最強になれと言われても他の妹姉の方がずっと強いので無理と言ったら両親に泣かれ、じゃあ修行に行きますと言ったら姉妹に泣かれたんだがどうしろと言うんだ?   作:ジラフ

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ブチギレたシスコンは何をするか分からない

 桜腕の伸縮、不可能。アルカによる直接攻撃、可能だが一度余裕を持って避けられている。素手による殴打、論外。壁抜けを使用しての奇襲、消耗が激しすぎて不可能。スカイフィッシュを使って塔から落とす、不可能、そもそも捕まえておけない。ラァによる援護、出血と衝撃による気絶で不可能

 

「カタハ、お前が最後の希望だ」

 

 カタハ、正式名称は15式自律人形マキナ。目の前のアイドールはマキナの次世代機らしい。人格を停止すると同時に情報を渡してくれたのはありがたい。

 

「ハッキング、汚染、それで終わりサ」

 

 同型機ゆえに造りが似ている、構造が似ているならば、入り込める、はず。手順はこうだ、

 

①アイドールの装甲を一部剥がす

②破損部分からカタハの一部をねじ込んで接続

③精神プログラムへの干渉、精神への直接攻撃で機能停止に追い込む

 

「というルートくらいしか、考えられなかった」

 

 まず①からキツい、当たる攻撃がないのどうにかしないとな。

 

「考え事はもう終わりかな☆」

「悪かったな、今から壊してやるよ」

「お、お、ぐ、ち、キライじゃないよ☆」

「余裕面も今だけだ」

 

 周囲を見ろ、何か使える物はないか、俺の攻撃は読まれる、予想外の一撃を入れるしかない。今の所俺が使えるのは落ちている黒糖正宗の刀身、それをアイドールに叩きつけてやる。

 

「また刻んでやるよ」

「うふふ☆」

 

 アルカの攻撃は目くらましだ、大きく円を描くようにしならせ、伸ばし、視界を奪え、できるだけ派手に、できるだけ魅せるように、当てるよりも、舞うように、全身を使って、偶像の目を惹け。一手を届かせるために。

 

「ぜんぜんダメ☆」

「くっ!!」

「そんなお遊戯には当たってあげられない☆」

 

 悔しそうな顔をしろ、手玉にとっていると思わせろ、侮りを引き出せ、傲慢を利用しろ、全力を出させるな、道化でも良い、最後に立っているのが俺ならば。

 

「ダメダメすぎて可哀想になってきた☆」

「言ってろ!! お前は俺に負けるんだァ!!」

「愚かもここまで来ると、愛おしいよね☆」

 

 位置を調整しろ、角度はなんとか確保する、あと、3歩。

 

「うおっ」

「あたらなーい☆」

 

2歩

 

「くそっ!!」

「あははは☆」

 

1歩

 

「当たれ!!」

「がんばれ、がんばれ☆」

 

ここだ!!

 

「いけぇえええええええええええええええええええええ!!!!」

「当たらないってば☆」

 

 地面を這わせたカタハの腕、黒糖正宗を回収、切っ先をアイドールに向け、そして、自爆だ。

 

「っ!?」

 

 反応したな、だが遅い、額に突き刺さる軌道だ。あれが射撃武器の銃身部分だとしても、ラァの黒糖を固めたもので、尖っているのなら、それは十分以上の武器になる。

 

「んぁあっ!!!」

「首が、落ち……!?」

 

 首をパージして、避けた、だと!? 今までで一番人形らしい動きしやがった!?

 

「お……に……い……さ……ま……の……こ……え」

 

 ラァ!? 意識が戻ったのか!?

 

「は、んぷ、てぃ、だんぷ、てぃ」

 

 軌道が、変わって、もう一度、アイドールの方へ

 

「んにににに……!!!」

「おいおい、可憐さの欠片もないな。歯で受け止めるとブサイクだぞ」

 

 凄まじい執念だな、だが、頭だけなら、俺の全力で押し込める。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「ぐぎぎぎぎぎ……!!!!」

 

 嘘だろ、全体重に全力で力を込めて、それでも拮抗するとか、俺が弱すぎるのか、こいつの歯が堅すぎるのか。

 

「ダメ押し、いくぞ」

 

 桜腕なら、修復はなんとかなる。カタハの外骨格を爆発させて押し込んでやる。

 

「ぐぁあああああああああああああ!!」

「がっ!?」

 

 刺さった!! ここからだ!!

 

「ねじ込んでやるよ」

「はひほ、へはっへほふは(何を、狙っても無駄)」

「食らえ」

 

 カタハの頭部分の一部を、傷口に、入れる。

 

「突破してくれよ!! 頼むぞカタハ!!」

 

 返事はない、だが、アイドールの動きは停止した。

 

「やったか……?」

 

 ぐらりと視界が揺れる、これは、地震とかじゃなくて、俺の、身体が、倒れて、いって。

 

「シンの旦那……しくじった、逆流、して、引きずり込まれ」

「もー、信じられなーい☆」

 

 スポットライトを浴びる大舞台、これがこいつの精神プログラムなのか。

 

「アイドールちゃんのプライベートに入り込むなんて、ダメだぞ☆」

「随分余裕じゃねえか、ここなら肉体のハンデはないぞ」

「逆に聞くけど、アイドールちゃんより心が強い自信があるの? 永遠に近い時間を生きられる精神構造をしているんだけどな☆」

「当たり前だろ、人間もどきが」

「こわーい☆」

 

 歪み、光

 

「ここでもそれか」

「スターの攻撃は光って無くちゃね☆」

「精々光れ」

 

 一歩ずつ、一歩ずつ、力を溜めて近づく、

 

「ほらっ、ほらぁっ☆」

 

 なんだ、これ、全然効かないぞ

 

「え……? キラッ☆」

 

 歩みが遅れる事も無い、そよ風だ、こんなの。

 

「うそっ、うそっ、そこの出来損ないには効いたのに!?」

「ははは……てめぇには分かんネェだろう……ナ」

 

 何が、永遠を生きられる精神構造だ。何が、偶像だ、俺はラァの兄だぞ。妹を傷つけられた兄貴を止められるものなんてあるわけないだろうが……!!

 

「歯ァ、食いしばれ」

「え、え、そんな、うそ」

 

 戸惑いの溢れた顔に、右の拳をたたき込む。

 

「ぎゃひぃ!?」

「分かったか、これが兄だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【シスコン鉄拳】
ブチギレたシスコンが放つ最強の一撃、あらゆる阻み、あらゆる防壁を突破して、怨敵を撃滅する。その右拳には意思の力とか怨念とか呪いとか、いろいろな情念が込められていて、一種の呪殺効果まで発動する。とんでもない攻撃だが、妹、もしくは姉が攻撃されないと発動しないため、日の目を見ることは滅多にない必殺技である。
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