最強になれと言われても他の妹姉の方がずっと強いので無理と言ったら両親に泣かれ、じゃあ修行に行きますと言ったら姉妹に泣かれたんだがどうしろと言うんだ?   作:ジラフ

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人形工房 足

「入口はここか?」

「正確なところでは裏口と言った方が良い場所サ」

「どっちでもいい。もうラァは来てるんだ。早く上らないと」

 

 壁の一部にカモフラージュされた扉は確かに違和感しかないが、時間がない。追いつかれたら元も子もないんだからな。

 

「人形工房の第一は、足サ」

「足? それはどういう意味だ?」

「あれを」

 

 目の前にあるのはドールハウス、本来なら人形遊びに使うものだ。だが、ここに人形はない。おかしな所と言えばそれは、何に使うか分からない謎のレバーが出ているということだけだ。

 

「そこのレバーを引けば良いのサ」

「レバー? これか」

 

 ドールハウスにくっついていたレバーを引く。

 

「うぉっ!?」

 

 右足から力が抜けた!? 攻撃か!?

 

「慌てる必要はネェ、右足がそっちに移っただけの話サ」

「右足が、移る?」

「シンの旦那の足はこれになったのサ」

 

 カタハがつまみ上げたのは、人形の足だった。大きさは手のひらに収まるくらい。俺の10分の1スケールくらいか。

 

「で、なんで俺の足がそれになるんだ」

「この人形工房を上るには、自分を人形にしなけりゃあならない」

「まさか、上る毎にパーツを作れってんじゃないだろうな」

「ご名答ォ」

「……確かにこれは、1人じゃ制覇は難しいか」

「まず足から奪うのが最悪だと思わないかィ?」

「全くだ、動きにくいったらありゃしない」

 

 片足が使いもんにならないっていうなら、それはそれでやりようはある。奇しくも、階段を上るときと同じような使い方になるな。

 

「スカイフィッシュ」

 

 よし、少しふわふわしているが。なんとか調整は可能だ。これでまあ、ある程度は動ける。

 

「んー、器用なもんだ。それの使い方を知っている奴なんていないはずなのに、なかなかどうして使いこなしているじゃないかィ」

「ま、使ってりゃ分かるだろ」

「シンの旦那が天賦とは縁遠いと思ってたのは、あての思い違いだったようだ」

「いや、確かに俺には天賦の才はない。その評価は間違ってない」

「あらら、スカイフィッシュを使いこなす御方が? そんなことを言っちゃいけネエ。それは乗るのが難しすぎて、数年かけないと普通に乗れるようにすらまなならない物らしいからナ」

「……そうなのか」

 

 【熟練工】の良いところが出たみたいだ、それがたとえどれだけ難しかろうとも、誰しも時間をかけて至れる場所までなら最初からできるからな。基本操作が難しければ難しいほど、優位性が増す。

 

「まあいい、それでもう上がれるのか?」

「いんや? ここからが人形工房サ。この足は、シンの旦那から作った生の足。人形達が喉から手が出るほど欲しい、本物さネ」

「……もっと手っ取り早く」

「今から足のない人形がわんさか襲ってくるねィ」

「早く言え!!」

「はは、悪いネ」

 

 ガサリ、ゴソリ、何かが這いずる音がする。周りを見ると、既に囲まれていた。円形のフィールドの中心にはドールハウスのみ。隠れられる場所なし、逃げ場所なし、つまりは、圧倒的不利。足のないマネキンのような奴らがこっちを見ている。のっぺらぼうだから見てるかどうかは分からないけど、多分見てると思う。

 

「来るか!!」

「待ちナ」

「なんだよ!!」

「まあまあ、ここはあてに任せてくれないかィ?」

 

 せっかくアルカでなぎ払おうとしてたのに、少し距離のある今の状況で削れるだけ削らないと勝ち目はねえんだ。カタハの戦闘力がどれほどか分からない以上は、気を抜けない。

 

「この足が欲しいんだろ? この出来損ない共のトウヘンボクがぁ!! 欲しけりゃあくれてやるヨォ!! あての足をナァ!!」

 

 シュゴッ、ジェット噴射のような音と一緒にカタハの足が射出された。ん? 射出? 足を? なんで足にロケットが付いてるんだ? 空でも飛ぶ気なのか? こいつの身体はいったい何がどこまで仕込まれているんだ。

 

「ハハハハハハハハァ!!!! 食らいナァ!! お前等が求めて止まない足だぞォ!!」

 

 うわー、しかも連射式、もうちょっと飛ばす場所あっただろ。腕とかさぁ、なんで膝から下を飛ばす仕組みにしたかなあ。片足でバランス悪いから絶妙に狙いズレてるし。

 

「こんにゃろ!! 避けるんじゃネエ!! あてが好感度を稼ぐチャンスをなんだぞ!!」

 

 好感度稼ごうとしてたの? 今? あとなんで言っちゃうかな。 それに当たってないのはお前のせいだ。

 

「だがナ、こんな事もあろうかと。爆破機構を仕込んであるのサ!! 爆ぜなァ!!」

「ば、お前!!?」

 

 こんな密閉空間で、爆破なんかしたら確実に巻き込まれるだろうが!!

 

「こんなところで使う気なかったのに!!」

「カァ!!」

 

 全方位から押し寄せる爆風を回避するにはコレしかない、まさか虎の子の壁抜けをこんな序盤に使うハメになるなんて。

 

「くそ……、ありがとうなヤタ・デシュ」

「カァ(ドヤァ)」

 

 このドヤ顔は許そう、実際それくらいの事はしたから。にしても、全方位からの衝撃を通したからか、疲労感が、とんでもない、壁2枚の限界、ギリって感じ、先が思いやられる、マジで、ラァに追いつかれて終わる可能性が、見えてきた。

 

「どんなもんだィ!!」

「カタハ……お願いがある」

「ッ……な、なんだィ改まって」

「お前戦うの禁止」

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【壱式機構・流れ鼠】
こいつァ、あての自慢の武器の1つだァ。なんてったって、足が飛んでくるだなんて思う奴ァいねえ。面食らってる間に食らってボン!! っていう算段サ。問題は、片足立ちになっちまってまっすぐ飛ばネエことだが数打ちゃ当たるってもんヨォ!! あん? どうやってそんな勢いで装填してるかだって? そんなこと聞くなよ野暮天、乙女の秘密って奴だろうがィ。
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