「時は今ぞ!突入!」
突撃命令に少し遅れてこじ開けた城門を踏み越える。
入ると数秒前に我先に飛び込んで行った傭兵達が立ち止まっているのが見えた。
…何してんだアイツら。
突撃の勢いは止まって半包囲しているだけ、全員の視線の先には
どうやら手が付けられないらしい。
「ウオォラァ!!」
戦斧のひと薙ぎで3、4人を切り飛ばした剛腕に、ドッシリと構えるその姿に最前列の奴らは軒並み怯んでやがった。
「ひぃ!バ、バズーソだァ!」
「バズーソって灰色の騎士の?30人斬ったとか聞いたぞ!?」
「押すんじゃねえ!やめろ下がれ!」
…ったく大の大人が雁首揃えて情けねえ。
「どうしたミッドランド軍!こんなものなのか!?揃いも揃って腰抜け揃いか!そこの将よ、俺は受けて立つぞ!」
「…ッ」
さっきまでの威勢は何処へやら、指揮官はバズーソの挑発にイラつきながらもビビっちまってる。
ここまで来て負けたんじゃ笑えもしねえが俺なら殺れるって確信みたいな感じがある。コレはチャンスだ。
誰が先に突撃するか言い合ってる傭兵共を押しのけてバズーソの前に出る。
「む?なんだ小僧、まさか俺に挑むつもりか」
「金貨10枚」
「「なに?」」
バズーソと指揮官の声が重なった。
「この饅頭の値段だよ、俺は傭兵だぜ?名誉じゃ飯食えねえんだからコレ出せよコレ」
「なッ!?」
ちょっとした嫌がらせのつもりだったが予想以上に効果があったらしい、バズーソの目に殺気が宿った。
「高い!6枚だ」
「9」
「7枚!これ以上は出せぬ!」
「…チッ、しゃーねぇな」
金は取れる時に踏んだくるのが当たり前だからな。
面と向かって立ってみて確信した、バズーソと俺の体格差はこれ以上なく丁度いい。
両手で大剣を構え、少し腰を落として相手の攻撃を誘う。勝負は一瞬、カウンターで仕留める。
バズーソは怒りに満ちた目で睨みつけてくる。
「小僧…後悔するぞ!たった金貨7枚でその頭かち割られるのだからなぁ!!」
「ハッ、金貨7枚もする餅を斬り捨てるなんて贅沢で良いじゃねえか。有難く貰ってくぜ」
「…ッ!死ねぇ!!」
頭を狙った大振りの一撃。
それを屈むように避けて、思いっきり踏み込んでバズーソの死角から目に大剣をぶち込んだ。
切っ先が兜ごとバズーソの顔の半分を斬り裂いた。
「お"…ぁ……」
「ま、こんなもんか」
膝から崩れ落ちるように倒れたバズーソ。
それと同時に味方からは歓声が、敵には動揺が広がり勝敗は決まった。
「敵は怯んだぞ!押し崩せえ!」
「「「オォォォォォッ!!」」」
敵に襲いかかっていく味方を見送りながら、後ろから忍び寄ってきていた敵兵の腰に大剣をぶっ刺す。
「後ろから殺ろうなんて10年遅せぇんだよ」
昔なら殺られてたが今はそんなヘマはしない、慢心はしてないが無傷で済んだのはやはり嬉しい。
倒れた奴にとどめを刺してそのまま残党狩りに加わった。
〜〜〜◇グリフィス◇〜〜〜
バズーソとの一騎打ちの一部始終を見届けた。無駄のない構えと相手の死角から急所への一撃。
その後は背後からの敵を苦もなく仕留めてみせた。
「ヒュ〜♪敵さんにもすげぇのがいるもんだな」
「あんたとどっちが強いかね?」
「ばーか、次元が違ぇよ。なあ?グリフィス」
確かに戦えば俺が勝てる。
でもアイツを見た時、殺りたくないとも思った。何故かは分からないがコレが
「…この城も終わりだ、さっさとずらかるぞ」
「へいへい」
アイツの姿を見た時不思議と惹かれるものがあった。初めて会った気がしない、そんな感じに。
「欲しいな…」
次に機会があれば彼を引き入れるのも悪くない。
いや、きっと引き入れてみせる。俺は欲しいと思ったものは絶対に手に入れないと気が済まないんだから…。