最強になれと言われても他の妹姉の方がずっと強いので無理と言ったら両親に泣かれ、じゃあ修行に行きますと言ったら姉妹に泣かれたんだがどうしろと言うんだ?   作:ジラフ

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イニシエーション Ⅳ

「白兵戦な感じだったじゃん!! なんでガン逃げ引き撃ち戦法にシフトするかな!!」

「え? だってシンちゃんがやられたくない事考えたらこれかなって」

 

 大正解だよこんちくしょう!! やっぱり姉さんのセンスは半端じゃないな。

 

 エンデを小型化したこれじゃ、姉さんの障壁を破るほどの火力は出せない。少なくとも拳が当たる距離まで近づかないとどうにもならない。

 

 だからといって雷速で動く姉さんに追いつくのは不可能だ。直線加速で捉えられる相手じゃない。

 

 詰んだ?

 

「くっ」

「ふふーん。お姉ちゃんにはお見通しだよー? 戻らせてなんてあげないんだから」

 

 大元のエンデに戻ろうとしても集中砲火を喰らうだけか、なんて嫌な戦い方をするんだ。

 

「あーそうですか、それなら俺にも考えが……ってまさか姉さんもしかして」

「えへへー、何かされる前に潰すのは基本だよ? 優しく意識を刈ったくらいだったらビリビリすれば起きるよね?」

「ラァを起こす気か!?」

 

 今ラァに起きられたらまずいぞ。もう不意打ちなんて当たってくれないだろうし。

 

「せーのっ!!」

「あばばばばばば!?」

 

 ラァの体に流れる電流。

 

 うーん、ちょっと強すぎるなあれは。

 

「あれ? ラァちゃん?」

「……ぷしゅー」

 

 口から昇る黒煙、どう見ても戦線復活は無理だ。

 

「ラァちゃんなんで!?」

「そりゃ普段なら砂糖でどうにかしたかもしれないが、流石にラァでも気絶中に電気流されたらそうなるよ姉さん」

「……そんなぁ」

「仕方ないよ。人間だもの失敗はあるさ」

「うう……シンちゃん優しい」

 

 姉さんの肩に手を置く。

 

「あ」

「姉さん、終わりにしよう」

 

 指先に力を集中。爆発を使って超加速を実現させようじゃないか。今なら当たるはずだ。

 

「あっ……!?」

 

 破裂音を伴うデコピンは姉さんの額にクリティカルヒットした。いくら姉さんと言えど、流石に意識を。

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

「うっそだろ……」

 

 自分にわざと感電させて意識を保ったのか? いや、違う、意識は確実に刈り取った。ならこれは、姉さんが自分に仕掛けていたものだ。気絶した時に、一秒でも早く目覚めるために。

 

 姉さんの思考を読め、姉さんなら、気付けだけで終わるわけがない。そう、反撃までセットにしているはず。

 

「うぉおおおおおおおおお!!!?」

「……」

 

 くそ、自動反撃な分早い!? 最短距離で首を落としに来るか。

 

「ただでさえ、速いってのに!?」

「……」

 

 だが、駆け引きする気もない太刀筋、愚直過ぎる連撃だ、目が慣れてしまえば。

 

「今度こそ終わりだ」

「……」

 

 斜めの切り下ろし、これを避けて、姉さんの動きを封じる。

 

「……ふふ」

「っ!?」

 

 笑み!? 姉さんの意識は、既に戻っている、途中から演技していたのか!? 軌道が修正される、このままだとバッサリいかれるぞ

 

「お姉ちゃん結構演技派でしょ?」

「参ったな……」

 

 今から動きを変える事は難しい、()()()()()

 

「こんな賭けはしたくなかったんだけど」

 

 変えられないなら、前に進むしかないだろうよ。装甲を爆発させて加速だ。これで姉さんの攻撃よりも遅かったらそこまでだ。

 

「それが最後の手段だよね?」

 

 加速にも対応して動いてきたか、良かった。信じていたよ、姉さんなら悪あがきを確実に刈りに来るって。

 

「本当に期待を裏切らないね姉さんは、ありがとう。対応してくれなかったら終わってた」

「え」

 

 装甲を身体から引きはがし、姉さんへ。確実な一撃を選んだせいで一手遅れた。渾身の一振りをする瞬間にノーモーションで飛んでくる拘束具。そんなの誰も避けられない。

 

 姉さんでも。

 

「なにこれぇ!?」

「動けないよね? 電気も通じないはず」

「……あー」

「姉さん、終わりだよ」

「う、うう」

「う?」

「ふぐっ……うう~……うえ~ん!!」

 

 号泣されてしまった……どう言葉をかけたものか……

 

「シンちゃんが……シンちゃんが遠くに行っちゃうんだ……もう戻って来てくれないんだぁ……」

「え、待って待って、なんでそんな事」

「だってぇ……お姉ちゃん達よりも強いなら、お姉ちゃん達もういらないでしょう……?」

「ば、ばばば」

「ば?」

「馬鹿なこと言うなよ!! 要らない!? どう考えたらそんな風になるんだ!? 俺が強くなりたかったのは……何よりも姉さん達を、家族を守りたかったからなのに、ようやく、姉さん達に認めてもらえる男になれたと思ったのに」

 

 ダメだ、止まらない、これ以上言うべきではないのに、これ以上溢れさせるわけにはいかないのに。

 

「そんな悲しいこと、言わないでくれよ。俺だって、ようやくビクトリウスを名乗れると思ったのに、胸を張らせてくれよ……!!」

「シンちゃん……」

「追いつきたかったのは、俺なんだ。俺なんだよ、姉さん」

「そんな……お姉ちゃんは……!!」

「良いんだ、良いんだよ、俺がそう思っていただけなんだ」

 

 そんな顔をしないでくれよ、俺は、そんな顔をして欲しかったわけじゃないんだ。

 

「だから、ただ信じて欲しい。俺が前よりもできるって信じて欲しい。それだけで良いんだ」

「……本当に強くなったんだね」

「そう言ってくれると嬉しいよ」

「でね、そろそろ触れてあげた方がいいよね?」

「たぶん」

 

 よろよろと近づいてきてるのは見えていたんだけど、どのタイミングで触れたものか分かりかねてた。

 

「ふぐ……ふぐぅ……し、じぃん……り、りっぱに、なっでえ、母はぁ……母はぁ……!!」

 

 誰よりも泣いてるのは母さんだった。

 

 

 

 

 

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