Lostbelt No.0 『存在証明大陸 ムー』 作:御魚天国
「……なんだったんだ? 今の」
「ひえー……地球って実際にあんなのなんですねぇ……」
「……技術の進歩は怖えなァ」
「ん……魔力、抜けた……」
「……宝具か」
俺たちはそれぞれ反応を見せる、今しがた空に出た地球に対して。
それは突然のことだった。
突然空に星が瞬いたかと思った瞬間、空に地球が現れたのだ。
大きさはかなり大きく、昔宇宙から撮った写真の奴とほぼ同じ。
と言うか構図も形も全く一緒だった。
「私、初めて見ましたよ」
「俺だって初めてなんだが……いくら現代人つっても、写真でしか見ないからな」
だがその写真に映っていたものが、こうして空に映っていたのだ。
と言っても、数十秒ぐらいだが。
この時、四人は魔力の消失、そして
しかも受肉に近い実体化らしい。
そしてアヴェンジャーは『宝具だ』と言っていた。
ならばあれは、一人の英霊が起こした事象ということになる。
「非常にまずいぞ……」
仮に今の宝具を放った英霊が汎人類史側についたら。
そしてもしあの宝具が特定の人物に向けて、放てるものなのだとしたら。
「……今の無差別だった可能性があるが……そもそもなんで放った?」
考えうる可能性としてはいくつか上げられるが、今の宝具を放った英霊が戦闘になったから、と言うのが一番有力か。
じゃなければ、まずそもそも宝具を使うはずがない。
宝具は英霊の真名に直結するもの、そして魔力も大量に使う。
そう容易に扱えるものではないのだ。
「フォーリナーか……?」
「だろうな、今の宝具はフォーリナーの可能性が高い。降臨者などと仰々しい英霊め。何がしたい……?」
「人助けとか!」
「宝具を使ってか?」
「人によってはそうすると思いますけど」
確かに思想とか色々あるもんな。
相容れない英霊だっていずれ必ず出てくる。
その辺、カルデアはどうしてるんだろ?
空を見上げて思考を続けていると、ライダー兄が口を開く。
「……たしかにアーチャーの嬢ちゃんの言う通りかもなァ……マスター。
「いや、宝具は使わなくていい。ただでさえ真名がバレやすいんだからな」
「そりゃそうすね。使わなくていいらしいぜ」
「……ん」
妹は魔力が少なくとも使用できる宝具を展開しようとしていたが兄に言われて止める。
展開するのが一つだけならば、少量で済むらしい。
と言うか、二人とも片方が欠けていても宝具が使えるのだろうか。
それとも二人いて、片方だけ使用が可能、と言う奴なのだろうか。
二人の逸話は有名だが、詳しいところまであまり知らないからなぁ。
まぁ少なくとも、妹の方は
事情を聞いてないからな、その辺。
「……気にしていても仕方あるまい。マスター、進むぞ」
「そう、だな。行くか」
引き続き森の中を進み始める。
先頭をアヴェンジャー、その後ろに俺とライダー、そして後方にアーチャーが弓を手に警戒している。
俺とライダーは完全に非戦闘員だから仕方がない。
ライダーは時代が近代すぎるせいか、戦闘能力を全く持っていないとのことで。
そもそも召喚自体がイレギュラーだと、昨日の夜に言っていた。
兄曰く『人は補い合うもんですぜ』とのことで。
兄妹だからそう言ってるのか?
それとも、もっと別の何か……?
