禪院家の末っ子は、禪院家を潰したい。   作:バナハロ

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オリ主が主人公できるとは限らない。

 目を覚ましていた真希は、パンダと棘と戦闘を見ていたが、最後の大きな爆発。おそらく決着がついたのだろう、と反射的に思った三人は慌てて憂太を探しに向かった。

 

「憂太ー!」

「何処だ、憂太ー!」

「たらこー!」

 

 一人、それで通じるのか分からなかったが、他二人と一緒にいれば通じなくはないので、誰もツッコミを入れなかった。

 煙の中をなんとかかき進みながら、まるで隕石でも落ちた後のように変貌した学内を探し回る。

 そんな中だった。仰向けに気絶している憂太の姿が目に入る。その奥には里香が見えるが、憂太が気絶しているからだろう。動く様子は見えない。

 

「いくら!」

「え、どこだ?」

「あそこ、憂太!」

 

 慌てて3人で駆け寄ろうとした時だ。

 その自分達とようやく見つけた転校生を阻むように、スィーっと足場のようなものが降りてくる。

 すぐに警戒して3人とも構えたが、その上にいる人物を見てさらにそれは強まった。

 にも関わらず、発声した本人は実に嬉しそうな表情で手を振る。

 

「真希ねーちゃん!」

「要に……真依⁉︎」

 

 京都にいるはずでは? と思ったのだが、本人も困惑しているようで、詳しく聞けない。

 

「真希……久しぶり」

「ようやく……ようやく三人揃ったね……!」

 

 真希と真依の戸惑いも無視して、強引にハグをする。本当なら文句の一つも言いたい所だが、本当に嬉しそうな表情で力強く抱きしめてくるので振り解くわけにもいかない。

 

「会いたかったー……ごめんね。ホント、急な別れで……」

「え、ええ……そうね……」

 

 真依が困った表情を浮かべて答える。要の力が強く込められていて、後ろで見ているパンダと棘も反応できないレベルだ。

 そんな中、当事者の真希が声を張り上げた。

 

「じゃねぇ、お前……今更何しに……!」

「久々に会えた所悪いんだけど、ちょっと場所移そう。色々、話したいことたくさんあるから!」

「ちょっ、待」

 

 パンダや棘のことなんて視界にも入っていない、そんな態度のまま術式を起動し、足場を浮かび上がらせた。

 

 ×××

 

「君で、詰みか……」

 

 そう呟いたのは、夏油傑。そして目の前にいるのは、五条悟だった。

 自身の極の番「うずまき」を自らを生贄とした呪力の制限解除によって返され、片腕を失いながらも、家族が逃げる時間を稼ぐために一人、囮となった。

 高専の中でも僻地中の僻地。そこで自らの幼馴染と邂逅し、逃走を諦めた傑は壁に背中を預けて尻餅をついた。

 

「私の、家族は?」

「一人まだ見つかってないけど、他はみんな逃げたよ」

「一人……要か。彼は京都に行ってもらったよ。彼の姉は、私にとって猿だ。……けど、あの溺愛っぷりでは……目の前で殺すと、良くないと思ったからね……」

「後でバレた方がまずいだろ、そういうの」

「……私の手元に里香がいれば、暴れ出しても止められると思ったのさ……まぁ、そうでなくても呪力のない猿を殺すなんて、後でも構わない。攻撃して来なければ、無視するつもりだったよ」

 

 確かにその通りかもしれない。傑も基礎の呪力操作はハイレベルにまで突き詰めている。

 そんな奴が里香を使えば要を倒せるかもしれないし、わざわざ真希を殺すために寄り道をすることもない。

 それよりも、少し気になることがあった。

 

「というか、悟。京都に要がいることを知らなかったのかい? 彼を警戒しないような君じゃないだろ」

「連絡が無かったんだよ。……それ、京都の方は無事なんだろうな」

「それは私には分かりかねる……ただ、京都に放った呪霊はあまり減っていないね」

「あ、ウケる。七海からめっちゃ着信来てたわ」

「……ウケるな。後輩からの連絡はちゃんと出ないとダメだろう」

「お前にそんな常識的なことを注意されたくねーよ。……もしもし?」

「おいおい……私の目の前で電話かい? トドメが先だろうに……」

 

