詳しく分析して分かったんだけど……なんと、僕らが今いる場所が、既に『天の川銀河』……すなわち、地球のすぐ近くであることが明らかになったのである。

 

 恐らく、亜空間からさらにあのへんてこな空間……『時の狭間の世界』に迷い込んで、さらにその後、そこをぶっ壊して強引に通常空間に復帰した……その影響だろう。

 空間座標か何かがバグって、一気にとんでもない距離をワープしたっぽい。

 

 ここからなら、そう時間をかけずに地球に戻れる。

 それに加えて、エンブリヲもレナードも倒したから、もう邪魔して来る奴らは誰もいないことになる。

 

 それならもう何も心配いらないな! さっさと地球に帰って、『コスモリバースシステム』を使って『時空融合』を回避して、3つの地球をさくっと救ってしまおう! なーんだ、もうほんとに楽勝じゃないか! 勝ったな風呂入ってくる。

 

 ……とまあ、セルフで不謹慎なこと言いまくってみたけど……いや、ホントに心からそうなってほしいと思ってるよ? もう戦いとか何もいらないから。フラグとかそんなんどうでもいいから。

 このまま……このまま、何事もなく終わってくれ。頼むから。

 

 ……なんかさ……嫌な予感がするんだよ。

 

 理由とか根拠とか特にないんだけど、なんとなく胸の奥がざわつくっていうか……

 

 こう、うまく言えないんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 もうすぐ 全てが 終わる

 

 

 

 

 

 そんな、不吉な予感が……する。

 

 

【▼月:日】

 

 ……予感的中。

 地球まであともう少しだってのに……予想だにしていない敵の襲撃があった。

 

 いや、予想はしていないけど……危惧はしていた敵だった。

 

 その名も『ブラックノワール』。

 エグゼブやパープルを裏で操っていた真の黒幕であり……しかもなんと、西暦世界における数々の戦争や悲劇の影に存在していた、こちらの意味でも真の黒幕なのだという。

 

 ……ここから先は、こいつが得意げに語った言葉。ほぼそのままになるんだが……

 

 ブラックノワールは、西暦世界における神のような存在であり……別な言い方をすれば、次元を超えてやってきた『高次元人』というのが、その正体である。

 

 世界の全てをすでに手中に収めて支配しており、舞人やアキトさんを含め、多くの人々の人生を自在に操作して弄んでいた。

 

 この世界は自分が楽しむためのゲームのようなものであり、舞人や僕らは、ヒーロー、ないし正義の味方という役割を与えられた、ゲームの駒に過ぎない。

 エンブリヲ達『悪役』も含めて、全ては自分の手のひらの上で踊っていたにすぎない。そして、今回のゲームのエンディングは、コスモリバースを手に入れて世界を救う一歩手前まで行くが、あと一歩のところでヒーローは悪に敗れてバッドエンド……になるのが自分の望みである。

 

 そう、女性のような……しかし、電子音声じみた声で、ブラックノワールは淡々と語った。

 

 …………これ、僕の頭が足りていないだけなんだろうか?

 パープルの時以上に、言ってることが意味不明で、全くわけわからんのだが……

 

 途中で『こいつ頭おかしいのかな?』って思って、逆に緊張感が失せそうになった。

 

 なんかひどいメタフィクショナルな発言がこれでもかと飛び出して、世界完全否定してる感じのそれなんだが……いやまさか、ホントにこの世界がゲームの中の世界だとか、んなことあるわけないし……

 

 ……『スーパーロボット大戦』という世界を知ってるだけに、ちょっと揺らいじゃったりはしたけども……いや、まさかそんなはずはないわな。

 

 メタ云々を抜きにしても、あいつの発言、色々よく考えて掘り下げてみれば、矛盾結構あるし。指摘してる暇がないから、スルーするけども。

 けどなんか、やっぱりここでも舞人とか一部の人達が動揺してるし……おーい、しっかりしろ、気を強く持て。戯言にいちいち耳を貸すな。

 

 色々総合して考えて……パープルと同じで『相手にするだけ無駄だからさっさと倒そう』ということになった。

 

 しかしながら、厄介なことに、その実力は……自らを『神』と称するだけのことはある、と言わざるを得ないレベルだった。

 

