最強になれと言われても他の妹姉の方がずっと強いので無理と言ったら両親に泣かれ、じゃあ修行に行きますと言ったら姉妹に泣かれたんだがどうしろと言うんだ?   作:ジラフ

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番外指令

槍王ロンは全身を鎧で覆い、紫のマントをはためかせている。全身に漲る覇気が、王である事の証明になるだろう。

 

「自身の非才を道具で補うか、それもまた面白い」

 

 立ち上がれない、見下ろされている、見下されている。自分はまだ、この王には勝てない。

 

「なんて、言ってられるかよ……」

「む?」

 

 自分の非力を許容する時間は終わった、日和る時間はもうないんだ。俺は、勝てない相手に勝てる自分にならなくちゃいけないんだぞ。どんな方法でも良い、どんな負担がかかってもいい、一瞬だけでも刃を届かせる力が出せれば良い。俺の全てを使って攻撃を届かせる。

 

「あぁあああああああああき、てくとぉおおおおおおおお!!!」

「……吠えてどうする、それで刃が余に届くのか」

 

 熟練工、俺が今できる最大の攻撃を組み上げるぞ。

 

「……はは。そうか、それで良いのか」

 

 とんでもないことだ、これをした後に自分がどうなるかなんて分からない。だがそれでいい、1発の切り札で最強に近づくのならそれでいい。いつか勝つではなく、今勝つために。

 

「番外指令(アウトオーダー)」

 

 熟練工によると、番外指令は本来の用途を逸脱する運用を可能とするために必要な言葉らしい。これを言った瞬間にカタハとオゼロは賢者の石が刻んだ指令よりも俺の指令を優先する状態になった。

 

「切り札か、余にはそれを待つ理由はない」

「そうだろうな……だが待ってもらうぞ」

 

 槍王の攻撃は1発も当たらない、避けている訳でも耐えているわけでもない。地面から吸い上げた養分で無理矢理壁抜けを維持しているに過ぎない。内臓がかき回されるような感覚が続いている、きっと少々以上の損傷も伴っているだろう。だが、それがどうした。これから撃つ人生最高の一撃を考えれば些末な事だ。

 

「いつまで保つか見物だな」

「お前に攻撃が届くまでだ」

 

 アルカを核として、カタハとオゼロを連結する。奇しくも形は槍になりそうだ、槍王に対して槍を放つのは不遜が過ぎるか。ん……? 生体認証? 条件突破? 何の話だ……なんだそのおーでぃんってのは、それが俺のしようとしてる事なのか、賢者の石はこの運用をする事を想定してたってのか。くそ、手のひらの上かよ、癪だが今はその道筋に乗るしかねえ。

 

「制限解除(オーバーリミット)」

 

 言うべき言葉はもう分かった、用意すべき燃料も分かった。あとはそれを完遂するだけだ。

 

 

「主神型対災害用複合兵器(アンチディザスター・オーディン)」

 

 あと2つ、それで俺の準備は終わる。喉を駆け上がる鉄の味、激痛を訴える肉体を無視して言葉を紡ぐ。

 

超過負荷熱量収束術式(タイプ・グングニール)

 

 俺の力を全て注ぎ込む。なにも躊躇うことはない。

 

「貴様……それは人の身には過ぎた力だぞ」

 

 過ぎた力? そんなことは重々承知だ。今から撃つものがどれだけ危険なものかも、どれだけ無謀な事をしているのかも、自分がどうなのかも、全部分かってやっている。今ここで撃てなきゃ、俺はいつまで経ってもこれを撃つことができないままだ。

 

「撃滅開始(ファイア)」

 

 桜腕はエネルギーを吸い上げるのに全能力を集中させている。必然この槍は生身の腕で支える事になる。俺の身体ほどの大きさになった槍を支える腕力は本来ないが、全身にエネルギー過剰供給している今なら問題なく支えられる、

 

「余に槍を放つか」

 

 グングニールの加速は一瞬だった、槍の形に見えていたのは一瞬だけですぐに高熱を帯びた閃光と化した。

 

「いくら速かろうと、熱かろうと、当たらなければ意味はないぞ」

 

 槍王が回避の体勢に入る、だが意味はない。グングニールが放たれた時点で、命中は確定している。組み込まれたカタハとオゼロがどこまでも相手を追跡するからだ。生半可なものでは防ぐこともできない、溶けるどころか焼失するだろう。

 

「っ!?」

「避けることも、防ぐこともできはしないぞ」

 

 まだだ、倒れるな、意識を保て、死にそうでも、横になってしまいたくても、自分の勝利を見届けるまでは。

 

「なるほど、そういうものか。少々見くびっていたらしいな」

「その……余裕……いつまで……続くか……がふっ……!?」

 

 まずいな、この血の量は、ちょっと致命的だ、

 

「貴様の覚悟に敬意を表し、余も最大戦力でもって迎撃しよう」

 

 槍王の右手に光り輝く槍が召還される、あれが槍王の……

 

「聖なるもの、邪なるもの、強きもの、弱きもの、その全てに区別無く。我が槍のまえには全て等しきものと知れ」

 

 光がより一層強くなる、白く強く輝く槍。

 

「覇槍(ロン・ギヌス)!!」 

 

 槍王の覇槍と俺のグングニールがぶつかった。

 

「そんな、拮抗するのか……!?」

「我が槍は砕けぬ!!」

 

 一際強い光は周囲を光で塗りつぶした。何も見えない。俺が勝ったのかも。なにもかも。

 

「ふ、ふははは、ふははははははは!!!!」

「っ!?」

 

 槍王の笑い声、つまり、そういうことか

 

「見事!!」

 

 視界が戻った時、俺の目の前にあったのは右半身が消し飛んだ槍王だった。

 

「貴様の勝ちだ!!」

 

 

 

 




【主神型対災害用複合兵器】
製造番号■■■■■■■■■
用途■■■■■■■■■
資格者■■■■■■■■■

一定以上の権限を持ち、肉体的に■■■■■と同じ状態にある者に解放される武装
加えてSランク製品2つ以上を持ち、番外指令を知っている者でなければいけない

開発者コメント
「ノリで作ったけど、北欧の■■■■■が持ってた武器がどんなんか分からないので超ホーミングとプラズマ化、亜音速での激突を可能にしといた。ボーナス武器としても条件が厳しいのでアッパー気味の性能で調整、ダンジョンボスにぶっ放す設計だし問題ないっすよね?」
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