「さっすが公爵家、ガッツリ兵隊集めてんな」
「どんくらいだ?1万はいるかな」
伯爵領で1日だけ休んで公爵領の領境の砦に侵攻したらだーれも居ないんだから驚いたもんだ。
近くの村で事情を聞けば城塞都市に立て篭もってるって話だからコレはもう来てくれって言ってるも同義だろって事で出向いてやって現在は包囲攻城中。
城壁にはためいてる旗の種類と数からして相当数がいるのが分かるから迂闊に突撃命令も出せない。
そこでだ。
まさか兵糧攻めをする訳にもいかねえから壁の上から敵を追い払っちまおうって考えた。
城の周りに溝を掘って盛り上げた土で土塁を築いて柵を立て弓隊に守らせる。
これで城の兵隊の突撃で布陣が崩される事は無い。
こうでもしなきゃおっかなくて攻城兵器も呼べやしねぇ
ここで毎度おなじみ攻城兵器と言えば?そう投石器君だよな
彼がいれば取り敢えず何とかなっちゃう辺りは最高のパートナーだけど扱いには一癖も二癖もある困ったちゃん。
『遅い・重い・逃げられない』なんて致命的だろ?
そこで俺は考えた。
バラして運んで組み上げちまおう。ってな
実際そうしてゴロゴロ運んで今は前線後方で組み上げ中。
ちなみに砲弾も一工夫しておいた。
四方八方が尖った砲弾に取っ手を彫り込んで、そこに油を染み込ませた布を縛り付ける。
ガッツがそんな感じのミニタイプを使ってただろ?3秒待ってバーンのアレだ。
結ぶ布は横幅30歩、長さ100歩で直前に着火してぶん投げる。
すると城壁にくい込んで布は黒煙を巻き上げて視界を遮りつつ敵の呼吸も害してくれる。
その隙に歩兵が突撃するって戦法よ。
実際そんな物が何十発、何百発と飛んでくるのを想像してみろ。城壁を飛び越えて町へ降りそそぐそのさまを。
これが上手く刺さったら攻城戦で死ぬ兵隊がぐんと減ってくれる。
何千何万って数字で使い捨てられる歩兵の1人1人に歩んできた過去があってこれからの未来があるんだ、死ななくて済むんならそうしてやるべきだろう。
ガニシュカは戦象を使いたがってたがあんなデカブツを押し付けられちゃたまったもんじゃない。
騎兵相手ならいざ知らず、他に効果的な兵科が無い。
行軍は遅いし大飯食らい、おまけに臆病な動物で混乱したら抑えが効かないなんてもはや恐怖でしかない。
戦争において兵器に感情は要らねぇんだ。
「おぅい将軍閣下ぁ!でけたぞぉ!!」
「よしぶっぱなせ」
「なぁ本当に良いのかよ」
「何がだ」
「クシャーンの騎士・貴族連中の反発だよ。こんなの戦争じゃないとか云々言ってやがるんだ、いくら国王派を潰せても腹の中に敵が出来るんじゃ元も子もないだろ」
滅多に異を唱えてこないウルバンが珍しい。
普通の攻城戦なら負傷兵の治療で手が離せなくなるからいい機会ではあるのかもしれないが──
「だからなんだ。連中に気ぃ使って戦争が終わるか?人死にが減るのか?答えは
「なんの為に?アンタが戦争をさっさと終わらせたって誰かがまた戦争を呼び起こすだろうさ。そしたらもっと惨い戦争が始まる事になるんだぞ」
「良いじゃねぇか、それでいいんだろうが。戦争は惨ければ惨いほど良いモンなんだ。戦争をしたがるバカが減る」
「それでいくとアンタもバカって事になるぞ」
「ハハハッ!馬鹿は死ななきゃ治らねぇからな。お前も苦労するだろうな」
「不治の病だ」
「違いねぇ」
呆れ顔のウルバンだがなんだかんだで付き合ってくれる。
「確信犯め」
「共犯者だな」
「……チッ」
さてウルバンが納得(?)したところでおっぱじめようかな。
どんどん投げてどんどん焼いて、そんでパッパと進んじまおう。歩兵の方の布陣も終わった。
俺たちは生まれた時代が悪かったんだ…そう思って諦めてもらおう。
「全機砲撃始め」