 パープルやエグゼブ同様、『魔のオーラ』という名の、淀んだ次元力を操り、『洗礼ロボ』の軍団をけしかけてきたんだが……その扱いの巧みさや、単純な出力すらも、全くの別格。

 というか……やはり、あいつらに『魔のオーラ』を与えて強化していたのは、こいつなんだろう。

 

 何せ、改良に改良を重ねた『増幅装置』で強化したサリーちゃんのイノセントウェーブも、容易くはじかれてしまった。

 『ソーラーストレーガー』を使った『事象制御システム』すら防ぎきられて、連中が使う『魔のオーラ』をはがすことも、こちらを強化することもできなかった。

 

 それどころか、ブラックノワールの方が周囲の次元に干渉し、フェルディナで僕がやったような『界』に似た空間を形作って、こちらにデバフをかけてくる始末だ。

 次元力そのものの制御で、完全に上をいかれている。かなりやばい、と言わざるを得なかった。

 

 しかし、洗礼ロボ軍団の攻撃をさばきながら周囲の空間を解析した結果、ここら一体の次元のゆがみの起点になっている場所を発見できたので……そこをどうにかすれば、ブラックノワールによる『魔のオーラ』による支配を突破できるんじゃないかと思われた。

 

 そして、アウラさんにメッセージを聞きに行った時と同じように……次元が不安定な中でも強引にそれを突破できるヘリオースと僕がその役目を引き受けることになった。

 

 仲間達に助けてもらいながら、洗礼ロボやブラックノワール自身の攻撃をかわし、どうにかそのポイントにたどり着いた僕は、一転集中、全力で次元力を叩き込んで空間そのものをぶち抜き……ブラックノワールが作り出した『界』を破ることには成功した。

 

 しかし、その際に起こった次元震に巻き込まれ、空間の裂け目、ないし割れ目みたいなものに引きずり込まれてその場から転移してしまい……

 

 

 ☆☆☆

 

 

「……で、ここはどこなんだろうね……っと」

 

 例によってというべきか……状況を整理するため、心を落ち着けるために、『ヘリオース』の操縦席で日記を書いていた僕は、これまでの旅の中でも見たことのない、どことも知れない異空間を見渡してそう呟いた。

 

 見た感じ……間違いなく通常の宇宙空間じゃない。

 しかし、ワープの際に通った亜空間とも、エンブリヲ達がいた『時の狭間の世界』とも違う。

 

 どことなく、濁っていて毒々しい雰囲気を感じ取ることができる……そんな空間だ。

 

 レーダーの類は全部効かない。通信もどこにも、誰にも届かない。

 通ってきた『裂け目』はもう閉じちゃって、後戻りすることもできそうにない。……まいったなこりゃ、どこか変な場所に飛んじゃって、しかも閉じ込められたか?

 

(全力で次元震を起こして、そこから『次元転移』すればどうにかワンチャン……けど、きちんと狙ったところに飛べるかな…………ん?)

 

 そんなことを考えている最中のことだった。

 

 突然、目の前の空間に……何もない、それこそ空気すらないはずの宇宙空間に、炎が燃え上がって……しかもそのまま、形を変えていく。

 炎の塊に目や口の模様ができているという、不気味な姿になった。

 

「……メ〇ゴースト? マネ〇ネ?」

 

「我が名は……闇の帝王」

 

 お、無視か。ってか、またド直球というか、シンプルなネーミングが来たな。

 

「物質界においては、冥府の神『ハーデス』を名乗っていた」

 

 と思ったら予想外の正体が速攻で判明。

 え、じゃあ何……お前、性懲りもなく復活したというか、化けて出たの? 炎の体の亡霊的な……マジでメラ〇ーストじゃん。

 

 とまあ、ふざけて言ってはみたものの……観測してみた感じをマジレスすると、どうやら膨大なエネルギーそのものの体に、ハーデスの意思が宿ってる、みたいな存在のようだ。

 ……中身がアレだから当然と言えば当然かもだが、なめてかかると痛い目に遭う相手だな。

 

「暗黒大将軍らが、お前達との戦いに敗れて無念の死を遂げた際……奴らはその怒りと無念をもって……そして、その命を贄として捧げることで、冥府の扉を開いた。それゆえに、我はこうして蘇ることができたのだ。しかし我は、すぐに物質界に顕現することはせず……さらなる力を求めて、この暗黒の次元に身を隠していた」