 変わっていない元親友に、少し呆れてしまうと同時に、七海建人という懐かしい名前の後輩の顔も浮かんでくる。そして、それに連鎖されるようにもう片方の亡くなった方の後輩の顔も。

 

「ハッ?」

 

 そんな中、悟の間抜けた声が耳に響く。トラブルかと思い顔を上げると、悟はこちらを見下ろしていた。

 

「どうした?」

「要、こっちに来てるはずだって」

「……なに?」

「つーか、七海。何でお前それ早く言わないの?」

「悟が出なかったからだろう」

「うるせー、茶々入れんな。……え? 傑と一緒だよ。三途の川の近くで。いやホント。最期だし話す?」

「やめてくれ。というか、そんな場合じゃないだろう」

 

 それは傑にとっても想定外の事だ。京都まで引き離してしまえば、すぐに自分の邪魔に来ることはないと思っていた。

 嫌な予感がする……と、傑は片腕がない今の状態も忘れて汗を流しているときだった。

 

「辛そうだね、夏油」

 

 そんな声が、二人の頭上から聞こえる。ハッとして顔を上げて身構えると、そこから降りて来たのは、やたらと小さな影だった。

 着地したのは、学ランの上着を捨ててワイシャツとズボンだけ、目にサングラスをかけた少年。

 

「「要……!」」

 

 二人から、7メートルほどの距離に着地すると、真上にいる姉妹に声を掛けた。

 

「そこで見てて。今から俺が、三人で生きていける世界を作るから」

「はぁ?」

「お前、何するつもり……!」

 

 悟は思わず目をむいた。要の身体からは信じられない程の呪力が込み上げられてくるからだ。その小さな身体の何処に潜んでいたのか、と言うほどだ。

 両手にめいいっぱいの力を込め、それと同時に手のひらから刻印が漏れ、それを下に向ける。

 今までほとんど表情を変えてこなかった少年の額に青筋が浮かび、両腕の血管が浮かび上がっている。明らかに普通じゃないその姿に、思わず傑が聞いてしまった。

 

「何してる……要……!」

「ずっと、考えてたんだ……どうしたら、姉ちゃん達と3人で、生きていけるか……!」

 

 身体から溢れ出ようとする呪力を、強引に両腕、そして刻印へと集中させている。

 

「呪術師になる? そしたら学生続けんでしょ。そんな連中は信用できない……自分のために息子を殺したり、家族と剣呑にならないためにルールを作る癖に、本物の家族がいる非呪術師は金を搾って平気で殺すような奴ばかり……そんな中に、真希ねえちゃんや真依ねえちゃんは置いておけない……!」

 

 空中の真希と真依、そして傑が驚いたように片眉をあげる。

 

「結局、どうしたいんだよお前は」

 

 悟は聞きながら、要に見えないように真希と真依にサインを送る。こっちに来い、と。

 

「決まっているでしょ……なら、警告する。呪術師にも呪詛師にも。もう二度と、俺ら三人に関わらせない。こいつはその為の、爆弾だ」

 

 何をするつもりだ? と、悟は狼狽える。こんな規模の術式は、それこそ領域展開レベルに練られた呪力。

 それと同時に、地震が起きたかのような震動が四人を襲った。六眼で見て分かる。何が起きているのか把握しきれないが、間違いなく止めないとダメな奴だ。

 悟は自らの呪術を行使しようと構えを取った。

 

「邪魔しない方が良いよ。下手したら、せっかく夏油を倒してくれたあの子もみんな巻き込んじゃうかもしれないから」

「そんなハッタリが通用すると思ってんのか?」

「じゃあ試してみれば」

「……チッ」

 

 相変わらず地面は揺れたまま。だが、立っていられないほどではない。しかし、それが長く続けば安心なんて出来ないわけで。

 その直後、要は両腕を思いっきり上げた。S極とN極が混ざり合った刻印がいくつも重なり合い、自分達が立っている大地を包み込んだ。

 

