最強になれと言われても他の妹姉の方がずっと強いので無理と言ったら両親に泣かれ、じゃあ修行に行きますと言ったら姉妹に泣かれたんだがどうしろと言うんだ?   作:ジラフ

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バイス・フリューゲル

「いやー、マジでなんもないなここ」

「巣までは一直線ですから、別に回り道もありません。案内などと行ってしまった手前恥ずかしいですが、まっすぐ行けば着きます」

「それならそれで、いいんだけどさ」

 

 楽に着けるならその方が良いに決まっている。苦難の道じゃなければ大きな収穫がないという思い込みは捨てるべきだろうな。まあ、俺の勘では卵にたどり着いてからが本番だろうからそこまでは楽をさせて欲しいと思う。

 

「あー、でっけえ巣だ」

 

 木の枝を編んだような形だ、護鳥と言えども鳥は鳥。そういう定型からは逃れられないんだな。サイズは規格外だけど。

 

「これで卵がなければマジで無駄足になるんだけど……流石にそうはならないか」

 

 普通に3つくらい卵があった。

 

「でも、でけえ。これ抱えるの中々骨だぞ?」

「持つのはボクがやりますから」

「重いのは俺なんだけど」

 

 卵を抱えようとしたその時だった。

 

「やっぱり来るよな!!」

「カァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

「ああもう想像通りのデカい護鳥だことで!!」

 

 また空飛ぶデカい奴との戦いか、とはいえ今の俺にはスカイフィッシュがある。あるが、これ俺が戦わなきゃいけない場面なのか?

 

「汝、我が白翼の末席に座る者よ。何故我らの子を奪う」

 

 喋るのかこいつ、いや、別にそこまで驚きじゃないな。鳥が喋っているのに? それが普通のような感じに思えている。なんでだろう? まあいいか。

 

「こ、この方は関係ありません!! ぼ、わたくしが無理を言って連れてきてもらったのです!!」

「なんだお前は、資格なき者がなぜここにいる」

「わたくしはホワイトシールドの末裔です!! お忘れかもしれませんが、かつてあなた方と約定をかわした者です」

「ホワイトシールド……そうか、あの者どもの血筋か」

「はい!! 一度は断たれた約定をもう一度結びに参りました」

「……まさかここまで厚顔だとは思いもしなかった」

「え?」

「ホワイトシールド、貴様等が我らにした仕打ちを知っているのならそんなことは口が裂けても言えぬはずだが?」

「そ、そんな、ホワイトシールドがなにをしたというのですか!!」

「無知は罪よな。だが、死にゆく前に教えてやろう。白翼とホワイトシールドの因縁を」

 

 え? 今さらっと死にゆく前にって言った?

 

「そう、あれは3代前の長の頃」

 

 えー、話が長かったの割愛します。要約すると、ホワイトシールドは金に目がくらんで護鳥を金儲けに使い始めたので鳥側がぶち切れて絶縁しましたとさ。なんともまあ、人間の愚かさというか汚いところが見事に出た話でしたとさ。

 

「いや、これはお前等が悪いって」

「そ、そんな」

「流石は我ら白翼の加護を持つ者。話が分かるな」

「ボクはそんな事、知らなかったんだ。ただ、鳥が好きで」

「自らの無知を知れて良かったではないか。では、失意を冥土の土産とするがよい」

 

 崩れ落ちたラウンの頭目掛けてデカい羽が降り注ぐ。これを見過ごして俺が自由になるっていう選択肢も確かに存在する。その方が色々と楽かもしれない。でもなあ。

 

「目の前で死なれると悪夢を見そうだ」

 

 軌道が見えてるなら俺でも切り払える、アルカのおかげだけどな。

 

「汝、何のつもりだ」

「こいつを守らないと街に戻ってからの寝床がないんだ。悪いけど殺されちゃ困る」

「ほう……ならば、我が白翼を空からたたき落として見せよ。さすれば命を助けてやろう、ただしそれをするのはそこの小娘だ。汝の攻撃は認めぬ」

「……ですって」

「ボクが……?」

「そうだ、汚れたホワイトシールドが今は違うと示すがよい」

「そんな、ボクができるのは絵を描く事と。この貧弱な盾を出すことだけ……それでどうやって!!」

 

 んー、確かに小さい盾が出てきたな。それがホワイトシールドの能力ってことだろうけど、これじゃあ守れるものはそんなにないだろう。

 

「まあ、やれることはあるだろ。つかまれ、もう少しだけお前の足に……この場合は翼になってやる」

 

 スカイフィッシュで複数人運べるかは分からないが、なんとかなるだろう。頼むぜスカイフィッシュ!!

 

「え、飛んで!?」

「内緒にしてくれよ? これを知られると面倒なんだ」

 

 スカイフィッシュを奪う為に命を狙われるなんてのは御免だ、誰でも飛べる魔法具なんてものは実は相当ヤバいもののはずだからな。

 

「ほう、飛ぶか。良いだろう、我らが領域で戦うというのなら。そのおごりごと引き裂いてくれよう!!」

「やっべ、守ってくれ」

 

  あの鳥めっちゃ早いな!! もともと飛んでる奴相手にするにはちょっと無策過ぎたかもしれない。

 

「え、そんな、ボクは」

「爪来たぞ!!」

「うわぁああああああああああ!!?」

 

 金属音と馬鹿げた質量に押される感覚、こりゃ吹飛ばされるな。しかし、ラウンの盾は思ったよりもしっかり防いでくれたみたいだ。

 

「うぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?」

「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!?」

 

 ぐぅ、それでも、きりもみ状態にはなるか。お? どさくさでラウンの盾に触れたが、これは……

 

「ラウン、これ勝てるかもしれないぞ」

 

 

 

 

 




【バイス】
白き翼よ永遠なれ、白き谷よ永劫なれ、我らの翼こそ潔白の証。されど、かつての栄華は既に去り、緩やかに滅びゆく定め、白の領域は停滞の牢獄と化した。嗚呼、願わくば来訪者による変革がもたらされん事を。
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