スライムですが、なにか? 作:転生したい人A
進化して蜘蛛子ちゃんの禁忌がカンストした日から私達は別々にレベル上げをしていた。
蜘蛛子ちゃんは下層で遭遇し、恐怖を刻まれた宿敵地龍アラバを倒すため。
そして私は下層で最後にあった地龍カグナを倒すために鍛えることにした。
そのために地龍カグナの居場所の確認に行ったのだが、もう一匹いた。
しかも明らかにスピードタイプの地龍ゲエレ。
地龍が二匹タッグを組んでるってどうなの?
まあ、カグナのステータスを確認した結果から言ってカグナ単体ならどうとでもなる。
確かに龍だけあってかなり高いステータスだったけど、相性が悪すぎる。
防御特化で速度が低いカグナなら、同じく速度が低くて極端に攻撃特化の私なら簡単に倒せるだろう。
だから、問題なのはゲエレだ。
速度差が辛いなぁ。
私防御力が高いわけじゃないから、ゲエレの攻撃でもダメージは十分に入る。
HPは飽食でストックしておけば多少は大丈夫だろうが、一対一でも厳しい相手なのは間違いない。
その上、カグナと同時に相手にしないといけない。
取り合えず、レベル上げと飽食のストックを貯めることを優先しないとなぁ。
『スラちゃん、今すぐに戻ってきて!』
ん?蜘蛛子ちゃん、どうしたんだろう?
『どうしたの?今すぐって、何かあった?』
『人間に巣が燃やされてる!』
『分かった。すぐに戻るね』
巣が燃やされたからあんなに怒ってたのか。
まあ、私も急いで帰らないとね。
私が長距離転移で巣に戻ると、蜘蛛子ちゃんが邪眼を使って兵士達を殺していた。
巣はほぼ全焼していて、燃やしたであろう人間達は蜘蛛子ちゃんを恐れて転移で逃げようとしてるのか。
ステータス的には雑魚だし、ちょっと新しい戦い方の練習台になってもらおうかな。
えっと、体を部分的に伸ばして鞭のような触手を作ってと、こいつを私の力で振り回せば。
高速で振り回した触手が兵士を吹き飛ばし壁に叩きつける。
兵士の鎧は触手が直撃した場所は粉々に砕け散る。
やっぱり、この体を生かした戦い方をすべきだよねぇ。
ん~、私が動き回るよりは速いけど、蜘蛛子ちゃん並みのスピードがあれば避けられそうだなぁ。
触手を高速で振り回しながらでも魔法は撃てるね。
よし、次の奴試してみよ。
まず、触手を半分に割いて数を倍に増やす。
そして神珍鉄で触手を覆って魔力を流して触手の動きに合わせて形を変える。
そして兵士に当たる向きに刃を作り出し、鎧ごと兵士を斬る。
神珍鉄は魔力で形を動かしてても強度は変わらないのがいいよね。
幻想金属で作った金属の中にも魔力を流して形を変えられるものはあったけど、金属が柔らかくなってるだけだったからなぁ。
神珍鉄のように触手がぐにゃぐにゃ動いても刃はしっかり硬いままだからちゃんと斬れる。
触手に合わせた形状の変化も並列意思にやらせればそこまで大変じゃないし、この戦い方はありだね。
問題は、雑魚以外に使えるかだよねぇ。
今度下層の魔物相手に試してみよう。
それにしても、人間は経験値が美味しいなぁ。
いやぁ、非常に優秀な練習台だこと。
そんなことを考えていると、二人に空間転移で逃げられてしまった。
まあ、いいや。
それなりに経験値稼げたし、新しいスキルを獲得できたからね。
『巨大化:自身の体を大きく出来る』
シンプル!?