「な、んだ……こりゃ……!」

「何して……」

 

 真希と真依が呆然とする中、ハッとした悟はその場から一瞬にして消える。周囲の様子を見に行ったのだ。

 自分達がいた地点から、大体2キロほど走ったあたりだろうか? 見て、思わず愕然とした。広げられた刻印に包まれたその場所が、浮かび上がっていた。少しずつだが、確実に地表から離れ、高度を上げて行っている。

 

「……エイジオブウルトロンかよ……」

 

 さらに六眼をフル活用し、どういう原理で浮いているのかを確認する。どうやら、予めこの場所には何度か訪れ、地中を掘って外側となる面に刻印を貼り付けておいたらしい。

 それを、今の今までスリープ状態にしておいて、さっきの段階で目を覚まさせた。現段階では、安定してはいる。だが、この規模の術式を試した事などあるはずがない。万が一にもこれが落下したら、それこそ恐竜のように日本は絶滅する。

 

「驚いた?」

 

 背後から声が聞こえる。その場にいるのは、禪院要。後を追ってきたようだ。

 

「正直、脱帽だよ。よく僕にも気付かれず、あらかじめ仕込みに来れたね」

「コソコソするのは得意だから」

「……で、お前はこれでどうしたいわけ?」

「もう、俺にも真希ねえちゃんにも真依ねえちゃんにも関わらないで。……それだけ」

「……」

 

 なるほど、と悟は理解する。三人の世界、とはまさしくそのままの意味。文字通り誰の手にも届かない場所で、静かにのんびりと暮らしたい、そんな所だろうか? 

 

「最初は、禪院家を滅ぼそうと思ってたし、今も滅ぼしたいよ。ていうか、最初にこの術式を思いついた時は、禪院家の屋敷に落とすつもりだったから」

「……」

 

 その時の被害は禪院家の屋敷だけじゃ済まないだろう。本当にエイジオブウルトロンでやっていたように、高度を上げれば上げるほど破壊の規模は拡大する。そして、地上に落ちた時になんとかできるのは悟だけだ。

 

「……でも、それは結局、人殺しでさ。夏油とかうちの親父と変わらない気がしたんだ。多分、殺したって気は晴れないし。……いや、親父となおカスをフルボッコにしたら気は晴れそうかも。てか、むしろ殺さなくても晴れてないけど……でも、姉ちゃん達を救えるわけじゃない」

「……で、代わりにこれ?」

「そう。もう関わり合いにならないのがベストでしょ。……俺らに手を出したら、これ落とすよって警告にもなるし」

 

 ……中々、イカれている。普通、思いついても実行しない。それほど呪術師が嫌いということだろうか? ……いや、気持ちは分からなくはない。あの家から生まれた子だ。しかも、これだけのことを15歳でやってのける才能持ち……真希から聞いた話だと、父親に「子供に当主を取られたくないから」なんて理由で殺されかけたらしい。

 その後で、傑一家で非呪術師殺害パーティー。呪術師が嫌いになるのも信用できなくなるのも分かる。

 

「ショックだな。私はそこまで君に嫌われていたのか」

 

 その直後、要の後ろから声が聞こえる。傑が半分腕を失った体を引きずって歩いてきた。後ろには、真希と真依も控えている。

 

「当たり前でしょ。最初からずっと言ってたはずだよ。呪術師は嫌いだって」

「ハッキリ言うね……」

「言うよ。俺を京都担当にしたのだって、結局は俺に知られないように真希ねーちゃん殺すためでしょ」

「そこまで、分かるのか……」

「分かるよ。そりゃ」

 

 そこはあまり驚いていなかった。要なら、それくらい考えられてもおかしくない。

 傑は本当にすまなさそうな様子で詫びる。

 

