「失礼します」
「ん、おー。コレットか、なんだ」
「将軍宛にダイバ様よりお手紙が届いてます」
「はァ? チッ よこせ」
………
……
…
…なるほど
突然だが、ガニシュカが嫁を娶るらしい。
なに、唐突すぎるだと?バッキャロウ俺にとっても寝耳に水だったんだぞ。
今回迎えるのは正室、俺たち臣下からしたらNO.2。
ガニシュカの不在時や
ただ、まだ選定の段階らしく誰を正室とするかは決まっていないって話だ。
絞り込みはダイバ達古参の臣下が済ませてるようだが、どうやら最終選抜の候補2人のどっちを推すかで議論が紛糾。
収拾がつかないとみたダイバが俺に『手伝え』と
ビビったワケじゃないが、忙しくも優しい俺はダイバ側に立つことを決定。
ダイバに着く選択が間違ってないか確かめる為に
「んむぅ…事と次第は分かったがこんな面倒事に応じるつもりか?面倒事は一番嫌いだったろうに」
「まぁな、ただ今回だけはダイバを助けてやんのも良いと思ってんだ。オメーはどう思う」
「なんとも言えぬ。クシャーン貴族は国王寄りの者が多いからな、ダイバ殿を助ければ奴らが明確に敵対してくるに違いない。だが奴らの意見が通れば我らの力は間違いなく削られてしまう」
「だが貴族連中は来年にはどうせ敵になる。ならダイバに味方した方が得る物は多いはずだ」
「良いのか?他の者にはまだこの話をして無いのだろう?」
「はッ!良いも悪いもあるかよ、こんな高度かつ厄介な案件をアイツらが理解出来るはずねぇだろうが。カルテマなら少しは分かるだろうがアイツは下級貴族の出身だ、貴族社会の厄介事の対応に関してはお前には劣る」
「(それを言うなら
「なんだ。言いたい事でもあるのか」
「いや無い」
「なら帰っていいぞ。また呼ぶかもしれねぇがな」
「──近くまた顔を合わせそうだな」
お〜い、やめろやめろ。
そんな不穏なフラグを立て逃げするんじゃねぇよ。
フラグ1本折るのどんだけ大変か分かってんのか?まったく。
アドンを見送ってダイバの手紙を
これがただの権力争いの一端なら無視を決め込む所だが、今回は状況が違う。
応じればダイバに貸しができて立場的余裕もうまれる。
ダイバはガニシュカ派の上級貴族で文・芸に秀でた内向的な令嬢を推していて、現・国王派の貴族連中はクシャーンと同盟関係にある他国の王女を推してきている。
国王派の貴族は財とコネ、権力でガニシュカ派を圧倒してる状態。
唯一、ガニシュカ派が勝ってるのは軍事のみ。
保有する財は同等を誇る為、あとひと押しの発破剤に俺を使いたいんだろう。
ダイバは軍事力という後ろ盾を得て、俺はダイバに政治的貸しが出来る。
これ以上ないwin-winな関係だし、俺としてもダイバの候補を推しておきたい。
内向的な性格ならばガニシュカに取って変わろうとも、国権を乱用する事も無いだろうしな。
下手に他国から迎え入れてみろ、性格次第でクシャーンという国が傾きかねねぇ。
これは余談だがガニシュカは正室が来ることは知っているものの、誰が来るかまでは知らない。
ま、政略結婚なんて所詮そんなもんだ。
「残りの人生を好きでもねえ相手と共に生きる…か」
考えただけでゾッとする。
このまま黙って見届けるのも忍びないと思うのは、親心のせいだろうか。
「誰か居るか」
「はい、如何しましたか」
「ジャリフに鷹狩の手はずを整えるように伝えろ。余計な招待状は送らなくていい、殿下と "件の令嬢" の参加を優先しろ。と」
「承知しました」
これでいい。
令嬢が鷹狩に興味あるかは知らんがお互い初見同士で結婚するんだ、その前に少しでも互いを知り合う機会を用意してやるのも悪くねぇだろう。
むしろこれは父親の義務だろうしな。
願わくば想い合うように、なんてのは俺の我儘だろうか