けど、私の場合は体の形を変えて手を伸ばしたりするのに体積は大きい方がいいからね。
さて、未だに巣を燃やされて荒ぶってる蜘蛛子ちゃんを落ち着かせますか。
『蜘蛛子ちゃん、落ち着きなよ』
『落ち着いてられないよ!?お家全焼させられて落ち着ける訳ないでしょ!?』
『燃やされた仕返しにほぼ全員殺したじゃない。それに経験値が大量に入ったんだし、今回は良しとしようよ』
『そうだけどさぁ』
『ほら、早く巣を作り直そ』
『んー、分かったよぉ』
蜘蛛子ちゃんは納得してないようだが、巣を直すことは賛成のようだ。
私も蜘蛛子ちゃんと一緒に万能糸で巣の修復に取り掛かる。
『そういえば、スラちゃんさっきの何?』
『ん?ああ、スライムとしての体を生かしてみようと思ってね。試してみたの』
『あれ動けるの?』
『並列意思で制御してるから問題なく動けるよ。それに新しいスキルで体を大きく出来るようになったから腕の数もさらに増やせそう』
『うわぁー』
『その反応酷くない?』
蜘蛛子ちゃんから呆れたような声が返って来た。
蜘蛛子ちゃんだって邪眼で一方的に殺戮してたのに、私にだけその反応は酷い。
あれ?スキル上げで大量に作った神珍鉄の鈴がない。
もしかして、逃げた二人のどっちかが持って行ったのかなぁ。
まあ、大量に作れるからいっかぁ。
『そうだ。スラちゃん、後で手伝って欲しいことがあるんだけど』
『別にいいけど、何を手伝えばいいの?』
『アラバと縦穴で戦おうと思ってるんだけど、そこに蜂が巣を作ってるから駆除を手伝って欲しいんだよねぇ』
『いいよ。ちょうど私も試したいスキルとかあったし』
『ありがとう』
そして巣を再建し終えた私達は下層の縦穴に来た。
上を見上げれば大量の蜂が飛び回っている。
『結構な数がいるねぇ』
『そうそう。弱いくせに数が多いんだよねぇ』
『そうだねぇ。まあ、ちょうどいいし、早速スキルを試してみましょうか』
『さっき、言ってた巨大化のスキル?』
『それとは違うスキル』
蜘蛛子ちゃんが私の言葉に首を傾げているので、早速試していこう。
空間機動で蜘蛛子ちゃんがいる位置より高い場所に移動する。
そして神龍力を発動し、上にいる蜂の群れに向けてブレスを放つ。
私の口から体と同じように青系統の色のグラデーションが薄っすらと入った黒い奔流が吐き出される。
黒い奔流に触れた蜂達は塵と化して消滅していき、奔流が消えるころには大量に居た蜂は大半が消えてなくなっていた。
私は神龍力を解除して蜘蛛子ちゃんの隣に降りる。
『ブレス撃って試してみたかったんだけど、どうやら腐食属性だったみたい』
『ないわー、腐食属性のブレスとかないわー』
『ん、蜘蛛子ちゃんだって破滅の邪眼あるじゃん』
『確かに、あるけどね。けど、私の場合自爆攻撃だからね』
蜘蛛子ちゃんの反応に私が不満そうに返すと、蜘蛛子ちゃんは呆れた様子でいう。
『腐食無効とれば自爆しないのに』
『そうなんだけどねぇ。スラちゃんはどうやって腐食無効取ったの?』
『あれをひたすら食べ続けただけよ』
『あれ?』
千里眼で見つけた壁についている黒い虫を指さして答える。
蜘蛛子ちゃんも私が指さした方に視線を向け、あれの正体に気づいて顔が真っ青になる。
そしてあり得ないものを見るような目で私のことを見て来る。
『もしかして、あれ食べて獲得したの?』
『あいつ以外に腐食属性持ってる奴知らなかったし、耐性は必要でしょ』
『わ、私は遠慮しておこうかなぁ。さあ、残った蜂を殲滅しに行こう』
『あ、ちょっと!?』
まるで逃げるように空間機動を使って上空にいる蜂を倒しに行ってしまった。
腐食無効を獲得できれば破滅の邪眼使いたい放題なのに。
まあ、嫌なら仕方ないかぁ。
私も蜘蛛子ちゃんの後を空間機動を使って追いかける。
途中で巨大化して腕を大量に生やして近づいて来る蜂を次から次へと落とし続ける。
腕が届かない距離の蜂には暗黒槍を撃って撃ち落とす。
蜂が弱いこともありあっさりと巣を駆除することが出来た。
『終わったね。私はもう少しレベル上げするけど、蜘蛛子ちゃんはどうする?』
『私もスキルの確認しながらアラバ戦の作戦立てるかなぁ』
『頑張ってね』
『うん、スラちゃんもね』
『じゃあ、スキルレベル上げて来るね』
『はーい』
蜘蛛子ちゃんの返事を聞いて私は下層の適当な場所に転移する。
下層のそれなりに広い空間に移動した私は先ほどと同様に巨大化する。
先ほどスキルレベルが2になったこともありさっきよりさらに大きくなった。
んー、普段の二から三倍くらいかなぁ。
レベル2でこれなら最大まで上げれば十倍くらいになれそうだかな。
さて、レベル上げと食料の確保を兼ねて殺戮を始めよっか。
探知で近くにいる魔物の位置は把握しているので、伸ばした腕に神珍鉄を纏わせて斬り捨てる。
近づいて来るもの、逃げようとするもの、腕が届く範囲にいる全てを斬り捨てる。
届く範囲に敵がいなくなったのを確認し、腕で死体を掴んでかき集めて空納にしまっていく。
どうしよう?もう少し狩って帰ろうかな?
もう1レベルを上げて戻る?
ん~、よし、レベル上げて帰ろう。
レベル上げを決めて私はまた違う場所に移動して殺戮を行おう。
レベルが上がるころには一人では食べきれない量の食料が空納に入っていた。
まあ、蜘蛛子ちゃんもいっぱい食べるから多い分には困らないよねぇ。
さぁて、食べながら私も作戦を考えるとしますかねぇ。
あれ?作戦を立てて戦うのって今回が初めてかも。
ちょっとした余談ですが、悟りという成長バグを持ってるのにスラちゃんのスピードが低いのはスラちゃんが悪いです。
最初から予見や未来視で最小限の動きで回避できたことと、蜘蛛子ちゃんと移動する時は変な気を使って蜘蛛子ちゃんに運んでもらうなどしてるせいで伸びなかっただけです。
たまに走り込みしてるから1000ありますけど、してなかったらもっと低い数値になってます。