「ふふ……悪いことをしたね。私なりに家族として様々なものを提供したつもりだったが、君にしてみれば地獄に七年間も置かれただけだったか」

「別に、衣食住は提供してくれたから、もういいよそれは。お互い、利用し利用される仲だったってだけでしょ」

「っ……要、私は……いや、私達は」

「聞きたくない」

「……」

 

 割と本気でショックを受けている様子だった。何も言い返されなくなったのを見て話はまとまった、と思ったのか、要は悟に言った。

 

「五条悟、あんたのいるところで術式を展開したのは、早い話が夏油、それと巻き込む事になりそうな他の子達を地上に送り返してもらうためでね。……出来るでしょ?」

「出来るね」

「だから、お願い。後はもう、放っておいて」

「断る」

「うん。よろし……え、今なんて?」

 

 予想外の返事だったのだろうか? ノリツッコミのような反応が返ってきた。

 良いことを言ってる風だが、それに流される悟ではない。というか、勝手に自分の意見を押し付けているだけだ。

 

「それはダメだよ、要。真希も真依も、もう自分達の高校で新しい仲間を作って、楽しくやってるんだ。お前一人の望みを叶えるだけの催しには、賛同させられないでしょ」

「……は? 俺一人の、望み?」

 

 カチンと来たのか、要は眉間に皺を寄せる。やはり、まだまだ子供だ。……というか、中身は小学生レベルかもしれない。外見も来年高校生にしては小さい方だが。

 そんな坊やに、悟は真顔のまま答えてやった。

 

「そうでしょ。真希も真依も、お前の考えに一度でも賛同した?」

「え……してくれてないの?」

「どうよ、真希。真依?」

 

 聞かれて、真希と真依は真っ直ぐな瞳で答えた。

 

「……悪いけどよ、要」

「ダメ。大切な人は、あなた以外にも出来たの。……ここでのんびり暮らす、というのも悪くない気もしたけど、やっぱり無理」

「…………は?」

 

 分かりやすく動揺する。冷たい汗が、頬を伝っている。

 

「どうして……? 大切な人って……そんなの、呪術師でしょ? どうせクズだよ?」

「バカ言ってんな。私のダチは、みんな他人であるお前を心配してた」

「私の同級生達の事だって見たでしょ。そんな人に見えた?」

「っ……そ、それは……みんな、猫かぶってるだけで……どうせ、裏で人殺しとか……非呪術師からお金巻き上げたりとか……」

「してねえよ」

「してないわよ」

「っ……そんな、わけが……」

 

 要が今まで見てきた呪術師がそうだったからだろうか? 信じられない、と言うように小刻みに震えている。

 なんにしても、これこそ結論は出たというものだ。悟は要に声を掛ける。

 

「二人の気持ちは、そう言うことだ」

「……」

 

 目を見開いたまま、大量に汗を浮かべて膝をついている。やらかした事は全然違うが、傑が呪詛師として堕ちた時に悟が味わった気持ちと同じ感覚なのかもしれない。

 だが、彼は呪詛師堕ちはしたものの、彼の言った言葉的におそらく人は殺した事ないだろう。

 真依の要に対する態度を見ても、京都でもどの術師も殺していない。他の呪詛師達と比べても、この瓦礫の山を元に戻せば全然、やり直せる。

 

「今ならまだ間に合う。……これを、元の位置に戻して」

「……」

 

 しかし、悟の言葉は耳に入っていないように、小刻みに震えている。そんな中、悟の六眼はハッキリと捉えていた。

 姉が自分よりも、同級生を選んだ。その事実だけが、要の中で反復している。

 今まで7年間も自分を偽り、追い込んできたストレスのツケが、今になって回ってきたように、要の中に呪力が溜まっていく。

 いや、なんなら自分は今まで何のために頑張ってきたのかも分からなくなっているのだろう。

 

「……ふざけるなよ……!」

 

 ギリっと、奥歯が噛み締められる。

 

「真希ねーちゃんと真依ねーちゃんが……そんな風に思うわけがない……お前ら、高専の連中が……なんかしたんだろ……‼︎」

 

