ベルセルク/ガンビーノ転生!?   作:霧桜ルー

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運命(さだめ)受け止めた先に

 

 

「あれがガンビーノか…おのれ傭兵上がりが!!」

 

ドルドレイ攻略の終盤というタイミング、ここに来て予想外の衝突が起きた。

 

司令官と主力の将軍を失って、一時は申し訳程度の抵抗しかしてなかった奴等が何を血迷ったのか出撃。

敗軍残党の悪足掻きと舐めてかかった最前列があっという間に食い破られて中列で激しい攻防戦になった。

 

「止めろ!押し返せ!我らミッドランドの強さを見せてやれ!」

 

各部隊長の指揮も効果は見られない。

無理もない、彼らは上官の戦死の穴埋めとして繰り上げ昇進しただけの者が殆ど。歴戦の部隊相手に善戦しろと言う方が酷だろう。

 

だがそれでは困るのだ。

何としてでも敵の首を取り、手柄を立てねば調子づくグリフィスを牽制出来なくなってしまう。

 

私がかき集めた白龍騎士団の再編部隊に至っては敵の先鋒を潰そうとして、逆に青鯨超重装騎士団に呆気なく蹴散らされてしまっている。

 

何たるザマか…頭が痛くなるわ。騎士団の面汚し共め!

このままでは私の立つ瀬が無いではないか。

 

もはや私の手持ちのカードは尽きたも同然。ゆえに出し惜しむ時では無い、切り札を出すしかあるまい。

 

「ラグドール、来い!」

 

「はっ…御用でしょうか?」

 

ラグドール。この男は我が白龍騎士団に属する弓兵で、100m先に立てた矢すらも射折る弓の名手。

本当はグリフィスを殺させようと考えたんだが暗殺などという手段は武門の恥。

いずれ堂々と排してくれようぞ。

 

「あの馬上の男が見えるか?」

 

「ええ、灰銀色の鎧の男ですね」

 

「奴を射殺せ、一矢で確実にな」

 

「承知」

 

ラグドールはY字の棒を地面に突っ立ててクロスボウを構え、狙いを定め始めた。

聞いた話だとあの男は憎き鷹の団の切り込み隊長の父親だとか。鷹の関係者は少ないに越したことはない。

恨みはないが死んでもらおう。

 

悪く思うなよガンビーノ。貴様自身に興味はなくとも私はその首に用があるのだ。

死んでくれ、死んで私の役に立て。

 

「…いつでも」

 

「放て!!」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜◇アドン◇〜〜〜

 

 

 

 

 

ドルドレイを棄てると決めた直後の敵中突破。

確かに私はガンビーノがマトモな、常識的な戦い方をする男ではないと分かっていた。

だが今こうなってくるとどうも私自身も同類だったのやもしれんと思えてくる。

 

ボスコーン将軍であれば間違いなく残って戦ったであろうし、逃げると言えば首を撥ねられたやもしれんからな。

 

「む、避けたか!」

 

突っかかって来ていた敵将を切り捨てると同時に周りの敵兵が引き潮の如く、いや蜘蛛の子を散らすように壊走しだした。

10騎から先は数えてなかったが中々に骨が折れたわ。にしても、私もやれば出来るものだな!

 

ガンビーノからもらった補充の騎兵共も私の命に従ってよく戦ってくれている。

ここまで脱落は数騎のみ、厄介と思っていた白龍騎士団すら撃滅した今の私に恐れる物など無い!

 

「命のいらぬ者から前に出よ!この三叉槍の餌食にしてくれるわ!」

「ほざけ!チューダーの犬風情ぎゃッ」

 

「くっ…敗軍の将如きがッ!?」

 

「フハハハハァッ!!どけどけぇい!」

 

止めようと必死の形相で向かってくる騎士共の首が、腕が血飛沫と共に宙に舞っていく。

口では大層な事を叫ぶくせに大した事ない奴らよ!

 

あの小ぞ…もといガッツとやらには見舞うことが出来なかったが後で人伝いに聞いて震えあがるに違いない!

ついでに後ろから続くガンビーノにも私の強さを見せつけておけば、後々良い待遇が期待できるというもの。

 

「ぜぇりゃあああーーー!!」

 

それは敵の後詰に突っ込んだ直後であった。

風切り音というより唸りに近い音の矢が顔スレスレを掠めていった。

 

し、死ぬ!今のは死ぬぞ!当たってたら即死で召されるぞ。おのれ私がこの隊の将と知って狙い撃ったのか!

 

見ればかなり近くに狙撃手らしき男がクロスボウを構えていて、次の矢を装填しようとしている。

 

むう、弓兵の身で逃げずに抵抗する度胸は見事。

だが許さぬ!貴様だけは生かして帰さぬ!

 

何やら後ろに派手な装束の者がいるがおそらく何処かの貴族の影武者であろう。如何にミッドランド人がイカれてると言え、まさか本物の貴族がこんな所にいるはずが無い。

 

「逃がさぬぞ。食らえぃ!我がコボルイッツ家に伝わりし槍術、岩斬旋風──

「う"っ!?」

 

…う"?「ゔっ」てなんだ?

その声音は言っちゃ…聞こえちゃいかんヤツでは無いのか?

 

振り向いた先に見えたガンビーノの姿。

兜の額部に矢が突き立ち一筋の血が顔に沿って流れ、ガクンと下がった手から抜け落ちる剣。

 

そのままユラリと体が揺れ、仰け反るように落馬して兵の波に消えていった。

 

「ガ……ガンビーノォ!!

 

敵も味方も一瞬だけ止まったような気がした。

 

し、しまった!コレでは相手に我らの指揮官が殺られたよと教えたも同然では無いか!

や…やらかしたか?

 

「「「大将首だァー!!」」」

 

おっふぅ…

さっきまで逃げ腰だったクセに!

手柄が目の前と知って勢い付いたか、現金な奴らめ!

 

大将首を取らんとする敵とそれを食い止める味方が入り交じって混戦を極めていく。

もはや陣形もへったくれも無くなっている。

 

あぁわわわ、やってしまった。

どうする!?ここは私が残って殿を務めるべきか?いやだが死にたくないぞ!!

 

「ここは儂が殿に着く!ゆけぇ!!」

 

……え?

 

状況をいち早く理解したバーナー殿が歩兵を纏めながら叫び、カルテマ殿の高い声がそれに続く。

 

「アドンはそのまま突っ切って!ウルバンッ、ガンビーノを拾って来て!バーランは私に続きな!」

「おう!」

 

いかん…いかんぞ!それはいかん。

いくらなんでも己の失態を他人に押し付けて死に追いやるなど出来るものか!

 

「待たれよ!ここはこのアドンが殿に─」

「黙ってゆけぃ!!ガンビーノには予め伝えておったのだ。貴様のようなひよっ子は寧ろ邪魔じゃ!」

 

「さっさと走れアドン!後ろが食いつかれんぞ!!」

 

「アンタが突っ切んなきゃ私達は囲まれんだよ!仲良く心中なんてまっぴら御免!さっさと走れ!」

 

ぐぅ…お許しを!

 

「青鯨超重装騎士団私に続け、突破するぞ!」

 

このアドン、せめて敵陣を切り裂いて見せようぞ。

この失態はいずれ必ず…!!

 

 

 

 

 

 

 

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