Lostbelt No.0 『存在証明大陸 ムー』   作:御魚天国

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第6節:九騎のサーヴァント

「やはり懸念すべきはラ・ムーか」

「え、なんの話?」

 

 朝、昨日の夜はテントの中で一先ずライダーから真名を聞き出して睡眠。

 真名は……英霊になりそうだなぁ、って感じ。

 使えるのは間違いない。

 

 で、同じく汎人類史の英霊のようで。

 深く考えていたが、頷くと協力すると言ってくれはした。

 少し警戒はしておくべき対象かな、とは考えている。

 

 今は朝。

 起きて朝飯食った直後に突然アヴェンジャーが言い出したのだ。

 

「ラ・ムーって?」

「なんだ貴様、知らないのか?」

「ああ」

「……ラ・ムーはムー大陸にいたとされる王だ。他の異聞帯で言うと……多分、異聞帯の王に該当するのでは、と考えている」

「なるほど?」

「わかってないな、貴様。と言っても、私もあまり知らん。太陽神の化身だとかは聞いたことがあるが、その程度だ」

 

 太陽神か……太陽に関連する逸話を持つ英霊と相性良さそうだな。

 出てくるかどうかはわからないけども。

 ……いや、昨日出てきたな。

 

 なんて話をしながら、サーヴァントたちとともにテントを片付けて移動の準備をする。

 と言ったところでアヴェンジャーが立ち止まって、少し遠くの方を見て呟いた。

 

「……霊基の数が、増えてる?」

「え?」

 

 その言葉にライダー……兄妹の兄の方がアヴェンジャーの隣に立って反応を示す。

 

「やっぱそうだよなぁ。英霊の数が増えてんぜ、こりゃあ」

「増えてる?」

「……昨日はこの大陸に、私たちを除いて四騎程度の英霊がいた。だが今日は……」

「デケェのが二騎、既にいた四騎、そして気づいた増えてた三騎……合計九騎いますぜ。マスター」

「クラスはわかるか?」

「……私たちが、観測した……範囲で、なら……」

 

 そう言うとライダー妹が、どこから持ってきた地図を広げる。

 かなり精度の高い地図だが、どこで手に入れたのだろうか。

 

「こんな地図どこで……?」

「昨日の夜、作った……」

「アヴェンジャーさんからちと頼まれてまして。徹夜で」

 

 ニヤリと笑うライダーに、俺は地図を指でなぞる。

 精密に広範囲に、この異聞帯全体が描かれている。

 

 徹夜でここまで完成させたのか。

 ただ細かく書いてあることを見るに、信用度の高いものではありそうだ。

 ……めちゃくちゃ広いな。

 

「宝具を使わせたが構わんな?」

「あ、ああ。こんな地図作れるなら別に構わねーけど。……お前らそんな逸話あったっけ?」

「ま、ちとした事情ってやつですよ。気にしないでくだせえ」

 

 ちとした事情……その事情が気になるんだが。

 だが宝具を使っただけでは、ここまで精密な地図は作れない。

 それこそ地図に関して逸話を持つサーヴァントではないと。

 

 しかし今、気にするのはそこじゃない。

 俺は話し始めるように言うと、最初に指をさしたのはアーチャーだった。

 

「今私たちがいるのはここですね。昨日はアサシンとバーサーカーに襲撃されました」

「……聞いてないぞ?」

「あ、あとで話します! それよりも、アサシンの方は真名が判明してます……よね、マスター?」

「ああ、アサシンの真名は『因幡の白兎』。日本神話に出てくる兎だ。なんでアサシンになったかは知らんが」

 

 その言葉を聞いてアヴェンジャーが首を傾げる。

 

「日本神話? 日本の英霊だと……? 妙だな……まぁいい、続きだ。で、バーサーカーの方は?」

「こっちも多分日本の英霊。どっかの資料で見たことのある軍服を着ていた」

 

 それを聞いてアヴェンジャーは再度を首を傾げる。

 そして地図をじっと見つめて、俺たちの方を見ながら不思議そうに聞いた。

 

「本当に? 日本の英霊か?」

「どうして」

「……ロンドンとギリシャの英霊……じゃないのか?」

「なんでロンドンとギリシャ?」

「……なんとなくだ。それに関しては私が勝手に調べるとしよう。それよりも続きだ」

 

 一体何を気にしていると言うのだろうか。

 たしかに因幡の白兎に関しては、何故アサシンのなのかわからない。

 それに日本軍人の英霊もあそこまでのパワーが出るのがよくわからない。

 近代英霊である以上、出力は抑えられているはずなのに。

 

 なんて考えていると、ライダー兄が他の場所を指差す。

 

「デケェ反応、こいつはセイバー……で、アヴェンジャーさんが任せろ、とのことで」

「抑止力が私を脅威とみなしたようだ、いずれ殺す。貴様らは無視しろ」

 

 明らかに憎しみのこもった物言いに俺の鳥肌が立つ。

 恐怖、それに近いものが沸き立ってきたのだ。

 

 それは他の三人もわかっているのだろう。

 少し静かになって、話の続きを始めたのはライダー妹だった。

 

「残り六騎……ここに一人でかいのと、三人……ここに二人……固まってる……」

 

 指し示した場所は現在地よりかなり離れている場所。

 一先ずは安心してもいいだろうが、いずれ出会ったときのことも考えておくべきか。

 だが次に言われた言葉に、俺は困惑を覚える。

 

「ここにキャスターとフォーリナー……こっちにはアーチャー、バーサーカー、ライダー、ランサー……でも、四人の方は、仲間割れしてる……」

「ちょ、ちょっと待て、フォーリナー? それに仲間割れ?」

「近代英霊ですが、明らかにフォーリナーすね。で、仲間割れの方は……なんつーか。その、()()()()()()んですよね……ランサーが他三騎相手に」

 

 またとんでもないのが出てきたな。

 しかも降臨者(フォーリナー)と来たか。

 一度どこかで見たような、聞いたことがあるような。

 何にしろ、俺はそれを知っている。

 

 だがそれよりも気になったのは、仲間割れって方だ。

 ランサーが他三騎相手に殺し合いを繰り広げているのは非常に気になる。

 

「殺し合いか……利用できそうだな……」

「殺し合いの発端はランサーすね。もっと英霊はいたみたいなんすけど……」

「全員、ランサーの手によって葬られているな。染み付くような魔力から、神霊の可能性が高い」

「なにそれ……」

 

 魔力でわかるのか……。

 色々と例外なのかしれない、このアヴェンジャー。

 他の三人を見ていると、そう思ってしまう。

 

 と言うかランサーが神霊か。

 聞いたらわかるのだが、聞かなきゃなにも思い浮かばない。

 問題となるのは、接触するべきか、避けるべきか。

 

「……一先ず避けるべきか」

 

 現状なにも整っていない状況で接触しても、逃亡したところで逃げる場所がなくなる。

 逃げれなくなることだけは避けたい。

 

「どうする、マスター。私は放置を勧めるが?」

「接触したところでいいことなさそうだもんな。取り敢えず目的地に向けて出発。接触してしまった場合、その都度対応で」

「了解です!」

 

 アーチャーのはっきりとした返事の後、それぞれが適当に返事を返す。

 その後は地図を片付け、テントを片付けて歩き始めた。

 空想樹へと向けて。

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