仮名だったのでそろそろ頃合かなって…
許してぇ!!
今日も今日とて攻城戦。
なんつーか、そろそろ飽きてきたって言うか…うん。ぶっちゃけ飽きた。
長引いた戦争のせいか有能な指揮官ってのは大体死んじまったらしい、敵も味方も突撃し合ってはバタバタ倒れるばかりで一進一退。
それを聞いた指揮官がヒステリックに叫び散らかす毎日。「何とかしろ!!」って、いやいやアンタらが何とかする方法を考える立場だろうが…。
もう…イカレポンチなんだから。
「ガンビーノ!城門が軋んできてる、そろそろ壊れるよ!」
ガッツが塹壕に飛び込んでくる。初陣の時とは随分変わって今じゃ怯まず前線に駆け出す元気な猪武者に育っちまった。
誰に似ちゃったんだよお前…。
でもまぁ偵察の役割を果たしたのはええ事やで。ガッツの頭を撫でながら指示を出す。
「走れ伝令!各隊亀甲隊形ッ!!目標は敵城門正面。止まるなよ、着く頃には門が破壊されてるハズだからな!」
「了解!」
中腰で塹壕を駆けていく伝令兵。
間もなくしてバーラン隊とカルテマ隊を筆頭に亀甲隊形をとった部隊が前進し始めたのが見えた。
敵の砲兵も弓兵も気付いたらしく必死の抵抗をみせる。
「テメーら仕事だそのケツ上げろ!突撃ィィーー!!」
号令と同時に亀甲陣の合間を散兵が駆け抜けていく。
問題ない、あるはずが無い。いつも以上に順調なんだから。
ふと城壁の砲に目がいった。
偶然だったが見えた
マズいと思った瞬間、砲口が火を吹いた。
「伏せろ!ガッt…ッ!!」
爆発。
衝撃波で吹き飛ばされ、泥濘にまみれた。
咄嗟に体をズラしてガッツを庇う形をとったが間に合ったのか分からない。
ちきしょう…これ死ぬのか?
戦場の音も掠れるように聞こえなくなって、眠気に似た感覚に意識を呑み込まれた。
〜〜〜◆ガッツ◆〜〜〜
不意に聞こえたガンビーノの声に振り返った時、後ろに居たはずのガンビーノの姿はなかった。
そこには砲弾で出来たクレーターとバラバラになった人間のパーツがあるだけ。
「ガンビーノォ!!」
至近弾だって分かってすぐ、剣を放ってクレーターの中に飛び込んだ。ガンビーノの無事を確かめる為に。
ガンビーノはすぐに見つかった。突っ伏した状態でピクリともしない。
「ガンビーノ!大丈夫!?」
上半身の鎧はひしゃげて破片が刺さってて、下半身を覆う泥を除けるとベッタリと血が手に付着した。
酷い、その一言に尽きる。
「衛生ッ!衛生ーーー!」
叫ぶように衛生兵を呼びながらガンビーノの足の傷口に塹壕から拾ってきた酒をかけて押さえつける。ウルバンに教わった事だ。止血帯が無い今、こうでもしないと…!!
「…ぅう"」
「ガンビーノ!?大丈夫だから、すぐに衛生兵が来るから!」
意識があるのか無いのかそれ以上反応しなくなったガンビーノの足を押さえ続ける。その指の間から絶え間なく血が溢れてくる。
ダメだ…血が止まらない。
「ガンビーノ、大丈夫だから…大丈夫だから…」
「おいガッツ何してんだ!塹壕に入れ!!」
顔を上げると塹壕から1組の衛生兵が僕を呼んでいた。やっと来てくれた!
「助けて!ガンビーノが…!!」
「なに?ガンビーノ!?」
駆け寄って来た衛生兵の表情が一瞬で曇って、「うわっひでぇ」って呟いたのが聞こえた。
「血が止まってねぇな…ガッツ、ちゃんと押さえてたんだよな?」
「勿論だよ!酒をかけて消毒してから圧迫したんだから!」
「ならいい、取り敢えず担架に乗せなきゃな。ガッツは下がってろ後は俺達の仕事だからな。おい手伝え」
「よし、俺は肩を持つから足の方持ってくれ」
塹壕に担ぎ込まれたガンビーノが担架に乗せられたのを見届けて剣を拾い握りしめる。
焦りも恐怖も殺意一色に塗り変わっていくのを感じる。
殺してやる、お宝なんてどうでもいい。
アイツらは殺す、斬って、刺して、落として殺してやる。ガンビーノへの見舞いには大砲を鹵獲したって言えばきっと喜ぶに違いない。
まだ抵抗を続けている壁上の砲兵を睨みつける。
「逃げるなよ…僕が行くまで」
どの砲兵がガンビーノを撃ったかなんて知らない、だけど皆殺せばどれか当たるはず。
許さない、絶対に許さないからな。
ガンビーノを狙った奴は僕が必ず…殺してやる。