と、考えてみるも、英霊についてはそこまで詳しくない。
人物については聞けばなんとなくわかる程度。
無知の極みだ。
「おいおい知っていけばいいか」
「なんの話だ?」
「アヴェンジャー、前は大丈夫なのか?」
「安心しろ、しばらくは
何に安心しろと。
確かにアヴェンジャーはかなり強いから、安心はできるが放置はどうかと思う。
後ろの方じゃライダー兄とアーチャーが駄弁ってるし。
完全に遠足気分だ。
……こういうのも悪くはないが。
「……真名なんなんだ?」
「む……唐突だな、マスター。真名ついては秘密だ。今伝えたところで面白いものでもないと言っただろう?」
「どういう理由だよ……」
「くくっ……少しは楽しむといい。余裕はあるほどいい。戦いでも、人生でもな」
「参考になんのか? それ……」
そこからしばらく、俺はアヴェンジャーと会話しながら歩き続ける。
会話内容は他愛のないものだ。
魔術について幾らかアドバイスは貰えたけどな。
まるで俺の常識が通用しないレベルの魔術については、驚愕する他なかっただろう。
Aチームのみんなに聞かせてやりたいぐらい。
簡易魔術については、少し改良の余地があることがわかったのは収穫だ。
「つまり?」
「分解、再構築……ここに圧縮と伸張が必要だ。カードに入れるのならば、その二つがあるだけで容量が大幅に変わる」
「だけどそれなら、速度の面で問題が出てくる。圧縮と伸張の過程で時間が……」
「そこはもう少し……む、マスター、次の場所についたぞ」
長く歩いた先、森を抜け立ち止まったところには川があった。
なかなかに壮大な景色と言えるだろう。
遠くの方に見える滝からここまで続く川、その色は透明で底まで簡単に見える。
「私少し周りを見てきますね!」
と、アーチャーは森の方に。
「んじゃまぁ、俺たちゃ宝具の調整してきやす」
と、ライダーの二人は近くの平たい場所へ。
アヴェンジャーは俺の方を見て、多分召喚するのを待っていた。
「取り敢えず、今日はここで野宿だな。テントを広げて、そのあとで召喚陣をアヴェンジャーに……」
ブツブツ呟きながら行動に移ろうとしていた時、少し遠くの方で大きな音が響く。
金属のぶつかり合う音、その直後に爆煙が捲き上る。
「なっ……!?」
あまりの突然のことに、ライダー兄妹も驚いてこっちの方に来た。
アヴェンジャーは影を動かして俺とライダーの周りに、そして森の方に向かって歩き出す。
その瞬間、森の中から剣を手にしたアーチャーが吹き飛ばされてきた。
アーチャーは空中で姿勢を正すと、アヴェンジャーの影を足場にして地面に着地する。
「何している、アーチャー」
「ご、ごめんなさい、助かりました! 敵です! ですが、アレはっ……!!」
アーチャーが剣をしまって弓を引く、それと同時に森の中から踏ん張るような声が聞こえた。
「ふんッ!!」
その声が聞こえたと同時にアヴェンジャーは影を前に、盾のようにしてアーチャーを覆う。
すると森の中から衝撃波が繰り出され、木々をいともたやすく薙ぎ倒した。
「……ほう。なかなかやるではないか。小娘」
そう言いながら森の中から剣を片手に男が一人。
少し黒っぽい髪をしており、身長はかなり高い。
「この私を、小娘と見るか。
その言葉に男は神妙な顔をした。
「剣を持っているからセイバーだと?」
「貴様の漏れ出る魔力でなんとなく判別できる。貴様フランスの英霊だな?」
「ほう、よく知っているではないか。フランスの英霊はもう一人、いるがな」
と言うと森の中から少女が一人、少し慌てた様子で出てきた。
「ちょ、ちょって、ヴェ……セイバーさん! いきなり出て行かないでくださいよ!」
「はははっ! すまなかったな、少女よ!」
少女の方は金色の髪を持っていて、村娘って感じの雰囲気がある。
だが腰には異物感のある剣が吊るされていた。
「ほう……貴様は知っているぞ。
「え、あれセイバーなんですか!? ってか、それよりも、あっちの男の方は?」
「私がやる」
そう言うとアヴェンジャーは大きく影を広げる。
男は笑って大きく踏み込むと剣を構えた。
少女も鞘から剣を抜こうとして、剣が抜けないことに気づいて鞘に収めたまま構える。
アーチャーもそれを見て、急いで弓を構え直した。
「そちらから来るといい。優位であるのは私だからな」
「そう言うことであれば、行かせてもらおうかッ!!」
男のセイバーが走り出し、剣を大きく振るってアヴェンジャーの影のぶつかり合う。
それと同時にアーチャーの放った矢が少女セイバーの手によって弾かれる。
英霊同士の戦いが始まるのだった。
性質上、次から次へと新キャラ出してるけど、制御できるか不安になってきたであり〼。