最強になれと言われても他の妹姉の方がずっと強いので無理と言ったら両親に泣かれ、じゃあ修行に行きますと言ったら姉妹に泣かれたんだがどうしろと言うんだ?   作:ジラフ

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時系列多少前後します


巨竜火山ウンゼン Ⅱ

 デーレ姉さんとファスカの襲撃が一段落つき、パックが話し始めた。

 

「結局のところ、樹人の生息地と4魔人の城が動く範囲が同じくらいなんデス。なので早めに対処しないと樹人のお知り合いが危ないっていう事デスネ」

 

 なんとなく予想はついていたが、そういうことか。1度アルカのところまで戻る必要がある事は変わらないな。にしても、4人のうちのどれが来るかで大分緊急度が変わりそうだ。

 

 まさか、火吹きって事はないよな?

 

「一応確認したいんだけど、樹人のところに来るのは誰なんだ?」

「え? 火吹きデスケド?」

「うぉおおい!! 1番ヤバいじゃねえか!!!」

「だから言おうとしてたんデスケド?」

「焼かれたら終わりじゃねえか」

「ええまあ」

「デーレ姉さん!! ファスカ!! 今すぐ俺の指示する方向へ飛んでくれ!!」

「もう行くんデスカ?」

「行くに決まってんだろ!!」

 

 猶予がなさすぎる、今すぐ行かなきゃならない。

 

「火吹きの城は強めデスカラ、気をつけてくださいネー」

「忠告どうも!!」

 

 鎧を纏ったまま樹人の森の方向へ飛ぶ。

 

「シンちゃん、お姉ちゃんは無条件で手伝うけれど情報収集もしないで戦いに向かうのは褒められないよ?」

「ごめん姉さん。今回は本当に時間がないんだ」

「分かってるなら良いのだけれど。じゃあお姉ちゃんが本気で飛んだ方が良いのよね? お姉ちゃんの腕に掴まってくれる」

「分かった、姉さんの方が速い」

 

 デーレ姉さんにつかまる。姉さんの身体が寄り強い光を放つ。雷そのものと化しながら空を征く。

 

 そして、俺は、それを見た。

 

「なんだ、あれ」

「わぁ~、おっきいねえ」

「殴り甲斐がありそうな奴だな」

 

 火山そのものが、動いている、竜の形をとって、大地を食らっている。だが、それを食い止めている何かがある。あれは盾なのか?

 

「盾で動きを止められている?」

「あれは盾王の万壁招来(アイギス)だねぇ。あれであの大っきいのを止めてるみたい」

「へえ、あれが噂の絶対防御か」

 

 盾王が出てきてるのか!? 火山まるごとを覆う防御領域とは恐れ入った。

 

「ん? あれまさか」

「ああ、ブレスだね。このままだと危ないかも」

「避けりゃ問題ないな」

 

 あんなの撃たれたらどこまで被害が出るか分からない。一か八かぶちかますしかねえ。

 

「姉さん、俺を降ろしてくれ。撃ち込む」

「え? 避けた方が良いよ」

「大丈夫、俺の槍ならできる」

「やだ。シンちゃんかっこいい……」

 

 本当は確信なんかない。それでも、ここで撃たないという選択肢はなかった。

 

「番外指令(アウトオーダー)・制限解除(オーバーリミット)・主神型対災害用複合兵器(アンチディザスター・オーディン)」

 

 あ、これちょっと間に合わねえ。少し省略するか。あとは撃つだけだ。

 

「グングニィイイイイイイイル!!!!」

 

 全力で吸い上げたエネルギーを注ぎ込んだ。

 

「間に合ったか!?」

 

 放たれたグングニールを見守る。

 

「よし!!」

 

 俺の放ったグングニールはブレスを散らし、目の前にいた巨大火山竜の頭部を砕いていた。

 

「シンちゃん!!」

「うわっ!?」

 

 デーレ姉さんが抱きついてきた!?

 

「何今の!? すごいすごいすごい!! あんな威力お姉ちゃんでもできないよ? さっきのシンちゃんが考えたの!?」

「え、ああ、まあね」

「すごいよ!! お姉ちゃんびっくりしちゃった!!」

 

 姉さんに戦闘の事で褒められたのは初めてだ。正直言って踊り出したくなるほど嬉しい、いま踊り出すわけにはいかないから踊らないけど。

 

「あれで終わってくれればいいんだけど。そういうわけにもいかないよな」

 

 巨大火山竜は溶岩で頭部を再生しつつあった。もともとが火山である以上は頭部に見える部分を吹飛ばしたところでさしたる意味は無いということか。

 

 つまり、火山まるごと消し飛ばす必要があると。

 

「じゃあ行くか、2発目だ」

 

 体勢を立て直そうとした瞬間、全身に走る激痛。

 

「ぐうっ!?」

 

 どこかしこも痛くてたまらない。内側から焼かれるようだ。デカすぎる一撃に伴う代償はやっぱりこうか……

 

 早く2回目のグングニールを撃たなければならないのに。あ、血の味がする。

 

「がふっ」

「シンちゃん!?」

「大丈夫、大丈夫だよ姉さん。身の丈に合わない攻撃は自分も壊すってだけだから」

「あんだけの攻撃をしたのならそうなってもおかしくはねえな。少し休んでろ、オレが行く」

「待ってくれ、後1発撃たせてくれ。俺が撒いた種なんだ、俺が刈り取らないと」

「1発でそんな風になってんだから、2発も撃ったら死ぬぞお前」

「いや、やれる。やってみせる」

 

 そうだ、1発撃ったらぶっ倒れる切り札なんて、そんなの使えねえ、せめて2発撃てなきゃ話にならねえ。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」

 

 なんて咆哮だ、この距離で全身が震えてやがる。

 

「……一筋縄じゃいかねえな」

 

 目の前に見える頭の数、実に9個、それが全部ブレスの動作に入っていると。

 

「上等だ。ぶち壊してやるよ」

 

 2発目のグングニールで、まとめて消し飛ばしてやる。

 

 

 

 

 




【巨竜火山ウンゼン 九頭竜態(モード・ヒュドラ)】
 破壊されようと、砕かれようと滅びぬ。
 この身は竜であって竜にあらず。
 地からの熱ある限り、幾度でも再生を果たす。
 9つの丘を同時に焼いてみせようぞ。
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