 

「へー、そう……修行でもしてた……ようには見えないな?」

 

「我は、お前が落ちてくるのを待っていたのだ。未知なる力をその身に宿す、異世界の異能なる機体……そして、その力を使う者よ」

 

「? 僕を?」

 

「そうだ。貴様はブラックノワールとの戦いの中で、次元の裂け目に引きずり込まれてここにたどり着いたのだろう……ブラックノワールの力を打ち破るために、次元の壁を破ったことでな。その役目を担うのが貴様になるであろうことも、この結末も、我には予想できていた。ゆえに、ここで貴様を倒し、その力を食らうことで……我は、いや我らはさらなる絶対の力を手に入れる!」

 

 そう言うと同時に、闇の帝王の体から炎が四方八方に迸り……その炎の中から、今までの戦いの中で散っていったはずの、ミケーネの神々や、暗黒大将軍に勇者ガラダブラ、機械獣あしゅら男爵までもが復活していった。

 

「おお、我らの肉体が再び物質界に!」

 

「感謝いたします、ハーデス様……いや、闇の帝王様!」

 

「戦士達よ……再起の時はすぐそこに迫っている。その最後の仕上げだ……そこにいる異界の力を宿す者を焼き滅ぼし、その魂を我に捧げよ!」

 

 闇の帝王の号令を受けて、次々に武器を構え、こちらに向けて臨戦態勢をとってくるミケーネ。

 

 闇の帝王自身もまた、その身から迸る炎を轟々と燃え盛らせ、揺らしている。

 炎だけの体で、表情もろくに分からないけど……不思議と、臨戦態勢に入ってこちらをにらみつけているというのがわかる光景だった。

 

 何十体ものミケーネの神々に、そのしもべであるケドラ達。幹部格である暗黒大将軍らに……Dr.ヘルの戦力として使われていた機械獣達まで蘇っている。

 1体1体が一騎当千の力を持つ怪物達。それを率いる闇の帝王は……おそらく、ハーデスだった頃以上の危険度だろう。

 

 そんな連中を、このよくわからない空間で、たった1人で相手をしなければならないという、絶望的な状況。

 生きて帰れるかわからない……いや、傍から見たらこんな状況、確実に死ぬ以外の結末が見えないと言われるだろう。

 

 ……なのに……なぜだろうか。

 

 

 

(なんだろうな、この感じ……全然怖くないし、負ける気がしないんだけど……?)

 

 

 

 ……エンブリヲを倒した後くらいからだろうか。

 前までに輪をかけて、さらに次元力を自在に扱えるようになってきた感じがするというか……僕の中から、どんどん力があふれてくるような感覚がある。

 

 体にかかる負担もほとんどなくなっていて、呼吸をするように力をふるえるようになっていた。

 使いやすくなるから使ってたけど……実はもうそろそろ、『SPIGOT』もいらないんじゃないかとすら思い始めていた。……それでも、単に気に入ってるから使うけど。

 

 あとは、それに見合った経験やコントロール技術さえものにできれば……正直、ブラックノワールの次元干渉に対抗することだって……なんてことまで考えるのは、増長かな?

 

 ……いやでも、正直、今……本当に分からないんだ。

 今の僕の限界が……どこにあるのか。衝動のままに力をふるった時、何が起きて、どこまでのことができるのか。

 

 幸いと言っていいのか、今、僕の目の前には……とても頑丈で使い勝手のよさそうな、試し撃ちに非常に適したサンドバッグがいくつも転がっている。

 ……うん、利用しない手はない。

 

 そんな僕の、ある意味不謹慎な心の内を看破したのか……はたまた、ただ単に自分の中で準備が整ったと判断したからか……

 

「行けぃ、戦士達よ! 今こそ、ミケーネの力を示すのだ!」

 

 闇の帝王の号令で、ミケーネの神々や機械の体の戦士達が、一斉に僕めがけて襲い掛かってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 ―――獣の血

 

 ―――水の交わり

 

 ―――風の行き先

 

 ―――火の文明

 

 ―――そして、太陽の輝き

 

 

 

 最後の扉は、もう……すぐそこに……

 扉の鍵は、すでに、彼の手の中に……

 

 

 

 

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