最強になれと言われても他の妹姉の方がずっと強いので無理と言ったら両親に泣かれ、じゃあ修行に行きますと言ったら姉妹に泣かれたんだがどうしろと言うんだ?   作:ジラフ

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鎧の名は

やばいやばいやばい、デーレ姉さんが視認できる距離にいる状況が果てしなくやばい。動きはまず見えない、そして抱き着かれたら意識を落とされて終わりだ。

 

抱きついてくることを考えると、上半身に触れるはずだ。

 

「うぉおおお!!?」

「あれ?」

 

 全力でかがんだ、ギリギリで姉さんの抱きつきを躱すことに成功したぞ。

 

 そしてこの避け方は二度と使えない。こんどは腰をつかむような態勢になるだろう。

 

「むぅ、お姉ちゃんから逃げるのはダメなんだぞ」

「逃げないと秒でお持ち帰りされるじゃないか!!」

「そうだけど、いやなの?」

「少なくとも今は嫌だよ!!」

「ふぅん、そんな事言うんだ」

 

 あ、纏う電気が強くなった。次はもっと早く来るぞ。

 

「……番外指令(アウトオーダー)」

 

 今の状況を打破するのは、姉さんの知らないものしかない。熟練工が示した可能性は一つじゃない。これは俺自身に纏う形。

 

「主神型対災害用複合兵器(アンチディザスター・オーディン)」

「なになに? やらせないよー?」

「姉さんは知らないはずだ。これを」

「えっ!?」

「カァッ!!」

 

 姉さんの抱きつきを壁抜きで躱す。身を低くして飛びこんだぶん、体勢を立て直すにのに時間がかかるはずだ。

 

「鎧骨格(タイプ・ベルヴェルグ)」

 

 これはカタハとオゼロを鎧とするものだ。きっと、これなら姉さんと俺の圧倒的差を埋めてくれるに違いない。

 

「……ねぇ、その人形はなぁに?」

 

 え、なんかデーレ姉さん滅茶苦茶怒ってる?

 

「シンちゃんに後ろから抱き着いてるその人形はなぁに?」

「カタハ!?」

「あてには何のことだか、鎧になれと言ったのはシンの旦那でしょうや」 

 

 こいつ……、絶対に分かってやってやがるな。姉さんを煽っても良いことなんて一つもないんだぞ。付け入る隙がどんどん無くなっているんだからな!?

 

 わざわざキツくなるような真似をしやがってからに、あとで説教してやる。

 

「シンちゃん。お姉ちゃんは顔が隠れるような鎧は嫌いだなぁ」

「そうは言われても、こういうものだから仕方ないよ」

「じゃあ、すぐに脱がせてあげるね?」

 

 閃光のような、姉さんの移動。その動きが、見える。

 

「これが、姉さんの世界か……!!」

 

 感動に体が震える。初めて姉さんと同じ世界を体感できているという事実。これが強者の世界、絶対に入り込めないと思っていた世界。

 

 自分一人の力でないのは残念だが、それに文句を言える立場ではないな。

 

「ッ!?」

「どうしたんだ姉さん。そんなに驚いて」

「シンちゃん、お姉ちゃんが見えるの?」

「今の俺なら、姉さんの動きが見えるよ。一方的にお持ち帰りできるとは思わないで欲しい」

「シンちゃん、強くなったんだねぇ……」

 

 姉さんの目からあふれ出る涙。

 

 このタイミングで泣かれるのは予想外だぞ!?

 

「何で泣くの!?」

「だって、だってぇ……シンちゃん、ずっと頑張ってたの知ってるからぁ」

「え、じゃあ。持ち帰るの諦めてくれる?」

「それは嫌」

「さいですか……」

 

 うやむやに出来るチャンスだと思ったんだけどなぁ……

 

「じゃあ、どれくらい強くなったかお姉ちゃんに見せてね」

「良いよ。まともに姉さんとやるのは初めてだ」

「うふふ、行くよ」

 

 雷の速さで姉さんが迫る、鎧によって強化された視覚はその軌道を見切り、姉さんの攻撃がどう来るのかが分かる。

 

 俺はそれに合わせて、拳を……拳を? 姉さんに? 当てるのか? 本当に? そんな事をするために俺は強さを求めていたのか? 絶対違う、姉さんを殴るために俺は強くなったわけじゃない。

 

 駄目だ俺に姉さんは殴れない。

 

「くっ……」

「シンちゃん? どうしてお姉ちゃんを攻撃しないの?」

「それは……」

 

 姉さんの攻撃は容赦ない、迷わず俺のことを攻撃している。これが正しい、正しいはずだ。それは分かっている。分かっているが、どう頑張っても姉さんを攻撃することを選べない。

 

 正直避けるだけで精一杯な部分は多分にあるのだが、全く攻撃を挟めないわけでない。それすらも俺の心は拒否している。

 

「殴れない」

「え……?」

「これが失礼なことだってのは分かってる。それでも、姉さんを攻撃できない」

「……」

 

 姉さん怒るだろうな……。こんな舐めきった事言われたら俺でも怒る。

 

「シンちゃん……」

「はい……」

「それはずるいよぉ……」

「え」

「そんな可愛いこと言われたらお姉ちゃんも戦えなくなっちゃうじゃない」

「え?」

「シンちゃんはさぁ、その一挙手一投足がお姉ちゃんに与える衝撃を分かってないよねぇ」

「それは、確かに分からないけど……」

「シンちゃんはねえ!! 可愛い!! かっこいい!! もうたまんない!!」

「……?」

 

 何を言っているか、分かんないぞ?

 

「そろそろお姉ちゃん耐えきれないんだけど!」

「さっきから何を言っているんだ姉さん」

「ねえ、シンちゃん。お姉ちゃんの事好きって言ってくれない……?」

「姉さんのことはもちろん大好きだけど……」

「はぁう……!?」

「姉さん!?」

 

 姉さんが胸を押さえて倒れた!?

 

「シンちゃん……の、勝ち」

「……ええ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【鎧骨格】
え? 槍だけだとアレだからセット装備として鎧も欲しい?
納期は?
週末!? 舐めてんのか!?
デザインと能力は自由でいい? そういうことは早く言えや
深緑の外装に骨の意匠だろ、それにマント、あとはまあフィーリングで良いか!!
グングニールぶっ飛ばす時に一番カッコいい奴にしてやんよ。
素材? まあ、製品を2つ分ってことだろうな、槍と一緒に使いてえなら4つ必要だろうな
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