最強になれと言われても他の妹姉の方がずっと強いので無理と言ったら両親に泣かれ、じゃあ修行に行きますと言ったら姉妹に泣かれたんだがどうしろと言うんだ?   作:ジラフ

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赤盾灯台

「部外者に密書なんて渡すもんじゃないぞ……全く」

 

 指示された方角に飛んでいくと、一目見たらわかる大きさの塔が2本建っているのが見えた。

 

「2本?」

 

 灯台を同じ場所に2本建てる意味があるのか? 予備……なわけないしな。

 

「となるとどっちが赤盾灯台なのかって話になる」

 

 いやまあ、なんとなく当たりは付いている。だって。

 

 

「こっちの塔赤いしな」

 

 これでもう一本が赤盾灯台だったらなかなか以上に紛らわしい景観だ。

 

「カァ!!」

「なんだ?」

 

 ヤタ・デシュがバタバタと動いている、何か伝えたいことがあるっていうのか?

 

「なんだよ」

 

 顔を横に向けた瞬間、何かが頬をかすめた。

 

「あつっ」

 

 熱を感じる、攻撃か!?

 

「何か飛んできたのか!?」

 

 位置が捕捉されたとなれば、このまま飛び続けるのは危険だ。一旦降りて射線を切らなければ俺の命はない。

 

「カアッ!」

「次が来たか」

 

 どこから撃ってきているか分からない、壁抜けを切るには早すぎる、となれば

 

「やっぱり真下だ」

 

 急降下で攻撃を躱す、そして近くに隠れられそうな岩場を発見した。ひとまずここに隠れよう。

 

「俺なんかしたか……? それとも未確認飛行物体絶対撃ち落とす協会の方なのか?」

 

 頬の傷は深くない、顔を背けた時に当たったのと傷の角度で射角を。

 

「割り出せるわけねえよな」

 

 そんな超絶的頭脳があったらこんな苦労をしていない。ひとまず桜腕で傷を癒すか。

 

「地面から直で何かを吸い上げているけど、何を吸ってるのかは分からないんだよな

 

 そう思うと少し怖くなってきた。もしかしてこれやり過ぎるとどんどん身体が木になってしまうとか。

 

「まあ、それならそれで」

 

 それはそれで何かやりようはあるだろう。

 

「今は射手をなんとかしなけりゃいけないか」

 

 頭を1発で狙ってくるところを見ると、狩人の線が強いな。殺すだけならまず手傷を負わせて確実にやる、即死させて不必要な傷を残さないのは狩人のやり口だ。

 

「そんなことを推理したところで、別に対応策が出てくるわけでもないが」

 

 桜腕の探知をしてみようにも、当てずっぽうで這わせて見つかるようなものでもないだろうしな。

 

「困ったぞ、赤盾灯台はもうすぐだってのに」

 

 ん? 灯台がもうすぐなら不審者が攻撃されるのは当たり前か。灯台の上の方から見張ってる射手がいて、そいつが得体の知れない奴を攻撃したっていう流れじゃないか。

 

「俺の想定以上に索敵範囲が広かったわけだ」

 

 こりゃ入る前にちょっと面倒なことになるかもな。

 

「ここにいても事態は好転しない、なら進むしかないか。ヤタ・デシュなら飛んでくる何かが見えるんだろ? 頼むぜ」

「カァ!!」

「いい返事だな、頼りにしてる」

 

 間に合わなくて普通に頭を貫かれる可能性もあるが、それはその時だ。

 

「行くぞ!!」

 

 走る、赤盾灯台目掛けて一直線に。

 

「うおぉおおおおおおおお!!!」

 

 そして。

 

「おおおおおおおお……?」

 

 何事もなく赤い塔の下まで着いてしまった。

 

「……なんなんだ? 本当に飛んでる奴だけ絶対撃ち落とすマンでも居たっていうのか?」

「どうした? 何かに追われているのか」

「いえ、ちょっと何者かに撃たれまして」

 

 流石に何かを察知されたようで、門番の人が怪訝そうな顔をしている。

 

「……あんたこの辺りの人間じゃないね? 差し詰め空中浮遊の手段でも持っているんじゃないか」

「よく分かりますね、その通りです」

「死ななくてよかったよ、この赤盾灯台の横にある塔は人形工房っていう名前のダンジョンなんだ。登る形のダンジョンを飛んで攻略する者を撃ち落とす機能があるんだと」

「な、なるほど……どうりで影も形も見えない射手だなと」

「これからは気をつけることだな、それで通行証は持っているのか?」

「これを」

 

 恐る恐る、ホワイトシールド卿から貰った通行証を見せる。すると門番が手に持っていた書類を落とした。

 

「も、ももも、申し訳ありません!! 来賓の方にとんだ御無礼を!!!」

「え? いや、そんな大層ないものじゃ」

「それは盾王様直々に発行されるものです、ご謙遜はなさらないでください」

「っ!?」

 

 思った以上にやばいもの渡されてた!! こんなの持ってたら目立ってしょうがないじゃねえか!!

 

「しっ、静かにしてくれ。お忍びなんだ、分かるだろう? 普通に入れてくれたら良い、特別扱いはなしだ。良いね?」

「わ、分かりました。ではこちらに」

「ありがとう」

 

 ふー、良かった。これで面倒なことに巻き込まれる確率が減った。危ない危ない。

 

「さあ!! 本日も始まりました!! 入塔許可を正式に得るのは何人なのか!! 品定めの時間でございます!!」

「え?」

「赤盾灯台名物、入塔デスマッチ開幕ぅうううううううううう!!!!!」

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【赤盾灯台】
赤き盾の意味するところは返り血、赤盾とは盾王傘下で最も好戦的な戦闘民族の集まりである。
彼らは巨大な灯台の内部に街を作り、自らの研鑽の場とした。
恐るるなかれ、たとえ野蛮であったとしても赤盾も盾の一枚、誇りと矜持を持つ者達である。たぶん。
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