 まずい、と悟は身構える。いや、悟だけではない。真希と真依、そして傑もだ。

 ふわり、と、要の足元に刻印が出現し、身体が宙に浮かぶ。それと同時に、両手を広げて刻印を拡大、目の前にかざした。

 

「……わかったよ、ねーちゃん達……おかしくなってるんだ……じゃなきゃ……誰よりも二人のことを想ってきた俺を、除け者にするはずがない……!」

「やめろ、要!」

「そうよ、やめなさい! あなたが今暴れたって、何にもならないから!」

 

 二人の説得は、もはや耳に届いていなかった。

 出現させた刻印には、何も引き寄せられていない……と、思ったのも束の間だった。

 悟の目が捉えたのは、さらにその奥。かなりの遠くから空を切ってこちらに飛行してくるもの達だ。

 

「……あれは」

 

 知っているのか、傑が声を漏らす。

 

「何あれ?」

「要が作っていた呪具だ。自分の術式を利用して、手放しても引き寄せられる呪具をたくさん作っていた」

「なんてもん子供に作らせたんだよ。……あれ全部か?」

「……私の把握している限りでも、500本はある」

「はぁ⁉︎」

 

 それらの呪具が、刻印に引き寄せられて飛んで来る。

 

「チッ……!」

 

 それらが、悟に向かって射出され、ジャンプして回避しつつ、真希と真依の方へ走り、二人を小脇に抱える。

 悟が立っていた場所の端っこに呪具が直撃し、角の部分を削り落とす。

 

「っ、さ、悟⁉︎」

「何を……!」

「ありゃもうダメだ! 何があったか知らねーが、教育が悪かったんだろうな! 完全に暴走寸前だ!」

「悪かったね、私の教育が悪くて」

 

 隣を走る傑が軽口を叩く。

 外した呪具達をさらに磁力で引き寄せ、一発も撃ち漏らさないように手元に引き込む。

 

「まったくだ、お前父親向いてねーよ」

「言い訳じゃないけど、向いていないのは本来の父親の方だったんじゃないかな」

「ほんとに言い訳じゃんそれ。それをなんとかするのが保護者の仕事でしょ」

「悟の言えたセリフかいそれは? そこの猿は、呪力が見えないくせに口だけは立派じゃないか。どんな教育したらこうなる?」

「言い訳じゃないけど、こうなる教育をしたのはこいつの父親だから」

「教育者のセリフじゃないね。同じことをオウム返しして」

「オウムにセリフを教えた奴のセリフかよ」

 

 テンポの良い口喧嘩を交わしながら、二人は後ろから来る呪具を回避して回避する。その動きは、とても11年ぶりとは思えなくて。

 二人が走って攻撃を避け続けていたのは、何も逃げ回るためではない。悟の射線上に、要を置くためだ。

 構えた指の先にいる上空の要に、赫を放った。

 

「!」

 

 上空の要は飛ばしていた呪具をかき集めてガードするも、貫いてヒット。後方に飛ばされる。

 その隙に、悟は真希と真依を下ろした。

 

「二人とも、あいつの口ぶりだと憂太……いや、もしかしたらパンダや棘も一緒かもしれない。合流して、隠れてて」

「それは良いけど……」

「平気なのかよ。そいつと一緒で」

「ふふ、猿の心配なんていらないよ。どの道、私はもう助からない。安静にするならともかく、これからあれを相手にすれば、間違いなく失血死するだろう」

「や、そうじゃなくて……」

 

 真希が言わんとすることは分かっている。あの弟を、なんとか生かしたまま落ち着かせたいのだろう。

 だが、こんな風に大量の質量を浮かせられる間違いなく特級クラスが暴走しているのだ。不殺で制圧出来るのか不安だ。

 そんな真希と真依の心を見透かしたように悟は微笑むと、傑と一緒に告げた。

 

「「大丈夫、僕(私)達、最強だから」」

 

 そう告げると、やたらと頼り甲斐ある二人は、禪院家の末弟を救う為、動き出した。

 

 




実際に持ち上がったのは四分の一と高専の敷地外の一部です。
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